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其處
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そこ
ふりがな文庫
“
其處
(
そこ
)” の例文
新字:
其処
件
(
くだん
)
の
古井戸
(
ふるゐど
)
は、
先住
(
せんぢう
)
の
家
(
いへ
)
の
妻
(
つま
)
ものに
狂
(
くる
)
ふことありて
其處
(
そこ
)
に
空
(
むな
)
しくなりぬとぞ。
朽
(
く
)
ちたる
蓋
(
ふた
)
犇々
(
ひし/\
)
として
大
(
おほ
)
いなる
石
(
いし
)
のおもしを
置
(
お
)
いたり。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
市街
(
まち
)
の
中程
(
なかほど
)
に
大
(
おほ
)
きな
市場
(
いちば
)
がある、
兒童
(
こども
)
は
其處
(
そこ
)
へ出かけて、山のやうに
貨物
(
くわもつ
)
の
積
(
つん
)
である
中
(
なか
)
にふんぞり
返
(
かへ
)
つて
人々
(
ひと/″\
)
の
立騒
(
たちさわ
)
ぐのを
見
(
み
)
て居る。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「いゝえ、お
祖父樣
(
ぢいさん
)
、私は螢を
捕
(
つかま
)
へに行くのでは無いのです。つい
其處
(
そこ
)
まで…… あの、お
隣家
(
となり
)
の太一さんの
許
(
とこ
)
まで行くのです。」
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
地震
(
ぢしん
)
の
場合
(
ばあひ
)
に
崖下
(
がいか
)
の
危險
(
きけん
)
なことはいふまでもない。
横須賀停車場
(
よこすかていしやば
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つたものは、
其處
(
そこ
)
の
崖下
(
がけした
)
に
石地藏
(
いしじぞう
)
の
建
(
た
)
てるを
氣
(
き
)
づくであらう。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
『
其處
(
そこ
)
ンところはあの、
確乎
(
たしか
)
だらうと思ひますですが……今日もあの、手紙の中に十圓だけ入れて寄越して呉れましたから……。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
ドクトルは
其後
(
そのあと
)
を
睨
(
にら
)
めてゐたが、
匆卒
(
ゆきなり
)
ブローミウム
加里
(
カリ
)
の
壜
(
びん
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
發矢
(
はつし
)
と
計
(
ばか
)
り
其處
(
そこ
)
に
投
(
なげ
)
付
(
つけ
)
る、
壜
(
びん
)
は
微塵
(
みぢん
)
に
粉碎
(
ふんさい
)
して
了
(
しま
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其處
(
そこ
)
に
何者
(
なにもの
)
かゞ
居
(
を
)
るに
相違
(
さうゐ
)
ない、
人
(
ひと
)
か、
魔性
(
ましやう
)
か、
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
は
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
られぬ、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
探險
(
たんけん
)
と
覺悟
(
かくご
)
したので、そろ/\と
丘
(
をか
)
を
下
(
くだ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
蜥蜴
(
とかげ
)
の
鉛筆
(
えんぴつ
)
を
軋
(
きし
)
らす
音
(
おと
)
、
壓潰
(
おしつぶ
)
されて
窒息
(
ちつそく
)
した
豚
(
ぶた
)
、
不幸
(
ふかう
)
な
海龜
(
うみがめ
)
の
絶
(
た
)
えざる
歔欷
(
すゝりなき
)
とがゴタ/\に
其處
(
そこ
)
いらの
空中
(
くうちゆう
)
に
浮
(
うか
)
んで
見
(
み
)
えました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
浴衣
(
ゆかた
)
の
後影
(
うしろかげ
)
が、
裏口
(
うらぐち
)
へ
出
(
で
)
る
所
(
ところ
)
で
消
(
き
)
へてなくなる
迄
(
まで
)
其處
(
そこ
)
に
立
(
た
)
つてゐた。それから
