眞直まつすぐ)” の例文
新字:真直
しかなほこれは眞直まつすぐ眞四角ましかくきつたもので、およそかゝかく材木ざいもくようといふには、そまが八にん五日いつかあまりもかゝらねばならぬとく。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此時このときいへいて、おほきなさら歩兵ほへいあたまうへ眞直まつすぐに、それからはなさきかすつて、背後うしろにあつた一ぽんあたつて粉々こな/″\こわれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そろへ與市にちがひなき由申ければ淡路守殿如何に勘兵衞其方儀かね怪敷あやしきかどこれあるにより取調とりしらべに及びし處海賊の與市に違ひなし眞直まつすぐに舊惡を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
再び空虚くうきよな沈默。時計が八時を打つた。その音に、我に歸つて、彼は、組合はせてゐた足を揃へ、眞直まつすぐに坐りなほすと、私の方を向いた。
まがると先程さきほど糸屋いとやまへ眞直まつすぐけば大通おほどほりへ仕舞しまひますたしか裏通うらどほりとおほせで御座ございましたが町名ちやうめいなんまをしますか夫次第それしだい大抵たいていわかりませうと問掛とひかけたり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其内そのうちじつとしてゐる身體からだも、膝頭ひざがしらからいたはじめた。眞直まつすぐばしてゐた脊髓せきずゐ次第々々しだい/\まへはうまがつてた。宗助そうすけ兩手りやうてひだりあしかふかゝえるやうにしてしたおろした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其の鈍色にぶいろを破ツて、處々に煤煙はいえん上騰のぼツてゐる。眞直まつすぐ衝騰つきのぼる勢が、何か壓力に支へられて、横にもなびかず、ムツクラ/\、恰で沸騰ふつとうでもするやうに、濃黒まつくろになツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
名越君と私はあちこち歩き𢌞つて其の全景をスクーリンに入れるべく苦心したが、どうも立木がはだかつてゐるし、さうでなくても瀑布が眞直まつすぐに連つてゐないので思ふ樣に撮れなかつた。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
大丈夫だいぢやうぶだとも、馬鈴薯じやがいもかくやうぢやその肥料こやしくはふから、いやくはとほくへすんぢや魂消たまげたもんだから、りもしねえのに肥料こやしはう眞直まつすぐにずうつとつかんな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
世界の中心に眞直まつすぐすぢをひいて外づれる事のないものを
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
道を問えば眞直まつすぐにとはいわないで
樹木のやうに眞直まつすぐ立て
申立てしも今聞とほりなり眞直まつすぐに申立よ此上つゝかくすに於ては急度きつと申付るぞと聞て善右衞門ヘイ明白めいはくに申上ます私しは然樣さやうなる者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
をはるやあいちやんは、一ぽんがあつて、其中そのなか眞直まつすぐ這入はいれるのにがつきました。あいちやんは『これは奇妙きめうだ!』とおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
彼の眼から火がひらめいた。眞直まつすぐに突立つて、彼は腕を差しのべた。けれども私は彼の抱擁を避けて、直ぐに部屋を出てしまつた。
つぶやいてひと溜息ためいきする。……橋詰はしづめから打向うちむか眞直まつすぐ前途ゆくては、土塀どべいつゞいた場末ばすゑ屋敷町やしきまちで、かどのきもまばらだけれども、それでも兩側りやうがは家續いへつゞき……
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どくなれど此處こゝれて眞直まつすぐゆきしゝと小路こみちりぬ、なんこと此路このみち突當つきあたり、ほかまがらんみちえねば、モシおたくはどのへんでと覺束おぼつかなげにとはんとするとき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
格子かうしうち三和土たゝきで、それが眞直まつすぐうらまでけてゐるのだから、這入はいつてすぐ右手みぎて玄關げんくわんめいたあがぐちあがらない以上いじやうは、くらいながら一筋ひとすぢおくはうまでえるわけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
尾張の國に眞直まつすぐに向かつている
眞直まつすぐにさ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
その背の高い子だ、その子に向うをむけと云つて下さい。最上級生全部に起立して眞直まつすぐに壁の方を向けと云つて下さい。
越前守殿聞れてお菊に向はれ如何に菊其方は何故にしうとめを締殺したるや眞直まつすぐに申立よとありけるにお菊はしとやかに申樣おそれながら申上奉つり候私事姑女しうとめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
