をし)” の例文
をしまずなげきしが偖ては前夜の夢は此前兆ぜんてうにて有りけるか然し憑司殿か案内こそ心得ぬ豫て役人をこしらへての惡巧わるだくみか如何せんとひとり氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれさへあらずば無事ぶじなるべきにと、各々おの/\わがいのちをしあまりに、そのほつするにいたるまで、怨恨うらみ骨髓こつずゐてつして、法華僧ほつけそうにくへり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
必要ひつえうなは卯平うへい丈夫ぢやうぶつていた。それからかべるのにはあひだいて二三にちかゝつた。勘次かんじ有繋さすが勞力らうりよくをしまなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
櫻は過ぎたが、遊び足りない江戸の人達は、ゆく春ををしんで、ほろ醉心地のその日/\を送つてゐるやうな、ウラウラとした日が續きます。
菱山ひしやまの事をいふにつきて此書の事をおもひいだせしが、かゝる精撰大成せいせんたいせいしよむなしく秘笈ひきうにありてにしられざるがをしければこゝにいへり。
買つてくれとはれないやうにきず見出みいだして、をしことにはうもぢくににゆうがりますとつてにゆうなぞを見出みいださなくツちやアいかねえ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それをしことでした」とこたへた。すると主人しゆじんそのいぬブリードやら血統けつとうやら、時々とき/″\かりれてことや、色々いろ/\ことはなはじめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「オヽ、飛んだことを、何の長二や、寂しいことがあるものか、多勢寄つて来るので、夜も寝るのがをしい程にぎやかだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
これは完全に善良なる市民の資格を放棄はうきしたと見るべきである。善良なる市民たると同時に勇敢なる自警団じけいだんの一員たる僕は菊池の為にをしまざるを得ない。
一刻を争ひ寸陰ををしむ現代人にその様な手ぬるい形式をつて居る事は作者も読者も堪へ得ない事だ、今日こんにちなほ従来の文法を守つて居るのは馬鹿の骨頂こつちあうだと云ふ主張から
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ながいことお馴染なじみ友伯父ともをぢさんが東京とうきやうつてしまふので、おうちにはとりもおわかれををしんでたのでせう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一隊いつたい三十有餘名いうよめい三年さんねん以來いらい馴染なじみ水兵等すいへいらは、わかれをしまんとて、輕氣球けいきゝゆう周圍ぐるり取卷とりまいたが、たれ一言いちごんはつするものい、なかには感慨かんがいきはまつて、なみだながしたものもあつた。
そして強くふり放せば倒れさうなのを加減して、形ばかり勢ひよくふり放した時、自分の手と女の手とがぎやくにつるりとすべり合つたので、その肌のすべツこさがをしめた。
をつとおもはずをそらした。すつかり弱味よわみかれたかんじで内心ないしんまゐつた。が、そこでつま非難ひなんをすなほにけとるためにはをつと氣質きしつはあまりに我儘わがままで、をしみがつよかつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そこで内心ないしん非常ひじやうおどろいたけれどなほも石を老叟らうそうわたすことはをしいので色々いろ/\あらそふた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
珍らしい働き手で、酒男さかをとこと一緒に倉に入つてせつせと稼いだから、身代しんだいは太る一方だつたが、太るだけの物は道修繕みちなほし橋普請はしふしんといつたやうな公共事業に費して少しもをしまなかつた。
のち商業学校せうげふがくかうてんじて、中途ちうとから全然すつかりふでたうじて、いまでは高田商会たかだせうくわいに出てりますが、硯友社けんいうしやためにはをしい人をころしてしまつたのです、もつとも本人の御為おためには其方そのはう結搆けつかうであつたのでせう
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は必しも金ををしむといふのではないが、自分の腕にツて自己の存立そんりつを保證されるまで、其金に依ツて自己をささへて行かなければならぬかと思むと、勢きりつめ主義にもなるのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
湖や暑さををしむ雲の峰 同
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
きぬればててをしまず。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なにをしみさしもたゆたふ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なにかはをしままし
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時ををしめり。
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
をしみたり
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
未練みれんをしみてとも思召おぼしめさんくるしさよとおもひやりてはしづおもいだしてはむせかへみとはなんゆめにもわすれてるものは人生じんせいきといふきの數々かず/\るものは無意むい無心むしん春夏秋冬しゆんかしうとう落花らくくわ流水りうすゐちりてながれてかへなみとしまたとし今日けふこゝろけやする明日あすおもひのはなれやするあは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