格子
(
かうし
)
を
開
(
あ
)
けた。
玄關
(
げんくわん
)
へは
安井
(
やすゐ
)
自身
(
じしん
)
が
現
(
あらは
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
越てお小座敷より忍入藤五郎樣の入せらるゝ處へ御出候へと申ければ佐十郎
打點頭
(
うちうなづき
)
呉々
(
くれ/″\
)
も頼むと
言置
(
いひおき
)
兩人共に先藤三郎樣を
連行
(
つれゆか
)
んと
其處
(
そこ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其處
(
そこ
)
には五十前後の番頭の平吉が異常な昂奮と不眠の
疲
(
つか
)
れとを一緒くたにしたやうな一種イライラした表情で迎へるのです。
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
傷口
(
きずぐち
)
も
乾
(
かわ
)
いて
居
(
を
)
つたやうでございます。おまけに
其處
(
そこ
)
には、
馬蠅
(
うまばへ
)
が一
匹
(
ぴき
)
、わたしの
足音
(
あしおと
)
も
聞
(
きこ
)
えないやうに、べつたり
食
(
く
)
ひついて
居
(
を
)
りましたつけ。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其處
(
そこ
)
には墓塲のくされたる如き
臭
(
にほひ
)
充
(
み
)
ち/\て、新しき生命ある空氣は少しだになく、
住
(
すま
)
へる人また遠くこの世を隔てたるにはあらずやと疑はる。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『十八丁だすて、東光院まで。……この道を
眞
(
ま
)
ツ
直
(
す
)
ぐに行きますと、
駐在所
(
ちうざいしよ
)
があつて、
其處
(
そこ
)
から北へ曲るんやさうだす。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
おつぎは
手
(
て
)
を
延
(
の
)
ばしては
卵
(
たまご
)
を一つ/\に
取
(
と
)
つて
袂
(
たもと
)
へ
入
(
い
)
れた。おつぎは
袂
(
たもと
)
をぶら/\させて
危相
(
あぶなさう
)
に
米俵
(
こめだはら
)
を
降
(
お
)
りた。
其處
(
そこ
)
にも
卵
(
たまご
)
は六つばかりあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
問ひて餘の字を付加へらるゝ時はスハヤと足を
擦
(
さす
)
りたり又まだと
云
(
いふ
)
は
頓
(
やが
)
て
其處
(
そこ
)
ならんと思ふて問ふとき付加へられて力を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ここを以ちて今に至るまで、その
子孫
(
こども
)
倭に上る日、かならずおのづから
跛
(
あしなへ
)
くなり。かれその老の
所在
(
ありか
)
を能く見しめき。かれ
其處
(
そこ
)
を
志米須
(
しめす
)
一〇
といふ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
何
(
なん
)
だか
其處
(
そこ
)
が
可笑
(
をか
)
しくこぐらかりまして、
何
(
ど
)
うしても
上手
(
じやうず
)
に
思
(
おも
)
ひとく
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
ませんかつた、
今
(
いま
)
おもふて
見
(
み
)
ると
成
(
な
)
るほど
隱
(
かく
)
しだても
遊
(
あそ
)
ばしましたらう
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これは
地
(
ち
)
の
理
(
り
)
を
得
(
え
)
て
居
(
ゐ
)
るから、
斯
(
か
)
う
打石斧
(
だせきふ
)
を
多
(
おほ
)
く
集
(
あつ
)
められたのである。
玉川沿岸
(
たまがはえんがん
)
には
打石斧
(
だせきふ
)
が
多
(
おほ
)
い。
其處
(
そこ
)
の
何處
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くのにも
余
(
よ
)
の
宅
(
たく
)
は
近
(
ちか
)
く
且
(
か
)
つ
都合
(
つがふ
)
が
好
(
よ
)
い。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
けれども間もなく出て、靜岡の醫學校に
入
(
はい
)
つたが、
其處
(
そこ
)
から藩命で薩摩に遊んで、諸藩の書生と付き合つたが、それが
私
(
わし
)
の放浪生活の初めでもあつたらう。
