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いた
ふりがな文庫
“
板
(
いた
)” の例文
二人はまた同時に車夫に帰つて、私の
家
(
うち
)
の父や番頭の大阪行を引いて来た
後
(
あと
)
を、
銀場
(
ぎんば
)
の
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
で向ひ合つて食事などをして居ました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
には
余
(
あま
)
り人が
居
(
を
)
りませぬで、四五
人
(
にん
)
居
(
を
)
りました。
此湯
(
このゆ
)
は
昔風
(
むかしふう
)
の
柘榴口
(
ざくろぐち
)
ではないけれども、はいる
処
(
ところ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
薄暗
(
うすぐら
)
くなつて
居
(
を
)
ります。
年始まはり
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雲の
縞
(
しま
)
は
薄
(
うす
)
い
琥珀
(
こはく
)
の
板
(
いた
)
のようにうるみ、かすかなかすかな日光が
降
(
ふ
)
って来ましたので、本線シグナルつきの電信柱はうれしがって
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
木曾
(
きそ
)
は
檜木
(
ひのき
)
の
名所
(
めいしよ
)
ですから、あの
木
(
き
)
を
薄
(
うす
)
い
板
(
いた
)
に
削
(
けづ
)
りまして、
笠
(
かさ
)
に
編
(
あ
)
んで
冠
(
かぶ
)
ります。その
笠
(
かさ
)
の
新
(
あたら
)
しいのは、
好
(
い
)
い
檜木
(
ひのき
)
の
香氣
(
にほひ
)
がします。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
下女
(
げぢよ
)
は「
左樣
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか、どうも」と
簡單
(
かんたん
)
に
禮
(
れい
)
を
述
(
の
)
べて、
文庫
(
ぶんこ
)
を
持
(
も
)
つた
儘
(
まゝ
)
、
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
の
仕切
(
しきり
)
迄
(
まで
)
行
(
い
)
つて、
仲働
(
なかばたらき
)
らしい
女
(
をんな
)
を
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
暫
(
しばら
)
くして
青
(
あを
)
い
煙
(
けむり
)
の
滿
(
み
)
ちた
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
には
心
(
しん
)
も
切
(
き
)
らぬランプが
釣
(
つ
)
るされて、
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
には一
同
(
どう
)
ぞろつと
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いて
丸
(
まる
)
い
坐
(
ざ
)
が
形
(
かたち
)
づくられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
異様
(
いよう
)
な、
帆船
(
はんせん
)
の
姿
(
すがた
)
が、ありありと
板
(
いた
)
の
面
(
おもて
)
に
見
(
み
)
えたかと
思
(
おも
)
うと、また、その
姿
(
すがた
)
は、
煙
(
けむり
)
のごとく、しだいにうすれて
消
(
き
)
えてしまった。
びんの中の世界
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて人通りの餘りない、片側に工場の黒
板
(
いた
)
塀が
續
(
つゞ
)
き、片側は畑を間にさしはさんで
住宅
(
じうたく
)
が數
軒
(
けん
)
ならんでゐる、町で一番長い坂道の上に出た。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
屋根
(
やね
)
を
葺
(
ふ
)
いても、
板
(
いた
)
を
打
(
う
)
つても、
一雨
(
ひとあめ
)
強
(
つよ
)
くかゝつて、
水嵩
(
みづかさ
)
が
増
(
ま
)
すと、
一堪
(
ひとたま
)
りもなく
押流
(
おしなが
)
すさうで、いつも
然
(
さ
)
うしたあからさまな
體
(
てい
)
だと
云
(
い
)
ふ。——
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
入
(
い
)
らつしやいまし。」と
若
(
わか
)
い
女中
(
ぢよちゆう
)
が
上
(
あが
)
り
口
(
ぐち
)
の
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
膝
(
ひざ
)
をつき、
出
(
だ
)
してあるスリツパを
揃
(
そろ
)
へ、「どうぞ、お二
階
(
かい
)
へ。
突当
(
つきあた
)
りが
明
(
あ
)
いてゐます。」
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
やがて、ハッと気がつきますと、ハタハタと、
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
を歩く音がして、誰かが落し戸の方へ近づいて参るのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかも、
京都
(
きょうと
)
の
天皇
(
てんのう
)
のがわは、
国
(
くに
)
をひらきたくない
考
(
かんが
)
えだったので、
幕府
(
ばくふ
)
は、
外国
(
がいこく
)
との
板
(
いた
)
