周圍しうゐ)” の例文
新字:周囲
勘次かんじきはめてせま周圍しうゐいうしてる。しかかれせたちひさな體躯からだは、せま周圍しうゐ反撥はんぱつしてるやうな關係くわんけい自然しぜん成立なりたつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
女王樣ぢよわうさま論據ろんきようでした、何事なにごとにせよ、まつた時間じかんえうせずしてうせられなかつたなら、所有あらゆる周圍しうゐたれでもを死刑しけいしよする。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
猛狒ゴリラるいこのあな周圍しうゐきばならし、つめみがいてるのだから、一寸ちよつとでも鐵檻車てつおりくるまそとたら最後さいごたゞちに無殘むざんげてしまうのだ。
しかしそのとき周圍しうゐ事情じじやうは、病人びやうにんをKうちかしてことゆるさないので、ぐに何處どこへか入院にふゐんさせなければならなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
おどろいてあと見送みおくつてゐるりよ周圍しうゐには、めしさいしるつてゐたそうが、ぞろ/\とてたかつた。道翹だうげう眞蒼まつさをかほをしてすくんでゐた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其他そのたには、だい一のあなにもあるごとく、周圍しうゐ中央ちうわうとに、はゞ四五すんみぞ穿うがつてあるが、ごど床壇ゆかだんもうけてい。
正月しやうぐわつまへひかえたかれは、實際じつさいこれといふあたらしい希望きばうもないのに、いたづらに周圍しうゐからさそはれて、なんだかざわ/\した心持こゝろもちいだいてゐたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
東京とうきやう——番町ばんちやう——では、周圍しうゐひろさに、みゝづくのこゑ南北なんぼくにかはつても、その場所ばしよ東西とうざいをさへわきまへにくい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もつとも、わたしちゝはじちひさな士族しぞくとして、家屋かをくと、宅地たくちと、周圍しうゐすこしのやまと、金祿公債證書きんろくこうさいしようしよなんゑんかを所有しよいうしてゐたが、わたし家督かとく相續さうぞくしたころには
しかし、みんなやつてるな‥‥と、つづいて周圍しうゐ見廻みまはしたときわたし夜行軍やかうぐん可笑をかしさとみじめさをかんじてつぶやいた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
何れも面部の周圍しうゐ沿そふて横長き橢圓形だえんけいの隆まり有り。且つ額の部には輪廓の上縁より多少たせうしたの方に向ひてのびたる隆まり有り。一けんはなの如くなれど其位置そのゐち上部じやうぶに寄り過ぎたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
太陽たいやうが、朝日あさひが、かれみづからが、やまそらとをかぎつたゆきせんに、そのかゞやおもてあらはしかけてゐた。ひかり直線ちよくせんをなしてその半圓はんゑん周圍しうゐつた。かれようとおもへばわたしをつぶらなければならなかつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
やうやあさはなれてそら居据ゐすわつた。すべてのものあかるいひかりへた。しかしながら周圍しうゐ何處いづこにも活々いき/\したみどりえてうつらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あいちやんは洋卓テーブル周圍しうゐのこらず見廻みまはしましたが、其上そのうへにはちやほかなにもありませんでした。『さけくッてよ』とあいちやんが注意ちういしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
宗助そうすけ周圍しうゐのざわつくなか默然もくねんとして、ひとばいも三ばいときごしたごとくにかんじたすゑつひすわれずにせきつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
與吉よきち薄暗うすぐらなかる、材木ざいもくと、材木ざいもく積上つみあげた周圍しうゐは、すぎまつにほひつゝまれたあなそこで、みはつて、ひざまづいて、のこぎりにぎつて、そらざまにあふいでた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
翌日よくじつ同志達どうしたちみんなから醵金きよきんした入院料にふゐんれうつて、彼女かのぢよ屍體したいりにた。すると、黒衣こくいばうさんたちが、彼女かのぢよ周圍しうゐいたが、K斷然だんぜんそれを拒絶きよぜつした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