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
地
(
ち
)
には
光
(
ひかり
)
があり
反射
(
はんしや
)
があり、
空
(
そら
)
には
色
(
いろ
)
と
霑
(
うるほ
)
ひとがある。
空氣
(
くうき
)
は
澄
(
す
)
んで/\
澄
(
すみ
)
み
切
(
き
)
つて、どんな
科學者
(
くわがくしや
)
にもそれが
其處
(
そこ
)
にあるといふ
事
(
こと
)
を一
時
(
じ
)
忘
(
わす
)
れさせるであらう。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
が、今は淺草に住つてゐる友達と、
一昨日
(
おとゝひ
)
一日公園をぶら/\遊んで、其晩
其處
(
そこ
)
で泊つたことは確である。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
それでは
何
(
なん
)
にもならないでせう。ほんとに
其處
(
そこ
)
では
助
(
たす
)
けることも
助
(
たす
)
けられることもできない。まつたく
薄情
(
はくじやう
)
のやうだが
自分々々
(
じぶん/″\
)
です。
自分
(
じぶん
)
だけです。それ
外
(
ほか
)
無
(
な
)
いのさ、ね
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
今日
(
けふ
)
貴樣達
(
きさまたち
)
を
此處
(
ここ
)
へ
集
(
あつ
)
めたのは
外
(
ほか
)
でもない。この
間
(
あひだ
)
N
原
(
はら
)
へ
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちう
)
に
起
(
おこ
)
つた
一
(
ひと
)
つの
出來事
(
できごと
)
に
對
(
たい
)
する
己
(
おれ
)
の
所感
(
しよかん
)
を
話
(
はな
)
して
聞
(
き
)
かせたいのだ。それは
其處
(
そこ
)
にゐる
中根
(
なかね
)
二
等卒
(
とうそつ
)
のことだ。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
和女
(
そもじ
)
の
殿御
(
とのご
)
は、それ、
其處
(
そこ
)
に
胸元
(
むなもと
)
にお
死
(
し
)
にゃってぢゃ。パリスどのもぢゃ。さゝ、
尼御達
(
あまごたち
)
の
仲間中
(
うち
)
へ、
頼
(
たの
)
うで
和女
(
そもじ
)
を
入
(
い
)
れておかう。あれ、
夜番
(
よばん
)
が
來
(
く
)
るわ、
委細
(
ゐさい
)
の
事
(
こと
)
は
後
(
あと
)
で/\。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ななえは父親を
其處
(
そこ
)
に置いて見るには身に覺えのない、人間の奧にある汚れたものを感じた。父親がそんな汚れを持つてゐたとはどう考へても、釋き明かすことか出來なかつた。
渚
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
其處
(
そこ
)
へ持つて行つて發音的の新しい假名遣が作られる、是れは便利なる横道である、何も舊い街道を正道として便利な新しい假名遣を邪道とすることはないと云ふのであります。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
たゞ默つておとなしく
其處
(
そこ
)
にうづくまつてゐるだけのことであつたが、それが
譬
(
たと
)
へやうもないほどに物凄かつた。お道はぞつとして思はず
衾
(
よぎ
)
の袖に
獅噛
(
しが
)
み付くと、おそろしい夢は醒めた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其處
(
そこ
)
には、この友達が一時非常に仲をよくした田村俊子さんが居るのだ。
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
其處
(
そこ
)
に
殘
(
のこ
)
れるものありて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
其處
(
そこ
)
へ
古
(
ふる
)
ちよツけた
能代
(
のしろ
)
の
膳
(
ぜん
)
。
碗
(
わん
)
の
塗
(
ぬり
)
も
嬰兒
(
あかんぼ
)
が
嘗
(
な
)
め
剥
(
は
)
がしたか、と
汚
(
きたな
)
らしいが、さすがに
味噌汁
(
みそしる
)
の
香
(
か
)
が、
芬
(
ぷん
)
とすき
腹
(
はら
)
をそゝつて
香
(
にほ
)
ふ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それで螢の光で
其處
(
そこ
)
らが薄月夜のやうに明いのであツた。餘り其處らが明いので、自分は
