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眼前
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がんぜん
ふりがな文庫
“
眼前
(
がんぜん
)” の例文
その
姿
(
すがた
)
のちらりと
眼前
(
がんぜん
)
に
起
(
おこ
)
つた時、またかと云ふ具合に、すぐ
切
(
き
)
り棄てゝ仕舞つた。同時に彼は自己の生活力の不足を劇しく感じた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
このとき、どこからか、さっと
雲
(
くも
)
のような
灰色
(
はいいろ
)
の
影
(
かげ
)
が、
眼前
(
がんぜん
)
をさえぎったかと
思
(
おも
)
うと、たちまち
網
(
あみ
)
が
頭
(
あたま
)
からかかってしまいました。
すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
過渡期
(
かとき
)
の時代はあまり長くはなかった。
糟谷
(
かすや
)
が
眼前
(
がんぜん
)
咫尺
(
しせき
)
の
光景
(
こうけい
)
にうつつをぬかしているまに、
背後
(
はいご
)
の時代はようしゃなく
推移
(
すいい
)
しておった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
まったく! 目を
瞠
(
みは
)
るまでもなく、つい
眼前
(
がんぜん
)
に、高らかに、
咽喉
(
のど
)
ふくらまして唄っている
裸形
(
らぎょう
)
のうちに、彼が最愛の息子利助がいたのだ!
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
家のため主公のためとあれば
必敗必死
(
ひっぱいひっし
)
を
眼前
(
がんぜん
)
に見てなお
勇進
(
ゆうしん
)
するの一事は、三河武士全体の特色、徳川家の家風なるがごとし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
さて、
眼前
(
がんぜん
)
にまだ
一攻
(
ひとせ
)
めいたす
桑名城
(
くわなじょう
)
もござるゆえ、ゆるりとお話もいたしかねるが、お迎えもうしお返しせねばならぬ
一品
(
ひとしな
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腰
(
こし
)
に
佩
(
たばさ
)
み此
青壯年
(
あをにさい
)
いざ行やれと
罵
(
のゝし
)
りつゝ
泣臥
(
なきふ
)
し居たる千太郎を
引立々々
(
ひきたて/\
)
行んとすれば
此方
(
こなた
)
は
胸
(
むね
)
に
釘
(
くぎ
)
打思ひ
眼前
(
がんぜん
)
養父の
預
(
あづか
)
り金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ただ
茫然
(
ぼうぜん
)
として私は、
眼前
(
がんぜん
)
の不思議に雨に濡れて
突立
(
つった
)
っていた。花の吉野の落花の雨の代りに、大和路で金銀の色の
夕立雨
(
ゆうだちあめ
)
にぬれたのであった。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
彼
(
かれ
)
は
眼前
(
がんぜん
)
に
氷
(
こほり
)
が
閉
(
と
)
ぢては
毎日
(
まいにち
)
暖
(
あたゝか
)
い
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
に
溶解
(
ようかい
)
されるのを
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た。
彼
(
かれ
)
にはそれが
只
(
たゞ
)
さういふ
現象
(
げんしやう
)
としてのみ
眼
(
め
)
に
映
(
うつ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
当時
(
とうじ
)
の
私
(
わたくし
)
には、せめて一
度
(
ど
)
でも
眼前
(
がんぜん
)
に
自分
(
じぶん
)
の
遺骸
(
いがい
)
を
見
(
み
)
なければ、
何
(
なに
)
やら
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
て
居
(
い
)
るような
気持
(
きもち
)
で、あきらめがつかなくて
仕方
(
しかた
)
がないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
幻花子
(
げんくわし
)
も
新聞
(
しんぶん
)
の
方
(
はう
)
が
忙
(
いそが
)
しいので、
滅多
(
めつた
)
に
來
(
こ
)
ず。
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
時々
(
とき/″\
)
掘
(
ほ
)
り
始
(
はじ
)
めの
處
(
ところ
)
へ
立
(
た
)
つては、
往事
(
むかし
)
を
追懷
(
つひくわい
)
すると、
其時
(
そのとき
)
の
情景
(
じやうけい
)
が
眼前
(
がんぜん
)
に
彷彿
(
ほうふつ
)
として
見
(
み
)
えるのである。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
何
(
なん
)
だか
是
(
これ
)
が
又
(
また
)
彼
(
かれ
)
には
只事
(
たゞごと
)
でなく
怪
(
あや
)
しく
思
(
おも
)
はれて、
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つてからも一
日中
(
にちぢゆう
)
、
彼
(
かれ
)
の
頭
(
あたま
)
から
囚人
(
しうじん
)
の
姿
(
すがた
)
、
銃
(
じゆう
)
を
負
(
お
)
ふてる
兵卒
(
へいそつ
)
の
顏
(
かほ
)
などが
離
(
はな
)
れずに、
眼前
(
がんぜん
)
に
閃付
(
ちらつ
)
いてゐる
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
刻
(
きざ
)
むに
佳
(
い
)
い
枝
(
えだ
)
や、
幹
(
みき
)
や、と
目
(
め
)
を
光
(
ひか
)
らす……これも
眼前
(
がんぜん
)
、
魔
(
ま
)
に
心
(
こゝろ
)
を
通
(
かよ
)
はす
挙動
(
きよどう
)
の
如
(
ごと
)
くに
見
(
み
)
えたであらう。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ボラギノールの薬壜? そいつは僕の
眼前
(
がんぜん
)
に見えるタッタ一本の縄だ、この一本の縄があるばかりに、僕はたちまち今日から何をなすべきかということを教えられている」
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
雷
(
らい
)
のごとく
騒
(
さわ
)
ぎ
立
(
た
)
つ数千の反対者を
眼前
(
がんぜん
)
に
列
(
なら
)
べて、平然と
構
(
かま
)
えて、いかに
罵詈讒謗
(
ばりざんぼう
)
を
浴
(
あび
)
せても、どこの
空
(
そら
)
を風が吹く
底
(
てい
)
の顔付きで落着き払って議事を進行せしめたその態度と
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
とものマストは二日まえに吹き折られて、その
根元
(
ねもと
)
だけが四
尺
(
しゃく
)
ばかり、
甲板
(
かんぱん
)
にのこっている、たのむはただ前方のマストだけである、しかもこのマストの運命は
眼前
(
がんぜん
)
にせまっている。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
兎
(
と
)
にも
角
(
かく
)
にも
非凡
(
ひぼん
)
の
智能
(
ちのう
)
と
遠大
(
えんだい
)
の
目的
(
もくてき
)
とを
有
(
いう
)
する
氏
(
し
)
の
事
(
こと
)
なれば、
何時
(
いつ
)
意外
(
いぐわい
)
の
方面
(
はうめん
)
より
意外
(
いぐわい
)
の
大功績
(
だいこうせき
)
を
齎
(
もた
)
らして
再
(
ふたゝ
)
び
吾人
(
ごじん
)
の
眼前
(
がんぜん
)
に
現
(
あら
)
はれ
來
(
きた
)
るやも
知
(
し
)
る
可
(
べ
)
からず、
刮目
(
くわつもく
)
して
待
(
ま
)
つ
可
(
べ
)
きなり。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
西伯利亜
(
シベリア
)
の景色お気に入りしと思ふ」と云ふ
大連
(
たいれん
)
の
平野万里
(
ひらのまり
)
さんから
寄越
(
よこ
)
したものであつた。伊藤公の狙撃されたと云ふ
場処
(
ばしよ
)
に立つて、
其
(
その
)
日
眼前
(
がんぜん
)
