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筆
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ふで
ふりがな文庫
“
筆
(
ふで
)” の例文
筆
(
ふで
)
の進みを
妨
(
さまた
)
げたことであらう? この時ばかりはいろいろな病苦に慣らされた私も自分の病弱を恨み悲しまずにはゐられなかつた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そしてあの
少年
(
しょうねん
)
の
持
(
も
)
っていたような
絵
(
え
)
の
具
(
ぐ
)
や
筆
(
ふで
)
があったら、
自分
(
じぶん
)
にもきっと、あのようにいきいきと
描
(
か
)
けるのであろうと
思
(
おも
)
いました。
どこで笛吹く
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
可笑
(
をかしき
)
事
可憐
(
あはれ
)
なる事
可怖
(
おそろし
)
き事
種々
(
しゆ/″\
)
さま/″\
筆
(
ふで
)
に
尽
(
つく
)
しがたし。やう/\
東雲
(
しのゝめ
)
の
頃
(
ころ
)
に
至
(
いた
)
りて、水も
落
(
おち
)
たりとて
諸人
(
しよにん
)
安堵
(
あんど
)
のおもひをなしぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
從
(
したが
)
つて
其方
(
そのはう
)
の
談判
(
だんぱん
)
は、
始
(
はじ
)
めから
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て
筆
(
ふで
)
にした
事
(
こと
)
がなかつた。
小六
(
ころく
)
からは
時々
(
とき/″\
)
手紙
(
てがみ
)
が
來
(
き
)
たが、
極
(
きは
)
めて
短
(
みじ
)
かい
形式的
(
けいしきてき
)
のものが
多
(
おほ
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さしもに
中
(
なか
)
よし
成
(
なり
)
けれど
正太
(
しようた
)
とさへに
親
(
した
)
しまず、いつも
耻
(
はづ
)
かし
氣
(
げ
)
に
顏
(
かほ
)
のみ
赤
(
あか
)
めて
筆
(
ふで
)
やの
店
(
みせ
)
に
手踊
(
てをどり
)
の
活溌
(
かつぱつ
)
さは
再
(
ふたゝ
)
び
見
(
み
)
るに
難
(
かた
)
く
成
(
なり
)
ける
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
原稿
(
げんかう
)
を
書
(
か
)
く、
氣
(
き
)
もちよく
筆
(
ふで
)
が
運
(
はこ
)
ぶので
夢中
(
むちう
)
になつた、その
夢中
(
むちう
)
を
覺
(
さ
)
ました
聲
(
こゑ
)
は
猫
(
ねこ
)
である、あら
座蒲團
(
ざぶとん
)
に
座
(
すは
)
つて、すましてゐる。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
それより、
私
(
わたくし
)
と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
とは、
艦中
(
かんちう
)
の
一同
(
いちどう
)
から
筆
(
ふで
)
にも
言
(
ことば
)
にも
盡
(
つく
)
されぬ
優待
(
いうたい
)
を
受
(
う
)
けて、
印度洋
(
インドやう
)
の
波濤
(
はたう
)
を
蹴
(
け
)
つて、コロンボの
港
(
みなと
)
へと
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
番頭のやつはてれ隠しに、若え者を叱りながら、そこそこ帳場の
格子
(
かうし
)
の中へ這入ると、
仔細
(
しさい
)
らしく
啣
(
くは
)
へ
筆
(
ふで
)
で算盤をぱちぱちやり出しやがつた。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一
筆
(
ふで
)
申上參せ候扨々思ひ掛なく九
印
(
しるし
)
出拔
(
だしぬけ
)
に歸國致し途方に暮參せ候豫々夫婦になり度
祈
(
いのり
)
居候へども此の後は
寛々
(
ゆる/\
)
御げんもじも
心元
(
こゝろもと
)
なく
存
(
ぞんじ
)
參せ候
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
うっかり
開
(
あ
)
けると、
破
(
やぶ
)
れそうにまだ
濡
(
ぬ
)
れている
墨色
(
すみいろ
)
で、それは少年の
筆
(
ふで
)
らしく、まことに
稚拙
(
ちせつ
)
な走り
書
(
がき
)
。読みくだしてみると、その
文言
(
もんごん
)
は——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「笑はなきや言ひますがね、
