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入口
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いりくち
ふりがな文庫
“
入口
(
いりくち
)” の例文
卯平
(
うへい
)
は
久振
(
ひさしぶり
)
で
故郷
(
こきやう
)
に
歳
(
とし
)
を
迎
(
むか
)
へた。
彼等
(
かれら
)
の
家
(
いへ
)
の
門松
(
かどまつ
)
は
只
(
たゞ
)
短
(
みじか
)
い
松
(
まつ
)
の
枝
(
えだ
)
と
竹
(
たけ
)
の
枝
(
えだ
)
とを
小
(
ちひ
)
さな
杙
(
くひ
)
に
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けて
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
てたのみである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
丁度蜘蛛が林の
入口
(
いりくち
)
の
楢
(
なら
)
の木に、二銭銅貨の位の網をかけた
頃
(
ころ
)
、銀色のなめくじの立派なおうちへかたつむりがやって参りました。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
齋藤巡査
(
さいとうじゆんさ
)
が
眞鶴
(
まなづる
)
で
下車
(
げしや
)
したので
自分
(
じぶん
)
は
談敵
(
だんてき
)
を
失
(
うしな
)
つたけれど、
湯
(
ゆ
)
ヶ
原
(
はら
)
の
入口
(
いりくち
)
なる
門川
(
もんかは
)
までは、
退屈
(
たいくつ
)
する
程
(
ほど
)
の
隔離
(
かくり
)
でもないので
困
(
こま
)
らなかつた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
二町足らずの近い
処
(
ところ
)
にある会社へ
直
(
す
)
ぐ跡を追つて
行
(
ゆ
)
くと、滋野君は
半月前
(
はんげつぜん
)
に買つた新しい自動車を会社の
入口
(
いりくち
)
に引出して
頻
(
しきり
)
に掃除して居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
つゞいて
飛込
(
とびこ
)
まんとする
獅子
(
しゝ
)
を
目掛
(
めが
)
けて、
私
(
わたくし
)
は
一發
(
いつぱつ
)
ドガン、
水兵
(
すいへい
)
は
手鎗
(
てやり
)
て
突飛
(
つきと
)
ばす、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
素早
(
すばや
)
く
身
(
み
)
を
跳
(
をど
)
らして、
入口
(
いりくち
)
の
扉
(
とびら
)
をピシヤン。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
純一がその門の前に立ち留まって、垣の内を覗いていると、隣の植木鉢を沢山
入口
(
いりくち
)
に並べてある家から、
白髪
(
しらが
)
の婆あさんが出て来て話をし掛けた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
宿
(
やど
)
の
入口
(
いりくち
)
に
井戸川
(
ゐどがは
)
と
云
(
い
)
つて
江戸川
(
えどがは
)
をなまつたやうな、
些
(
いさゝ
)
かもの
欲
(
ほ
)
しさうな
稱
(
な
)
の
流
(
ながれ
)
があつた。
古
(
ふる
)
い
木
(
き
)
の
橋
(
はし
)
が
架
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小説家の正宗白鳥氏は
他
(
ひと
)
の
家
(
うち
)
へ
出入
(
ではいり
)
をするのに、がらりと
入口
(
いりくち
)
の
扉
(
と
)
を
開
(
あ
)
けはするが、その手で滅多に閉めた事は無い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
棚
(
たな
)
の
上
(
うへ
)
に
見事
(
みごと
)
な
白
(
しろ
)
い
牡丹
(
ぼたん
)
が
活
(
い
)
けてあつた。その
外
(
ほか
)
机
(
つくゑ
)
でも
蒲團
(
ふとん
)
でも
悉
(
こと/″\
)
く
綺麗
(
きれい
)
であつた。
坂井
(
さかゐ
)
は
始
(
はじ
)
め
暗
(
くら
)
い
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
つて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
表
(
おもて
)
の
入口
(
いりくち
)
には
焦茶地
(
こげちやぢ
)
へ
白抜
(
しろぬき
)
で「せじや」と
仮名
(
かな
)
で
顕
(
あらは
)
し
山形
(
やまがた
)
に口といふ字が
