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勢
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いきほひ
ふりがな文庫
“
勢
(
いきほひ
)” の例文
つまり
河流
(
かりゆう
)
と
上汐
(
あげしほ
)
とが
河口
(
かこう
)
で
暫時
(
ざんじ
)
戰
(
たゝか
)
つて、
遂
(
つひ
)
に
上汐
(
あげしほ
)
が
勝
(
かち
)
を
占
(
し
)
め、
海水
(
かいすい
)
の
壁
(
かべ
)
を
築
(
きづ
)
きながらそれが
上流
(
じようりゆう
)
に
向
(
むか
)
つて
勢
(
いきほひ
)
よく
進行
(
しんこう
)
するのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
それに今、また新らしく彼を見たその瞬間に、それは自然に青々と
勢
(
いきほひ
)
づいて
甦
(
よみがへ
)
つて來たのだ! 彼は、私を眺めずに、私に戀させた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ズボリと
踏込
(
ふみこ
)
んだ
一息
(
ひといき
)
の
間
(
あひだ
)
は、
冷
(
つめた
)
さ
骨髓
(
こつずゐ
)
に
徹
(
てつ
)
するのですが、
勢
(
いきほひ
)
よく
歩行
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
るうちには
温
(
あたゝか
)
く
成
(
な
)
ります、ほか/\するくらゐです。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
を
見
(
み
)
ろとは、
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
の
神聖
(
しんせい
)
なる
警語
(
けいご
)
で、
其
(
その
)
堂々
(
だう/\
)
たる
冲天
(
ちゆうてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
と、
其
(
その
)
飽
(
あ
)
くまで
氣高
(
けだ
)
かい
精神
(
せいしん
)
と、これが
此警語
(
このけいご
)
の
意味
(
いみ
)
です。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
揺
(
うご
)
く
勢
(
いきほひ
)
に乗じて、我々の理想通りに文芸を導くためには、零砕なる個人を団結して、自己の運命を充実し発展し膨脹しなくてはならぬ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
今しも三人の若者が眼を
瞋
(
いか
)
らし、
拳
(
こぶし
)
を固めて、
勢
(
いきほひ
)
猛
(
まう
)
に打つて
蒐
(
かゝ
)
らうとして居るのを、傍の老人が
頻
(
しき
)
りにこれを
遮
(
さへぎ
)
つて居るところであつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
昔、
日野資朝
(
ひのすけとも
)
といふ
公卿
(
くぎやう
)
さんがあつた。わるい賊共が
勢
(
いきほひ
)
をふるつて、天皇さまは、山の中へ住まひしていらせられた頃であつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
さうすると
麥
(
むき
)
を
刈
(
か
)
つた
跟
(
あと
)
の
菽
(
まめ
)
や
陸穗
(
をかぼ
)
が
渇
(
かつ
)
した
口
(
くち
)
へ
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
を
獲
(
え
)
た
樣
(
やう
)
に
勢
(
いきほひ
)
づいて、四五
日
(
にち
)
の
内
(
うち
)
に
青
(
あを
)
い
葉
(
は
)
を
以
(
もつ
)
て
畑
(
はたけ
)
の
土
(
つち
)
が
寸隙
(
すんげき
)
もなく
掩
(
おほ
)
はれる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さう云ふ次第だから創作上の話になると——と云ふより文壇に関係した話になると、
勢
(
いきほひ
)
何時も我々の中では、久米が
牛耳
(
ぎうじ
)
を執る形があつた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兎角
(
とかく
)
する
程
(
ほど
)
に
結
(
むす
)
びの
綱
(
つな
)
は
解
(
と
)
かれて、
吾等
(
われら
)
兩人
(
りやうにん
)
を
乘
(
の
)
せたる
輕氣球
(
けいきゝゆう
)
は、
遂
(
つひ
)
に
勢
(
いきほひ
)
よく
昇騰
(
しようたう
)
をはじめた。
櫻木大佐等
(
さくらぎたいさら
)
は
一齊
(
いつせい
)
にハンカチーフを
振
(
ふ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
良兼は此の失敗に多く勇士を失ひ、気屈して、
勢
(
いきほひ
)
衰へ、
怏〻
(
あう/\
)
として楽まず、其後は何も
仕出
(
しいだ
)
し得ず、翌年天慶二年の六月上旬病死して
終
(
しま
)
つた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
