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引
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ひ
ふりがな文庫
“
引
(
ひ
)” の例文
みみずは、
思
(
おも
)
いきり
息
(
いき
)
を
長
(
なが
)
く
引
(
ひ
)
いて、ジーイ、ジーイ、といい、かえるは、
太
(
ふと
)
く、
短
(
みじか
)
く、コロ、コロ、といって、うたっていました。
春の真昼
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其
(
その
)
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
き
味
(
あぢ
)
に
引
(
ひ
)
かされて、
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
は
行
(
ゆ
)
くが——
行
(
ゆ
)
く
度
(
たび
)
に
思出
(
おもひだ
)
しては、
歸途
(
かへりがけ
)
に、つい、
泣
(
な
)
かされる。——いつも
歸
(
かへ
)
る
時
(
とき
)
は
日暮
(
ひぐれ
)
になる。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
といいながら、
鉢
(
はち
)
をつかんで
引
(
ひ
)
き
上
(
あ
)
げますと、
下
(
した
)
から
人間
(
にんげん
)
の
姿
(
すがた
)
が
現
(
あらわ
)
れたので、びっくりして、
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して
逃
(
に
)
げていってしまいました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そしてがっかり
疲
(
くたび
)
れた
脚
(
あし
)
を
引
(
ひ
)
き
擦
(
ず
)
りながら竹早町から同心町の
界隈
(
かいわい
)
をあてどもなくうろうろ駆けまわってまた喜久井町に戻って来た。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
其
(
その
)
馬
(
うま
)
がさ、
私
(
わし
)
も
別
(
べつ
)
に
馬
(
うま
)
は
珍
(
めづ
)
らしうもないが、
白痴殿
(
ばかどの
)
の
背後
(
うしろ
)
に
畏
(
かしこま
)
つて
手持不沙汰
(
てもちぶさた
)
ぢやから
今
(
いま
)
引
(
ひ
)
いて
行
(
ゆ
)
かうとする
時
(
とき
)
椽側
(
えんがは
)
へひらりと
出
(
で
)
て
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
肩
(
かた
)
を
掴
(
つか
)
んで、ぐいと
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
った。その
手
(
て
)
で、
顔
(
かお
)
を
逆
(
さか
)
さに
撫
(
な
)
でた八五
郎
(
ろう
)
は、もう一
度
(
ど
)
帯
(
おび
)
を
把
(
と
)
って、
藤吉
(
とうきち
)
を
枝折戸
(
しおりど
)
の
内
(
うち
)
へ
引
(
ひ
)
きずり
込
(
こ
)
んだ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
何だかまた現実世界に
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
り込まれるような気がして、少しく失望した。長蔵さんは自分が黙って橋の
向
(
むこう
)
を
覗
(
のぞ
)
き込んでるのを見て
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おつかは
幾
(
いく
)
らも
引
(
ひ
)
つ
掛
(
かけ
)
ねえつちやつたから、まあだまるつきり
新
(
あたら
)
しいやうだ
見
(
み
)
ろ、どうした
手
(
て
)
ランプまつとこつちへ
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せえまあ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
若者
(
わかもの
)
は
快
(
こころよ
)
く
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
け、
直
(
ただ
)
ちにその
準備
(
したく
)
にかかりました。
尤
(
もっと
)
も
準備
(
したく
)
と
言
(
い
)
っても
別
(
べつ
)
にそううるさい
手続
(
てつづき
)
のあるのでも
何
(
なん
)
でもございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「ふん、
坊主
(
ばうず
)
か」と
云
(
い
)
つて
閭
(
りよ
)
は
暫
(
しばら
)
く
考
(
かんが
)
へたが、「
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
逢
(
あ
)
つて
見
(
み
)
るから、こゝへ
通
(
とほ
)
せ」と
言
(
い
)
ひ
附
(
つ
)
けた。そして
女房
(
にようばう
)
を
奧
(
おく
)
へ
引
(
ひ
)
つ
込
(
こ
)
ませた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ところが
少
(
すこ
)
し
行
(
い
)
つたとき、
嘉十
(
かじふ
)
はさつきのやすんだところに、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
忘
(
わす
)
れて
来
(
き
)
たのに
気
(
き
