多分たぶん)” の例文
ところが、その多分たぶん朝鮮ちようせん支那しなふうつたはつたのでありませうが、よこからはひるながいし部屋へやつかなかつくられることになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
多分たぶん被害者ひがいしゃは、くるしみもがき、金魚鉢きんぎょばちのところまでいよつてきて、くちをゆすぐか、または、はちなかみずもうとしたのだろう。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
多分たぶん廣告くわうこくに、修養しうやうのためにむべきしよだとふやうなこといてあつたので、子供こども熱心ねつしん内容ないようりたくおもつたのであらう。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
呼出し吟味ぎんみ有けれども事がらしかと分らず小松屋よりは安五郎多分たぶんわきへ賣たで有んとの訴へなり又儀左衞門の女房も訴へ出しに付無量庵柴屋寺むりやうあんしばやでら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「なるほど、そんなことかもしれぬ。多分たぶんそうだろうよ。いまどき、きつねにばかされるなんて、まったくばかげた、おかしなはなしだものな。」
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かんがへた結果あげく、まあ年長としうへだけに女房かみさん分別ふんべつして、「多分たぶん釜敷かましきことだらう、丁度ちやうどあたらしいのがあるからつておいでよ。」とつたんださうです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
年季職人ねんきしよくにんたいを組みて喧鬨けうがうめに蟻集ぎしうするに過ぎずとか申せば、多分たぶんかくごと壮快さうくわいなる滑稽こつけいまたと見るあたはざるべしと小生せうせい存候ぞんじそろ(一七日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
といってちょっとポケットから椰子やしの実をのぞかしてむこうへ行った。多分たぶんモンマルトルのまつり射的しゃてきででも当てたのだろう。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
多分たぶんくちまねが拙手へたなので、だらうとおもひまして、それからとふものは滅茶苦茶めちやくちやにしやべりつゞけました。しかられればしかられるほどしやべりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
多分たぶんう』とあいちやんはおそる/\こたへました、『だけど、わたし音樂おんがくならときには、ときたなくてはならないわ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はじめ朝日島あさひじまづるとき櫻木大佐さくらぎたいさ天文てんもん觀測くわんそくして、多分たぶんこの三四あひだは、風位ふうゐ激變げきへんからうとはれたが、てん仕業しわざほど豫知よちがたいものはない。
地震ぢしん豫知問題よちもんだいかり都合つごうよく解決かいけつされたとしても、震災防止しんさいぼうしについてはなほ重大じゆうだい問題もんだい多分たぶんのこるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
智恵ちえせとな。はッはッは。これは面白おもしろい。智恵ちえはわたしよりおまえほう多分たぶん持合もちあわせているはずだがの」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その老婆は、右の手に火をともしたまつの木片を持つて、その屍骸しがいの一つの顏を覗きこむやうにながめてゐた。髮の毛の長い所を見ると、多分たぶんをんなの屍骸であらう。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
多分たぶん牛乳ぎうにゆう配達はいたつするためかなどで、あゝいそぐにちがひないとめてゐたから、此音このおとくとひとしく、もうけて、隣人りんじん活動くわつどうはじまつたごとくに、心丈夫こゝろぢやうぶになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
調子てうしづいた独唱どくせうが二つばかりつづいた。そしてまえ叙事詩じよじしのやうなものを朗読らうどくした多分たぶん代理大使だいりたいし夫人ふじんだとおもはるゝ婦人ふじん其後そのあとで又舞台ぶたいのうへで朗読らうどくをはじめた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
なにかの多分たぶん間違まちがひです。』とアンドレイ、エヒミチはかたちゞめてふ。『間違まちがひ相違さうゐないです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
自分じぶんおほかみにつまゝママれたやうママかほをして(多分たぶんほかからると其樣そんなかほであつたらうとおもふ)『やれ/\』とも『づ/\』ともなんともはず女中ぢよちゆうのすゝめる椅子いすこしおろした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
多分たぶんそちのるであろうとおもうが、かくも一おう現場げんじょうってるとしようか……。』
これは多分たぶんあのペンペのうはさちがひない。すると元気げんき正直しやうじきなペンペもんでしまつたのか。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
何故なぜならば、僕が同伴して来た三人の将校達は、多分たぶん仏蘭西語フランスごと思われる外国語で話をしつづけました。こう不幸ふこうか、仏蘭西語は僕には何のことやら薩張さっぱり意味が判りません。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼の前生は多分たぶんいぬであった。人間の皮をかぶった今生にも、彼は犬程可愛かあいいものを知らぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ええ、多分たぶんそれです。それです。そのしっぺい太郎たろうです。そのいぬせてください。」
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
この書は、過去の伝奇でんきと歴史とを、わたくしの夢のまま書いたものだが、過去にも、今と比較して、考えていいところは多分たぶんにある。悪いところは反省し、よいところは知るべきだと思う。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちつとばかり西洋医せいやうい真似事まねごともいたしますが、矢張やはり大殿おほとの御隠居様杯ごいんきよさまなどは、水薬みづぐすりいやだとおつしやるから、已前まへ煎薬せんやくげるので、相変あひかはらずお出入でいりいたしてる、ところ這囘このたび多分たぶんのお手当てあてあづか