標
(
しるし
)
に
附
(
つい
)
て
居
(
を
)
る
処
(
ところ
)
は
主人
(
あるじ
)
の
働
(
はたらき
)
で、
世辞
(
せじ
)
を
商
(
あきな
)
ふのだから
主人
(
あるじ
)
も
莞爾
(
にこやか
)
な顔、
番頭
(
ばんとう
)
も
愛
(
あい
)
くるしく
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其所
(
そこ
)
で、
入口
(
いりくち
)
を
入
(
い
)
ると、
其所
(
そこ
)
の
横幅
(
よこはゞ
)
が九
尺
(
しやく
)
四
寸
(
すん
)
ある。それから
突當
(
つきあた
)
りの
奧壁
(
おくかべ
)
まで一
丈
(
ぢやう
)
四
尺
(
しやく
)
の
長
(
なが
)
さがある。
奧壁
(
おくかべ
)
の
處
(
ところ
)
の
横幅
(
よこはゞ
)
は、
入口
(
いりくち
)
より
少
(
すこ
)
しく
延
(
の
)
びて一
丈
(
ぢやう
)
一
尺
(
しやく
)
五
寸
(
すん
)
ある。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
御嶽參
(
おんたけまゐ
)
りが
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
から
斯
(
こ
)
の
木曾
(
きそ
)
の
入口
(
いりくち
)
に
着
(
つ
)
くには、
六曲峠
(
ろくきよくたうげ
)
といふ
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
して
來
(
こ
)
なければなりません。そこが
信濃
(
しなの
)
と
美濃
(
みの
)
の
國境
(
くにざかひ
)
で、
父
(
とう
)
さんの
村
(
むら
)
のはづれに
當
(
あた
)
つて
居
(
ゐ
)
ます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何事
(
なにごと
)
ぢゃ
此
(
この
)
血汐
(
ちしほ
)
は、これ、
此
(
この
)
廟舍
(
たまや
)
の
入口
(
いりくち
)
の
石
(
いし
)
を
染
(
そ
)
めた
此
(
この
)
血汐
(
ちしほ
)
は?
主
(
ぬし
)
もない
此
(
この
)
劍
(
つるぎ
)
は?
此樣
(
このやう
)
な
平和
(
へいわ
)
の
場所
(
ばしょ
)
に
血
(
ち
)
まぶれにして
棄
(
す
)
てゝあるは、こりゃ
何
(
なん
)
としたことであらう?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
正面
(
しやうめん
)
にはもう
多田院
(
ただのゐん
)
の
馬場先
(
ばばさ
)
きの
松並木
(
まつなみき
)
が
枝
(
えだ
)
を
重
(
かさ
)
ねて、ずうつと
奧
(
おく
)
へ
深
(
ふか
)
くつゞいてゐるのが
見
(
み
)
えた。
松並木
(
まつなみき
)
の
入口
(
いりくち
)
のところに、
川
(
かは
)
を
背
(
せ
)
にして、
殺生
(
せつしやう
)
禁斷
(
きんだん
)
の
碑
(
ひ
)
が
立
(
た
)
つてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
母家
(
おもや
)
から別れたその小さな低い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根といい、竹格子の窓といい、
入口
(
いりくち
)
の杉戸といい、殊に手を洗う縁先の
水鉢
(
みずばち
)
、
柄杓
(
ひしゃく
)
、その
傍
(
そば
)
には極って
葉蘭
(
はらん
)
や
石蕗
(
つわぶき
)
などを
下草
(
したくさ
)
にして
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
折
(
をり
)
しも
愛
(
あい
)
ちやんは、
大廣間
(
おほびろま
)
の
屋根
(
やね
)
で
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
ちました。
實際
(
じつさい
)
愛
(
あい
)
ちやんは
今
(
いま
)
九
尺
(
しやく
)
以上
(
いじやう
)
も
身長
(
せい
)
が
高
(
たか
)
くなつたので、
直
(
す
)
ぐに
小
(
ちひ
)
さな
黄金
(
こがね
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げ、
花園
(
はなぞの
)
の
入口
(
いりくち
)
へ
急
(
いそ
)
いで
行
(
ゆ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
今日
(
けふ
)
も
何
(
なに
)
やら
慌
(
あわ
)
てゝ
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
音
(
おと
)
をたてながら、いそ/\と
母
(
はゝ