最近さいきんは……もつと震災前しんさいぜんだが……土橋どばしのガードした護謨輪ごむわさつふうちに、アツとおもふとわたしはポンとくるまそと眞直まつすぐつて、車夫わかいしゆ諸膝もろひざで、のめつてた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うさぎあなしばらくのあひだ隧道トンネルのやうに眞直まつすぐつうじてました。まらうとおもひまもないほどきふに、あいちやんは非常ひじようふか井戸ゐどなかちて、びッしよりになりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かれはまづ眞直まつすぐるきした。左右さいうにも行手いくてにも、だうやうなものや、ゐんやうなものがちよい/\えた。けれどもひと出入でいり一切いつさいなかつた。こと/″\寂寞せきばくとしててゝゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眞直まつすぐにとこたへて此處こゝにもくるまめんとはせず日本橋迄にほんばしまできたしといふになにかはらねどことばとほり、河岸かしにつきてまがりてくれよ、とは何方いづかたみぎひだりか、ひだりへいやみぎかたへとまた一横町ひとよこちやう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むかつてひだりはした、なかでも小柄こがらなのがおろしてる、さを滿月まんげつごとくにしなつた、とおもふと、うへしぼつたいと眞直まつすぐびて、するりとみづそらかゝつたこひが——
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
始終とほしごたごたしてらち御座ござりませぬといふ、めうことのとおもひしが掃除さうぢのすみて日暮ひぐれれがたに引移ひきうつきたりしは、合乘あひのりのほろかけぐるま姿すがたをつゝみて、ひらきたるもん眞直まつすぐりて玄關げんくわんにおろしければ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
間近まぢかかくれ、むねふせつて、かへつて、なゝめそらはるかに、一柱いつちうほのほいて眞直まつすぐつた。つゞいて、地軸ちぢくくだくるかとおもすさまじい爆音ばくおんきこえた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、人通ひとどほりはすくなし、日向ひなた眞中まんなかはゞかところもなく、なにしろ、御院殿ごゐんでんはう眞直まつすぐだ、とのん歩行あるす。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「——そこを眞直まつすぐ福島橋ふくしまばしで、そのさきが、お不動樣ふどうさまですよ、とゑんタクのがいひましたね。」
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はやいもので、せん彼處あすこいへ建續たてつゞいてことわたしたちでもわすれてる、中六番町なかろくばんちやうとほいち見附みつけまで眞直まつすぐつらぬいたひろさかは、むかしながらの帶坂おびざかと、三年坂さんねんざかあひだにあつて
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爾時そのときふねからりくわたしたいた眞直まつすぐになる。これをわたつて、今朝けさほとん滿潮まんてうだつたから、與吉よきちやなぎなかぱつあさひがさす、黄金こがねのやうな光線くわうせんに、そのつみのないかほらされて仕事しごとた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だん洒亞々々しやあ/\としたもので、やつとこな、と湯船ゆぶねまたいで、ぐづ/\/\とけさうにこしはうからくづみつゝ眞直まつすぐ小兒こども抱直だきなほして、片手かたて湯船ゆぶね縁越へりごしに、ソレかねくあらんと
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
料理屋れうりや萬金まんきんまへひだりれて眞直まつすぐに、追分おひわけみぎて、むかうへ千駄木せんだぎいたる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此路このみち眞直まつすぐまゐりますと、左樣さやう三河島みかはしまと、みちひとをしへられて、おや/\と、引返ひきかへし、白壁しらかべゆる土藏どざうをあてにあぜ突切つツきるに、ちよろ/\みづのあるなかむらさきはないたるくさあり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さて、どつちみち靜岡しづをかとほるには間違まちがひのない汽車きしやだから、ひとをしへけないでましたが、米原まいばら𢌞まはるのか、岡山をかやま眞直まつすぐか、自分じぶんたちのつた汽車きしや行方ゆくへらない、心細こゝろぼそさとつてはない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほろびるといつて、あへ部落ぶらくくなるといふ意味いみではない、おとろへるといふ意味いみではない、ひといへとはさかえるので、進歩しんぽするので、繁昌はんじやうするので、やがてその電柱でんちう眞直まつすぐになり、鋼線はりがねはり
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぐら/\と、しかし、親仁おやぢ眞直まつすぐ乘込のりこんだ。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)