)
がつきましたので、
急
(
いそ
)
いでまた
引
(
ひ
)
つ
返
(
かへ
)
しました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
床も天井も
引
(
ひ
)
き
剥
(
は
)
がしたまま、壁は落され、
炉
(
ろ
)
の灰は掻き廻され、戸棚も
箪笥
(
たんす
)
も引っくり返して、千両箱の行方を捜した様子です。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
苦情
(
くじよう
)
を
持
(
も
)
ち
込
(
こ
)
みましたので、まやかしものといふことがわかつて、これも
忽
(
たちま
)
ち
突
(
つ
)
っ
返
(
かへ
)
され、
皇子
(
みこ
)
は
大恥
(
おほはぢ
)
をかいて
引
(
ひ
)
きさがりました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
顏色
(
かほいろ
)
は
蒼白
(
あをじろ
)
く、
姿
(
すがた
)
は
瘠
(
や
)
せて、
初中終
(
しよつちゆう
)
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
き
易
(
やす
)
い、
少食
(
せうしよく
)
で
落々
(
おち/\
)
眠
(
ねむ
)
られぬ
質
(
たち
)
、一
杯
(
ぱい
)
の
酒
(
さけ
)
にも
眼
(
め
)
が
廻
(
まは
)
り、
往々
(
まゝ
)
ヒステリーが
起
(
おこ
)
るのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
分
(
わ
)
けられぬ
身
(
み
)
なれば
恩愛
(
おんあい
)
の
重
(
おも
)
きに
引
(
ひ
)
かれて、
車
(
くるま
)
には
乘
(
の
)
りけれど、かゝる
時
(
とき
)
氣樂
(
きらく
)
の
良人
(
おつと
)
が
心根
(
こゝろね
)
にくゝ、
今日
(
けふ
)
あたり
沖釣
(
おきづ
)
りでも
無
(
な
)
き
物
(
もの
)
をと
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は突然湯河の
手頸
(
てくび
)
を
掴
(
つか
)
んでぐいと肩でドーアを押しながら明るい家の中へ
引
(
ひ
)
き
擦
(
ず
)
り込んだ。電燈に照らされた湯河の顔は真青だった。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
バルブレンはわたしの耳を
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
って、先にわたしを中へつっこんでおいて、自分もあとからはいって、ドアをぴしゃりと立てた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ボートから十メートルほど左の、
引
(
ひ
)
き
潮
(
しお
)
がのこした海草の上に、二個の死体が、一つはあおむけに、一つはうつぶせに横たわっている。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
と、五百之進は、われを忘れて、東儀と羅門の
袂
(
たもと
)
をつかんだ。その顔いろは、武士でなければ大声で泣きたいように、
引
(
ひ
)
ッ
吊
(
つ
)
れていた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伯父
(
をぢ
)
さんはもう
困
(
こま
)
つてしまつて、
父
(
とう
)
さんの
締
(
し
)
めて
居
(
ゐ
)
る
帶
(
おび
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
を
結
(
ゆは
)
ひつけ、その
手拭
(
てぬぐひ
)
で
父
(
とう
)
さんを
引
(
ひ
)
いて
行
(
い
)
くやうにして
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
門を出る頃には、もう弟子の誰彼に追ひつかれて、
上
(
うは
)
つ
被
(
ぱり
)
は滅茶々々に
引
(
ひ
)
つ
奪
(
たく
)
られ、若者の手には片袖一つしか残つてゐなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
グレ さうよなァ、
頸根
(
くびね
)
ッ
子
(
こ
)
は、
成
(
な
)
ろうなら、
頸輪
(
コラー
)
(
首枷
(
くびかせ
)
)から
引
(
ひ
)
ッこ
拔
(
ぬ
)
いてゐるがよいてや。(罪人にはならぬがよいてや)。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
が自分の傍からこの精霊を退散させる力が自分にないと同様に、この覆い物を
引
(
ひ
)
き
剥
(
め
)
くるだけの力がどうしても彼にはなかった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
それを私が認めると同時にその強盗らも認めたと見え、両人は立ち上って受け取った物だけ
引
(
ひ
)
っ
攫
(
さら
)
いある方向へ逃げ去ってしまったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何処へも出ずに自分の部屋に
引
(
ひ
)
き
籠
(
こも
)
ったまま、きのうお前に送ってもらった本の中から、
希臘悲劇集
(
ギリシアひげきしゅう
)
をとりだして、それを自分の前に据え
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その
畜生
(
ちくしやう
)
に
落
(
おと
)
されるとは、
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんえん
)
に
違
(
ちが