天地紅
(
てんちべに
)
の
半切
(
はんきれ
)
に、綺麗な
假名文字
(
かなもじ
)
で、——一と
筆
(
ふで
)
しめし上げ
※
(
まゐらせさふらふ
)
——と來ましたね、これならあつしだつて讀めますよ」
銭形平次捕物控:294 井戸端の逢引
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「里の
初
(
しょ
)
あけのほだされやすくたれにひと
筆
(
ふで
)
雁
(
かり
)
のって、そのかりいので、へっへ、ぶつりとね、へえ、雷門の糸が——どうも嫌な顔をしましてな」
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
といってことわりましたけれど、みんなはどうしても
聴
(
き
)
きませんでした。そこで
悪
(
わる
)
びれもしず、
鉢
(
はち
)
かつぎは
筆
(
ふで
)
を
持
(
も
)
って
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
かくて
漸
(
やうや
)
く
明日
(
あす
)
の朝薩摩富士の見ゆべしと云ふ海に
来
(
きた
)
り
候
(
さふらふ
)
。これにて
船中
(
せんちゆう
)
の
筆
(
ふで
)
とどめ申し
候
(
さふらふ
)
。かしこ。(十月廿七日)
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
まず以上で花と実との
概説
(
がいせつ
)
を
了
(
お
)
えた。これは
一気呵成
(
いっきかせい
)
に
筆
(
ふで
)
にまかせて書いたものであるから、まずい点もそこここにあるであろうことを恐縮している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
半蔵はその足で二階の
梯子段
(
はしごだん
)
を登った。三郎や益穂をも呼んで、
硯
(
すずり
)
筆
(
ふで
)
の類を取り出し、紙をひろげることなぞ手伝わせた。墨も二人の弟子に
磨
(
す
)
らせた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし
幸
(
さいは
)
ひ
美術
(
びじゆつ
)
や
自然科學
(
しぜんかがく
)
のお
話
(
はなし
)
は、
別
(
べつ
)
に
諸先生
(
しよせんせい
)
が
筆
(
ふで
)
を
執
(
と
)
られてゐることゝ
思
(
おも
)
ひますから、
私
(
わたし
)
は
博物館
(
はくぶつかん
)
のうち
考古學
(
こうこがく
)
の
博物館
(
はくぶつかん
)
のことだけを
書
(
か
)
くことにし
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
見るとその三四の郵便物の中の一番上になっている一封の文字は、
先輩
(
せんぱい
)
の
某氏
(
ぼうし
)
の
筆
(
ふで
)
であることは明らかであった。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
著名
(
ちょめい
)
の学者の
筆
(
ふで
)
になる「
蠅
(
はえ
)
を
憎
(
にく
)
むの
辞
(
じ
)
」が現代的科学的
修辞
(
しゅうじ
)
に
飾
(
かざ
)
られて、しばしばジャーナリズムをにぎわした。
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
下人 こゝに
名前
(
なまへ
)
の
書
(
か
)
いてある
人達
(
ひとたち
)
を
見附
(
みつ
)
けい! えゝと、
靴屋
(
くつや
)
は
尺
(
ものさし
)
で
稼
(
かせ
)
げか、
裁縫師
(
したてや
)
は
足型
(
あしかた
)
で
稼
(
かせ
)
げ、
漁夫
(
れふし
)
は
筆
(
ふで
)
で
稼
(
かせ
)
げ、
畫工
(
ゑかき
)
は
網
(
あみ
)
で
稼
(
かせ
)
げと
書
(
か
)
いてあるわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
一同
(
みんな
)
筆
(
ふで
)
紙
(
かみ
)
墨
(
すみ
)
の用意して
愡掛
(
そうがか
)
りだと云た所で
茲
(
ここ
)
に一つ困る事には、大切な黒田様の蔵書を
毀
(
こわ
)
すことが出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と云ふに
筆
(
ふで
)
を止めて置いた。そして
散歩
(
さんぽ
)
にでも出るやうに、ぶらりと勝見家の門を出て了ツた。畫室などはそツくり其の
儘
(
まゝ
)
にして置いて、何一つ持出さなかツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
藤吉
(
とうきち
)
は、
万年青
(
おもと
)
の
葉
(
は
)
から
掃除
(
そうじ
)
の
筆
(
ふで
)
を
放
(
はな
)
すと、そのまま
萩