に見た話を
軍司
(
ぐんじ
)
氏の語るのを聞いた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
海龜
(
うみがめ
)
は
深
(
ふか
)
くも
長太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて、その
眼前
(
がんぜん
)
に
懸
(
かゝ
)
れる一
枚
(
まい
)
の
屏風岩
(
べうぶいは
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せました。
彼
(
かれ
)
は
愛
(
あい
)
ちやんの
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
て、
談話
(
はなし
)
をしやうとしましたが、
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
、
歔欷
(
すゝりなき
)
のために
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が
出
(
で
)
ませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
殆んど眼にもとまらないような特色が残りなく自分の
眼前
(
がんぜん
)
に
髣髴
(
ほうふつ
)
として浮かび
上
(
あが
)
るまでは、じっと精神を緊張させていなければならず、しかもあまり探求に凝って過敏になった眼というものは
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ところが
去來
(
いざ
)
取懸
(
とりかか
)
ツて見ると、
些
(
ちつ
)
とも
豫期
(
よき
)
した
調子
(
てうし
)
が出て來ない。頭の中に描かれた作品と、
眼前
(
がんぜん
)
に描出される作品とは
鉛
(
なまり
)
と
鋼鉄
(
かうてつ
)
ほどの
相違
(
さうゐ
)
がある。周三は自分ながら自分の腕の
鈍
(
なまくら
)
なのに
呆返
(
あきれかへ
)
ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
され共喜作は
食糧
(
しよくれう
)
の不足を
憂
(
うれ
)
ふるにも
拘
(
かかは
)
らず、己が
負
(
お
)
ふ所の一斗五升の米を
棄
(
す
)
て
来
(
きた
)
れり、心に其
不埒
(
ふらち
)
を
憤
(
いきど
)
ると雖も、
溌剌
(
はつらつ
)
たる良魚の
眼前
(
がんぜん
)
に在るあるを以て衆唯其
風流
(
ふうりう
)
を
笑
(
わら
)
ふのみ、既に此好下物あり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
讓の
眼前
(
がんぜん
)
には永久の闇が来た。女達の笑う声がまた一しきり聞えた。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
同時
(
どうじ
)
に
眼前
(
がんぜん
)
に
眺
(
なが
)
めて
一種
(
いつしゆ
)
の
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれるのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
不思議
(
ふしぎ
)
や
黄雲
(
くわううん
)
遽然
(
にはかに
)
蒸
(
む
)
して
眼前
(
がんぜん
)
に
聚
(
あつま
)
りぬ、
主從
(
しゆうじう
)
之
(
これ
)
に
打
(
うち
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
森閑
(
しんかん
)
として人の
気合
(
けわい
)
のない往来をホテルまで、影のように歩いて来て、今までの
派出
(
はで
)
なスキ焼を
眼前
(
がんぜん
)
に浮かべると、やはり小説じみた心持がした。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先刻よりお菊は無念
堪
(
こら
)
へしが思はずワツと泣出しお前はな/\
強欲
(
がうよく
)
非道
(
ひだう
)
の大惡人今
眼前
(
がんぜん
)
母樣の御命に迄
係
(
かゝは
)
る
難儀
(
なんぎ
)
其
(
それ
)
を見返らぬのみならず
罪科
(
つみとが
)
もなき母樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何
(
