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惜
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をし
ふりがな文庫
“
惜
(
をし
)” の例文
惜
(
をし
)
まず
嘆
(
なげ
)
きしが偖ては前夜の夢は此
前兆
(
ぜんてう
)
にて有りけるか然し憑司殿か案内こそ心得ぬ豫て役人を
拵
(
こしら
)
へての
惡巧
(
わるだく
)
みか如何せんと
獨
(
ひと
)
り氣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
渠
(
かれ
)
さへあらずば
無事
(
ぶじ
)
なるべきにと、
各々
(
おの/\
)
我
(
わが
)
命
(
いのち
)
を
惜
(
をし
)
む
餘
(
あまり
)
に、
其
(
その
)
死
(
し
)
を
欲
(
ほつ
)
するに
至
(
いた
)
るまで、
怨恨
(
うらみ
)
骨髓
(
こつずゐ
)
に
徹
(
てつ
)
して、
此
(
こ
)
の
法華僧
(
ほつけそう
)
を
憎
(
にく
)
み
合
(
あ
)
へり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
必要
(
ひつえう
)
な
繩
(
なは
)
は
卯平
(
うへい
)
が
丈夫
(
ぢやうぶ
)
に
綯
(
な
)
つて
置
(
お
)
いた。それから
壁
(
かべ
)
を
塗
(
ぬ
)
るのには
間
(
あひだ
)
を
措
(
お
)
いて二三
日
(
にち
)
かゝつた。
勘次
(
かんじ
)
も
有繋
(
さすが
)
に
勞力
(
らうりよく
)
を
惜
(
をし
)
まなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
櫻は過ぎたが、遊び足りない江戸の人達は、ゆく春を
惜
(
をし
)
んで、ほろ醉心地のその日/\を送つてゐるやうな、ウラウラとした日が續きます。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
菱山
(
ひしやま
)
の事をいふにつきて此書の事をおもひいだせしが、かゝる
精撰大成
(
せいせんたいせい
)
の
書
(
しよ
)
も
空
(
むな
)
しく
秘笈
(
ひきう
)
にありて
世
(
よ
)
にしられざるが
惜
(
をし
)
ければこゝにいへり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
買つてくれと
云
(
い
)
はれないやうに
瑾
(
きず
)
を
見出
(
みいだ
)
して、
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
には
何
(
ど
)
うも
些
(
ち
)
と
軸
(
ぢく
)
ににゆうが
有
(
あ
)
りますと
云
(
い
)
つてにゆうなぞを
見出
(
みいだ
)
さなくツちやアいかねえ。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
夫
(
それ
)
は
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
でした」と
答
(
こた
)
へた。すると
主人
(
しゆじん
)
は
其
(
その
)
犬
(
いぬ
)
の
種
(
ブリード
)
やら
血統
(
けつとう
)
やら、
時々
(
とき/″\
)
獵
(
かり
)
に
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
や、
色々
(
いろ/\
)
な
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
し
始
(
はじ
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「オヽ、飛んだことを、何の長二や、寂しいことがあるものか、多勢寄つて来るので、夜も寝るのが
惜
(
をし
)
い程
賑
(
にぎや
)
かだ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これは完全に善良なる市民の資格を
放棄
(
はうき
)
したと見るべきである。善良なる市民たると同時に勇敢なる
自警団
(
じけいだん
)
の一員たる僕は菊池の為に
惜
(
をし
)
まざるを得ない。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一刻を争ひ寸陰を
惜
(
をし
)
む現代人に
其
(
その
)
様な手
緩
(
ぬる
)
い形式を
把
(
と
)
つて居る事は作者も読者も堪へ得ない事だ、
今日
(
こんにち
)
猶
(
なほ
)
従来の文法を守つて居るのは馬鹿の
骨頂
(
こつちあう
)
だと云ふ主張から
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
長
(
なが
)
いことお
馴染
(
なじみ
)
の
友伯父
(
ともをぢ
)
さんが
東京
(
とうきやう
)
へ
行
(
い
)
つてしまふので、お
家
(
うち
)
の
鷄
(
にはとり
)
もお
別
(
わか
)
れを
惜
(
をし
)
んで
居
(
ゐ
)
たのでせう。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
一隊
(
いつたい
)
三十
有餘名
(
いうよめい
)
の
三年
(
さんねん
)
以來
(
いらい
)
の
馴染
(
なじみ
)
の
水兵等
(
すいへいら
)
は、
別
(
わかれ
)
を
惜
(
をし
)
まんとて、
輕氣球
(
けいきゝゆう
)
の
周圍
(
ぐるり
)
を
取卷
(
とりま
)
いたが、
誰
(
たれ
)
も
一言
(
いちごん
)
も
發
(
はつ
)
する
者
(
もの
)
が
無
(
な
)
い、
中
(
なか
)
には