(
はぎ
)
の
裾
(
すそ
)
を
廻
(
まわ
)
って、
小走
(
こばし
)
りにおもてへ
出
(
で
)
て
行
(
い
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
こればかりは
実地
(
じっち
)
に
行
(
い
)
って
見
(
み
)
るより
外
(
ほか
)
に、
描
(
えが
)
くべき
筆
(
ふで
)
も、
語
(
かた
)
るべき
言葉
(
ことば
)
もあるまいと
考
(
かんが
)
えられます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
其意味
(
そのいみ
)
の
繋
(
つな
)
がらぬ、
辻妻
(
つじつま
)
の
合
(
あ
)
はぬ
話
(
はなし
)
は、
所詮
(
しよせん
)
筆
(
ふで
)
にする
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ぬのであるが、
彼
(
かれ
)
の
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
を
撮
(
つま
)
んで
云
(
い
)
へば、
人間
(
にんげん
)
の
卑劣
(
ひれつ
)
なること、
壓制
(
あつせい
)
に
依
(
よ
)
りて
正義
(
せいぎ
)
の
蹂躙
(
じうりん
)
されてゐること
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一
筆
(
ふで
)
申上まいらせ候。その後は御ぶさた致し候て、何とも申わけ
無之
(
これなく
)
御免下されたく候。私事これまでの
住居
(
すまい
)
誠に手ぜまに付この
中
(
じゅう
)
右のところへしき移り候まま
御
(
おん
)
知らせ申上候。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
余
(
よ
)
が
筆
(
ふで
)
の
先
(
さき
)
にて
耕
(
たがや
)
し
得
(
え
)
たる
收入
(
しふにふ
)
は
極
(
きは
)
めて
僅少
(
きんせう
)
にして、
自
(
みづか
)
ら
食
(
く
)
ひ、
自
(
みづか
)
ら
衣
(
き
)
るに
未
(
いま
)
だ
足
(
た
)
らざれども、
足
(
た
)
らざる
内
(
うち
)
にもそれを
貯
(
たくは
)
へて、
以
(
もつ
)
て
子孫
(
しそん
)
に
傳
(
つた
)
へるといふ、
其子
(
そのこ
)
は
未
(
いま
)
だ
無
(
な
)
いのである。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
と
漸
(
ようや
)
く硯箱を取寄せて、
紙
(
かみ
)
筆
(
ふで
)
を
把
(
と
)
らせましても、お照は紙の上に涙をぽろ/\こぼしますから、墨がにじみ幾度も
書損
(
かきそこ
)
ない、よう/\重二郎の云う儘に書終り、封を固く致しました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人と成って後
確堂公
(
かくどうこう
)
と呼ばれたのはこの人で、
成島柳北
(
なるしまりゅうほく
)
の碑の
篆額
(
てんがく
)
はその
筆
(
ふで
)
である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
此書
(
これ
)
は
有名
(
いうめい
)
なレウィス、キァロルと
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
の
筆
(
ふで
)
に
成
(
な
)
つた『アリス、アドヴェンチュアス、イン、ワンダーランド』を
譯
(
やく
)
したものです。
邪氣
(
あどけ
)
なき一
少女
(
せうぢよ
)
の
夢物語
(
ゆめものがたり
)
、
滑稽
(
こつけい
)
の
中
(
うち
)
自
(
おのづか
)
ら
教訓
(
けうくん
)
あり。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
後
(
のち
)
に
商業学校
(
せうげふがくかう
)
に
転
(
てん
)
じて、
中途
(
ちうと
)
から
全然
(
すつかり
)
筆
(
ふで
)
を
投
(
たう
)
じて、
今
(
いま
)
では
高田商会
(
たかだせうくわい
)
に出て
居
(
を
)
りますが、
硯友社
(
けんいうしや
)
の
為
(
ため
)
には
惜
(
をし
)
い人を
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
つたのです、
尤
(
もつと
)
も本人の
御為
(
おため
)
には
其方
(
そのはう
)
が
結搆
(
けつかう
)
であつたのでせう
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
湯原
(
ゆがはら
)
の
温泉宿
(
をんせんやど
)
中西屋
(
なかにしや
)
の
女中
(
ぢよちゆう
)
である!