)
ひございません。それは
石橋
(
いしばし
)
の
少
(
すこ
)
し
先
(
さき
)
に、
長
(
なが
)
い
端綱
(
はづな
)
を
引
(
ひ
)
いた
儘
(
まま
)
、
路
(
みち
)
ばたの
青芒
(
あをすすき
)
を
食
(
く
)
つて
居
(
を
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私から
引
(
ひ
)
っ
攫
(
たく
)
り取った鞄を、片手にヨチヨチと、
鍬
(
くわ
)
を
担
(
かつ
)
いで通りかかった下男が、またその鞄を受取って、甥を取り巻いて
洟
(
はな
)
を垂らしながら
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
山
(
やま
)
全体
(
ぜんたい
)
が
動
(
うご
)
いたやうだつた。
急
(
きふ
)
に
四辺
(
あたり
)
が
薄暗
(
うすくら
)
くなり、
引
(
ひ
)
き
裂
(
さ
)
けるやうな
冷
(
つめた
)
い
風
(
かぜ
)
の
唸
(
うな
)
りが
起
(
おこ
)
つてきたので、
驚
(
おどろ
)
いたラランは
宙返
(
ちうがへ
)
りしてしまつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
しかし、よし
譬
(
たと
)
え、明かに、事実は妻を死の中へ
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
り込もうとしているとしても、果して、事実は常に事実であろうか。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それで
魔
(
もの
)
あつて誘かすやうに、其の柔な肉付に、
艶
(
つや
)
のある
頭髪
(
かみ
)
に、むつちりした
乳
(
ちゝ
)
に、形の好い手足に心を
引
(
ひ
)
き付けられた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
『誠に濟まんことを致しました。
何
(
な
)
んなら次ぎの
下
(
くだ
)
りでお
引
(
ひ
)
ツ
返
(
か
)
へし下さりましたら。』と、車掌は
無恰好
(
ぶかつかう
)
に
揉
(
も
)
み手をした。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りであなたにお目にかゝつてそのお
酌
(
しやく
)
で
頂
(
いたゞ
)
くのはお
祖師様
(
そしさま
)
の
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せでございませう、イエたんとは
頂
(
いたゞ
)
きません。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いろいろたずねてみるとようすがわるい、きゅうに
医者
(
いしゃ
)
にも見せたがまにあわなく、そのうちまもなく
息
(
いき
)
を
引
(
ひ
)
き
取
(
と
)
った。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
松男君
(
まつおくん
)
が
比良夫君
(
ひらおくん
)
に
引
(
ひ
)
っ
組
(
く
)
んだ。そして
足掛
(
あしか
)
けで
倒
(
たお
)
そうとしたが、
比良夫君
(
ひらおくん
)
は
相撲
(
すもう
)
の
選手
(
せんしゅ
)
だから、
逆
(
ぎゃく
)
に
腰
(
こし
)
をひねって
松男君
(
まつおくん
)
を
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
してしまった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
B
僕
(
ぼく
)
か。
僕
(
ぼく
)
は
政治
(
せいぢ
)
に
關係
(
くわんけい
)
がないのだから、そんな
事
(
こと
)
はどうでもいゝ。
然
(
しか
)
し
事苟
(
こといやし
)
くも
葉書
(
はがき
)
に
關
(
くわん
)
する
以上
(
いじやう
)
、
其點
(
そのてん
)
で
聊
(
いさゝ
)
か
僕
(
ぼく
)
の
注意
(
ちうい
)
を
引
(
ひ
)
いてるのだがな。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
『
彼等
(
かれら
)
は
次
(
つぎ
)
に
何
(
なに
)
をするかしら!
引
(
ひ
)
き
下
(
おろ
)
せるなら
窓
(
まど
)
から
私
(
わたし
)
を
引
(
ひ
)
き
下
(
おろ
)
して
呉
(
く
)
れゝば
好
(
い
)
いが!もう
長
(
なが
)
く
此麽
(
こんな
)
處
(
ところ
)
に
居
(
ゐ
)
たくない!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
倅
(
せがれ
)
はよくよく
磨
(
と
)
ぎたる大鎌を手にして近より来たり、まず左の肩口を目がけて
薙
(
な
)
ぐようにすれば、鎌の
刃先
(
はさき
)
炉
(
ろ
)
の
上
(
うえ
)
の
火棚
(
ひだな
)
に
引
(
ひ
)
っかかりてよく
斬
(
き
)
れず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
湖上住居
(
こじようじゆうきよ
)
は、しかし
新石器時代
(
しんせつきじだい
)
ばかりでなく、
次
(
つ
)
ぎの
青銅器時代
(
せいどうきじだい
)
までも
引
(
ひ
)
きつゞいて
行
(
おこな
)
はれてゐたことは、
湖水
(
こすい
)
の
一番
(
いちばん
)
深
(
ふか
)
い
底
(
そこ
)
からは
石器
(
せつき
)
が
發見
(
はつけん
)
され
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