始
(
はじめ
)
、夢を見てゐるのでは無いかと思ツた。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
其處
(
そこ
)
は
乘組人
(
のりくみにん
)
の
御勝手
(
ごかつて
)
次第
(
しだい
)
、
他
(
た
)
の
區劃
(
くくわく
)
は
彈藥
(
だんやく
)
や
飮料
(
いんれう
)
や
鑵詰
(
くわんづめ
)
や
乾肉
(
ほしにく
)
や
其他
(
そのほか
)
旅行中
(
りよかうちう
)
の
必要品
(
ひつえうひん
)
を
貯
(
たくわ
)
へて
置
(
お
)
く
處
(
ところ
)
で、
固定旅櫃
(
こていトランク
)
の
形
(
かたち
)
をなして
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其處
(
そこ
)
で
其
(
その
)
翌日
(
あくるひ
)
は
愈〻
(
いよ/\
)
怠惰屋
(
なまけや
)
の
弟子入
(
でしいり
)
と、
親父
(
おやぢ
)
は
息子
(
むすこ
)
の
衣裝
(
みなり
)
を
作
(
こし
)
らへ
頭
(
あたま
)
も
奇麗
(
きれい
)
に
刈
(
かつ
)
てやつて、ラクダルの
莊園
(
しやうゑん
)
へと
出
(
で
)
かけて
行
(
い
)
つた。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
『オヤ、
其處
(
そこ
)
に
彼
(
か
)
れの
大事
(
だいじ
)
な
鼻
(
はな
)
が
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つてよ』
通常
(
なみ/\
)
ならぬ
大
(
おほ
)
きな
肉汁
(
スープ
)
鍋
(
なべ
)
が
其
(
そ
)
の
側
(
そば
)
に
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
て、
正
(
まさ
)
にそれを
取
(
と
)
つて
去
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つたのです。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
その
内
(
うち
)
に
竹
(
たけ
)
が
疎
(
まば
)
らになると、
何本
(
なんぼん
)
も
杉
(
すぎ
)
が
竝
(
なら
)
んでゐる、——わたしは
其處
(
そこ
)
へ
來
(
く
)
るが
早
(
はや
)
いか、いきなり
相手
(
あひて
)
を
組
(
く
)
み
伏
(
ふ
)
せました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
囀
(
さへづ
)
るやうに言つて女房は、茶や菓子を運んで來た。狸が
腹皷
(
はらづつみ
)
を打つてゐる其の腹のところに灰を入れた
煙草盆代
(
たばこぼんがは
)
りの火鉢は、前から
其處
(
そこ
)
にあつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
すると
其處
(
そこ
)
で
院長
(
ゐんちやう
)
は六
號室
(
がうしつ
)
で
有
(
あ
)
ると
聞
(
き
)
き、
庭
(
には
)
から
直
(
すぐ
)
に
別室
(
べつしつ
)
に
入
(
い
)
り、
玄關
(
げんくわん
)
の
間
(
ま
)
に
立留
(
たちとゞま
)
ると、
丁度
(
ちやうど
)
恁云
(
かうい
)
ふ
話聲
(
はなしごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えたので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さうして
針
(
はり
)
の
先
(
さき
)
でおつぎの
湯
(
ゆ
)
から
出
(
で
)
たばかりで
軟
(
やはら
)
かく
成
(
な
)
つた
手
(
て
)
の
肉刺
(
まめ
)
をついて
汁液
(
みづ
)
を
出
(
だ
)
して
其處
(
そこ
)
へそれを
貼
(
は
)
つて
遣
(
や
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
吉
(
きつ
)
ちやんお
前
(
まへ
)
にもゝう
逢
(
あ
)
はれなくなるねえ、とて
唯
(
たゞ
)
言
(
い
)
ふことながら
萎
(
しを
)
れて
聞
(
きこ
)
ゆれば、どんな
出世
(
しゆつせ
)
に
成
(
な
)
るのか
知
(
し
)
らぬが
其處
(
そこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くのは
廢
(
よ
)
したが
宜
(
よ
)
からう
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これは
