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滯在
あれほど希望に全身を
刺戟されてゐた
處女作はとうとう一枚も書き上らないままに、
苫小牧滯在の一月ほどは空しく過ぎてしまつた。
立つ
前の
晩に、
父は
宗助を
呼んで、
宗助の
請求通り、
普通の
旅費以外に、
途中で二三
日滯在した
上、
京都へ
着いてからの
當分の
小遣を
渡して
あひなるべくは
多治見へのして、
陶器製造の
模樣までで、
滯在少くとも
一週間の
旅費として、
一人前二十五兩、
注におよばず、
切もちたつた
一切づゝ。