あつ)” の例文
第六 毎日まいにち一度いちど冷水ひやみづあるひ微温湯ぬるゆにて身體からだ清潔きれいぬぐひとり、肌着はだぎ着替きかへべし。入浴ふろは六七日目にちめごとなるたけあつからざるるべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
「ああ、なつかしい、まさしくこうへいだ! よくなずにかえってくれた。」と、おつは、に、あつなみだをいっぱいながしてよろこびました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三時間目に菊池きくち先生がまたいろいろ話された。行くときまった人はみんな面白おもしろそうにして聞いていた。僕は頭があつくていたくなった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
眞中まんなかには庭園ていえんがあり、噴水ふんすいえずみづし、あたりには青々あを/\しげつた庭木にはきゑてあり、あつなつでもすゞしいかんじをあた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「あッあつッ」火鉢のふちはうしたわけか焼けつくように熱かった。帆村はそれに手を懸けたため、思わない熱さに悲鳴をあげた。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いたずらに、もてあそんでいた三味線みせんの、いとがぽつんとれたように、おせんは身内みうちつもさびしさをおぼえて、おもわずまぶたあつくなった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あつちややうや内儀かみさんのまへまれた。被害者ひがいしや老父ぢいさん座敷ざしきすみ先刻さつきからこそ/\とはなしをしてる。さうしてさら老母ばあさんんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
調とゝのへ來り左右とかくもの事はいはひ直さばきよきちへんずべしと申すゝめ兩人して酒宴しゆえんもよほせしが靱負ゆきへは元よりすきさけゆゑ主が氣轉きてんあつがんに氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『お父さま、ねえお父さま!』と孝行者の小さなメアリゴウルドは叫びました、『一体どうなさったの? お口があつかったの?』
にんじんは、あおざめ、腕を組み、そして首を縮め、もう腰のへんがあつく、脹脛ふくらはぎがあらかじめひりひり痛い。が、彼は、傲然ごうぜんといい放つ——
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
たゝみまであつくなつた座敷ざしき眞中まんなか胡坐あぐらいて、下女げぢよつて樟腦しやうなうを、ちひさな紙片かみぎれけては、醫者いしやれる散藥さんやくやうかたちたゝんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
冷吉は別に何とも思はずに、ほかの事を考へつゝ、あつくろしい寢返りを打つたが、その車は母が終列車で歸つて來たのであつた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
凛々りゝしく、氣色けしきなほもおごそかに、あたかも語りつゝいとあつことばをばしばしひかふる人の如く、彼續いていひけるは 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ところで、のくらゐあつやつを、とかほをざぶ/\と冷水れいすゐあらひながらはらなか加減かげんして、やがて、る、ともうあめあがつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「お竹さん、勘定して下さい、沢山頂きますから」とW君も心易い調子で、「うまい、この葱はうまい。あつ、熱。フウフウ」
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かの女のあつい息の中には、ぷんとジン酒のにおいがした。わたしは後ずさりをした。かの女の頭はまた下がって、つくえの上にぐったりとなった。
「飛んでもない、玉ちやんの方があつかつたくらゐで、——新六はそりや好い男ですよ。私だつて惚々するくらゐ、フ、フ」
お灸をつけておくれといふと大きく丸めて火をつけて、わざと背中をころがす——がまんしてゐると、ますます大きくしてあつがるかと樣子を見てゐる。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
おゝあつつゝゝゝ。五「乱暴らんばうな人だ、火をつてらア、口の中にきず出来できましたらう。弥「いえ、にゆうが出来できました。 ...