なん
)
だかこれがまた
彼
(
かれ
)
には
只事
(
ただごと
)
でなく
怪
(
あや
)
しく
思
(
おも
)
われて、
家
(
いえ
)
に
帰
(
かえ
)
ってからも一
日中
(
にちじゅう
)
、
彼
(
かれ
)
の
頭
(
あたま
)
から
囚人
(
しゅうじん
)
の
姿
(
すがた
)
、
銃
(
じゅう
)
を
負
(
お
)
うてる
兵卒
(
へいそつ
)
の
顔
(
かお
)
などが
離
(
はな
)
れずに、
眼前
(
がんぜん
)
に
閃付
(
ちらつ
)
いている
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
靖国神社
(
やすくにじんじゃ
)
の
神殿
(
しんでん
)
の
前
(
まえ
)
へひざまずいて、
清作
(
せいさく
)
さんは、
低
(
ひく
)
く
頭
(
あたま
)
をたれたときには、すでに
討死
(
うちじに
)
して
護国
(
ごこく
)
の
英霊
(
えいれい
)
となった、
戦友
(
せんゆう
)
の
気高
(
けだか
)
い
面影
(
おもかげ
)
がありありと
眼前
(
がんぜん
)
にうかんできて
村へ帰った傷兵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たちまち見る、
眼前
(
がんぜん
)
の
銀河
(
ぎんが
)
、ドウッ——と
噴霧
(
ふんむ
)
を白くたてて、
宙天
(
ちゅうてん
)
の
闇
(
やみ
)
から滝壺へそそいでいる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
体能
(
ていよ
)
く礼を述べて断りましたが、その問答応接の間、私は
眼前
(
がんぜん
)
に子供を見てその行末を思い、又
顧
(
かえり
)
みて自分の身を思い、一進一退これを決断するには
随分
(
ずいぶん
)
心を悩ましました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
が、
私
(
わたくし
)
の
心
(
こころ
)
は、モーその
時分
(
じぶん
)
には、
思
(
おも
)
いの
外
(
ほか
)
に
落付
(
おちつ
)
いて
了
(
しま
)
って、
現世
(
げんせ
)
に
別
(
わか
)
れるのがそう
悲
(
かな
)
しくもなく、
黙
(
だま
)
って
眼
(
め
)
を
瞑
(
つぶ
)
ると、
却
(
かえ
)
って
死
(
し
)
んだ
良人
(
おっと
)
の
顔
(
かお
)
がスーッと
眼前
(
がんぜん
)
に
現
(
あら
)
われて
来
(
く
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
作
(
さく
)
の
出来栄
(
できばえ
)
を
予想
(
よさう
)
して、
放
(
はな
)
つ
薫
(
かほり
)
、
閃
(
ひら
)
めく
光
(
ひかり
)
の
如
(
ごと
)
く
眼前
(
がんぜん
)
に
露
(
あら
)
はれた
此
(
こ
)
の
彫像
(
てうざう
)
の
幻影
(
げんえい
)
は、
悪魔
(
あくま
)
が
手
(
て
)
に、
帯
(
おび
)
を
奪
(
うば
)
はうとして、
成
(
な
)
らず、
衣
(
きぬ
)
を
解
(
と
)
かうとして、
得
(
え
)
ず、
縛
(
いまし
)
められても
悩
(
なや
)
まず、
鞭
(
むちう
)
つても
痛
(
いた
)
まず
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
下界
(
げかい
)
を
見
(
み
)
ると
眼
(
まなこ
)
も
眩
(
くら
)
むばかりで、
限
(
かぎ
)
りなき
大洋
(
たいやう
)
の
面
(
めん
)
には、
波瀾
(
はらん
)
激浪
(
げきらう
)
立騷
(
たちさわ
)
ぎ、
數萬
(
すまん
)
の
白龍
(
はくりよう
)
の
一時
(
いちじ
)
に
跳
(
をど
)
るがやうで、ヒユー、ヒユーと
帛
(
きぬ
)
を
裂
(
さ
)
くが
如
(
ごと
)
き
風
(
かぜ
)
の
聲
(
こゑ
)
と
共
(
とも
)
に、
千切
(
ちぎ
)
つた
樣
(
やう
)
な
白雲
(
はくうん
)
は
眼前
(
がんぜん
)
を
掠
(
かす
)
めて
飛
(
と
)
ぶ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それをひょいと
曲
(
まが
)
ると、イキナリ
眼前
(
がんぜん
)
に
展
(
ひろ
)
げられた異常な風景!