切りて迯行にげゆき候と申けるに奧田殿扨々さて/\それをしき事なり然らば切たる袖は後の證據とならん是へとて右の袖を見らるゝに辨慶縞べんけいじま單物ひとへものふるきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はたけ作主さくぬしその損失そんしつ以外いぐわいにそれををしこゝろからかげいきほはげしくおこらうともそれはかへりみるいとまたない。勘次かんじせた茄子畑なすばたけもさうしておそはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いざ娘のお信乃を出すとき、父親の伊八が別れををしんで、——老少不定らうせうふぢやうだの、何時死ぬかも知れないのと、妙なことばかり言つたさうですよ。
串戲じようだんぢやない。おめえくつをしけりや、おれだつて衣服きものをしいや。いくらあたらしいくつだつてどろがついてら、をつけねえか。」と、けぐめをくらはす。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
東京とうきやうはまださむいでせう」と老師らうしつた。「すこしでも手掛てがゝりが出來できてからだと、かへつたあともらくだけれども。をしことで」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
も小千谷に遊びし時、此石を話柄はなしのたねに一ツ持帰もちかへらんとせしに、所の人のいふやう、此神是石このいしをしみ玉ふといひつたふときゝて取たるをもとの処へかへし
春枝夫人はるえふじんにすぐれて慈愛じひめるひと日出雄少年ひでをせうねん彼等かれらあひだ此上こよなくめでおもんせられてつたので、たれとて袂別わかれをしまぬものはない、しか主人しゆじん濱島はまじま東洋とうやう豪傑がうけつふう
ヘヽー成程なるほど何日いつに、うもおそりましたことで、しかわたくし一人で拝見はいけんいたしますのもをしいやうで、彼所あれ詰合つめあつ者共ものどもにも一おう見せてやりたく心得こゝろえますが……。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
といふと、吉兵衛は女と金の事しか考へた事のない頭を、勿体ぶつて一寸つてみせた。そして一言一句が五十銭づつの値段でもするやうに、をしみをするらしくゆつくりした調子で
贋物 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
新聞雑誌の文芸記者の中には稀に保雄が永年の苦闘に同情して雑誌の廃刊ををしんだ記事を掲げた人もあつたが、大抵は冷笑的口調で、保雄の雑誌は五年ぜんに既に生命をうしなつて居たのだ
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
うをでも生命いのちをしいといふこととうであつた。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この人の世ををしまざる
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二月の肌ををしむのか。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
其方せんが親と成り傳吉が無實むじつの罪を助けんとざいをしまず眞實しんじつの心より專を助け萬事に心添こゝろそへ致しつかはし候段奇特きどくおぼめさるゝ旨御賞詞ごしやうし有之
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それに折角賣り込んだ伜の名——二代目一刀齋は初代にまさる名人——といふ名もをしんでやりたう御座います。此儘私を磔刑はりつけなり獄門なりにして下さい。
をしかな。すぐにもあとをたづねないで……晩方ばんがた散歩さんぽときは、見附みつけにも、おほりにも、たゞきりみづうへに、それかともおもかげが、たゞふたつ、つ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貧乏びんばふ所帶しよたいであれば彼等かれらいく少量せうりやうでも不足ふそくをいはぬ。しか多少たせう財産ざいさんいうしてると彼等かれらみとめてうちでそれををしめば彼等かれら不平ふへいうつたへてまぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
も小千谷に遊びし時、此石を話柄はなしのたねに一ツ持帰もちかへらんとせしに、所の人のいふやう、此神是石このいしをしみ玉ふといひつたふときゝて取たるをもとの処へかへし
かれ今更いまさらながらかれ級友きふいうが、かれ侮蔑ぶべつあたひする以上いじやうのある動機どうきから、貴重きちよう時間じかんをしまずに、相國寺しやうこくじつたのではなからうかとかんがして、自分じぶん輕薄けいはくふかぢた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はなしあひだに、輕氣球けいきゝゆうは、かのおそろしきやまもりたにと、をしき——れどいまえうなき鐵檻車てつおりぐるまとをあとにして、かぜのまに/\空中くうちう飛行ひかうして、其日そのひ午後ごゞ四十ぷんごろ吾等われらふたゝ
といふと、吉兵衛は女と金の事しか考へた事のない頭を、勿体ぶつて一寸つてみせた。そして一言一句が五十銭づつの値段でもするやうに、をしみをするらしくゆつくりした調子で
かねはらなかれちまつてモウたれにも取られる気遣きづかひがないから安心して死んだのだがうも強慾がうよくやつもあつたもんだな、これ所謂いはゆる有財餓鬼うざいがきてえんだらう、なにしろ此儘このまゝはうむつてしまふのはをしいや
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
正午に碇を抜く迄彼等はわかれをしむのである。(十二月一日)
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
我もをしめば花も惜し。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
お淺に訊くと、骨身ををしまずよく働く上、少し偏屈へんくつですが正直者で、皆んなに重寶がられてゐるといふことです。