今
(
いま
)
僕
(
ぼく
)
の
斯
(
か
)
う
筆
(
ふで
)
を
執
(
と
)
つて
居
(
を
)
る
家
(
うち
)
の
女中
(
ぢよちゆう
)
である!
田舍
(
ゐなか
)
の
百姓
(
ひやくしやう
)
の
娘
(
むすめ
)
である!
小田原
(
をだはら
)
は
大都會
(
だいとくわい
)
と
心得
(
こゝろえ
)
て
居
(
ゐ
)
る
田舍娘
(
ゐなかむすめ
)
! この
娘
(
むすめ
)
を
僕
(
ぼく
)
が
知
(
し
)
つたのは
昨年
(
さくねん
)
の
夏
(
なつ
)
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
所で、この尾彦楼の寮には、主人夫婦は
偶
(
たま
)
さかしか姿を見せず、一人娘の十五になる光子と、その家庭教師の工阪杉江の外に、まだもう一人、当主には養母に当るお
筆
(
ふで
)
の三人が住んでいた。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
中
(
うち
)
に
居
(
ゐ
)
た
休息員
(
きうそくゐん
)
は
帳簿
(
ちやうぼ
)
を
閉
(
と
)
ぢて、
筆
(
ふで
)
を
片手
(
かたて
)
に
持
(
も
)
つたまゝで、
戸
(
と
)
をあけて
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
右手の筋肉の
筆
(
ふで
)
とるにふるへるのほかたえて平和ならざるなし
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
樂
(
たの
)
しみは、
童
(
わらは
)
墨
(
すみ
)
するかたはらに、
筆
(
ふで
)
の
運
(
はこ
)
びをおもひをる
時
(
とき
)
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
隠元
(
いんげん
)
の八十一歳の
筆
(
ふで
)
といふ老いし
聖
(
ひじり
)
の
面
(
おも
)
しおもほゆ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
筆
(
ふで
)
禿
(
ち
)
びて返り咲くべき花もなし
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一
筆
(
ふで
)
書くんだ……。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
二郎
(
じろう
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
名
(
な
)
をそのきゅうりに
書
(
か
)
きました。きゅうりの
青
(
あお
)
いつやつやとした
肌
(
はだ
)
は、
二郎
(
じろう
)
の
書
(
か
)
こうとする
筆
(
ふで
)
の
先
(
さき
)
の
墨
(
すみ
)
をはじきました。
遠くで鳴る雷
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(あたゝかなるやうに土中にうづめ又はわらにつゝみ桶に入れてこほらざらしむ)其外雪の
用意
(
ようい
)
に
種々
(
しゆ/″\
)
の
造作
(
ざうさ
)
をなす事
筆
(
ふで
)
に
尽
(
つく
)
しがたし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
或る朝は
偏頭痛
(
へんとうつう
)
を感じて
筆
(
ふで
)
を
執
(
と
)
る氣力もなく、
苛苛
(
いらいら
)
しい時を過した。それ等は私にとつては恐らく一生忘れ
難
(
がた
)
い
處
(
ところ
)
の、産みの苦しみだつた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
己
(
おい
)
らの
言
(
い
)
ふのは
嫁
(
よめ
)
さんの
事
(
こと
)
さ、
年寄
(
としよ
)
りは
何
(
どう
)
でも
宜
(
い
)
いとあるに、
夫