感慨
(
かんがい
)
極
(
きはま
)
つて、
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
した
者
(
もの
)
もあつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そして強くふり放せば倒れさうなのを加減して、形ばかり勢ひよくふり放した時、自分の手と女の手とが
逆
(
ぎやく
)
につるりとすべり合つたので、その肌のすべツこさが
惜
(
をし
)
めた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
夫
(
をつと
)
は
思
(
おも
)
はず
眼
(
め
)
をそらした。すつかり
弱味
(
よわみ
)
を
突
(
つ
)
かれた
感
(
かん
)
じで
内心
(
ないしん
)
まゐつた。が、そこで
妻
(
つま
)
の
非難
(
ひなん
)
をすなほに
受
(
う
)
けとるためには
夫
(
をつと
)
の
氣質
(
きしつ
)
はあまりに
我儘
(
わがまま
)
で、
負
(
ま
)
け
惜
(
をし
)
みが
強
(
つよ
)
かつた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そこで
内心
(
ないしん
)
非常
(
ひじやう
)
に
驚
(
おどろ
)
いたけれど
尚
(
なほ
)
も石を
老叟
(
らうそう
)
に
渡
(
わた
)
すことは
惜
(
をし
)
いので
色々
(
いろ/\
)
と
言
(
い
)
ひ
爭
(
あらそ
)
ふた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
珍らしい働き手で、
酒男
(
さかをとこ
)
と一緒に倉に入つてせつせと稼いだから、
身代
(
しんだい
)
は太る一方だつたが、太るだけの物は
道修繕
(
みちなほし
)
、
橋普請
(
はしふしん
)
といつたやうな公共事業に費して少しも
惜
(
をし
)
まなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
後
(
のち
)
に
商業学校
(
せうげふがくかう
)
に
転
(
てん
)
じて、
中途
(
ちうと
)
から
全然
(
すつかり
)
筆
(
ふで
)
を
投
(
たう
)
じて、
今
(
いま
)
では
高田商会
(
たかだせうくわい
)
に出て
居
(
を
)
りますが、
硯友社
(
けんいうしや
)
の
為
(
ため
)
には
惜
(
をし
)
い人を
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
つたのです、
尤
(
もつと
)
も本人の
御為
(
おため
)
には
其方
(
そのはう
)
が
結搆
(
けつかう
)
であつたのでせう
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼は必しも金を
惜
(
をし
)
むといふのではないが、自分の腕に
依
(
よ
)
ツて自己の
存立
(
そんりつ
)
を保證されるまで、其金に依ツて自己を
支
(
ささ
)
へて行かなければならぬかと思むと、勢きりつめ主義にもなるのであツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
湖や暑さを
惜
(
をし
)
む雲の峰 同
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
厭
(
あ
)
きぬれば
棄
(
す
)
てて
惜
(
をし
)
まず。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
なに
惜
(
をし
)
みさしもたゆたふ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なにかは
惜
(
をし
)
ままし
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時を
惜
(
をし
)
めり。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
惜
(
をし
)
みたり
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
未練
(
みれん
)
に
惜
(
をし
)
みてとも
思召
(
おぼしめ
)
さん
苦
(
くる
)
しさよと
思
(
おも
)
ひやりては
伏
(
ふ
)
し
沈
(
しづ
)
み
思
(
おも
)
ひ
出
(
いだ
)
してはむせ
返
(
かへ
)
り
笑
(
ゑ
)
みとは
何
(
なん
)
ぞ
夢
(
ゆめ
)
にも
忘
(
わす
)
れて
知
(
し
)
るものは
人生
(
じんせい
)
の
憂
(
う
)
きといふ
憂
(
う
)
きの
數々
(
かず/\
)
來
(
く
)
るものは
無意
(
むい
)
無心
(
むしん
)
の
春夏秋冬
(
しゆんかしうとう
)
落花
(
らくくわ
)
流水
(
りうすゐ
)
ちりて
流
(
なが
)
れて
寄
(
よ
)
せ
返
(
かへ
)
る
波
(
なみ
)
の
年
(
とし
)
又
(
また
)
年
(
とし
)
今日
(
けふ
)
は
心
(
こゝろ
)
の
解
(
と
)
けやする
明日
(
あす
)
は
思
(
おも
)
ひの
離
(
はな
)
れやするあは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
切りて
迯行
(
にげゆき
)
候と申けるに奧田殿
扨々
(
さて/\
)
夫
(
それ
)
は
惜
(
をし
)
き事なり然らば切たる袖は後の證據とならん是へとて右の袖を見らるゝに
辨慶縞
(
べんけいじま
)
の
單物
(
ひとへもの
)
古
(
ふる
)
きを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
畑
(
はたけ
