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安
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やす
ふりがな文庫
“
安
(
やす
)” の例文
自然界
(
しぜんかい
)
に
法則
(
ほうそく
)
があれば、
人間界
(
にんげんかい
)
にも
法則
(
ほうそく
)
がある。どの
星
(
ほし
)
を
見
(
み
)
ても、ほこらしげに、また
安
(
やす
)
らけく
輝
(
かがや
)
くのは、
天体
(
てんたい
)
の
法則
(
ほうそく
)
を
守
(
まも
)
るからだ。
アパートで聞いた話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
別に好い声ではないが、円みのある、落着いた温かい声である。『——
主
(
しゆ
)
ウのー手エにーすーがーれエるー、身イはー
安
(
やす
)
ウけエしー』
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
もう十日も前から婆あやにも
安
(
やす
)
にも逢わないもんですから、わたくしはあなたがどっかへ越しておしまいなさりはしないかと思ってよ
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
來年
(
らいねん
)
になれば、
安
(
やす
)
さんの
方
(
はう
)
で
何
(
ど
)
うか
都合
(
つがふ
)
して
上
(
あげ
)
るつて
受合
(
うけあ
)
つて
下
(
くだ
)
すつたんぢやなくつて」と
聞
(
き
)
いた。
小六
(
ころく
)
は
其時
(
そのとき
)
不慥
(
ふたしか
)
な
表情
(
へうじやう
)
をして
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
なに
蝙蝠
(
こうもり
)
の形に似て居ますって? 私の名は「
安
(
やす
)
」ではありませんよ。
玄冶店
(
げんやだな
)
の
妾宅
(
しょうたく
)
に比べるとちとこの法医学教室は殺風景過ぎます。
三つの痣
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
今
(
いま
)
敵國
(
てきこく
)
深
(
ふか
)
く
侵
(
をか
)
して、
邦内
(
はうない
)
騷動
(
さうどう
)
し、
士卒
(
しそつ
)
、
境
(
さかひ
)
に
(一七)
暴露
(
ばくろ
)
す。
君
(
きみ
)
寢
(
い
)
ねて
席
(
せき
)
を
安
(
やす
)
んぜず、
食
(
くら
)
うて
味
(
あぢはひ
)
を
甘
(
あま
)
しとせず。百
姓
(
せい
)
の
命
(
めい
)
皆
(
みな
)
君
(
きみ
)
に
懸
(
か
)
かる。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
或
(
ある
)
いは藝術が凡人の職業であっても一向差支えないかも知れないが、
己
(
おれ
)
はどうしても藝術の位置を、そんなに
安
(
やす
)
っぽく見たくなかった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
安子穴
(
やすこあな
)
というのがあった。
白狗
(
はくぐ
)
と
白馬
(
はくば
)
との天正時代の伝説がある。
後
(
のち
)
、お
安
(
やす
)
という女人が
零落
(
れいらく
)
してここに玉のような童子を育てた。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
が、
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
す
丈
(
だけ
)
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
し、
泣
(
な
)
きたい
丈
(
だけ
)
泣
(
な
)
きつくした
時
(
とき
)
に、
後
(
あと
)
には
何
(
なん
)
ともいえぬしんみりと
安
(
やす
)
らかな
気分
(
きぶん
)
が
私
(
わたくし
)
を
見舞
(
みま
)
ってくれました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
欺
(
だま
)
し討になし其金を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
とり
)
夫
(
それ
)
而已成
(
のみなら
)
ず文妹富を
欺
(
あざむ
)
きて遊女に賣渡し同人の身の代金三十兩を
掠
(
かす
)
め
取
(
とり
)
其後十兵衞
後家
(
ごけ
)
安
(
やす
)
を己れが惡事
露顯
(
ろけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日
(
ひ
)
は
毎日
(
まいにち
)
、
出
(
で
)
る、
人
(
ひと
)
は
毎日
(
まいにち
)
働
(
はたら
)
け。さうすれば
毎晩
(
まいばん
)
安
(
やす
)
らかに
眠
(
ねむ
)
られる、さうすれば、
其翌日
(
そのよくじつ
)
は
又
(
また
)
新
(
あたら
)
しい
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
を
拜
(
をが
)
むことが
出來
(
でき
)
る。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
子弟を学塾に入れ或は他国に遊学せしむる者ありて、文武の
風儀
(
ふうぎ
)
にわかに
面目
(
めんもく
)
を改め、また先きの算筆のみに
安
(
やす
)
んぜざる者多し。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ちょうど
糟谷
(
かすや
)
が遊んでおったをさいわいに、その
主任獣医
(
しゅにんじゅうい
)
となった。糟谷は以来
栄達
(
えいたつ
)
の
望
(
のぞ
)
みをたち、
碌
(
ろく
)
ろくたる生活に
安
(
やす
)
んじてしまった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
新政府に
嫁
(
か
)
し、維新功臣の
末班
(
まっぱん
)
に列して
爵位
(
しゃくい
)
の高きに
居
(
お
)
り、
俸禄
(
ほうろく
)
の
豊
(
ゆたか
)
なるに
安
(
やす
)
んじ、
得々
(
とくとく
)
として
貴顕
(
きけん
)
栄華
(
えいが
)
の
新地位
(
しんちい
)
を占めたるは
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
彼は世を教へんとて、世を救はんとて著作をなせり、然れども著作の真意すでに誤りたれば、世の人はさておき、己れを
安
(
やす
)
むるの
効
(
かう
)
もあらず。
トルストイ伯
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そんな無意
義
(
ぎ
)
な生涯なら
動物
(
どうぶつ
)
でも
送
(
おく
)
ツてゐる。
如何
(
いか
)
に何んでも、僕は動物となツてまでも
安
(
やす
)
さを
貪
(
むさぼ
)
らうとは思はないからな!
