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憐
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あは
ふりがな文庫
“
憐
(
あは
)” の例文
斯の如くの
遺書
(
かきおき
)
を越前守殿
聞
(
きか
)
れ如何にも
憐
(
あは
)
れの事に思はれしかば心中に扨は其島が殺されし死骸は
思當
(
おもひあた
)
りし事も有とて考へ居られけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「何もかも
憐
(
あは
)
れみたまふ神様は知つてござらつしやるけ、くよ/\思はいでも、何事も神様におすがり申してゐさへすりや……。」
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
憐
(
あは
)
れむだらうか?
厭
(
いと
)
ふだらうか? それともまた
淺猿
(
あさま
)
しがるだらうか? さうしてあの
可憐
(
いぢら
)
しくも
感謝
(
かんしや
)
に
滿
(
み
)
ちた
忠實
(
ちうじつ
)
な
愛情
(
あいぢやう
)
を
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
名を
食糧
(
しよくれう
)
の不足に
託
(
たく
)
して又衆と
分
(
わか
)
る、明日は天我一行をして
文珠岩
(
もんじゆいわ
)
を発見せしむるあるを
知
(
し
)
らざるなり、其
矇眛
(
もうまい
)
なる心中や
憐
(
あは
)
むに
堪
(
た
)
へたり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
「まあお待ちなさい。さう怒るものではありません。この人たちの勘定は
僕
(
ぼく
)
が払ひませう。
憐
(
あは
)
れな人には親切にしてやらなければいけません」
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
一月の刺すやうな空氣に、いびつになるほど
膨
(
ふく
)
れ上つて
跛
(
ちんば
)
を引いてゐた、
憐
(
あは
)
れな私の足も、四月の
柔
(
やさ
)
しいいぶきを受けて、跡形もなく
癒
(
なほ
)
り始めた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今
(
いま
)
でも
世界中
(
せかいちう
)
の
鴉
(
からす
)
の
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
には、その
時
(
とき
)
の
火傷
(
やけど
)
のあとが
真赤
(
まつか
)
に
残
(
のこ
)
つてゐるといふ。
人
(
ひと
)
に
嫌
(
きら
)
はれながらも、あの
憐
(
あは
)
れなペンペのために
泣
(
な
)
いてゐるのだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
『
其位
(
そのくらゐ
)
ぢや
滿足
(
まんぞく
)
は
出來
(
でき
)
ないわ』と
痛
(
いた
)
ましげな
聲
(
こゑ
)
で
憐
(
あは
)
れな
愛
(
あい
)
ちやんが
呟
(
つぶや
)
いて、さて
思
(
おも
)
ふやう、『
何
(
ど
)
うかして
芋蟲
(
いもむし
)
を
怒
(
おこり
)
ッぽくしない
工夫
(
くふう
)
はないものかしら』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
心
(
こゝろ
)
のうちに、この
青年
(
せいねん
)
がどういふ
機縁
(
きえん
)
の
元
(
もと
)
に、
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
頭
(
あたま
)
を
剃
(
そ
)
つたものだらうかと
考
(
かんが
)
へて、
其
(
その
)
樣子
(
やうす
)
のしとやかな
所
(
ところ
)
を、
何
(
なん
)
となく
憐
(
あは
)
れに
思
(
おも
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
周圍
(
しうゐ
)
が
寂
(
さび
)
しいとも
何
(
なん
)
とも
思
(
おも
)
はなかつた。
然
(
しか
)
し
彼自身
(
かれじしん
)
は
見
(
み
)
るから
枯燥
(
こさう
)
して
憐
(
あは
)
れげであつた。
彼
(
かれ
)
は
少
(
すこ
)
しきや/\と
痛
(
いた
)
む
腰
(
こし
)
を
延
(
のば