ばさみになったかっこうでした。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
翠色
(
すゐしよく
)
したヽる
松
(
まつ
)
にまじりて
紅葉
(
もみぢ
)
のあるお
邸
(
やしき
)
と
問
(
と
)
へば、
中
(
なか
)
の
橋
(
はし
)
のはし
板
(
いた
)
とヾろくばかり、
扨
(
さて
)
も
人
(
ひと
)
の
知
(
し
)
るは
夫
(
それ
)
のみならで、
一重
(
ひとへ
)
と
呼
(
よ
)
ばるヽ
令孃
(
ひめ
)
の
美色
(
びしよく
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
なにぶん
薄
(
うす
)
い
鐵
(
てつ
)
の
板
(
いた
)
でつくり、これを
革
(
かは
)
の
紐
(
ひも
)
で
結
(
むす
)
び
合
(
あは
)
せたものでありますから、
今
(
いま
)
ではぼろ/\に
壞
(
こは
)
れて、
完全
(
かんぜん
)
に
遺
(
のこ
)
つてゐるものは
稀
(
まれ
)
であります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
うす暗い玄関の階段の下の
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に、老妻が小さくぺたんと坐ったまま、ぼんやり嘉七の姿を眺めていて、それは嘉七の貴い秘密のひとつになった。
姥捨
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私は二階の
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に寝台を持ち出して寝ている。寝ていると月が体に降りそそぐように明るんで、灯を消していると虫になったような気がして来る。
落合町山川記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
おどろいたことには、こまかいことまで、とてもはっきりと、
浮
(
う
)
かんできたのです。わたしは、
急
(
きゅう
)
にはっとして、
板
(
いた
)
の
寝床
(
ねどこ
)
の上に起きなおりました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
くまと自分ははじめと同じ
位置
(
いち
)
にもどったわけだ。すみのかべ
板
(
いた
)
に
背中
(
せなか
)
をこすりつけて、立ったくまは、まるでまねきねこみたいなかっこうだった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
彼等は室外に出ると、只ならぬあたりの光景に気づいて、一せいにうむと
呻
(
うな
)
った。いつも見なれてきた平らな甲板は、今は立て
板
(
いた
)
のように傾いている。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
矢
(
や
)
はぬいて自分の
腰
(
こし
)
にはさみ、
神額
(
しんがく
)
の
板
(
いた
)
は、人の気づかぬような
雑木帯
(
ぞうきたい
)
の
崖
(
がけ
)
へ目がけて力まかせにほうりすてた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かみなびの神より
板
(
いた
)
にする杉のおもひも
過
(
すぎ
)
ず恋のしげきに、という万葉巻九の歌によっても知られるが、後にも「琴の板」というものが杉で造られてあって
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
白壁町
(
しろかべちょう
)
の
春信
(
はるのぶ
)
の
住居
(
すまい
)
では、
今
(
いま
)
しも
春信
(
はるのぶ
)
が
彫師
(
ほりし
)
の
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
を
相手
(
あいて
)
に、
今度
(
こんど
)
鶴仙堂
(
かくせんどう
)
から
板
(
いた
)
おろしをする「
鷺娘
(
さぎむすめ
)
」の
下絵
(
したえ
)
を
前
(
まえ
)
にして、
頻
(
しき
)
りに
色合
(
いろあわ
)
せの
相談中
(
そうだんちゅう
)
であったが
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その三
人
(
にん
)
の
席
(
せき
)
からは、はるかに
下
(
した
)
の
方
(
ほう
)
に
下
(
さ
)
がった
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に、
破
(
やぶ
)
れ
畳
(
だたみ
)
をしいて、
鉢
(
はち
)
かつぎをそこへ
座
(
すわ
)
らせ、みんなで
恥
(
はじ
)
をかかせようと
思
(
おも
)
って
待
(
ま
)
ちかまえていました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
はり
板
(
いた
)
をふみたてる牛の足音がバタバタ
混合
(
こんごう
)
して聞こえる。主人も
牛舎
(
ぎゅうしゃ
)
へでた。
乳牛
(
にゅうぎゅう
)
はそれぞれ
馬塞
(
ませ
)
にはいって、ひとりは
掃除
(
そうじ
)
にかかる、ひとりは
飼
(
か
)
い
葉
(
ば
)
にかかる。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
今日
(
けふ
)
も
何
(
なに
)
やら
慌
(
あわ
)
てゝ
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
音
(
おと
)
をたてながら、いそ/\と
母
(
はゝ
)
を
迎
(
むか
)
へに
入口
(
いりくち
)
まで
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
日夜
板
(
いた
)
一枚の命懸けの仕事する者どもゆえ、朝夕身の安全を
蛭子
(
えびす
)
命に祷り、漁に打ち立つ時獲物あるごとに必ずこれに拝詣し