それはとりもなほさず
樹木
(
じゆもく
)
を
愛
(
あい
)
し、
引
(
ひ
)
いては
山
(
やま
)
をも
愛
(
あい
)
することになつて、
國家
(
こつか
)
の
安榮
(
あんえい
)
をつくることになるからです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
われわれは山へ
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
むもよい、
塵界
(
じんかい
)
を去るもよいが、それが理想を養う必要条件では断じてない。理想は心の
作用
(
さよう
)
である、実際は身体の作用である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「あつちと
同
(
おな
)
じでいゝのよ。お
願
(
ねが
)
ひするわ。
宿賃
(
やどちん
)
だけ
余計
(
よけい
)
になるけど。」と
言
(
い
)
ひながら、
道子
(
みちこ
)
は
一歩一歩
(
ひとあしひとあし
)
男
(
をとこ
)
を
橋向
(
はしむかう
)
の
暗
(
くら
)
い
方
(
はう
)
へと
引
(
ひ
)
ツ
張
(
ぱ
)
つて
行
(
ゆ
)
かうとする。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
はいま、
血
(
ち
)
みどろな
沼
(
ぬま
)
のやうに、まつ
紅
(
か
)
な
夕
(
ゆふ
)
やけに
爛
(
たゞ
)
れてゐた。K
夫人
(
ふじん
)
は
立
(
た
)
つて
西窓
(
にしまど
)
のカーテンを
引
(
ひ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
が、
惡戯
(
いたづら
)
氣分
(
きぶん
)
になつて、
夫
(
をつと
)
は
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
かなかつた。そして、なほも
蜂
(
はち
)
の
體
(
からだ
)
につつ
突
(
つ
)
きかかると、すぐ
嘴
(
くちばし
)
が
松葉
(
まつば
)
に
噛
(
か
)
みついた。
不思議
(
ふしぎ
)
にあたりが
靜
(
しづ
)
かだつた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
いわんや人事不省の社長を第二の人が
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
ったとか、または強制的に社長を歩かしめて自殺せしめたとかいうことは決して考えられないのであります。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
((孫子))
(三二)
輜車
(
ししや
)
の
中
(
うち
)
に
居
(
を
)
り、
坐
(
ざ
)
して
計謀
(
けいぼう
)
を
爲
(
な
)
す。
田忌
(
でんき
)
、
兵
(
へい
)
を
引
(
ひ
)
いて
趙
(
てう
)
に
之
(
ゆ
)
かんと
欲
(
ほつ
)
す。
孫子
(
そんし
)
曰
(
いは
)
く
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
ヴェリチャーニノフはやにわに躍りあがって、この惡たれ小僧の耳朶を
引
(
ひ
)
んもいでやりたくてならなかった。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
石山さんが隣村の葬式に往って居ると娘が
駈
(
か
)
けて来て、作代が逃げ出すと云うので、石山さんは
遽
(
あわ
)
てゝ葬式の場から
尻
(
しり
)
引
(
ひ
)
っからげて作代引とめに走って行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そこではさきほどの百姓の兄弟にあたる人が
引
(
ひ
)
き
網
(
あみ
)
をしていました。鳩は
蘆
(
あし
)
の中にとまって歌いました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
盗賊
(
とうぞく
)
どもは
腹
(
はら
)
を立てて、人形の首を
引
(
ひ
)
きぬき、手足をもぎ取って、
本堂
(
ほんどう
)
の
隅
(
すみ
)
っこに
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
てて
置
(
お
)
いたのです。それを見て
猿
(
さる
)
は、
鬼
(
おに
)
の人形の中からどなりつけました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
お
上
(
かみ
)
さんはお
上
(
かみ
)
さんで、
子
(
こ
)
ども
達
(
たち
)
を
引
(
ひ
)
きつれて
御亭主
(
ごていしゆ
)
の
立去
(
たちさ
)
つたあとへ、
入
(
い
)
れ
違
(
ちが
)
ひにやつて
來
(
き
)
ました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
“引”の解説
引(いん、yǐn)は中国の伝統的な長さの単位である。1丈の10倍にあたる。実際の長さは時代によって異なる。
『漢書』律暦志に「度者、分・寸・尺・丈・引也。……十分為寸、十寸為尺、十尺為丈、十丈為引。」と見える。
1929年に市制が定められたときには「引」も定義されており、100尺 = 100/3メートル(約33.3m)であった。しかしあまり使われることはなく、中華人民共和国の市制では定義されていない。
(出典:Wikipedia)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
“引”を含む語句
引掛
引剥
誘引
引返
引退
引被
引込
引張
引立
引裂
股引
引懸
引廻
引籠
引越
引取
引傾
承引
引摺
引掴
...