毎年まいねん)” の例文
おたがいに達者たっしゃで、はたらくことはできるし、それに毎年まいねん気候きこうのぐあいもよくて、はたけのものもたくさんれて、こんな幸福こうふくなことはない。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
アーストロフさんは毎年まいねん々々、あたらしい林を植えつけて、そのご褒美ほうびにもう、銅牌どうはいだの賞状だのを、もらっていらっしゃいますの。
私は毎年まいねんの暑中休暇を東京に送り馴れたその頃の事を回想して今に愉快でならぬのは七月八月の両月ふたつき大川端おおかわばた水練場すいれんばに送った事である。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
平橋村は村が小さいので、自分で芝居を打つことが出来ないから、毎年まいねん趙荘にいくらかお金を出して一緒に芝居を打つのである。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
これで、毎年まいねんむららして、人身御供ひとみごくう荒神あらがみ正体しょうたいが、じつはさるものであったことがかって、むらのものはやっと安心あんしんしました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
我国に大小の川々幾流いくすぢもあるなかに、此渋海川しぶみがはにのみかぎりて毎年まいねんたがはず此事あるもとすべし。しかるに天明の洪水こうずゐ以来此事たえてなし。
治「へえ……それでは只今手許にはございませんゆえ、永井喜八郎から用達ようだてゝ貰って参りましょう、毎年まいねん参って顔も知って居りますから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
毎年まいねんれがすむと、やはりいへつくりかへ、あるひ屋根やねへたりして、おなじく、新室にひむろのうたげをおこなひました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あのは、さきはうすことがつてつのたやうな、たばかりでもおいしさうにじゆくしたやつを毎年まいねんどつさりとうさんに御馳走ごちそうしてれましたつけ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「あゝ、おめでたいね、おきやくさまがむと、毎年まいねんね、おまへがたもあかしであそぶんだよ。まあ、それたのしみにしておはたらきよ。」
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
徒士町かちまちの池田の家で、当主瑞長ずいちょうが父京水の例にならって、春のはじめ発会式ほっかいしきということをした。京水は毎年まいねんこれを催して、門人をつどえたのであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ちゝつけで、毎年まいねんとほ虫干むしぼし手傳てつだひをさせられるのも、んなときには、かへつて興味きようみおほ仕事しごと一部分いちぶぶんかぞへられた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ毎年まいねんふゆからまだ草木さうもくさぬはるまでのうち彼等かれらにしてはおどろくべき巨額きよがくの四五十ゑんるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これが毎年まいねんくりかへされると、その一年いちねんごとに生長せいちようした部分ぶぶんだけが、まるになつて區分くわけがつくのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
げんの末に方国珍ほうこくちんと云う者が浙東せっとうの地に割拠すると、毎年まいねん正月十五日の上元じょうげんから五日間、明州みんしゅうで燈籠をけさしたので、城内じょうないの者はそれをて一晩中遊び戯れた。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
毎年まいねん秋祭りの前後に、はげしい山おろしが吹荒ふきあれると、中妻のおばあさんが来たということを
糸繰沼 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
さうして今後こんご豫算計畫よさんけいくわくにも毎年まいねん七八千萬圓まんゑん國債こくさい計上けいじやうしてはじめて編成へんせい出來できるのであるが大正たいしやうねん以來いらい十五年目ねんめはじめこゝ國債こくさい計上けいじやうしない豫算よさん出來できたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
芝居には人一倍凝り性の菊五郎も、毎年まいねん十月興行になると、どうもそはそはと落付かない。
しかるに此一廻このひとまはりあひだ丁度ちやうど三百六十五日ならば千年も万年もおなじ暦にて差支さしつかへなきはづなれども、六十五日の上端うわはに六ときといふものありて毎年まいねんときづ〻おくれ、四年には四六二十四とき
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
毎年まいねんイタリイを旅行りよこうするひと非常ひじようおほいのでありますが、イタリイ滯在たいざいなかばは、博物館はくぶつかんすごし、あとのなかばはローマだとかポムペイだとかの舊蹟きゆうせき巡遊じゆんゆうするといふありさまであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたし此春先このはるさき——こと花見頃はなみごろ時候じこうになると、左右とかくのうわるくするのが毎年まいねんのお定例きまりだ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
毎年まいねんのやうに新奇しんきなる潜行艇せんかうてい發明はつめいしたと誇大こだい吹聽ふいちやうするものゝ、その多數おほくは、「みづバラスト」とか、横舵わうだ縱舵じゆうだ改良かいりようとか、其他そのほか排氣啣筒はいきぽんぷや、浮沈機等ふちんきとう尠少いさゝかばかりの改良かいりようくわへたのみで
Mは毎年まいねん学校の水泳部に行っていたので、とにかくあたり前に泳ぐことを知っていましたが、私は横のし泳ぎを少しと、水の上に仰向あおむけに浮くことを覚えたばかりですし、妹はようやく板を離れて二
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そして毎年まいねん、冬のはじめにはきつと粟餅をもらひました。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
毎年まいねん初日はつひをがみにるのか。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あきなふて毎年まいねん江戸へいづ商人あきびと井筒屋ゐづつや茂兵衞金屋かなや利兵衞と云者あり平生へいぜい兄弟の如く親類しんるゐよりも中睦なかむつましかりしが兩人のつまとも此頃懷姙くわいにんなし居たり或時あるとき江戸より歸る道々みち/\はなしに利兵衞は茂兵衞にむかわたし今年ことし四十になり始めて子と云者いふもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
毎年まいねん毎年まいねん