)
して
荷物
(
にもつ
)
を
脊負
(
せお
)
つて
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お可愛想なことをと少し涙ぐんでお作をかばふに、それは
貴嬢
(
あなた
)
が当人を見ぬゆゑ可愛想とも思ふか知らねど、お作よりは我れの方を
憐
(
あは
)
れんでくれて
宜
(
い
)
い筈
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「さう願へますればこの上の仕合せはございません。三日でも飼つてみると、
憐
(
あは
)
れが添はりまして。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大汗になつて辯解する源吉を、平次は淺ましくも
憐
(
あは
)
れに見て、それつ切り引揚げてしまつたのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここで手毬をついてゐる子達は、あの、母さんのない子を
軽蔑
(
けいべつ
)
してゐるのだ。——この子供達は、大人達でもよくさうするやうに、
憐
(
あは
)
れまねばならないものを間違へて軽蔑してゐるのだ。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
暑
(
しよ
)
を山上に
避
(
さ
)
けながら
眼下
(
がんか
)
に
群住
(
ぐんぢう
)
する
憐
(
あは
)
れなる数万の
異教徒
(
ゐけうと
)
の
為
(
た
)
めに
祈願
(
きぐわん
)
を
込
(
こ
)
めるも
無益
(
むえき
)
なり、
教会
(
けうくわい
)
復興
(
ふくこう
)
の
方策
(
はうさく
)
とは
教導師
(
けうだうし
)
先
(
ま
)
づ
躬
(
みづ
)
から
身
(
み
)
を
捐
(
す
)
つるにあり、
彼
(
か
)
の
家族
(
かぞく
)
の
安楽
(
あんらく
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
に
供
(
きやう
)
するにあり
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
私は父から全く離れました、家庭からも全く離れました、教会からも離れました、私は天の神様をのみ父とし母として、地に散在する
憐
(
あは
)
れなる兄弟と、大きな家庭を作ることに覚悟致しました
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
來島
(
クルシマ
)
某、
津田
(
ツダ
)
某、
等
(
とう
)
のいかに
憐
(
あは
)
れむべき
最後
(
さいご
)
を
爲
(
な
)
したるやを
知
(
し
)
るものは、罪と罰の
殺人
(
さつじん
)
の
原因
(
げんいん
)
を
淺薄
(
せんはく
)
なりと
笑
(
わら
)
ひて
斥
(
しりぞ
)
くるやうの
事
(
こと
)
なかるべし、利慾よりならず、名譽よりならず、迷信よりならず
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
涙に浮くばかりなる
枕邊
(
まくらべ
)
に、
燻籠
(
ふせご
)
の匂ひのみ
肅
(
しめ
)
やかなるぞ
憐
(
あは
)
れなる。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
八百
(
やほ
)
よろづ神も
憐
(
あは
)
れと思ふらん犯せる罪のそれとなければ
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
けれど
憐
(
あは
)
れな
母馬
(
おやうま
)
はもう
酷
(
ひど
)
く
疲
(
つか
)
れてゐるのでした。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
憐
(
あは
)
れむべし光彩、門戸に生ず
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男
憐
(
あは
)
れなり
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
暮
(
くら
)
し
兼
(
かね
)
るも二君に仕へぬ
我魂魄
(
わがたましひ
)
武士の本意と思へども
實
(
げ
)
にあぢきなき
浮世
(
うきよ
)
かなと一人涙を流したる
問
(
とは
)
ず
語
(
がた
)
りの心の中思ひ
遣
(
やら
)
れて
憐
(
あは
)
れなり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お
