)” の例文
みみずは、おもいきりいきながいて、ジーイ、ジーイ、といい、かえるは、ふとく、みじかく、コロ、コロ、といって、うたっていました。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのわすがたあぢかされて、ことくが——たび思出おもひだしては、歸途かへりがけに、つい、かされる。——いつもかへとき日暮ひぐれになる。
といいながら、はちをつかんでげますと、したから人間にんげん姿すがたあらわれたので、びっくりして、はなしてげていってしまいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そしてがっかりくたびれたあしりながら竹早町から同心町の界隈かいわいをあてどもなくうろうろ駆けまわってまた喜久井町に戻って来た。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そのうまがさ、わしべつうまめづらしうもないが、白痴殿ばかどの背後うしろかしこまつて手持不沙汰てもちぶさたぢやからいまいてかうとするとき椽側えんがはへひらりと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かたつかんで、ぐいとった。そので、かおさかさにでた八五ろうは、もう一おびって、藤吉とうきち枝折戸しおりどうちきずりんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
何だかまた現実世界にり込まれるような気がして、少しく失望した。長蔵さんは自分が黙って橋のむこうのぞき込んでるのを見て
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おつかはいくらもかけねえつちやつたから、まあだまるつきりあたらしいやうだろ、どうしたランプまつとこつちへしてせえまあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
若者わかものこころよけ、ただちにその準備したくにかかりました。もっと準備したくってもべつにそううるさい手続てつづきのあるのでもなんでもございませぬ。
「ふん、坊主ばうずか」とつてりよしばらかんがへたが、「かくつてるから、こゝへとほせ」とけた。そして女房にようばうおくませた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ところがすこつたとき、嘉十かじふはさつきのやすんだところに、手拭てぬぐひわすれてたのにがつきましたので、いそいでまたかへしました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
床も天井もがしたまま、壁は落され、の灰は掻き廻され、戸棚も箪笥たんすも引っくり返して、千両箱の行方を捜した様子です。
苦情くじようみましたので、まやかしものといふことがわかつて、これもたちまかへされ、皇子みこ大恥おほはぢをかいてきさがりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
顏色かほいろ蒼白あをじろく、姿すがたせて、初中終しよつちゆう風邪かぜやすい、少食せうしよく落々おち/\ねむられぬたち、一ぱいさけにもまはり、往々まゝヒステリーがおこるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
けられぬなれば恩愛おんあいおもきにかれて、くるまにはりけれど、かゝるとき氣樂きらく良人おつと心根こゝろねにくゝ、今日けふあたり沖釣おきづりでもものをと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は突然湯河の手頸てくびつかんでぐいと肩でドーアを押しながら明るい家の中へり込んだ。電燈に照らされた湯河の顔は真青だった。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
バルブレンはわたしの耳をって、先にわたしを中へつっこんでおいて、自分もあとからはいって、ドアをぴしゃりと立てた。
ボートから十メートルほど左の、しおがのこした海草の上に、二個の死体が、一つはあおむけに、一つはうつぶせに横たわっている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
と、五百之進は、われを忘れて、東儀と羅門のたもとをつかんだ。その顔いろは、武士でなければ大声で泣きたいように、れていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伯父をぢさんはもうこまつてしまつて、とうさんのめておび手拭てぬぐひゆはひつけ、その手拭てぬぐひとうさんをいてくやうにしてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
門を出る頃には、もう弟子の誰彼に追ひつかれて、うはぱりは滅茶々々にたくられ、若者の手には片袖一つしか残つてゐなかつた。
グレ さうよなァ、頸根くびねは、ろうなら、頸輪コラー首枷くびかせ)からッこいてゐるがよいてや。(罪人にはならぬがよいてや)。
が自分の傍からこの精霊を退散させる力が自分にないと同様に、この覆い物をくるだけの力がどうしても彼にはなかった。
それを私が認めると同時にその強盗らも認めたと見え、両人は立ち上って受け取った物だけさらいある方向へ逃げ去ってしまったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
何処へも出ずに自分の部屋にこもったまま、きのうお前に送ってもらった本の中から、希臘悲劇集ギリシアひげきしゅうをとりだして、それを自分の前に据え
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
その畜生ちくしやうおとされるとは、なにかの因縁いんえんちがひございません。それは石橋いしばしすこさきに、なが端綱はづないたままみちばたの青芒あをすすきつてりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私からたくり取った鞄を、片手にヨチヨチと、くわかついで通りかかった下男が、またその鞄を受取って、甥を取り巻いてはなを垂らしながら