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたしが、獨身どくしんであつたなら!)なかでも、時雨しぐれさんは、美人びじんである(多分たぶん女性ぢよせい美人びじんであるといはれることをよろこぶにちがひない、とわたししんじてゐるのだが——)それからまた、生粹きつすゐ江戸えど
おなのぞみのためにぬるに一事あることをば多分たぶん敢行してのくることが出來でけう。
バケツのなかには、多分たぶんみずがはいっているだろう……かれは、注意ちゅういをして、バケツのふちがって、なかをのぞいてみました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それをむと、日本人につぽんじん朝鮮ちようせんめてつたことがしるされてありますが、多分たぶん神功皇后じんぐうこう/″\三韓征伐さんかんせいばつのときのことなどがいてあるようにおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
多分たぶん、一おくや二おくかねはためていたとおもうですが、これをまた、銀行ぎんこうにもあずけず、株券かぶけんにもせず、どこかにかくしてつていやがつたにちがいないです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
ぬぐひ私し弟十兵衞事は三州藤川在岩井村の百姓にて豫々かね/″\正直者しやうぢきものに候へ共不事の物いり打續き年貢の未進みしん多分たぶんに出來上納方に差支さしつかへ如何とも詮術せんすべなき儘文と申あね娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
う?多分たぶんわがまゝな駈落かけおちものの、……わたし子孫しそんだ、とおもふんだがね。……御覽ごらんとほりだからね、」
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
フランスおよびフランス人をよく知るぼくには——もちろんフランス人にも日本人として僕が同感しねる性情も多分たぶんにありますが——それが実に明白に理解されます。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この寒山かんざん拾得じつとく」とはなしは、まだ書肆しよしにわたしはせぬが、多分たぶん新小説しんせうせつることになるだらう。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「もう大丈夫だいぢやうぶでせう。頓服とんぷくを一くわいげますから今夜こんやんで御覽ごらんなさい。多分たぶんられるだらうとおもひます」とつて醫者いしやかへつた。小六ころくはすぐ其後そのあとつてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにかの多分たぶん間違まちがいです。』とアンドレイ、エヒミチはかたちぢめてう。『間違まちがい相違そういないです。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かないだらう、多分たぶん』と帽子屋ばうしやつて、『おまへおもとほり一時半じはんまでつゞけられるさ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
多分たぶん彼等かれらつてはたのしい一であるべきはずだつたのであらうがおしのやうにだまりこくつた我々われ/\にが表情へうぜう無愛相ぶあいそう態度たいどとが、如何いか彼等かれら失望しつぼうさせたかは、想像そうぞうあまりあるものであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
神様かみさまでも矢張やはりそうなのでございますかね……。そうしてるとこのははなどはまだ現世げんせ執着しゅうじゃく多分たぶんのこっているわけで、これからはあなたにあやかり、あま愚痴ぐちもうさぬことにをつけましょう。
そしてともだちのはなしには、まちうつくしかったもの、不思議ふしぎなもの、またおそろしかったものがまぼろしえてしかたがないといっていましたから、多分たぶん
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはかたちちひさく、またこしげたかざものちひさく可愛かわいらしいので、多分たぶん王樣おうさま子供こどものおはかだらうと想像そう/″\されます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
すなわち老人ろうじんは、多分たぶんえんばなに、庭下駄にわげたをはいてこしをかけだれかとウィスキイをんでいたものであろう。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
請取て長庵諸共麹町へこそ歸りけれさて十兵衞兄長庵に打向ひ段々だん/\の御世話せわにてお文こと思ひのほかよき所へ住込有難く存じますついては多分たぶんの御禮も致すはずなれども何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ですから、同列車どうれつしや乘客じようかくうちで、停車場ステエシヨンはなれましたのは、多分たぶんわたし一番いちばんあとだつたらうとおもひます。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なんにもかはつたことはありやしない。多分たぶん御前おまへゆめだらう」とつて、宗助そうすけよこになつた。御米およねけつしてゆめでないと主張しゆちやうした。たしかあたまうへおほきなおとがしたのだと固執こしつした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わざとまぎらはして『——多分たぶんちになるでせう、競技ゲームむまでは瞭然はつきりへないけど』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
多分たぶんS、H夫人ふじんが、ホテルでS、HとT連中れんちう待合まちあわせることになつてゐたのでもあらうがM、H夫妻ふさい其処そこ宿泊しゆくはくしてゐたために、一どうらずらずホテルへることになつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
四百ねんといえば現世げんせでは相当そうとうなが星霜つきひでございますが、不思議ふしぎなものでこちらではさほどにもかんじませぬ。多分たぶんそれは凝乎じっ精神こころしずめて、無我むが状態じょうたいをつづけて期間あいだおおせいでございましょう。
子供こどもは、さっそく、そのながぐつをひろってはいたのであります。それは、多分たぶん工夫こうふかだれかがはいて、もうふるくなってやぶれたのでてたものとおもわれます。
長ぐつの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
多分たぶんは聞えまい、聞えなければ、そのまま通り過ぎるぶん。余計な世話だけれども、だまりきりもちっと気になったところひびきの応ずるが如きその、(はあ、わしけえ)には、いささか不意を打たれた仕誼しぎ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)