ちゞ)” の例文
あいちやんはたゞちにれが扇子せんすつて所爲せいだとことつていそいで其扇子そのせんすてました、あだかちゞむのをまつたおそれるものゝごとく。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其れが焼鏝やきごてを当てる様になり、乃至ないし「ヌマ」と云ふ曲つたピンに巻いてちゞらす様になると、癖を附けぬ毛の三倍程も毛はふくれるが
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
私は暮らしをちゞめる氣にはなれない——けれど私達はどうなつて行くのだらう。私の收入の三分の二は、抵當の利子に拂ひ込んでゐる。
いとゞ寒さのきびしきに、雪の都の高塀たかべいの、日影ひかげもらさぬ石牢いしらうに、しとねもあらぬ板の間に、こゞえちゞみつ苦しまん、友をおもへばたゞ涙
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
トもんどりをつて手足てあしひとつにちゞめたところは、たきけて、すとんとべつくにおもむきがある、……そして、透通すきとほむねの、あたゝかな、鮮血からくれなゐうつくしさ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
死人が左手に掴んでゐた三本のちゞれ毛だの、節穴からのぞいた鋭い瞳だの不思議な老人の出現だのと、好奇心は刺戟され、空想は活溌にはね廻り
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
八五郎はその視線をけるやうに首をちゞめます。この小娘が何を言ひ出すか、危なくて危なくてたまらない樣子でした。
されどこはカザールまたはアクアスパルタよりならじ、かしこより來りてかの文書かきものたづさはる者或ひはこれを避け或ひはこれをちゞむ 一二四—一二六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おつぎはつめたいあめれてさうしてすこちゞれたかみみだれてくつたりとほゝいてあしにはちたたけがくつゝいてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
するとつゞいてお姫様ひめさま玄関げんくわんまで追掛おつかけまゐられて、円朝わたくし喚留よびとめたがうもりゝ々しくツて、なんとなく身体からだちゞあがり、わたくししばられでもするかと思ひました。姫
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
イワン、デミトリチは昨日きのふおな位置ゐちに、兩手りやうてかしらかゝへて、兩足りやうあしちゞめたまゝよこつてゐて、かほえぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
身體をちゞめて床の中で待つて居たが、寒國の人は總じて朝寢をする、漸々やう/\女中の入つて來たのは、ものの一時間半もつてからで、起きて顏を洗ひに行かうと
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あくまたおなやうあめつた。夫婦ふうふまたおなやうおなことかへした。そのあくもまだれなかつた。三日目みつかめあさになつて、宗助そうすけまゆちゞめて舌打したうちをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
髯のなくなつた彼の顔は、ずつと前のそれに逆戻りはしないで、病後の面変りも手つだつて、その円つこいちゞかんだ輪郭が何かしら小さく、愛くるしげに見えた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
おくほどの者が己れより月數をちゞめて約定なすとはハテ不審ふしんなり夫れはしばらおき其方儀文右衞門は百兩の金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この頃の寒さに早稲田の応接間で、口を歪めてちゞかまつてゐる大隈侯の夫人綾子刀自とじである。
艶麗嫻雅の和語を摸さず、務めて平易の文字と通常の言語げんぎょを用い始めしより、世の後進輩靡然として其の風に習い、大いに言語げんぎょと文章の径庭へだたりちゞめたるは余の尤も感賞する所なり
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
時これ十二月かんの土用に際して、萬物ばんぶつ結目むすびめちゞまりすくみ、夜天やてん星斗せいと闌干らんかんたれど
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
夫に逆毛で無い後の二本をく検めて見ると其根の所が仮面めんや鬘からぬけた者で無く全くはえた頭から抜た者です夫は根の附て居る所で分ります殊に又合点の行かぬのはこのちゞれ具合です
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
かつまたこれまでのこよみにはつまらぬ吉凶きつきやうしる黒日くろび白日しろびのとてわけもわからぬ日柄ひがらさだめたれば、世間せけんこよみひろひろまるほど、まよひたねおほし、あるひ婚禮こんれい日限にちげんのばし、あるひ轉宅てんたくときちゞ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
おゝ氣味きみるいとくびちゞめながら、四五けんさき瓦斯燈がすとうした大黒傘だいこくがさかたにしてすこしうつむいてるらしくとぼ/\とあゆ信如しんにようしろかげ、何時いつまでも、何時いつまでも、何時いつまでも、見送みおくるに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お光は女の足音の廊下に遠くなつた頃、低い聲でう言つて、首をちゞめた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あたまをつゝこんでちゞかんでゐるしらみばかりをわらふことは出來できないといふのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
自分の前に横たはつてゐる小路の右を眺め左を見返つてゐたみのるは、二三軒先きの下宿屋の軒燈が蒼白い世界にたつた一とつ光りをちゞめてゐるやうな淋しい灯影ばかりを心に殘して内へ入つた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