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「なにが
高
(
たけ
)
えものか。
時
(
とき
)
によったら、
安
(
やす
)
いくらいのもんだ。——だがきょうは
見
(
み
)
たところ、一
朱
(
しゅ
)
はおろか、
財布
(
さいふ
)
の
底
(
そこ
)
にゃ十
文
(
もん
)
もなさそうだの」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
値
(
ね
)
を
聞
(
き
)
くと
三圓九十錢
(
さんゑんきうじつせん
)
で、まあ、それは
先
(
せん
)
のよりは
安
(
やす
)
い。が、
此奴
(
こいつ
)
を
行
(
い
)
きなり
女房
(
かみさん
)
は、
十錢
(
じつせん
)
値切
(
ねぎ
)
つて、
三圓八十錢
(
さんゑんはちじつせん
)
にお
負
(
ま
)
けなさいと
言
(
い
)
つたんです。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
安
(
やす
)
んじけりさるにても
訝
(
いぶか
)
しきは
松澤夫婦
(
まつざはふうふ
)
が
上
(
うへ
)
にこそ
芳之助
(
よしのすけ
)
在世
(
ざいせ
)
の
時
(
とき
)
だに
引窓
(
ひきまど
)
の
烟
(
けぶり
)
たえ/″\なりしを
今
(
いま
)
はたいかに
其日
(
そのひ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此
(
この
)
大漁獲
(
だいりよう
)
があつたので、
明日
(
あす
)
からは
餓死
(
うゑじに
)
の
心配
(
しんぱい
)
はないと
思
(
おも
)
ふと、
人間
(
にんげん
)
は
正直
(
せうじき
)
なもので、
其
(
その
)
夜
(
よ
)
の
夢
(
ゆめ
)
はいと
安
(
やす
)
く、
朝
(
あさ
)
の
寢醒
(
ねざめ
)
も
何時
(
いつ
)
になく
胸
(
むね
)
穩
(
おだやか
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「京都にも三輪君のような人がいて、『安全地帯』を『
帯地
(
おびじ
)
全
(
まった
)
く
安
(
やす
)
し』と読んだそうだが、此処で田鶴子にそんな読み方をされるとことだからね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
寺も移らねばなるまい。墓地も移らずばなるまい。然しながら死にたる
骨
(
ほね
)
は、死にたる
地
(
ち
)
に
安
(
やす
)
んずべきではあるまい乎。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そこで、わたしの
好
(
す
)
きな
子供
(
こども
)
たちよ。おぢさんはみんなとお
約束
(
やくそく
)
しよう。この
次
(
つぎ
)
に
出
(
だ
)
すおぢさんの
本
(
ほん
)
は、きつといい
本
(
ほん
)
で、もつと
安
(
やす
)
くすること、を。
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
ところが誰でも少し油断すると
小成
(
しょうせい
)
に
安
(
やす
)
んじ、これでよいという気になりやすく、しからざればなにごとについてもいたずらに不満の声を高くして
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
誰に案内されるともなく入ってみると、すっかり息の絶えた遠州屋のお
内儀
(
かみ
)
お
安
(
やす
)
の死体は、奥の一間に運び込まれて、血汐を拭き
浄
(
きよ
)
められております。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
怜悧
(
れいり
)
な
快活
(
くわいくわつ
)
な、
大
(
おほ
)
きい
眼
(
め
)
を
持
(
も
)
つてゐた
美
(
うつく
)
しい
彼女
(
かのぢよ
)
、
今
(
いま
)
は
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
として
力限
(
ちからかぎ
)
り
鬪
(
たゝか
)
つた。そして
遂
(
つひ
)
に
安
(
やす
)
らかに
睡
(
ねむ
)
つた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
「何だい、この狂言は。いやだねえ。お前はお
安
(
やす
)
じゃないか。間違いだなんて、いわせはしないよ。お前だって、わたしの顔をお忘れじゃああるまい」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
酷
(
ひど
)
く
安
(
やす
)
くなつちやつたな、
寒
(
さむ
)
く
成
(
な
)
つちや
保存
(
もち
)
がえゝのに
却
(
けえつ
)
て
安
(
やす
)
いつちうんだから
丸
(
まる
)
で
反對
(
あべこべ
)
になつちやつたんだな」
勘次
(
かんじ
)
は
青菜
(
あをな
)
を
桶
(
をけ
)
へ
並
(
なら
)
べつゝいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いくらまづくともつまらなくとも、『
年
(
とし
)
のうちに』の
方
(
ほう
)
には、
多少
(
たしよう
)
意味
(
いみ
)
以外
(
いがい
)
に
安
(
やす
)
らかな、そして
子
(
こ
)
どもらしい
氣持
(
きも
)
ちになつて
起
(
おこ
)
した
氣分
(
きぶん
)
が
出
(
で
)
てゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かような
大
(
おほ
)
きい
瓦
(
かはら
)
は
屋根
(
やね
)
を
葺
(
ふ
)
くには
重
(
おも
)
すぎるので、
後
(
のち
)
には
輕
(
かる
)
い
瓦
(
かはら
)
を
作
(
つく
)
るようになつたことゝ、
瓦師
(
かはらし
)
もなるだけ
安
(
やす
)
いものをたくさんに
造
(
つく
)
らうとしたので
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
鐘供養
(
かねくよう
)
がすんで、
庭師
(
にわし
)
の
安
(
やす
)
さんたちが、またごんごろ
鐘
(
がね
)
を
吊
(
つ
)
りあげると、その
下
(
した
)
へ
和太郎
(
わたろう
)
さんが
牛車
(
ぎゅうしゃ
)
をひきこんで、うまいぐあいに、
牛車
(
ぎゅうしゃ
)
の
上
(
うえ
)
にのせた。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
甲斐
(
かい
)
ざかいの
憂惧
(
うれい
)
がされば、これで心を
安
(
やす
)
らかにして、
旗
(
はた
)
を
中原
(
ちゅうげん
)
にこころざすことができるというもの。
家康
(
いえやす
)
にとって、伊那丸はおそろしい
癌
(
がん
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし
大
(
たい
)
した
地震
(
ぢしん
)
でないといふ
見込
(
みこみ
)
がついたならば、
心
(
こゝろ
)
も
自然
(
しぜん
)
に
安
(
やす
)
らかなはずであるから
過失
(
かしつ
)
の
起
(
おこ
)
りようもない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
『
安
(
やす
)
い
贈物
(
おくりもの
)
だ!』と
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。『
私
(
わたし
)
は
誕生日
(
たんじやうび
)
に
此麽
(
こんな
)
吝
(
けち
)
な
贈物
(
おくりもの
)
をして
貰
(
もら
)
ひたくない!』
併
(
しか
)
し
愛
(
あい
)
ちやんは
敢
(
あへ
)
てそれを
聲
(
こゑ
)
に
出
(
だ
)
して
言
(
い
)
ひませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
で、ぐつと
安
(
やす
)
く——三十錢位で見せてもらはなければ、國立劇場が出來ても仕樣がない、とあたしは言つた。
むぐらの吐息
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まず父母の
安
(
やす
)
きを問い、
四方山
(
よもやま
)
の話相手にもなり、とくに親孝行といわれるほどの人は、
二十四孝
(
にじゅうしこう
)
の芝居でみるように、肩をもみ腰をなで、
洗足
(
せんそく
)
の湯をとり
親子の愛の完成
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
乙「こん
畜生
(
ちきしょう
)
、やい
何処
(
どっ
)
から出やアがッた、ヤア
安
(
やす
)
、
起
(
おき
)
ろよ、やい、
手前
(
てめえ
)
何処から出やアがッた此ん畜生」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
れども命運の鬼は、彼をしてここに
安
(
やす
)
んずるを許さず、井伊、間部の共謀に出でたる大獄は、
瓜蔓葛藟
(
かまんかつるい
)
以て松陰に及び、安政六年五月十四日その兄の口より
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
するとそこのうちの人たちは、なるほどそれは
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
いが、
安
(
やす
)
く
売
(
う
)
るといってもさしあたりお
金
(
かね
)
がない。
一本のわら
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
駄目ぢや、なア——社長はこの頃
禿
(
は
)
げ
安
(
やす
)
に周旋さした方の口から矢の如く催促を受けてをる。そんな筈ぢやなかつたと云うて、周旋者の禿げ安を探しまわつてをる。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
安
(
やす
)
らかに、おまへの
白
(
しろ
)
い
御主
(
おんあるじ