是は蘭軒の条に云つた所と多少重複することを免れぬが、柏軒の学を明にするには、
勢
(
いきほひ
)
伊沢家学の源統より説き起さゞることを得ぬのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その面色、その
声音
(
こわね
)
! 彼は
言下
(
ごんか
)
に
皷怒
(
こど
)
して、その名に
躍
(
をど
)
り
被
(
かか
)
らんとする
勢
(
いきほひ
)
を示せば、愛子は
駭
(
おどろ
)
き、狭山は
懼
(
おそ
)
れて、何事とも知らず
狼狽
(
うろた
)
へたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
勢
(
いきほひ
)
の
自然
(
しぜん
)
と言つては
堅過
(
かたす
)
ぎるが、
成程
(
なるほど
)
江戸時代
(
えどじだい
)
から
考
(
かんが
)
へて見ても、
湯屋
(
ゆや
)
と
与太郎
(
よたらう
)
とは
横町
(
よこちやう
)
の
方
(
ほう
)
が
語呂
(
ごろ
)
がいゝ。(十八日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そして二人で手をたゝきながら、わい/\言つて、ついて走りました。水はすばらしい
勢
(
いきほひ
)
で流れました。とき/″\大きな
浪
(
なみ
)
がづしんとゆれました。
一本足の兵隊
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
勢
(
いきほひ
)
、つぎ・ひつぎの観念も発達して居なかつたと見える。信仰の変化から神格と人格との区別が考へられる様になつて、始めてつぎが現れたのである。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
とタルボツト氏は
資本
(
もとで
)
のかゝらない愛嬌笑ひを見せて馬に一鞭あてた。馬は急にワシントンとは昔馴染だつたやうな顔をして、
勢
(
いきほひ
)
よく駆け出さうとした。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
〔譯〕已むことを得ざるの
勢
(
いきほひ
)
に
動
(
うご
)
けば、則ち動いて
括
(
くわつ
)
せず。
枉
(
ま
)
ぐ可らざるの
途
(
みち
)
を
履
(
ふ
)
めば、則ち履んで
危
(
あやふ
)
からず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
浜崎を過ぐれば、ただちに玉島川の水瀬の音のさざれに響くを聴く、流の清く澄めること
比
(
たぐ
)
ひなし。
勢
(
いきほひ
)
海に尽きたる山脈を分ちて、筑前国、
怡土郡
(
いどごほり
)
と界す。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
自體
(
じたい
)
周三が、此の
繪
(
ゑ
)
を
描
(
か
)
き始めた時の
意氣込
(
いきごみ
)
と謂ツたら、それはすばらしい
勢
(
いきほひ
)
で、何でもすツかり
在來
(
ざいらい
)
の藝術を
放擲
(
うつちや
)
ツて、
新
(
あたら
)
しい藝術に入るのだと
誇稱
(
こしよう
)
して
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
(三六)
亢
(
かう
)
を
批
(
う
)
ち
虚
(
きよ
)
を
擣
(
つ
)
き、
(三七)
形
(
かたち
)
格
(
そむ
)
き
勢
(
いきほひ
)
禁
(
きん
)
ずれば、
則
(
すなは
)
ち
自
(
おのづか
)
ら
爲
(
た
)
めに
解
(
と
)
けん
耳
(
のみ
)
。
今
(
いま
)
梁
(
りやう
)
・
趙
(
てう
)
・
相攻
(
あひせ
)
む。
輕兵
(
けいへい
)
鋭卒
(
えいそつ
)
、
必
(
かなら
)
ず
外
(
そと
)
に
竭
(
つ
)
き、
(三八)
老弱
(
らうじやく
)
内
(
うち
)
に
罷
(
つか
)
れん。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
路傍
(
みちばた
)
に寝て
居
(
ゐ
)
る犬を
驚
(
おどろか
)
して
勢
(
いきほひ
)
よく
駈
(
か
)
け去つた車の
後
(
あと
)
に、えも
云
(
い
)
はれず
立迷
(
たちまよ
)
つた
化粧
(
けしやう
)
の
匂
(
にほ
)
ひが、いかに苦しく、いかに
切
(
せつ
)
なく
身中
(
みうち
)
にしみ渡つたであらう………。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
遠い所でかう云つた畑尾の
声
(
こひ
)
が鏡子の耳に響いた。
迸
(
ほどばし
)
るやうな
勢
(
いきほひ
)
で涙の出て来たのはこれと同時であつた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夜
(
よ
)
は
漸々
(
やう/\
)
に
深
(
ふか
)
くならんとす
人影
(
ひとかげ
)
ちらほらと
稀
(
まれ
)
になるを
雪
(
ゆき
)
はこゝ
一段
(
いちだん
)
と
勢
(
いきほひ
)
をまして
降
(
ふ
)
りに
降
(
ふ
)
れど
隱
(
かく
)
れぬものは
鍋燒饂飩
(
なべやきうどん
)
の
細
(
ほそ
)
く
哀
(
あは
)
れなる
聲
(
こゑ
)
戸
(
と
)
を
下
(
おろ