波羅葦僧はらいそそらをものぞちゞなる眼鏡めがねを。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「ふう、あゝ、したちゞまつてしまつたたよ。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ちゞらせたりしない以上は髪が損はれる気遣ひも無いのであるから、出来るだけ工夫してしいと日本婦人の為に自分は痛切に思ふのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「でも、ね親分、あの隱居は疊の上で往生のげられる人間ぢやありませんぜ。稼業とは言ひ乍ら何百人、何千人の壽命をちゞめたか、解らない——」
あたまねるぞ!』と女王樣ぢよわうさまこゑのあらんかぎさけばれました。一人ひとりとしてちゞあがらぬものはありませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いはく==陰陽界いんやうかい==とあつたので、一竦ひとすくみにちゞんで、娑婆しやば逃出にげだすばかりに夢中むちう此處こゝまでけたのであつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私に分け與へられた娯樂ごらくは、たゞイライザとヂョウヂアァナの毎日のよそほひを見てゐることゝ、彼女等が薄いモスリンを着、赤い帶をしめ、髮を美しくちゞらせて
それつゞいては小體こがらな、元氣げんきな、※鬚あごひげとがつた、かみくろいネグルじんのやうにちゞれた、すこしも落着おちつかぬ老人らうじん
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つな周圍しうゐから悉皆みんなかたちづくつてちゞまるやうにして、ひとつかんではまたひろがるやうにしつゝ容子ようす大勢おほぜいひとつのひもつてるやうなかたちにもえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ねつがあるとわるいから、一にちやすんだらと御米およね心配しんぱいてにして、れいとほ電車でんしやつた宗助そうすけは、かぜおとくるまおとなかくびちゞめて、たゞひとところ見詰みつめてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御利益ごりやくひとへに願ひますと無理な願掛ぐわんがけをして、寿命じゆみやうを三ねんちゞめたので、おまへいたのは二十一日目にちめ満願まんぐわんぢやアないか、わたし今朝けさめてふとると、四辺あたりが見えないんだよ
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いろいろのひと鳥渡ちよつとかほせて直樣すぐさまつまらないことつて仕舞しまふのだ、傘屋かさやせんのお老婆ばあさんもひとであつたし、紺屋こうやのおきぬさんといふちゞれつひと可愛かあいがつてれたのだけれど
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ことあたらしく今更に道十郎が後家に告口つげぐちなし此長庵がいのちちゞめさせたるは忝けないともうれしいともれい言盡いひつくされぬ故今はくゝられた身の自由じいうならねばいづ黄泉あのよからおのれも直に取殺し共に冥土めいどつれゆき禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これは、うたのばしたり、ちゞめたりしたからでせう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
百年もゝとせ刹那せつなちゞめ、血のはりきにし死すとも
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
八五郎は首をちゞめてすゝめるのです。無遠慮に突つ込み過ぎて、お勢お茂世もよの父親——大瀧清左衞門に小つぴどくやられたことを思ひ出したのでせう。
かもじのあたいも日本の十倍位するのである。首筋のあたりで髪を切つて、そしてたゞちゞらせて垂らした人もあるが、さう云ふ人も床屋へ来て網を掛けさせて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
其故それゆゑあいちやんは其菓子そのくわし一個ひとつみました、ところがぐにちゞしたのをよろこぶまいことか、戸口とぐちからられるくらゐちひさくなるやいなうちからして
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、いぢけたのでもちゞんだのでもない。吹込ふきこけむり惱亂なうらんした風情ふぜいながら、何處どこ水々みづ/\としてびやかにえる。襟許えりもと肩附かたつきつまはづれも尋常じんじやうで、見好みよげに釣合つりあふ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
院長ゐんちやうかたちゞめて溜息ためいきをしながらく、さうして玄關げんくわんとほりながら、ニキタにむかつてふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二人ふたりは斯うじつとしてゐるうちに、五十年をのあたりにちゞめた程の精神のきん張を感じた。さうしてそのきん張と共に、二人ふたりが相並んで存在してると云ふ自覚を失はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ジュリアの髮は生れつきちゞれて居ります。」とテムプル先生は、一層靜かな聲で云つた。
おつぎがあわてゝうしろかうとするときふたゝはげしくつたがおつぎのはなあたつた。おつぎは兩手りやうてはなおさへてちゞまつた。女同士をんなどうしもみ木陰こかげそばめてやうもなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
金の葵唐草からくさ高蒔繪たかまきゑにて紫縮緬の服紗にて熨斗目麻上下の侍ひ持行同じ出立の手代てがはり一人引添ひきそひたり又麻上下にて股立もゝだちとつたる侍ひ十人宛二行に並ぶ次にちゞら熨斗目に紅裏こううらの小袖麻上下にて股立取たるは何阿彌なにあみとかいふ同朋どうぼうなりさて天一坊は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ればあしちゞ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
茂七の顏は伸びたりちゞんだりします。矢が飛んでから、悲鳴が聞えるまで、そんなにひまのあるのは何とした事でせう。