報賽
(
ほうさい
)
し、海に人落ち込みし時は必ずその人の罪を
祓除
(
ふつじょ
)
し
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
明かに知る由
無
(
な
)
しと雖も製法の
大畧
(
たいりやく
)
は先づ
板
(
いた
)
の
如
(
ごと
)
く扁平なる
石片
(
せきへん
)
を
採
(
と
)
りて之を適宜の
幅
(
はば
)
に
引
(
ひ
)
き
截
(
き
)
るか、又は
自然
(
しぜん
)
に細長き石を
周圍
(
しうゐ
)
より缺き减らし磨り减らしして
適宜
(
てきぎ
)
の
太
(
ふと
)
さにするかして
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
踏掛
(
ふみか
)
け漸々として
終
(
つひ
)
に天井へ昇り其跡を
板
(
いた
)
にて元の如く
差塞
(
さしふさ
)
ぎ先是では
氣遣
(
きづか
)
ひ無しと大いに
安堵
(
あんど
)
なし息を
壓
(
こら
)
して隱れ居たり斯る惡人なれども未だ
命數
(
めいすう
)
の
盡
(
つき
)
ざる所にや僧の
情
(
なさけ
)
に依て危き命を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此頃はいまだ
田
(
た
)
も
圃
(
はた
)
も
平一面
(
ひらいちめん
)
の雪の上なれば、たはたの上をさらし場とするもあり、日の内にさらし
場
(
ば
)
を
踏
(
ふみ
)
へしたる処あれば、
手頃
(
てごろ
)
の
板
(
いた
)
に
柄
(
え
)
をつけたる物にて雪の上を
平
(
たひら
)
かにならしおく也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
はじめ、足をかけた
焼
(
や
)
け
板
(
いた
)
が下へしのったとき、左膳はギョッとしたのだったが、もうおそかった。板が割れると同時に、左膳のからだは直立の姿勢のまま、一直線に地の底へ落ちたのである。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
後
(
あと
)
で
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
してみると、いづれも
板
(
いた
)
のように
押
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
されてゐたといふ。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
上
(
あ
)
げ
板
(
いた
)
を
叩
(
たた
)
いて「番頭さん熱いよ」とうめ湯をたのんだり、
小唄
(
こうた
)
をうたったりすると、どうしても
洗湯
(
おゆや
)
の隣りに住んでる気がしたり、
赤児
(
こども
)
が生れる泣声に驚かされたりしたと祖母がはなしてくれた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その室の右にも左にも
微暗
(
うすくら
)
い
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
があって、その
前
(
さき
)
に
梯子
(
はしご
)
の階段が見えていた。謙作は右の板の間の
端
(
はし
)
についた
棕櫚
(
しゅろ
)
の毛の
泥拭
(
どろぬぐ
)
いで靴の泥を念入りに拭ってからゆっくりと階段をあがって往った。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
パイというお菓子は
素人
(
しろうと
)
にむずかしいものですが
饂飩
(
うどん
)
やお
蕎麦
(
そば
)
を打つ人には
直
(
じ
)
きに覚えられます。やっぱり
木鉢
(
きばち
)
と
展
(
の
)
し
板
(
いた
)
と展し棒を使うので、上等にすると石の展し板が熱を持たないで良いのです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
町立病院
(
ちやうりつびやうゐん
)
の
庭
(
には
)
の
内
(
うち
)
、
牛蒡
(
ごばう
)
、
蕁草
(
いらぐさ
)
、
野麻
(
のあさ
)
などの
簇
(
むらが
)
り
茂
(
しげ
)
つてる
邊
(
あたり
)
に、
小
(
さゝ
)
やかなる
別室
(
べつしつ
)
の一
棟
(
むね
)
がある。
屋根
(
やね
)
のブリキ
板
(
いた
)
は
錆
(
さ
)
びて、
烟突
(
えんとつ
)
は
半
(
なかば
)
破
(
こは
)
れ、
玄關
(
げんくわん
)
の
階段
(
かいだん
)
は
紛堊
(
しつくひ
)
が
剥
(
は
)
がれて、
朽
(
く
)
ちて、
雜草
(
ざつさう
)
さへのび/\と。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
荒寺
(
あれでら
)
の柱をつたふ雨の音
板
(
いた
)
たたくにも心くだけぬ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
白雨
(
ゆうだち
)
の滝にうたすやそく
飯
(
い
)
板
(
いた
)
孟遠
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
きしきしと寒さに踏めば
板
(
いた
)
軋
(
きし
)
む
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
色あかき
硝子
(
がらす
)
の
板
(
いた
)
を。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
父
(
とう
)
さんが
玄關
(
げんくわん
)
の
廣
(
ひろ
)
い
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
居
(
ゐ
)
て、その
筬
(
をさ
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
きながら
遊
(
あそ
)
んで