)
の
下
(
もと
)
へ
行
(
ゆ
)
け、さうして、あたしをお
忘
(
わす
)
れになつたかと
申上
(
まをしあ
)
げて
呉
(
く
)
れよ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
時
(
とき
)
にはまた、あの
恐
(
おそ
)
るべき
打撃
(
だげき
)
のために、
却
(
かへつ
)
て
獨立
(
どくりつ
)
の
意志
(
いし
)
が
鞏固
(
きようこ
)
になつたといふことのために、
彼女
(
かのぢよ
)
の
悔
(
くゐ
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
假面
(
かめん
)
をかぶつて
自
(
みづか
)
ら
安
(
やす
)
んじようと
試
(
こゝろ
)
みることもあつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
一方には
安
(
やす
)
の
川原
(
かわら
)
、
天
(
あめ
)
の
長田
(
おさだ
)
という類の、地名らしきものも生まれているが、こちらは山か空か、どの辺にあるのかも考えられず、そうしてまた語義も明らかでない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それから三千
年
(
ねん
)
前
(
ぜん
)
の
往古
(
わうこ
)
を
考
(
かんが
)
へながら、
寐
(
しん
)
に
就
(
つ
)
くと、
不平
(
ふへい
)
、
煩悶
(
はんもん
)
、
何等
(
なんら
)
の
小感情
(
せうかんじやう
)
は
浮
(
うか
)
ぶなく、
我
(
われ
)
も
太古
(
たいこ
)
の
民
(
たみ
)
なるなからんやと
疑
(
うたが
)
はれる
程
(
ほど
)
に、
安
(
やす
)
らけき
夢
(
ゆめ
)
に
入
(
い
)
るのである。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ハヤやヤマベの蚊針釣りをしているその
安
(
やす
)
蚊針に、二、三寸までの若アユが五、六尾必ずかかるので、嬉しいような恐ろしいような、複雑な気持ちになったことがある。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
大抵
(
たいてい
)
のひとが出て来ないほど、船が、
凄
(
すさ
)
まじくロオリングするなか、ぼくは
盛
(
さか
)
んに、牛飲馬食、二番の
虎
(
とら
)
さんや、水泳の
安
(
やす
)
さんなんかと
一緒
(
いっしょ
)
に、殆ど、最後まで残って
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
あしひきの
山路
(
やまぢ
)
越
(
こ
)
えむとする
君
(
きみ
)
を
心
(
こころ
)
に
持
(
も
)
ちて
安
(
やす
)
けくもなし 〔巻十五・三七二三〕 狭野茅上娘子
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
丁度四歳の初冬の或る
夕方
(
ゆうかた
)
、私は松や
蘇鉄
(
そてつ
)
や
芭蕉
(
ばしょう
)
なぞに其の年の霜よけを
為
(
な
)
し終えた植木屋の
安
(
やす
)
が、一面に白く乾いた
茸
(
きのこ
)
の
黴
(
か
)
び着いている
井戸側
(
いどがわ
)
を
取破
(
とりこわ
)
しているのを見た。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
〔譯〕賢者は
※
(
ぼつ
)
するに
臨
(
のぞ
)
み、
理
(
り
)
の
當
(
まさ
)
に然るべきを見て、以て
分
(
ぶん
)
と爲し、死を
畏
(
おそ
)
るゝを
恥
(
は
)
ぢて、死を
安
(
やす
)
んずるを
希
(
こひねが
)
ふ、故に
神氣
(
しんき
)
亂
(
みだ
)
れず。又
遺訓
(
いくん
)
あり、以て
聽
(
ちやう
)
を
聳
(
そびや
)
かすに足る。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
しかし
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れ
方
(
かた
)
、おれは
帰
(
かへ
)
りゆく
労働者
(
らうどうしや
)
のすべての
拳
(
こぶ
)
しの
中
(
うち
)
に
握
(
にぎ
)
り
占
(
し
)
められたビラの
端
(
はし
)
を
見
(
み
)
た
電柱
(
でんちう
)
の
前
(
まへ
)
に、
倉庫
(
さうこ
)
の
横
(
よこ
)
に、
風
(
かぜ
)
にはためく
伝単
(
でんたん
)
を
見
(
み
)
た、
同志
(
どうし
)
よ
安
(
やす
)
んぜよ
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
“安”の意味
《名詞》
(アン)安らかなこと。
(出典:Wiktionary)
安
常用漢字
小3
部首:⼧
6画
“安”を含む語句
安息
安楽椅子
安価
平安
安房
安居
安易
安静
安堵
心安
安楽
心安立
安値
安曇
安穩
安西
安定
安平
安心
安穏
...