(
そ
)
れは
大失敗
(
おほしくじり
)
だねと
筆
(
ふで
)
やの
女房
(
にようぼう
)
おもしろづくに
御機嫌
(
ごきげん
)
を
取
(
と
)
りぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「成程たゞ
筆
(
ふで
)
が達者な丈ぢや仕様があるまいよ」と代助は別に感服した様子を見せなかつた。すると、平岡は
斯
(
か
)
う云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「若主人の藤吉と、彌惣の伜の彌三郎が、番頭彦三郎の娘のお
筆
(
ふで
)
を張り合つて、若主人の方に札が落ちたことから——」
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
畠
(
はたけ
)
の
隅
(
すみ
)
に
堤燈
(
ちやうちん
)
をぶらさげたやうな
酸醤
(
ほゝづき
)
が、
父
(
とう
)
さんに
酸醤
(
ほゝづき
)
の
實
(
み
)
を
呉
(
く
)
れまして、その
心
(
しん
)
を
出
(
だ
)
してしまつてから、
古
(
ふる
)
い
筆
(
ふで
)
の
軸
(
ぢく
)
で
吹
(
ふ
)
いて
御覽
(
ごらん
)
と
教
(
をし
)
へて
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其頃
(
そのころ
)
歐羅巴
(
エウロツパ
)
の
諸
(
しよ
)
新聞
(
しんぶん
)
は
筆
(
ふで
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
詳報
(
しやうほう
)
し、かの
臆病
(
をくびやう
)
なる
船長等
(
せんちやうら
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
をば
痛
(
いた
)
く
攻撃
(
こうげき
)
すると
共
(
とも
)
に『
日本人
(
につぽんじん
)
の
魂
(
たましひ
)
。』なんかと
標題
(
みだし
)
を
置
(
お
)
いて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其れから僕の万年
筆
(
ふで
)
をひつたくる様にして、晶子の小さな手帳へ自画像と
酒場
(
キヤバレエ
)
の別名と自分の名とを書いた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ただ、
銀泥色絵
(
ぎんでいいろえ
)
の
襖
(
ふすま
)
のまえには、
蒔絵
(
まきえ
)
の
硯蓋
(
すずりぶた
)
の
筆
(
ふで
)
が一本落ちてあって、そこにいるはずの
咲耶子
(
さくやこ
)
のすがたも見えず、お
小姓
(
こしょう
)
星川余一
(
ほしかわよいち
)
のかげも
見当
(
みあた
)
らなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ロレ あれはヂョン
坊
(
ばう
)
の
聲
(
こゑ
)
ぢゃ。……さてようこそお
戻
(
もど
)
りゃったマンチュアから。してロミオは
何
(
なん
)
と
被言
(
おしゃ
)
った?
若
(
も
)
し
筆
(
ふで
)
に
物
(
もの
)
せられたならば、
其
(
その
)
書面
(
しょめん
)
を
見
(
み
)
せやれ
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
“筆”の意味
《名詞:ふで》
筆(ふで)
「ふで」を参照
《名詞:ふみて》
筆(ふみて)
ふでの古語。
(出典:Wiktionary)
“筆”の解説
筆(ふで)とは、毛(繊維)の束を軸(竹筒などの細い棒)の先端に付けた、字や絵を書くための道具である。化粧にも用いられる。毛筆(もうひつ)ともいう。
(出典:Wikipedia)
筆
常用漢字
小3
部首:⽵
12画
“筆”を含む語句
土筆
画筆
筆蹟
朱筆
筆者
筆記
鵞筆
筆跡
筆硯
筆頭
筆法
筆紙
万年筆
筆鋒
筆耕
筆致
随筆
筆筒
筆尖
毛筆
...