先づ底面を作り其上に紐形にしたる土を乘せ、周圍しうゐふて之を段々に螺旋状にみ上げ、内外兩面をなめらかにりて全形を仕上げ、後種々の裝飾をほどこしてけたるならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
あな間口まぐちしやくすんに、奧行おくゆきしやくの、たかさ四しやく長方形ちやうはうけい岩室がんしつで、それにけたやう入口いりぐちみちがある。突當つきあたりに一だんたかところがあつて、それから周圍しうゐ中央ちうわうとにあさみぞつてある。
その隙間すきまは氏が熱情的ねつじやうてき理想家りさうかのやうに見え乍ら、その底に於ては理智がはたらき過ぎるといふ結果けつくわから、周圍しうゐに對してどうしても左顧右眄さこうべんせずには居られないといふところがあるかも知れません。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
をどりながら周圍しうゐつて村落むら女等をんならつゝうて勘次かんじ容子ようすてはくすくすとひそか冷笑れいせうあびけるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はへうじも、とは、まさかひはしなかつたけれども、場合ばあひ……きれいきたないなんぞ勿體もつたいないと、たちのき場所ばしよ周圍しうゐからせつて、使つかひかはつて、もう一度いちど
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれどもあたまなかは、周圍しうゐ幽靜いうせいおもむき反照はんせうするためか、かへつてまちにゐるときよりも動搖どうえうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ねえさんの周圍しうゐにはのこらずいもとゆめたやうな奇妙きめう動物どうぶつきてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのも、あさはや彼女かのぢよあがらうとしたが、自分じぶんにどうむちうつてても、全身ぜんしんのひだるさにはてなかつた。あがるとはげしい眩暈めまひがした。周圍しうゐがシーンとして物音ものおとがきこえなくなつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
一先ひとまづ一どうは、地主ぢぬしの一にんたる秋山廣吉氏あきやまひろきちしたくき、其所そこから徒歩とほで、瓢簟山ひようたんやまつてると、やま周圍しうゐ鐵條網てつでうもうり、警官けいくわん餘名よめい嚴重げんぢゆう警戒けいかいして、徽章きしやうなきもの出入しゆつにふきんじてある。
思ふに竪穴の中央に數本の柱を建て是に棟梁を結び付け、周圍しうゐより多くの木材もくざいを寄せ掛け、其上を種々のもの、殊にふきにて覆ひ、蔦蔓つたづるの類にてつづり合はせて住居を作り上けたるならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
此處こゝもりあへふかしといふにはあらねど、おしまはし、周圍しうゐ樹林きばやしにて取卷とりまきたれば、不動坂ふどうざか團子坂だんござか巣鴨すがもなどに縱横たてよこつうずる蜘蛛手くもでみちは、あたか黄昏たそがれ樹深こぶか山路やまぢ辿たどるがごとし。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二日ふつか三日みつかおなじやうな御惱氣ごなうけつゞいたところ三月さんぐわつ十日とをか午後ごごからしよぼ/\とあめになつて、薄暗うすぐら炬燵こたつ周圍しうゐへ、べつして邪氣じやきたゞよなかで、女房にようばう箪笥たんす抽斗ひきだしをがた/\とけたり
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やゝとき乘客じようかくは、活佛くわつぶつ——いまあらたにおもへる——の周圍しうゐあつまりて、一條いちでう法話ほふわかむことをこひねがへり。やうや健康けんかう囘復くわいふくしたる法華僧ほつけそうは、よろこんでこれだくし、打咳うちしはぶきつゝ語出かたりいだしぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
斷崖だんがいうへ欄干らんかんもたれていこつたをりから、夕颪ゆふおろしさつとして、千仭せんじん谷底たにそこから、たき空状そらざまに、もみぢ吹上ふきあげたのが周圍しうゐはやしさそつて、滿山まんざんくれなゐの、大紅玉だいこうぎよく夕陽ゆふひえいじて
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)