可愛想
(
かわいそう
)
なことをと
少
(
すこ
)
し
涙
(
なみだ
)
くんでお
作
(
さく
)
をかばふに、それは
貴孃
(
あなた
)
が
當人
(
たうにん
)
を
見
(
み
)
ぬゆゑ
可愛想
(
かわいさう
)
とも
思
(
おも
)
ふか
知
(
し
)
らねど、お
作
(
さく
)
よりは
我
(
わ
)
れの
方
(
ほう
)
を
憐
(
あは
)
れんでくれて
宜
(
い
)
い
筈
(
はづ
)
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
耻
(
はづ
)
かしくもなく
能
(
よ
)
くこんな
莫迦
(
ばか
)
げた
事
(
こと
)
が
訊
(
き
)
かれたものだ』とグリフォンが
云
(
い
)
ひ
足
(
た
)
しました。
彼等
(
かれら
)
は
雙方
(
さうはう
)
とも
默
(
だま
)
つた
儘
(
まゝ
)
坐
(
すわ
)
つて
憐
(
あは
)
れな
愛
(
あい
)
ちやんを
見
(
み
)
てゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あなたは
憐
(
あは
)
れみを知らない、あなたがどんなに私を押し込んだか、どんなに
無法
(
むはふ
)
に亂暴に私を赤いお
部屋
(
へや
)
に押し込んで
錠
(
じやう
)
を下したか、私は死ぬ日まで忘れませんわ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
卯平
(
うへい
)
は
時々
(
とき/″\
)
は
東隣
(
ひがしとなり
)
の
門
(
もん
)
をも
潜
(
くゞ
)
つた。
主人夫婦
(
しゆじんふうふ
)
は
丈夫
(
ぢやうぶ
)
だといつても
窶
(
やつ
)
れた
卯平
(
うへい
)
を
見
(
み
)
ると
憐
(
あは
)
れになつて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
翌日
(
よくじつ
)
宗助
(
そうすけ
)
は
例
(
れい
)
の
如
(
ごと
)
く
起
(
お
)
きて、
平日
(
へいじつ
)
と
變
(
かは
)
る
事
(
こと
)
なく
食事
(
しよくじ
)
を
濟
(
す
)
ました。さうして
給仕
(
きふじ
)
をして
呉
(
く
)
れる
御米
(
およね
)
の
顏
(
かほ
)
に、
多少
(
たせう
)
安心
(
あんしん
)
の
色
(
いろ
)
が
見
(
み
)
えたのを、
嬉
(
うれ
)
しい
樣
(
やう
)
な
憐
(
あは
)
れな
樣
(
やう
)
な
一種
(
いつしゆ
)
の
情緒
(
じやうしよ
)
を
以
(
もつ
)
て
眺
(
なが
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お菊と房太郎——家と家との關係で、添ふことの出來なかつた戀人同士が、こゝに登つて、五六間隔てたまゝ、寒い逢引を樂しんでゐたといふのは、まことに
憐
(
あは
)
れ深い情景でもあります。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
将に我頭を
睨
(
にら
)
む、一小蛇ありて之に
負
(
お
)
はる、
依
(
よつ
)
て
直
(
ただ
)
ちに杖を取りて
打落
(
うちをと
)
し、一
撃
(
げき
)
其
脳
(
のう
)
を
砕
(
くだ
)
けば忽ち死す、其
妙機
(
めうき
)
恰
(
あたか
)
も
死
(
し
)
せる蛇を
落
(
おと
)
したるが如くなりし、小なる者は
憐
(
あは
)
れにも之を生かし
置
(
お
)
けり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
授
(
さづ
)
け
賜
(
たま
)
ふ所ならん然るに久八は養父五兵衞に
事
(
つか
)
ふること
昔
(
むかし
)
に
優
(
まさ
)
りて孝行を
盡
(
つく
)
し
店
(
みせ
)
の者勝手元の下男に至る迄
憐
(
あは
)
れみを
懸
(
かけ
)
正直
(
しやうぢき
)
實義
(
じつぎ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
夜
(
よ
)
なくやと試みたれど、さらに声の聞えねば、
俄
(
には
)
かに露の身に
寒
(
さぶ
)
く、鳴くべき勢ひのなくなりしかと
憐
(
あは
)
れみ合ひし、そのとし暮れて兄は
空
(
むな
)
しき数に
入
(
い
)
りつ。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