關東大地震
(
かんとうだいぢしん
)
の
際
(
さい
)
、
其處
(
そこ
)
に
生埋
(
いきうづ
)
めにされた
五十二名
(
ごじゆうにめい
)
の
不幸
(
ふこう
)
な
人
(
ひと
)
の
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
るために
建
(
た
)
てられたものである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
其處
(
そこ
)
より
發
(
た
)
たして、
當藝
(
たぎ
)
の
野
(
の
)
四
の上に到ります時に、詔りたまはくは、「吾が心、恆は
虚
(
そら
)
よ
翔
(
かけ
)
り行かむと念ひつるを
五
、今吾が足え歩かず、たぎたぎしく
六
なりぬ」
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
振
(
ふ
)
りながら何の御禮に及びませうぞ
夫
(
それ
)
其處
(
そこ
)
は
水溜
(
みづたま
)
り此處には石が
轉
(
ころ
)
げ有りと
飽迄
(
あくまで
)
お安に安心させ
何處
(
どこ
)
へ
連行
(
つれゆき
)
殺
(
ばら
)
さんかと心の内に目算しつゝ麹町をも
疾
(
とく
)
過
(
すぎ
)
て初夜の
鐘
(
かね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が——
既
(
も
)
う
直
(
ぢ
)
きに
其處
(
そこ
)
は
人
(
ひと
)
の
屋敷内
(
やしきうち
)
にでもなつて、
垣
(
かき
)
から
覗
(
のぞ
)
く
事
(
こと
)
も
出來
(
でき
)
なくなるだらう。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
平次は八五郎に合圖をすると、
其處
(
そこ
)
は其儘にして、もう一度權次の家へ行つて見ました。
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
聲に應じて出で來りたるは、此家の
下婢
(
かひ
)
とも覺しき十七八歳の田舍女なるが、果してわれの姿の亂れたるに驚きたりと覺しく、
其處
(
そこ
)
に立ちたるまゝ、じつとわれの顏を
訝
(
いぶか
)
り見ぬ。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
……おゝ、チッバルト、
足下
(
おぬし
)
も
其處
(
そこ
)
にゐるか、
血
(
ち
)
に
染
(
そ
)
みたまゝで? まだ
嫩若
(
うらわか
)
い
足下
(
おぬし
)
を
眞二
(
まッぷた
)
つにした
其
(
その
)
同
(
おな
)
じ
手
(
て
)
で、
當
(
たう
)
の
敵
(
かたき
)
を
切殺
(
きりころ
)
して
進
(
しん
)
ぜるが、せめてもの
追善
(
つゐぜん
)
ぢゃ。
從兄
(
いとこ
)
どの、
赦
(
ゆる
)
してくれい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
松公は
此
(
この
)
四五日、姿も見せない。お大は
頭腦
(
あたま
)
も體も燃えるやうなので、
宅
(
うち
)
に
熟
(
じつ
)
としてゐる瀬はなく、毎日ぶら/\と
其處
(
そこ
)
ら中
彷徨
(
うろつ
)
きまはつて、
妄濫
(
むやみやたら
)
と行逢ふ人に突かゝつて喧嘩を
吹
(
ふつ
)
かけて居る。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
下
(
お
)
りて
直
(
すぐ
)
に碓氷の馬車鐵道に乘れば一人前四十錢にて五時頃までには輕井澤へ着きまた直ちに信越の鐵道に乘れば追分より先の
宿
(
しゆく
)
小田井
(
をだゐ
)
(
停車塲
(
ステーシヨン
)
は
御代田
(
みよだ
)
といふ)まで行くべきなれど
其處
(
そこ
)
が四天王とも
云
(
いは
)
るゝ豪傑鐵道馬車より歩いて早く着いて見せんとしかも舊道の峠を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
と
言
(
い
)
ふ、
牛切
(
ぎうき
)
りの
媽々
(
かゝあ
)
をたとへもあらうに、
毛嬙飛燕
(
まうしやうひえん
)
も
凄
(
すさま
)
じい、
僭上
(
せんじやう
)
の
到
(
いた
)
りであるが、
何
(
なに
)
も
別
(
べつ
)
に
美婦
(
びふ
)
を
讚
(
ほ
)
めるに
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ。
其處
(
そこ
)
で
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
處
部首:⾌
11画
“其處”で始まる語句
其處等
其處此處
其處邊
其處斯處