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もよほ
げにも
浮世か
音曲の
師匠の
許に
然るべき
曾の
催し
斷りいはれぬ
筋ならねどつらきものは
義理の
柵是非と
待たれて
此日の
午後より
後の
宿あたりに
何か
催しがあつて、
其處へ
呼ばれた、なにがし
町の
選ぬきとでも
言ふのが、
一つ
先か、それとも
次の
驛へ
歸るのであらう。
遠くの
方から
飴売の
朝鮮笛が
響き出した。笛の
音は思ひがけない
処で、
妙な
節をつけて
音調を低めるのが、言葉に
云へない
幽愁を
催させる。