憐
(
あは
)
れな
小
(
ちひ
)
さな
蜥蜴
(
とかげ
)
の
甚公
(
じんこう
)
が
眞中
(
まンなか
)
に
居
(
ゐ
)
て、二
匹
(
ひき
)
の
豚
(
ぶた
)
に
支
(
さゝ
)
へられながら一
本
(
ぽん
)
の
壜
(
びん
)
から
何
(
なん
)
だか
出
(
だ
)
して
貰
(
もら
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたが、
愛
(
あい
)
ちやんの
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
ると
直
(
す
)
ぐに
皆
(
みん
)
な
其方
(
そのはう
)
へ
突進
(
とつしん
)
しました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
が
什麽
(
どんな
)
であるかは
思
(
おも
)
はなかつた。
又
(
また
)
恁
(
か
)
ういふ
人々
(
ひとびと
)
の
憐
(
あは
)
れなことも
想
(
おも
)
ひやる
暇
(
いとま
)
がなかつた。さうして
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
技倆
(
うで
)
が
愉快
(
ゆくわい
)
になつた。
彼
(
かれ
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
土手
(
どて
)
から
見
(
み
)
おろした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私は彼女の顏付や目鼻だちに、ロチスター氏と
似通
(
にかよ
)
つた所を探して見た、が何もなかつた——何らの特徴も表情の變化も、血のつながりを示してはゐないのだ。それは
憐
(
あは
)
れなことであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
八五郎は自分の尻を撫でながら、いとも
憐
(
あは
)
れな聲を出すのです。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かへて
八重
(
やへ
)
やお
前
(
まへ
)
に
問
(
と
)
ふことがある
春
(
はる
)
につきての
花鳥
(
はなどり
)
で
比
(
くら
)
べて
見
(
み
)
て
何
(
なに
)
が
好
(
す
)
きぞ
扨
(
さて
)
も
變
(
かは
)
つたお
尋
(
たづ
)
ね
夫
(
それ
)
は
心々
(
こゝろ/″\
)
でも
御坐
(
ござ
)
いませうが
歸鴈
(
きがん
)
が
憐
(
あは
)
れに
存
(
ぞん
)
じられます
左
(
さ
)
りとては
異
(
い
)
なことぞ
都
(
みやこ
)
の
春
(
はる
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それほどお園の姿は
憐
(
あは
)
れ深くも美しかつたのです。
銭形平次捕物控:209 浮世絵の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
長吉は我が門前に
産声
(
うぶごゑ
)
を揚げしものと
大和尚
(
だいおしよう
)
夫婦が
贔負
(
ひいき
)
もあり、同じ学校へかよへば私立私立とけなされるも心わるきに、元来愛敬のなき長吉なれば心から味方につく者もなき
憐
(
あは
)
れさ
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
長吉
(
ちようきち
)
は
我
(
わ
)
が
門前
(
もんぜん
)
に
産聲
(
うぶごゑ
)
を
揚
(
あ
)
げしものと
大和尚夫婦
(
だいおしようふうふ
)
が
贔屓
(
ひゐき
)
もあり、
同
(
おな
)
じ
學校
(
がくかう
)
へかよへば
私立
(
しりつ
)
私立
(
しりつ
)
とけなされるも
心
(
こゝろ
)
わるきに、
元來
(
ぐわんらい
)
愛敬
(
あいけう
)
のなき
長吉
(
ちようきち
)
なれば
心
(
こゝろ
)
から
味方
(
みかた
)
につく
者
(
もの
)
もなき
憐
(
あは
)
れさ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
早
(
はや
)
まつての
御考
(
おかんが
)
へは
御前
(
まへ
)
さまの
樣
(
やう
)
にも
無
(
な
)
し
今
(
いま
)
しばしの
御辛抱
(
ごしんぼう
)
ぞ
其
(
その
)
うちには
何
(
なに
)
ともして
屹度
(
きつと
)
お
喜
(
よろ
)