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そのというものは日増ひましにうみれて、おきほうくろうございました。毎年まいねんふゆになると、このみなとからふね航路こうろがとだえます。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
木曾馬きそうまちひさいが、足腰あしこし丈夫ぢやうぶで、よくはたらくとつて、それをひに博勞ばくらう毎年まいねん諸國しよこくからあつまります。博勞ばくらうとはうま賣買うりかひ商賣しやうばいにするひとのことです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これを見これをきゝて、雪のとほからざるをしる。年の寒暖かんだんにつれて時日じじつはさだかならねど、たけまはり・どうなりは秋の彼岸ひがん前後ぜんごにあり、毎年まいねんかくのごとし。
其所そこで娘に二度目の夫が出来るまでは、死んだ養子の遺族へ毎年まいねん下がる扶助料だけで活計くらしを立てて行った。……
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
毎年まいねんきまつたをどり場所ばしよむらやしろおほきなもみ木陰こかげである。勘次等かんじらにんつたとき踊子をどりこはもう大分だいぶあつまつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その上いつらされるとなく田畑たはたらされて、そのとしれをふいにしてしまうものですから、しかたなしに毎年まいねん人身御供ひとみごくうげることにしてあります。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これは実際有りましたお話でございます。の辺は追々と養蚕がさかんに成りましたが、是は日本にっぽん第一の鴻益こうえきで、茶と生糸の毎年まいねんの産額は実におびたゞしい事でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その時分わたしは、彼等が何のために毎年まいねん芝居を催すか、ということについて一向無頓著むとんじゃくであったが、今考えてみると、あれはたぶん春祭はるまつり里神楽さとかぐら社戯ツエシー)であったのだ。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
何故なぜかとへば日本にほんまへべたやうに、財政状態ざいせいじやうたいへば大正たいしやうねんから今日こんにちまで一ぱん會計くわいけい毎年まいねん公債こうさい計上けいじやうされてある、すなは歳入さいにふ範圍はんゐおい歳出さいしゆつ切盛きりもり出來できない
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
このつの毎年まいねんほゞきまつた時期じき一囘いつかいち、翌年よくねんまたえます。としるにしたがつて叉状またじようにわかれますが三本角さんぼんづの以上いじようにはなりません。また鹿しかはるあきとの二囘にかいをかへます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
去年きよねん彼岸ひがんが三月の二十一日なれば今年ことし彼岸ひがん丁度ちやうど其日そのひなり。かつ毎年まいねん日數ひかず同樣どうやうなるゆゑ、一年とさだめて約條やくでうしたること丁度ちやうど一年の日數ひかずにて閏月しゆんげつため一箇月いつかつき損徳そんとくあることなし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
いふまでもなく極月しはすかけて三月さんぐわつ彼岸ひがんゆきどけまでは、毎年まいねんこんななか起伏おきふしするから、ゆきおどろくやうなものわすれても土地柄とちがらながら、今年ことし意外いぐわいはやうへに、今時いまどきくまでつもるべしとは
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今までは毎年まいねん長い夏休みの終る頃といえば学校の教場がなんとなく恋しく授業の開始する日が心待こころまちに待たれるようであった。そのういういしい心持はもう全く消えてしまった。つまらない。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そして毎年まいねん、冬のはじめにはきっと粟餅をもらいました。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あげ私し事は上州より毎年まいねん江戸へ太物商賣ふとものしやうばいまゐ井筒屋茂兵衞ゐづつやもへゑせがれきち三郎と申者にて候是なる利兵衞は私しおや茂兵衞もへゑ兄弟きやうだい同樣どうやうまじはり其上利兵衞の娘菊事私し胎内たいないよりの云號いひなづけなり然るに私し十二歳のとき父茂兵衞病氣に付枕元まくらもとへ利兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人ふたりとも勉強家べんきょうかで、よくはたらいていましたから、毎年まいねん穀物こくもつはたくさんにれて、二人ふたりともこまるようなことはありませんでした。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
瞽女ごぜ村落むらから村落むらの「まち」をわたつてあるいて毎年まいねんめてもら宿やどついてそれから村落中むらぢう戸毎こごとうたうてあるあひだに、處々ところ/″\一人分いちにんぶんづゝの晩餐ばんさん馳走ちそう承諾しようだくしてもらつてく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
重三郎は主人のだい毎年まいねん芝の金森様のお屋敷へ年始にくのだが、一昨日も其のお屋敷へ往くのもお誂えのお刀を下拵えをして御覧に入れたのが、またお下げになったのを
ゆうさんのうちでは毎年まいねんさけつくりましたから、うら酒藏さかぐらまへおほきなかまでおこめしました。それを『うむし』とつて、重箱ぢゆうばこにつめてはとうさんのおうちへもけてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
從來じうらい財政計畫ざいせいけいくわくでは大正たいしやうねん以來いらい毎年まいねん豫算よさんうへ借入金かりいれきんまた國債こくさい計上けいじやうしてあり
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
今までは毎年まいねん長い夏休みのをはころへば学校の教場けうぢやうなんとなく恋しく授業の開始する日が心待こゝろまちに待たれるやうであつた。のうひ/\しい心持こゝろもちはもうまつたく消えてしまつた。つまらない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かくまつやしひの、かしのなどのようにふゆあひだでもえだのようにならず一年中いちねんじゆう青々あを/\したつてゐるを『常緑樹じようりよくじゆ』といひ、もみぢやさくらののように毎年まいねんはるになると
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
毎年まいねんうのはなくころになると、くらそらの中で、しぼるようなかなしいこえいてびまわっているほととぎすは、人によって「がんくう。がんくう。」といているようにもこえますし
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)