)
を
迎
(
むか
)
へに
入口
(
いりくち
)
まで
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「始は待合所の
入口
(
いりくち
)
の所で
些
(
ちよつ
)
と顔が見えたのじや。余り意外ぢやつたから、僕は思はず
長椅子
(
ソオフワア
)
を起つと、もう見えなくなつた。それから
有間
(
しばらく
)
して又
偶然
(
ふつと
)
見ると、又見えたのじや」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
準備
(
じゅんび
)
ができたらすぐに
出掛
(
でか
)
けると
致
(
いた
)
そう。
俺
(
わし
)
が
竜宮
(
りゅうぐう
)
の
入口
(
いりくち
)
まで
送
(
おく
)
ってあげる。それから
先
(
さ
)
きは
汝
(
そち
)
一人
(
ひとり
)
で
行
(
ゆ
)
くのじゃ。
何
(
なに
)
も
修行
(
しゅぎょう
)
の
為
(
た
)
めである。あまり
俺
(
わし
)
に
依
(
たよ
)
る
気
(
き
)
になっては
面白
(
おもしろ
)
うない……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「にほんじんはかの
入口
(
いりくち
)
」の
標
(
しるし
)
あり
遊子樹
(
いうしじゆ
)
といふ樹さへ悲しも
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
アヴニウ・ウツスの
入口
(
いりくち
)
を
見附
(
みつ
)
け
損
(
そこな
)
つたので
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
突当
(
つきあた
)
りは奥の家の門で横に薄青く塗つた木製の低い四角な戸のあるのが自分達の下宿の
入口
(
いりくち
)
である。同じ青色を塗つた金網が花壇に
廻
(
めぐ
)
らされて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
入口
(
いりくち
)
の
彼方
(
あちら
)
は
長
(
なが
)
い
縁側
(
えんがは
)
で三
人
(
にん
)
も
小女
(
こむすめ
)
が
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
て
其
(
その
)
一人
(
ひとり
)
は
此方
(
こちら
)
を
向
(
む
)
き
今
(
いま
)
しも十七八の
姉樣
(
ねえさん
)
に
髮
(
かみ
)
を
結
(
ゆ
)
つて
貰
(
もら
)
ふ
最中
(
さいちゆう
)
。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
閭
(
りよ
)
が
其
(
その
)
視線
(
しせん
)
を
辿
(
たど
)
つて、
入口
(
いりくち
)
から一
番
(
ばん
)
遠
(
とほ
)
い
竈
(
かまど
)
の
前
(
まへ
)
を
見
(
み
)
ると、そこに
二人
(
ふたり
)
の
僧
(
そう
)
の
蹲
(
うづくま
)
つて
火
(
ひ
)
に
當
(
あた
)
つてゐるのが
見
(
み
)
えた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
時
(
とき
)
恰
(
あたか
)
も、
其
(
そ
)
の
客
(
きやく
)
を
會
(
くわい
)
した
處
(
ところ
)
。
入口
(
いりくち
)
に
突伏
(
つツぷ
)
して
云
(
い
)
ふ
下男
(
げなん
)
の
取次
(
とりつぎ
)
を、
客
(
きやく
)
の
頭越
(
あたまご
)
しに、
鼻
(
はな
)
を
仰向
(
あふむ
)
けて、フンと
聞
(
き
)
き
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
此處
(
こゝ
)
が
秘密
(
ひみつ
)
の
塲所
(
ばしよ
)
の
入口
(
いりくち
)
です。』と
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
は
私
(
わたくし
)
を
顧見
(
かへりみ
)
た。
此時
(
このとき
)
はまだ
工事
(
こうじ
)
も
始
(
はじ
)
まらぬと
見
(
み
)
へ、
例
(
れい
)
の
鐵
(
てつ
)
の
響
(
ひゞき
)
も
聽
(
きこ
)
えず、
中
(
なか
)
はシーンとして、
凄
(
すご
)
い
程
(
ほど
)
物靜
(
ものしづ
)
かだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
所へ玄関に
足音
(
あしおと
)
がした。案内も乞はずに廊下伝ひに這入つて
来
(
く
)
る。
忽
(
たちま
)
ち与次郎が書斎の
入口
(
いりくち
)
に
坐
(
すは
)
つて
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
數「あ成程、これは面白い/\……
此処
(
こゝ
)
から