こばせ申べし
八重
(
やへ
)
が一
心
(
しん
)
を
憐
(
あは
)
れとも
思
(
おぼ
)
しめして
其
(
その
)
やうな
悲
(
かな
)
しいことお
聞
(
き
)
かせ
遊
(
あそ
)
ばすなとて
力
(
ちから
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
跡
(
あと
)
になして
乘
(
の
)
り
出
(
いだ
)
す
車
(
くるま
)
の
掛聲
(
かけごゑ
)
に
走
(
はし
)
り
退
(
の
)
く
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
あれは
何方
(
いづく
)
の
藥取
(
くすりとり
)
憐
(
あは
)
れの
姿
(
すがた
)
やと
見返
(
みかへ
)
れば
彼方
(
かなた
)
よりも
見返
(
みかへ
)
る
顏
(
かほ
)
オヽ
芳
(
よし
)
さま
詞
(
ことば
)
の
未
(
いま
)
だ
轉
(
まろ
)
び
出
(
い
)
でぬ
間
(
ま
)
に
車
(
くるま
)
は
轣轆
(
れきろく
)
として
轍
(
わだち
)
のあと
遠
(
とほ
)
く
地
(
ち
)
に
印
(
しる
)
されぬ。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
寄
(
よ
)
る
邊
(
べ
)
なき
御身
(
おんみ
)
憐
(
あは
)
れやとの
情
(
じやう
)
やう/\
長
(
ちやう
)
じては、
我
(
わ
)
れ
一人
(
ひとり
)
をば
天
(
あま
)
が
下
(
した
)
の
頼
(
たの
)
もし
人
(
びと
)
にして、一にも
松野
(
まつの
)
二にも
松野
(
まつの
)
と、
隔
(
へ
)
だてなく
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
甘
(
あま
)
へもしつ
㑃強
(
すね
)
もしつ、
睦
(
むつ
)
れよる
心
(
こゝろ
)
愛
(
あい
)
らしさよと
思
(
おも
)
ひしが
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さりとては
是
(
こ
)
れ
程
(
ほど
)
の
人品
(
じんぴん
)
備
(
そな
)
へながら
身
(
み
)
に
覺
(
おぼ
)
えた
藝
(
げい
)
は
無
(
な
)
きか
取上
(
とりあ
)
げて
用
(
もち
)
ひる
人
(
ひと
)
は
無
(
な
)
きか
憐
(
あは
)
れのことやとは
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
の
感
(
かん
)
じなり
心情
(
しんじやう
)
さら/\
知
(
し
)
れたものならず
美
(
うつ
)
くしき
花
(
はな
)
に
刺
(
とげ
)
もあり
柔和
(
にゆうわ
)
の
面
(
おもて
)
に
案外
(
あんぐわい
)
の
所爲
(
しよゐ
)
なきにもあらじ
恐
(
おそ
)
ろしと
思
(
おも
)
へばそんなもの
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
見捨
(
みす
)
てゝ
行
(
ゆ
)
く
情
(
じやう
)
なしがお
前
(
まへ
)
は
好
(
す
)
きか
憐
(
あは
)
れといへば
深山
(
みやま
)
がくれの
花
(
はな
)
の
心
(
こゝろ
)
が
嘸
(
さぞ
)
かしと
察
(
さつ
)
しられる
世
(
よ
)
にも
知
(
し
)
られず
人
(
ひと
)
にも
知
(
し
)
られず
咲
(
さき
)
て
散
(
ち
)
るが
本意
(
ほんい
)
であらうか
同
(
おな
)
じ
嵐
(
あらし
)
に
誘
(
さそ
)
はれても
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
の
宿
(
やど
)
に
咲
(
さ
)
きて
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
に
思
(
おも
)
はれたら
散
(
ち
)
るとも
恨
(
うら
)
みは
有
(
あ
)
るまいもの
谷間
(
たにま
)
の
水
(
みづ
)
の
便
(
たよ
)
りがなくは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
憐
漢検準1級
部首:⼼
16画
“憐”を含む語句
可憐
憐憫
憐愍
哀憐
相憐
愛憐
御憐愍
御憐憫
御憐
憐々
紅顔可憐
眼見若為憐
可憐也
生類憐
生類御憐愍
未憐
最憐
憫憐
憐然
可憐児
...