)
す
商家
(
しやうか
)
の
荒
(
あら
)
く
高
(
たか
)
き
音
(
おと
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それに
勢
(
いきほひ
)
を得て、二人の青侍も、必死の刄をかけ並べ、馬の三方を守つて、激しく切り合ひました。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勝平の眼が、段々狂暴な色を帯びると共に、彼は
勢
(
いきほひ
)
猛
(
まう
)
に瑠璃子に迫つて来た。彼女は、相手の激しい勢に圧されるやうにヂリ/\と
後退
(
あとずさ
)
りをせずにはゐられなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
こんな
海嘯
(
つなみ
)
などは、
到底
(
とうてい
)
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
で
防
(
ふせ
)
ぎ
止
(
と
)
めることは
出來
(
でき
)
ませんが、しかし、もし
海岸
(
かいがん
)
に
浴
(
そ
)
うて
帶
(
おび
)
のように
森林
(
しんりん
)
があれば、
非常
(
ひじよう
)
な
速力
(
そくりよく
)
でおし
寄
(
よ
)
せてくる
潮水
(
しほみづ
)
の
勢
(
いきほひ
)
を
殺
(
そ
)
ぎ
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
馬
描
(
か
)
かば前脚曲げて、蹄上げ、内腹蹴れと、尾の張りに力こめよ、跳ぶごとく描けよと見せぬ。土けぶり
後
(
あと
)
にあがらむ、
勢
(
いきほひ
)
や
和子
(
わこ
)
もかくあれ、早や描けと筆持たしめき。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
脅迫観念は刻刻時時に継子共の上を襲つた。その襲はれた人の中にすず子があつた。自分自身もをつた。
不知不識
(
しらずしらず
)
自分も
矯激
(
けうげき
)
な言動をするやうになつた。ものは
勢
(
いきほひ
)
である。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
ところが、表から
勢
(
いきほひ
)
よくはひつてきたセンイチの姿を見ると、彼女はあつと声を立てました。
悪魔の宝
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
一
體
(
たい
)
多數
(
たすう
)
の
人
(
ひと
)
が
集
(
あつま
)
つて一
家
(
か
)
を
組織
(
そしき
)
すれば
自然
(
しぜん
)
の
勢
(
いきほひ
)
として
多數人
(
たすうじん
)
の
便宜
(
べんぎ
)
といふ
事
(
こと
)
を
心掛
(
こゝろがけ
)
ねばなりません、
多數
(
たすう
)
に
都合
(
つがふ
)
の
宜
(
よろ
)
しいとやうにといふのが
畢竟
(
ひつきやう
)
規則
(
きそく
)
の
精神目的
(
せいしんもくてき
)
でありませう。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
二輌の車は
勢
(
いきほひ
)
よく走せて、やがて当夜の会場帝国ホテルにつき、電灯
花瓦
(
はながす
)
昼を
欺
(
あざむ
)
き、
紅灯
(
こうとう
)
空
(
くう
)
にかゝり、晴がましきこと云ふばかりもなき表門をばぐるりと廻りて、
脇門
(
わきもん
)
より入りぬ。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして、『あ、
上燗
(
じやうかん
)
だあ、上燗だあ』と云つてゐるところを父は話した。そこのところまで来ると父のこゑに一種の
勢
(
いきほひ
)
が加はつて子供等は目を大きくして父の顔を見たものである。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
鷹その
被物
(
かぶりもの
)
を
脱
(
と
)
らるれば、頭を動かし翼を
搏
(
う
)
ち、願ひと
勢
(
いきほひ
)
とを示すごとく 三四—三六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
此の頭
三三八
何ばかりの物ぞ。此の戸口に
充満
(
みちみち
)
て、雪を積みたるよりも白く
輝
(
きら
)
々しく、
眼
(
まなこ
)
は
鏡
(
かがみ
)
の如く、
角
(
つの
)
は
枯木
(
かれき
)
の
如
(
ごと
)
、三
尺
(
たけ
)
余りの口を開き、
紅
(
くれなゐ
)
の舌を
吐
(
は
)
いて、只一
呑
(
のみ
)
に飲むらん
勢
(
いきほひ
)
をなす。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
線香も絶え、軒先の蚊ばしらにまた
勢
(
いきほひ
)
もついて来たので、
蚊帳
(
かや
)
のなかに入らうとしてゐると、不意に玄関の戸がそつと開くのだ。
婆
(
ばあ
)
やは風呂へ入つてゐる。「
誰方
(
どなた
)
ですか」と声をかけて見た。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
捨て
皈
(
かへら
)
んも
惜
(
をし
)
ければその所にいたり柴の枝に手をかけ引上んとするにすこしも
動
(
うごか
)
ず、落たる
勢
(
いきほひ
)
に
撞
(
つき
)