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
われらが俗に画と称するものは、ただ
眼前
(
がんぜん
)
の人事風光をありのままなる姿として、もしくはこれをわが審美眼に
漉過
(
ろくか
)
して、
絵絹
(
えぎぬ
)
の上に移したものに過ぎぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
討取
(
うちとり
)
幸之進殿に
手向
(
たむけ
)
進
(
まゐ
)
らせ
度
(
たし
)
一ツには
行末
(
ゆくすゑ
)
永
(
なが
)
き浪人の身の上母公の養育にもさし
支
(
つか
)
へるは
眼前
(
がんぜん
)
なり且敵を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夜の明けるまで飜訳したが、
是
(
こ
)
れはマアどうなる事だろうか、大変な事だと
窃
(
ひそか
)
に心配した所が、その翌々二十一日には将軍が
危急
(
ききゅう
)
存亡の大事を
眼前
(
がんぜん
)
に見ながら
其
(
そ
)
れを
棄
(
す
)
てゝ
置
(
おい
)
て上洛して
仕舞
(
しま
)
うた。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
博士は
眼前
(
がんぜん
)
にひらける
厳粛
(
げんしゅく
)
なる光景にうたれて、足がすくんだ。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうかと
思
(
おも
)
うと、
白髪
(
しらが
)
の
祖母
(
そぼ
)
の
顔
(
かお
)
が、
眼前
(
がんぜん
)
に
見
(
み
)
えて
風雨の晩の小僧さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
代助が
黙然
(
もくねん
)
として、
自己
(
じこ
)
は何の
為
(
ため
)
に
此世
(
このよ
)
の
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
たかを考へるのは
斯
(
か
)
う云ふ時であつた。彼は今迄何遍も此大問題を
捕
(
とら
)
へて、
彼
(
かれ
)
の
眼前
(
がんぜん
)
に据ゑ付けて見た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「今度はお
爺
(
じい
)
さまお爺さまって云われる時機が、もう
眼前
(
がんぜん
)
に
逼
(
せま
)
って来たんだ。油断はできません」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
同情の
宿
(
やど
)
るところやら、
憂
(
うれい
)
のこもるところやら、一歩進めて云えば失恋の苦しみそのものの
溢
(
あふ
)
るるところやらを、単に客観的に
眼前
(
がんぜん
)
に思い浮べるから文学美術の材料になる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実はぜんざいの何物たるかをさえ
弁
(
わきま
)
えぬ。
汁粉
(
しるこ
)
であるか
煮小豆
(
ゆであずき
)
であるか
眼前
(
がんぜん
)
に
髣髴
(
ほうふつ
)
する材料もないのに、あの赤い下品な
肉太
(
にくぶと
)
な字を見ると、京都を
稲妻
(
いなずま
)
の
迅
(
すみや
)
かなる
閃
(
ひらめ
)
きのうちに思い出す。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三味
(
しゃみ
)
の
音
(
ね
)
が思わぬパノラマを余の
眼前
(
がんぜん
)
に展開するにつけ、余は
床
(
ゆか
)
しい過去の
面
(
ま
)
のあたりに立って、二十年の昔に住む、
頑是
(
がんぜ
)
なき小僧と、成り済ましたとき、突然風呂場の戸がさらりと
開
(
あ
)
いた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は
昨夕
(
ゆふべ
)
の反動で、此陽気な空気の
中
(
なか
)
に
落
(
お
)
ちる自分の
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
が
苦
(
く
)
になつた。
広
(
ひろ
)
い
鍔
(
つば
)
の
夏帽
(
なつぼう
)
を
被
(
かぶ
)
りながら、早く
雨季
(
うき
)
に入れば
好
(
い
)
いと云ふ心持があつた。其
雨季
(
うき
)
はもう二三
日
(
にち
)
の
眼前
(
がんぜん
)
に
逼
(
せま
)
つてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分
(
じぶん
)
の
過去
(
くわこ
)
から
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
つてきた
運命
(
うんめい
)
や、
又
(
また
)
其
(
その
)
續
(
つゞ
)
きとして、
是
(
これ
)
から
自分
(
じぶん
)
の
眼前
(
がんぜん
)
に
展開
(
てんかい
)
されべき
將來
(
しやうらい
)
を
取
(
と
)
つて、キチナーと
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
のそれに
比
(
くら
)
べて
見
(
み
)
ると、
到底
(
たうてい
)
同
(
おな
)
じ
人間
(
にんげん
)
とは
思
(
おも
)
へない
位
(
ぐらゐ
)
懸
(
か
)
け
隔
(
へだ
)
たつてゐる。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“眼前”の意味
《名詞》
眼 前(がんぜん)
目の前。
(出典:Wiktionary)
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
“眼前”で始まる語句
眼前焦眉