上
(
あが
)
るのか、成程玄関の様子が面白く出来たの、
入口
(
いりくち
)
かえ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
狸は丁度蜘蛛が林の
入口
(
いりくち
)
の
楢
(
なら
)
の木に、二銭銅貨位の
巣
(
す
)
をかけた時、すっかりお
腹
(
なか
)
が
空
(
す
)
いて一本の
松
(
まつ
)
の木によりかかって目をつぶっていました。すると
兎
(
うさぎ
)
がやって参りました。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
地中
(
ちちう
)
に
犬小屋式
(
いぬごやしき
)
の
横穴
(
よこあな
)
が
穿
(
うが
)
つてあつて、
其
(
その
)
犬小屋
(
いぬごや
)
の
如
(
ごど
)
き
岩窟
(
がんくつ
)
の
入口
(
いりくち
)
までは、一
丈
(
ぢやう
)
三
尺餘
(
しやくよ
)
の
小墜道
(
せうとんねる
)
を
通
(
とほ
)
るのだ。
扨
(
さ
)
て、
犬小屋
(
いぬごや
)
の
如
(
ごと
)
き
横穴
(
よこあな
)
の
入口
(
いりくち
)
は、
幅
(
はゞ
)
三
尺
(
じやく
)
六
寸
(
すん
)
、
高
(
たか
)
さが三
尺
(
じやく
)
八
寸
(
すん
)
ある。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
おつぎは
後
(
おく
)
れて
漸
(
やうや
)
く
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
つた。おつぎはもう
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
が
無
(
な
)
いことを
知
(
し
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
名人達は部屋の
入口
(
いりくち
)
にぺたりと坐つたまゝ、桜桃のやうに真つ赤になつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
塵一ツなく清められた上に輕く打水のしてある
入口
(
いりくち
)
の敷石を踏鳴しながら、かう云ふ時にはいつも
氣後
(
きおく
)
れするらしく
後
(
あと
)
になる女の手を取つて、ずつと玄關へ上ると、其處へ出迎へる大勢の女中。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
アヴニウ・ウツスの
入口
(
いりくち
)
を
見附
(
みつ
)
ける
為
(
た
)
めに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
……
入口
(
いりくち
)
に
控
(
ひか
)
へてゐや。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
足
(
あし
)
は
裾
(
すそ
)
へ、
素直
(
まつすぐ
)
に
揃
(
そろ
)
へたつ
切
(
きり
)
、
兩手
(
りやうて
)
は
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
へ
着
(
つ
)
けたつ
切
(
きり
)
、で
熟
(
じつ
)
として、たゞ
見舞
(
みまひ
)
が
見
(
み
)
えます、
扉
(
ひらき
)
の
開
(
あ
)
くのを、
便
(
たよ
)
りにして、
入口
(
いりくち
)
の
方
(
はう
)
ばかり
見詰
(
みつ
)
めて
見
(
み
)
ました。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
廊下からの
入口
(
いりくち
)
の二間だけを明けて座布団が四角に並べてある。その間々に火鉢が配ってある。向うの床の間の前にある座布団や火鉢はだいぶ小さく見える程である。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
這麼
(
こんな
)
物を食つて一
人前
(
にんまへ
)
五フラン以上払はされたのを見ると菜食料理は倹約になる訳で無い。
此
(
この
)
家の
入口
(
いりくち
)
の右手は本屋に成つて居て諸国の
菜食主義
(
ヹジタリズム
)
の出版物
許
(
ばか
)
りを並べて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「妙な御客が落ち
合
(
あ
)
つたな。
入口
(
いりくち
)
で
逢
(
あ
)
つたのか」と野々宮さんが妹に聞いてゐる。妹は然らざる
旨
(
むね
)
を説明してゐる。序に三四郎の様な
襯衣
(
シヤツ
)
を
買
(
か
)
つたら
好
(
よ
)
からうと助
言
(
げん
)
してゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
家へは
近
(
ちこ
)
うござります、
何処
(
どこ
)
か
外
(
ほか
)
から
這入口
(
はいりぐち
)