いれたるならん、さらば
重
(
おもき
)
かたより引上んと
匍匐
(
はらばひ
)
して
双手
(
もろて
)
を
延
(
のば
)
し一声かけて上んとしたる時
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「初蕈はそんなに集まってないんです。」私も
勢
(
いきほひ
)
がついて言ひました。
二人の役人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
其処へ又警部が飛込んで来やがつて『解散を命ずるツ』てんよ、すると何でも
早稲田
(
わせだ
)
の書生さんテことだが、目を
剥
(
む
)
き出して怒つた、つかみ掛りサウな
勢
(
いきほひ
)
だつたが、少し年取つた人が手を抑へて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
蹈鞴
(
たゞら
)
しこふむ
勢
(
いきほひ
)
に、
遠
(
をち
)
の
砂山
(
すなやま
)
崩れたり。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
その先頭にたけりたつ、譬へば大雨
勢
(
いきほひ
)
を
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
勢
(
いきほひ
)
猛
(
たけ
)
き
鼓翼
(
はばたき
)
の
一搏
(
ひとうち
)
に
碎
(
くだ
)
き裂くべきか
白鳥
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
勢
(
いきほひ
)
龍
(
たつ
)
の行くごとく
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
又
何方
(
どつち
)
が負けたにした所で、
真
(
しん
)
が
勢
(
いきほひ
)
を失ふといふ事にもならず、美が
輝
(
かゞやき
)
を減ずるといふ
羽目
(
はめ
)
にも陥る危険はないぢやありませんか
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
昭和二年
(
しようわにねん
)
、
大噴火
(
だいふんか
)
をなしたときも
噴火口
(
ふんかこう
)
から
流
(
なが
)
れ
出
(
で
)
る
鎔岩
(
ようがん
)
が、
恰
(
あだか
)
も
溪水
(
たにみづ
)
の
流
(
なが
)
れのように
一瀉千里
(
いつしやせんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
を
以
(
もつ
)
て
駈
(
か
)
け
下
(
くだ
)
つたのである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
かれは殿様のやうにして、やわらか物に、いつも車といふ
勢
(
いきほひ
)
で、長野と故郷との間を往来した。村の娘達は皆な目を睜つてかれを目送した。
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
処
(
ところ
)
で、
一刻
(
いつこく
)
も
疾
(
はや
)
く
仕上
(
しあ
)
げにしやうと
思
(
おも
)
ふから、
飯
(
めし
)
も
手掴
(
てづか
)
みで、
水
(
みづ
)
で
嚥下
(
のみおろ
)
す
勢
(
いきほひ
)
、
目
(
め
)
を
据
(
す
)
えて
働
(
はたら
)
くので、
日
(
ひ
)
も
時間
(
じかん
)
も、
殆
(
ほと
)
んど
昼夜
(
ちうや
)
の
見境
(
みさかひ
)
はない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何時
(
いつ
)
危險
(
きけん
)
に
遭遇
(
さうぐう
)
して
遁
(
に
)
げて
來
(
き
)
ても、
一見
(
いつけん
)
して
其
(
その
)
所在
(
しよざい
)
が
分
(
わか
)
るやうに、
其處
(
そこ
)
には
私
(
わたくし
)
の
白
(
しろ
)
シヤツを
裂
(
さ
)
いて
目標
(
めじるし
)
を
立
(
た
)
て、
勢
(
いきほひ
)
を
込
(
こ
)
めて
少年
(
せうねん
)
と
共
(
とも
)
に
發足
(
ほつそく
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
腹
(
はら
)
に
在
(
あ
)
るだけのことをいはして
畢
(
しま
)
へば
彼等
(
かれら
)
はそれだけ
心
(
こゝろ
)
が
晴々
(
せいせい
)
として
勢
(
いきほひ
)
が
段々
(
だん/\
)
鈍
(
にぶ
)
つて
來
(
く
)
るので、
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
は
機嫌
(
きげん
)
もとつて
見
(
み
)
て
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
先生が蘭医方の漸く盛なる時に当つて、識らず知らずの間に身に漢医方存亡の責を負ふが如くなるに至つたのは、
勢
(
いきほひ
)
已
(
や
)
むことを得なかつたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“勢”を含む語句
気勢
威勢
大勢
多勢
勢力
姿勢
形勢
水勢
時勢粧
御勢
氣勢
無勢
勢揃
豪勢
上泉伊勢守
助勢
巨勢金岡
伊勢詣
小巨勢
人勢
...