)
の
作主
(
さくぬし
)
が
其
(
その
)
損失
(
そんしつ
)
以外
(
いぐわい
)
にそれを
惜
(
をし
)
む
心
(
こゝろ
)
から
蔭
(
かげ
)
で
勢
(
いきほ
)
ひ
激
(
はげ
)
しく
怒
(
おこ
)
らうともそれは
顧
(
かへり
)
みる
暇
(
いとま
)
を
有
(
も
)
たない。
勘次
(
かんじ
)
の
痩
(
や
)
せた
茄子畑
(
なすばたけ
)
もさうして
襲
(
おそ
)
はれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いざ娘のお信乃を出すとき、父親の伊八が別れを
惜
(
をし
)
んで、——
老少不定
(
らうせうふぢやう
)
だの、何時死ぬかも知れないのと、妙なことばかり言つたさうですよ。
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
串戲
(
じようだん
)
ぢやない。
汝
(
おめえ
)
、
靴
(
くつ
)
が
惜
(
をし
)
けりや、
俺
(
おれ
)
だつて
衣服
(
きもの
)
が
惜
(
をし
)
いや。いくら
新
(
あたら
)
しい
靴
(
くつ
)
だつて
泥
(
どろ
)
がついてら、
氣
(
き
)
をつけねえか。」と、けぐめを
啖
(
くら
)
はす。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
東京
(
とうきやう
)
はまだ
寒
(
さむ
)
いでせう」と
老師
(
らうし
)
が
云
(
い
)
つた。「
少
(
すこ
)
しでも
手掛
(
てがゝ
)
りが
出來
(
でき
)
てからだと、
歸
(
かへ
)
つたあとも
樂
(
らく
)
だけれども。
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
で」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
余
(
よ
)
も小千谷に遊びし時、此石を
視
(
み
)
て
話柄
(
はなしのたね
)
に一ツ
持帰
(
もちかへら
)
んとせしに、所の人のいふやう、此神
是石
(
このいし
)
を
惜
(
をし
)
み玉ふといひつたふときゝて取たるをもとの処へかへし
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
世
(
よ
)
にすぐれて
慈愛
(
じひ
)
に
富
(
と
)
める
人
(
ひと
)
、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
彼等
(
かれら
)
の
間
(
あひだ
)
に
此上
(
こよ
)
なく
愛
(
めで
)
重
(
おもん
)
せられて
居
(
を
)
つたので、
誰
(
たれ
)
とて
袂別
(
わかれ
)
を
惜
(
をし
)
まぬものはない、
然
(
しか
)
し
主人
(
しゆじん
)
の
濱島
(
はまじま
)
は
東洋
(
とうやう
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
風
(
ふう
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ヘヽー
成程
(
なるほど
)
、
何日
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に、
何
(
ど
)
うも
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りましたことで、
併
(
しか
)
し
私
(
わたくし
)
一人で
拝見
(
はいけん
)
いたしますのも
些
(
ち
)
と
惜
(
をし
)
いやうで、
彼所
(
あれ
)
に
詰合
(
つめあつ
)
て
居
(
ゐ
)
る
者共
(
ものども
)
にも一
応
(
おう
)
見せてやりたく
心得
(
こゝろえ
)
ますが……。
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
といふと、吉兵衛は女と金の事しか考へた事のない頭を、勿体ぶつて一寸
掉
(
ふ
)
つてみせた。そして一言一句が五十銭づつの値段でもするやうに、
出
(
だ
)
し
惜
(
をし
)
みをするらしく
緩
(
ゆつく
)
りした調子で
贋物
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
新聞雑誌の文芸記者の中には稀に保雄が永年の苦闘に同情して雑誌の廃刊を
惜
(
をし
)
んだ記事を掲げた人もあつたが、大抵は冷笑的口調で、保雄の雑誌は五年
前
(
ぜん
)
に既に生命を
亡
(
うしな
)
つて居たのだ
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
魚
(
うを
)
でも
生命
(
いのち
)
は
惜
(
をし
)
いといふ
事
(
こと
)
等
(
とう
)
であつた。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
この人の世を
惜
(
をし
)
まざる
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
二月の肌を
惜
(
をし
)
むのか。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
其方
儀
(
ぎ
)
專
(
せん
)
が親と成り傳吉が
無實
(
むじつ
)
の罪を助けんと
財
(
ざい
)
を
惜
(
をし
)
まず
眞實
(
しんじつ
)
の心より專を助け萬事に
心添
(
こゝろそへ
)
致し
遣
(
つか
)
はし候段
奇特
(
きどく
)
に
思
(
おぼ
)
し
召
(
めさ
)
るゝ旨
御賞詞
(
ごしやうし
)
有之
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それに折角賣り込んだ伜の名——二代目一刀齋は初代に