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
やま全体ぜんたいうごいたやうだつた。きふ四辺あたり薄暗うすくらくなり、けるやうなつめたかぜうなりがおこつてきたので、おどろいたラランは宙返ちうがへりしてしまつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
しかし、よしたとえ、明かに、事実は妻を死の中へり込もうとしているとしても、果して、事実は常に事実であろうか。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それでものあつて誘かすやうに、其の柔な肉付に、つやのある頭髪かみに、むつちりしたちゝに、形の好い手足に心をき付けられた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『誠に濟まんことを致しました。んなら次ぎのくだりでおへし下さりましたら。』と、車掌は無恰好ぶかつかうみ手をした。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ひさりであなたにお目にかゝつてそのおしやくいたゞくのはお祖師様そしさまあはせでございませう、イエたんとはいたゞきません。
いろいろたずねてみるとようすがわるい、きゅうに医者いしゃにも見せたがまにあわなく、そのうちまもなくいきった。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
松男君まつおくん比良夫君ひらおくんんだ。そして足掛あしかけでたおそうとしたが、比良夫君ひらおくん相撲すもう選手せんしゅだから、ぎゃくこしをひねって松男君まつおくんしてしまった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
B ぼくか。ぼく政治せいぢ關係くわんけいがないのだから、そんなことはどうでもいゝ。しか事苟こといやしくも葉書はがきくわんする以上いじやう其點そのてんいさゝぼく注意ちういいてるのだがな。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
彼等かれらつぎなにをするかしら!おろせるならまどからわたしおろしてれゝばいが!もうなが此麽こんなところたくない!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
せがれはよくよくぎたる大鎌を手にして近より来たり、まず左の肩口を目がけてぐようにすれば、鎌の刃先はさきうえ火棚ひだなっかかりてよくれず。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
湖上住居こじようじゆうきよは、しかし新石器時代しんせつきじだいばかりでなく、ぎの青銅器時代せいどうきじだいまでもきつゞいておこなはれてゐたことは、湖水こすい一番いちばんふかそこからは石器せつき發見はつけんされ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それはとりもなほさず樹木じゆもくあいし、いてはやまをもあいすることになつて、國家こつか安榮あんえいをつくることになるからです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
われわれは山へむもよい、塵界じんかいを去るもよいが、それが理想を養う必要条件では断じてない。理想は心の作用さようである、実際は身体の作用である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「あつちとおなじでいゝのよ。おねがひするわ。宿賃やどちんだけ余計よけいになるけど。」とひながら、道子みちこ一歩一歩ひとあしひとあしをとこ橋向はしむかうくらはうへとつてかうとする。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
西にしそらはいま、みどろなぬまのやうに、まつゆふやけにたゞれてゐた。K夫人ふじんつて西窓にしまどのカーテンをいた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
が、惡戯いたづら氣分きぶんになつて、をつとかなかつた。そして、なほもはちからだにつつきかかると、すぐくちばし松葉まつばみついた。不思議ふしぎにあたりがしづかだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いわんや人事不省の社長を第二の人がったとか、または強制的に社長を歩かしめて自殺せしめたとかいうことは決して考えられないのであります。
((孫子))(三二)輜車ししやうちり、して計謀けいぼうす。田忌でんきへいいててうかんとほつす。孫子そんしいは
ヴェリチャーニノフはやにわに躍りあがって、この惡たれ小僧の耳朶をんもいでやりたくてならなかった。
石山さんが隣村の葬式に往って居ると娘がけて来て、作代が逃げ出すと云うので、石山さんはあわてゝ葬式の場からしりっからげて作代引とめに走って行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこではさきほどの百姓の兄弟にあたる人があみをしていました。鳩はあしの中にとまって歌いました。
盗賊とうぞくどもははらを立てて、人形の首をきぬき、手足をもぎ取って、本堂ほんどうすみっこにてていたのです。それを見てさるは、おにの人形の中からどなりつけました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
かみさんはおかみさんで、どもたちきつれて御亭主ごていしゆ立去たちさつたあとへ、ちがひにやつてました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)