もよほ)” の例文
それからいよ/\問題もんだいおほきくひろがつて、大學人類學教室だいがくじんるゐがくけうしつで『彌生式研究會やよひしきけんきうくわい』がひらかれ、其結果そのけつくわとして、加瀬探檢かせたんけん遠足會えんそくくわいもよほされた。
深川の三十三間堂は、京の三十三間堂をして造つたもので、維新近くまで通し矢のもよほしがあり、矢數帳やかずちやうが今でも遺つてをります。
調とゝのへ來り左右とかくもの事はいはひ直さばきよきちへんずべしと申すゝめ兩人して酒宴しゆえんもよほせしが靱負ゆきへは元よりすきさけゆゑ主が氣轉きてんあつがんに氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
げにも浮世うきよ音曲おんぎよく師匠ししやうもとしかるべきくわいもよほことわりいはれぬすぢならねどつらきものは義理ぎりしがらみ是非ぜひたれて此日このひ午後ひるすぎより
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あと宿しゆくあたりになにもよほしがあつて、其處そこばれた、なにがしまちえりぬきとでもふのが、ひとさきか、それともつぎえきかへるのであらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遠くのはうから飴売あめうり朝鮮笛てうせんぶえひゞき出した。笛のは思ひがけないところで、めうふしをつけて音調おんてうを低めるのが、言葉にへない幽愁いうしうもよほさせる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
がたうはござりますが、不調法ぶてうほふでござりますし、それに空腹くうふくもよほしましたで。‥‥』と、玄竹げんちくはペコ/\になつたはら十徳じつとくうへからおさへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
その晩は、駐屯軍司令官の招待で、晩餐会がもよほされました。地方の名士も幾組か夫人令嬢同伴でその席につらなりました。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
すると今度こんどかはづ歩兵ほへいが、おなおごそかな口調くてう繰返くりかへしました、たゞわづ言葉ことばじゆんへて、『女王樣ぢよわうさまより。球投まりなげのおもよほしあるにつき公爵夫人こうしやくふじんへの御招待状ごせうたいじやう
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
現今げんこんでは精神病者せいしんびやうしや治療ちれう冷水れいすゐそゝがぬ、蒸暑むしあつきシヤツをせぬ、さうして人間的にんげんてき彼等かれら取扱とりあつかふ、すなは新聞しんぶん記載きさいするとほり、彼等かれらために、演劇えんげき舞蹈ぶたふもよほす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
遠慮ゑんりよ女房等にようばうらにおしなはなしをされるのはいたづらに哀愁あいしうもよほすにぎないのであるが、またぼうにははなしをしてもらひたいやうな心持こゝろもちもしてならぬことがあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なんでもそれによると、Hの教師をしてゐる学校が昨日きのふ赤坂あかさかの或御茶屋で新年会をもよほしたのださうである。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此噺このはなし日外いつぞやしも日待ひまちとき開始ひらきはじめしより、いざや一くわいもよほさんと、四方赤良大人よものあからうし朱楽管江大人あけらくわんかううし鹿都辺真顔しかつべまがほ大屋おほや裏住うらずみ竹杖たけづゑ為軽すがる、つむりの光、宿屋やどや飯盛めしもりを始めとして
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しづかな境内けいだい入口いりくちつたかれは、はじめて風邪ふうじや意識いしきする場合ばあひ一種いつしゆ惡寒さむけもよほした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わざと知らせて馬鹿ばかがらせてよろこばせれば、大面先生おほづらせんせい横平よこひらたく、其面そのつらまはし、菊塢きくう可笑をかしやつだ、今度の会は彼処あすこもよほしてやらうと有難ありがたくない御託宣ごたくせん、これが諸方しよはう引札ひきふだとなり、聞人達もんじんたち引付ひきつけ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
『あら、父君おとつさん單獨ひとり何處どこへいらつしやつたの、もうおかへりにはならないのですか。』と母君はゝぎみ纎手りすがると春枝夫人はるえふじん凛々りゝしとはいひ、女心をんなごゝろのそゞろにあはれもよほして、愁然しゆうぜん見送みおく良人をつと行方ゆくかた
軍兵ぐんぴやう數多あまたもよほされて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
第一に呼出されたのは、當夜の勸進元くわんじんもとで、このもよほしの金主で、お妙のパトロンになつて居る、神田鍛冶町の金貸、佐渡屋金兵衞。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
もよほしける次の間なる吉兵衞は色々と思案し只此上は我膽力わがたんりよく渠等かれらに知らせ首尾しゆびよくはからば毒藥もかへつて藥になる時あらん此者共を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