はなかろうかと横手に廻って見ても外に
入口
(
いりくち
)
はない様子、
暫
(
しばら
)
く門の処に立って内の様子を
窺
(
うかゞ
)
っていると、丁度一角が寝酒を始めて
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
母屋
(
おもや
)
の
入口
(
いりくち
)
はレールに
近
(
ちか
)
い
方
(
はう
)
にあつて
人車
(
じんしや
)
から
見
(
み
)
ると
土間
(
どま
)
が
半分
(
はんぶん
)
ほどはすかひに
見
(
み
)
える。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
蜘蛛は森の
入口
(
いりくち
)
の
楢
(
なら
)
の木に、どこからかある晩、ふっと風に飛ばされて来てひっかかりました。蜘蛛はひもじいのを
我慢
(
がまん
)
して、
早速
(
さっそく
)
お月様の光をさいわいに、
網
(
あみ
)
をかけはじめました。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
余
(
よ
)
は
此時
(
このとき
)
、
探檢服
(
たんけんふく
)
の
輕裝
(
けいさう
)
で、
手
(
て
)
に
龕燈
(
がんどう
)
を
携
(
たつさ
)
へて
居
(
ゐ
)
た。
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
るのは
危險
(
きけん
)
であらうが、
龕燈
(
がんどう
)
の
光
(
ひかり
)
を
射
(
さ
)
し
向
(
む
)
けて、
入口
(
いりくち
)
から
内部
(
ないぶ
)
を
照
(
て
)
らし
見
(
み
)
るには
差支
(
さしつか
)
へなからうと
考
(
かんが
)
へ、
單身
(
たんしん
)
横穴
(
よこあな
)
の
入口
(
いりくち
)
まで
進
(
すゝ
)
んだ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ある朝も
例
(
いつも
)
のやうにストウ夫人を訪ねてお
喋舌
(
しやべり
)
をした。そして上機嫌になつて口笛を吹き/\帰つて来た。すると
入口
(
いりくち
)
に細君が
衝立
(
つゝた
)
つてゐて、亭主の姿を見るなり、鵞鳥のやうに我鳴り立てた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
入口
(
いりくち
)
からは機関車が
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
部屋に返るとき、
入口
(
いりくち
)
で逢ったのは並の女中であった。夜具を片附けてくれたのであろう。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
靜
(
しづ
)
かな
境内
(
けいだい
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
つた
彼
(
かれ
)
は、
始
(
はじ
)
めて
風邪
(
ふうじや
)
を
意識
(
いしき
)
する
場合
(
ばあひ
)
に
似
(
に
)
た
一種
(
いつしゆ
)
の
惡寒
(
さむけ
)
を
催
(
もよほ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
急
(
いそ
)
いで
出
(
で
)
ると、
停車場
(
ステエシヨン
)
の
入口
(
いりくち
)
に、こゝにも
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
、コートの
裾
(
すそ
)
を
風
(
かぜ
)
に
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふき
)
まどはされながら、
袖
(
そで
)
をしめて、しよぼ
濡
(
ぬ
)
れたやうに
立
(
た
)
つて、
雨
(
あめ
)
に
流
(
なが
)
るゝ
燈
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
はぐるまいと
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
次の八畳の間の
間
(
あい
)
の
襖
(
ふすま
)
は
故意
(
わざ
)
と一枚開けてあるが、
豆洋燈
(
まめランプ
)
の火はその
入口
(
いりくち
)
までも
達
(
とど
)
かず、中は
真闇
(
まっくら
)
。自分の寝ている六畳の間すら
煤
(
すす
)
けた天井の影暗く
被
(
おお
)
い、
靄霧
(
もや
)
でもかかったように思われた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
フランクリンは馬を
小舎
(
こや
)
に
繋
(
つな
)
いで、
入口
(
いりくち
)
に立つて外套の雪を叩き落した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“入口”で始まる語句
入口程
入口敷物