居
(
を
)
りますと、そこへもよくめづらしいもの
好
(
ず
)
きの
雀
(
すずめ
)
が
覗
(
のぞ
)
きに
來
(
き
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
湯から
上
(
あが
)
つて、
二人
(
ふたり
)
が、
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に据ゑてある器械の
上
(
うへ
)
に
乗
(
の
)
つて、
身長
(
たけ
)
を
測
(
はか
)
つて見た。広田先生は五尺六寸ある。三四郎は四寸五分しかない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
すすけた
湯沸
(
ゆわ
)
かしは、お
勝手
(
かって
)
もとの
冷
(
つめ
)
たい
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
置
(
お
)
かれたときに、お
竹
(
たけ
)
はその
湯沸
(
ゆわ
)
かしを
見
(
み
)
て、かわいそうになりました。
人間と湯沸かし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて
彼等
(
かれら
)
は
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
の
藁屑
(
わらくづ
)
を
土間
(
どま
)
へ
掃
(
は
)
きおろしてそれから
交代
(
かうたい
)
に
風呂
(
ふろ
)
へ
這入
(
はひ
)
つた。お
品
(
しな
)
はそれを
見
(
み
)
ながら
默
(
だま
)
つて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その
証拠
(
しょうこ
)
には、第一にその泥岩は、東の北上山地のへりから、西の
中央分水嶺
(
ちゅうおうぶんすいれい
)
の
麓
(
ふもと
)
まで、一
枚
(
まい
)
の
板
(
いた
)
のようになってずうっとひろがっていました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
艫
(
とも
)
の
鷺
(
さぎ
)
の
炎
(
ほのほ
)
は
消
(
き
)
えて、
船
(
ふね
)
の
板
(
いた
)
は、ばらりと
開
(
ひら
)
いた。
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ、
幅広
(
はゞひろ
)
い
煙
(
けむり
)
を
立
(
た
)
てゝ、
地獄
(
ぢごく
)
の
空
(
そら
)
に
消
(
き
)
えて
行
(
ゆ
)
く、
黒
(
くろ
)
い
帆
(
ほ
)
のやう、——
女
(
をんな
)
の
像
(
ざう
)
は
影
(
かげ
)
も
失
(
う
)
せた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これによつても、この
時分
(
じぶん
)
からすでに
色
(
いろ
)
がらすがつくられたことがよくわかりますが、
無色透明
(
むしよくとうめい
)
の
板
(
いた
)
がらすはまだ
世界中
(
せかいじゆう
)
どこにもありませんでした。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そこには夫のと、人形のと、二つのむくろが折り重なって、
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
は
血潮
(
ちしお
)
の海、二人のそばに
家重代
(
いえじゅうだい
)
の名刀が、血を
啜
(
すす
)
ってころがっているのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やがて、手に
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
きかけて、かじかんだ
指
(
ゆび
)
を
暖
(
あたた
)
めると、いきなり、
寝床
(
ねどこ
)
の
板
(
いた
)
の上にあった自分の
帽子
(
ぼうし
)
をつかんで、そっと手さぐりで、
地下室
(
ちかしつ
)
からぬけだした。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
踏
(
ふ
)
むに
冷
(
つ
)
めたき
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
を
引裾
(
ひきすそ
)
ながく
縁
(
ゑん
)
がはに
出
(
い
)
でゝ、
用心口
(
ようじんぐち
)
より
顏
(
かほ
)
さし
出
(
いだ
)
し、
玉
(
たま
)
よ、
玉
(
たま
)
よ、と二タ
聲
(
こゑ
)
ばかり
呼
(
よ
)
んで、
戀
(
こひ
)
に
狂
(
くる
)
ひてあくがるゝ
身
(
み
)
は
主人
(
しゆじん
)
が
聲
(
こゑ
)
も
聞分
(
きくわ
)
けぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そういう
兼吉
(
かねきち
)
は、もはや
飼
(
か
)
い
葉
(
ば
)
をすませて、おぼれ
板
(
いた
)
の
掃除
(
そうじ
)
にかかったのだ。うまやぼうきに力を入れ、
糞尿
(
ふんにょう
)
相混
(
あいこん
)
じた
汚物
(
おぶつ
)
を下へ下へとはきおろしてきたのである。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
“板”の意味
《名詞》
(いた) 木材を薄く平たく切ったもの。
(いた) 薄く平たいもの。
(いた) 板付き蒲鉾の略称。
(いた) 俎板のこと。
(いた) 板前や板場のこと。
(いた) 舞台。
(いた) 版木のこと。
(いた) 板敷の略称。
(出典:Wiktionary)
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
“板”を含む語句
甲板
板囲
画板
鉄板
板葺
黒板
硝子板
亜鉛板
踏板
頂板
木板
床板
板木
壁板
上甲板
大看板
歩板
縁板
板圍
側板
...