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
白湯さゆは前よりもすこしあつ加減で、量も半分ほどしかない。秀吉は、ふた口に飲みながら、眼を少年の顔に向けていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっと燭火あかして、家來共けらいども! 食卓テーブルたゝんでしまうて、せ、あま室内ざしきあつうなったわ。……あゝ、こりゃおもひがけん慰樂なぐさみであったわい。
湯はふねの四方にあぶれおつ、こゝをもつて此ぬるからずあつからず、天こうくわつくる時なければ人作じんさくの湯もつくなし、見るにも清潔せいけつなる事いふべからず。
九二あつき心少しさめたらんには、夢わすれたるやうなるべしと、やすげにいふぞたのみなる。みる々露ばかりのしるしもなく、七日にしてむなしくなりぬ。
事實友達の誰彼に私の熱を見せびらかす爲に手の握り合ひなどをして見るのだが私のてのひらが誰れのよりもあつかつた。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
やがて、あついコーヒーがはこぼれ、わかいふなのりはひといきつくと、まだこうふんのさめないようすで話しだした。
ヒンドバッドの足は、つかれて、あつくなっていたものですから、その敷石は大へん気持がようございました。
みことのお身代みがわりとして入水にゅうすいされたときひめのお心持こころもちはどんなであったろう……。』祠前しぜんぬかづいてむかししのときに、わたくし両眼りょうがんからはあつなみだがとめどなくながちるのでした。
へとへとになった馬のからだからも、あついきをはく馬のはなからも、こおった湯気ゆげがふうふうたっている。かさかさした雪をふみしだく蹄鉄ていてつが、敷石しきいしにあたってりわたる。
つて、あかくなつたわたしあつくちびるでひつたりとひました。布団ふとん眼深まぶかかにかぶつた小鳩こばとのやうに臆病をくびやう少年せうねんはおど/\しながらも、おんなのするがまヽにまかせてゐた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
いままでは、からだの中をが気もちよくかるくまわっていましたが、いまははげしくあつく流れはじめました。「うん、たしかに春だ。」と、動物たちはみんな思いました。
それとも此様こんなのが実際じつさい幸福かうふくなので、わたしかんがへてゐたことが、ぶんぎたのかもれぬ。が、これで一しやうつゞけばまづ無事ぶじだ。あつくもなくつめたくもなし、此処こゝらが所謂いはゆる平温へいおんなのであらう。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
さうだ、この日の自分は明らかに校長閣下の一言によつて、極樂へ行く途中から、正確なるべき時間迄が娑婆の時計と一時間も相違のある此のあつき地獄におとされたのである。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
血は、まだあつかつた。謀叛むほんする奴隷のやうな氣持ちが、私を尚も力強くき締めてゐた。
福鼠ふくねずみまたねむつてゐる』とひさま、帽子屋ばうしやはなうへすこあついおちやぎました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
部屋を横切って、浴室のドアをあけ放したまんま、お湯の栓をねじっている。お湯は直ぐ一ぱいになった。ちょっと手を入れてみて、マアセルは、あつう! というように顔をしかめた。
しばらくして、ラランはそのよはつたからだをみなみけて、あつ印度インドはうへふらふらんでゐたが、ガンガといふ大河たいか上流じようりうで、火傷やけどしたくちかわきを湿うるほさうとしてあやまつておぼんでしまつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
ゴルドンの眼はきらきらとかがやいたが、やがてあつい涙がぼとぼととこぼれた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
はちえず三にん存在そんざい警戒けいかいしながらも、一しんに、敏活びんくわつはたらいた。あたまつち突進とつしんする。あしさかんつちをはねのける。それはしづかしたあかるいあき日差ひざしなかなみだあつくなるやうな努力どりよくえた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「わがこころ焼くも吾なりはしきやし君に恋ふるもわが心から」(巻十三・三二七一)、「我妹子に恋ひすべなかり胸をあつみ朝戸あくれば見ゆる霧かも」(巻十二・三〇三四)というのがあるから
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ぱちぱちとおといさましく、あほひら/\とへて火鉢ひばちふちのやゝあつうなれば、おくさまはのやうなはたらきをでもあそばしたかのやうに、千葉ちばもおあたりとすこおしやりて、今宵こよひけてさむものをと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
手拭を右の手に握り、甕から少しはなれた所に下駄を脱いで、下駄から直に大胯おおまたに片足を甕に踏み込む。あつ、と云いたい位。つゞいて一方の足も入れると、一気にどう尻餅しりもちく様にわる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たゞ折々をり/\きこゆるものは豌豆ゑんどうさやあつい日にはじけてまめおとか、草間くさまいづみ私語さゝやくやうな音、それでなくばあきとり繁茂しげみなか物疎ものうさうに羽搏はゞたきをする羽音はおとばかり。熟過つえすぎ無花果いちじくがぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
生きている血がカッ! と火の子のようにあつく栄三郎の足に飛び散る。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
れつたいやうな、泣くやうな、變にあつむせびを吹きつける。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
森かげにならぶ赤斑あかふの石獅子の一つ一つにあつよる日
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その容貌を熟視しつつハラハラとあつき涙をそそぎたりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
われはくさむらに投げぬ、あつき身とたゆき手足てあしを。
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
烈日れつじつあつさを天のあなどりのごとく耐へつつ
しかはあれど、われはいのちあつき味を知る。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
こよひあつるる病臥いたつきなやみのもなか
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)