優
(
まさ
)
る名人——といふ名も
惜
(
をし
)
んでやりたう御座います。此儘私を
磔刑
(
はりつけ
)
なり獄門なりにして下さい。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
惜
(
をし
)
い
哉
(
かな
)
。すぐにもあとを
訪
(
たづ
)
ねないで……
晩方
(
ばんがた
)
散歩
(
さんぽ
)
に
出
(
で
)
て
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
は、
見附
(
みつけ
)
にも、お
濠
(
ほり
)
にも、たゞ
霧
(
きり
)
の
立
(
た
)
つ
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
に、それかとも
思
(
おも
)
ふ
影
(
かげ
)
が、
唯
(
たゞ
)
二
(
ふた
)
つ、
三
(
み
)
つ。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貧乏
(
びんばふ
)
な
所帶
(
しよたい
)
であれば
彼等
(
かれら
)
は
幾
(
いく
)
ら
少量
(
せうりやう
)
でも
不足
(
ふそく
)
をいはぬ。
然
(
しか
)
し
多少
(
たせう
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
ると
彼等
(
かれら
)
が
認
(
みと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
家
(
うち
)
でそれを
惜
(
をし
)
めば
彼等
(
かれら
)
は
不平
(
ふへい
)
を
訴
(
うつた
)
へて
止
(
や
)
まぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
余
(
よ
)
も小千谷に遊びし時、此石を
視
(
み
)
て
話柄
(
はなしのたね
)
に一ツ
持帰
(
もちかへら
)
んとせしに、所の人のいふやう、此神
是石
(
このいし
)
を
惜
(
をし
)
み玉ふといひつたふときゝて取たるをもとの処へかへし
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼
(
かれ
)
は
今更
(
いまさら
)
ながら
彼
(
かれ
)
の
級友
(
きふいう
)
が、
彼
(
かれ
)
の
侮蔑
(
ぶべつ
)
に
値
(
あたひ
)
する
以上
(
いじやう
)
のある
動機
(
どうき
)
から、
貴重
(
きちよう
)
な
時間
(
じかん
)
を
惜
(
をし
)
まずに、
相國寺
(
しやうこくじ
)
へ
行
(
い
)
つたのではなからうかと
考
(
かんが
)
へ
出
(
だ
)
して、
自分
(
じぶん
)
の
輕薄
(
けいはく
)
を
深
(
ふか
)
く
耻
(
は
)
ぢた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
話
(
はなし
)
の
間
(
あひだ
)
に、
輕氣球
(
けいきゝゆう
)
は、かの
恐
(
おそ
)
ろしき
山
(
やま
)
と
森
(
もり
)
と
谷
(
たに
)
と、
又
(
ま
)
た
惜
(
をし
)
む
可
(
べ
)
き——
然
(
さ
)
れど
今
(
いま
)
は
要
(
えう
)
なき
鐵檻車
(
てつおりぐるま
)
とを
後
(
あと
)
にして、
風
(
かぜ
)
のまに/\
空中
(
くうちう
)
を
飛行
(
ひかう
)
して、
其日
(
そのひ
)
午後
(
ごゞ
)
三
時
(
じ
)
四十
分
(
ぷん
)
項
(
ごろ
)
、
吾等
(
われら
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
といふと、吉兵衛は女と金の事しか考へた事のない頭を、勿体ぶつて一寸
掉
(
ふ
)
つてみせた。そして一言一句が五十銭づつの値段でもするやうに、
出
(
だ
)
し
惜
(
をし
)
みをするらしく
緩
(
ゆつく
)
りした調子で
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
金
(
かね
)
を
腹
(
はら
)
ん
中
(
なか
)
い
入
(
い
)
れちまつてモウ
誰
(
たれ
)
にも取られる
気遣
(
きづかひ
)
がないから安心して死んだのだが
何
(
ど
)
うも
強慾
(
がうよく
)
な
奴
(
やつ
)
もあつたもんだな、
是
(
これ
)
が
所謂
(
いはゆる
)
有財餓鬼
(
うざいがき
)
てえんだらう、
何
(
なに
)
しろ
此儘
(
このまゝ
)
葬
(
はう
)
むつて
了
(
しま
)
ふのは
惜
(
をし
)
いや
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
正午に碇を抜く迄彼等は
別
(
わかれ
)
を
惜
(
をし
)
むのである。(十二月一日)
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
我も
惜
(
をし
)
めば花も惜し。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
お淺に訊くと、骨身を
惜
(
をし
)
まずよく働く上、少し
偏屈
(
へんくつ
)
ですが正直者で、皆んなに重寶がられてゐるといふことです。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
惜
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“惜”を含む語句
可惜
口惜
愛惜
最惜
負惜
名残惜
残惜
骨惜
惜気
不惜身命
哀惜
殘惜
物惜
口惜涙
惜別
惜氣
口惜紛
惜哉
愛好惜
惜毛
...