全く石川島いしかはじまの工場をうしろにして幾艘となく帆柱を連ねて碇泊するさま/″\な日本風の荷船や西洋形の帆前船ほまへせんを見ればおのづと特種の詩情がもよほされる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かぜかれてた、のやうな旅人たびびとも、おのづからあはれをもよほし、挨拶あいさつまをすうちに、ついそのさそはれて。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つち保有ほいうすべき水分すゐぶんがそれほど蒸發じようはつつくしてもわたあひだ西風にしかぜけつしてそらに一てきあめさへもよほさせぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はじかれ寒氣さむけおぼえ、吐氣はきけもよほして、異樣いやう心地惡こゝちあしさが指先ゆびさきまで染渡しみわたると、なにからあたま突上つきあげてる、さうしてみゝおほかぶさるやうながする。あをひかり閃付ちらつく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うをかほした歩兵ほへい其腋そのわきしたからほとんど自分じぶん身長せいぐらゐもありさうなおほきな手紙てがみして、れをモ一人ひとり歩兵ほへい手渡てわたしながらおごそかな口調くてうで、※公爵夫人こうしやくふじんもと毬投まりなげのおもよほしあるに
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たしとおもはゞかはごと芝居しばゐきもれかは苦情くぜうまをすべき、花見はなみ月見つきみ旦那だんなさまもよほてゝ、ともらぬるそでたのしみ、おかへりのおそとき何處どこまでも電話でんわをかけて、よるくるとも寐給ねたまはず
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
多度津たどつへ着いて、金毘羅こんぴらへ參つて、其處で二晩泊つて、鞘橋さやはしの上で魚のやすいのに驚いたりして、善通寺から丸龜へ出て、其處から便所のない和船に乘つて、つうじをもよほしたのをこらへ/\て備中びつちゆうへ渡つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
殺すはもなし拙僧の儀は御氣遣おきづかひあるべからず呉々くれ/″\小姓共は仕損じ給ふなと約束やくそくし夫より酒宴をもよほし四方山の雜談ざふだんに時を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「第一、元日から大晦日おほみそかまで、お祭やもよほし事のない日はなく、何處かに火事があつて、何處かで喧嘩が始まつて」
……おどりもよほしとへば、園遊會ゑんいうくわいかなんぞで、灰色はひいろ黄色きいろ樺色かばいろの、いたちきつねたぬきなかにはくまのやうなのもまじつた大勢おほぜいに、引𢌞ひきまはされ、掴立つかみたてられ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
演藝會えんげいくわいやらがもよほされるが、しか彼等かれらをしてまつた開放かいはうすることは出來できないではいか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其他そのたには薩摩琵琶歌さつまびはうただの漢詩朗吟らうぎんなぞも存在しているが、此れも同じく色彩の極めて単純な日本特有の背景と一致した場合、初歩期の単調が、ある粗朴そぼくな悲哀の美感をもよほさせるばかりである。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「御町内から江戸川べりの娘達を集めて盆踊りのもよほしがあつたよ。奧方の御望みでな——、踊り子には一人百疋づつの御祝儀が出た上大した御馳走でな——」
……間違まちがつたら、ゆるしツこ、たしか、たう時事新報じじしんぱうもよほしであつたとおもふ。……二人ふたりともまだ玄關げんくわんたが、こんなこと大好だいすきだから柳川やながは見物けんぶつ參觀さんくわんか、參觀さんくわんした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此間の運座の會は長崎屋のもよほし、今度の花見は倉賀屋の受持で、騷々しいからと幇間ほうかん末社は呼ばず。
銭形平次捕物控:167 毒酒 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
引斷ひきちぎりては舌鼓したうちして咀嚼そしやくし、たゝみともはず、敷居しきゐともいはず、吐出はきいだしてはねぶさまは、ちらとるだに嘔吐おうどもよほし、心弱こゝろよわ婦女子ふぢよし後三日のちみつかしよくはいして、やまひざるはすくなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嘔氣はきけもよほすやうな不愉快な心持になりましたが、お靜の安否あんぴが心もとないので、もう一度ギヤーマンの穴から覗くと、廣間は廣々と取片付けられて、白日の光が一杯にさし込み
暴風雨あらしいくさもよほすならむ、その一團いちだんはやすで沿岸えんがんやまいたゞきたむろせり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「誰かが、わざと寶搜しの中へ小判を投げ込んで、次のもよほしのゑさにしたとは思はないか」
この秋はあの茶碗の披露で一席もよほし、知つてゐる誰れ彼れを驚かしてやらう。
アクの強いもよほしにノコノコ出掛けて行く日頃の平次ではなかつたのです。
世の中の好奇心の方はかへつてさかんで、こんな會をもよほすと、江戸中の文身自慢は言ふに及ばず、のみした跡のやうな文身を持つて居る人間までが、見物旁々やつて來るといふ騷ぎだつたのです。
それを取卷くのは味噌摺り俳諧師はいかいしに、野幇間のだいこ繪描き、貧乏御家人と言つた顏觸れで、そんな手合を呼び集め總勢二十三人、昨夜ののちの月、即ち九月十三夜の月見の宴を白鬚の寮にもよほしたのでした。