用心ようじん)” の例文
「だが、からすはりこうなとりだから、ごろ、こんなときの用心ようじんをしているかもしれない。」と、おじいさんはおっしゃいました。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
こういいのこしたおに言葉ことばつなわすれずにいました。それで万一まんいちかえされない用心ようじんに、つなうで丈夫じょうぶはこの中にれて、もんそと
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
りたけとほはなれて、むかがはをおとほんなさい。なんならあらかじ用心ようじんで、ちやううして人通ひとゞほりはなし——かまはず駈出かけだしたらいでせう……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
實際じつさいおもつたよりもはやく、それを半分はんぶんまないうちあいちやんはあたま天井てんじやうにつかへたのをり、くびれない用心ようじんかゞんで、いそいでびんした
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そして用心ようじんぶかく、ゲルダをしっかりいわえつけて、その上、くらのかわりに、ちいさなふとんまで、しいてやりました。
この小屋に住んでいた人たちは、立ちさるときに、用心ようじんぶかく、かまどのふたをし、まどをしめ、戸にじょうをおろしました。
そう思うと自分はまったく絶望ぜつぼうしてしまった。——それでも自分は、ガラスのかけらで手をらないように用心ようじんしながら、そろそろとあたりをかきさがしてみた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
うす氣味きみわるやにたにたのわらがほ坂本さかもといでては用心ようじんたま千住せんじゆがへりの青物車あをものぐるまにお足元あしもとあぶなし、三島樣しまさまかどまでは氣違きちが街道かいだう御顏おんかほのしまりいづれもるみて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
されば竹藪たけやぶめとか、戸板といたいて避難ひなんせよとかいふ注意ちゆういあまりに用心ようじんすぎるようにおもはれる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
蓋原文は言語ことばに近く訳文は言語ことばに遠ければなり、又本多作左が旅中家に送りし文に曰く「一ぴつもうす火の用心ようじん阿仙おせんなかすな、うまこやせ」と火をいましむるは家をまもる第一緊要的きんようてきの事
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
其次そのつぎには經濟けいざい心得こゝろえひとは、衞生ゑいせい注意ちゆういするひとは、用心ようじんこのむものは、と三ぎやうならべていて其後そのあと瓦斯竈ガスがま使つかへといて、瓦斯竈ガスがまからてゐるまでへてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
雨水あまみずがはいらないようにしたり、よけもつくり、ねこ用心ようじんで、金網かなあみもあつたほうがいいつてこと、注意ちゅういしておいてやつたんですが、どうしました、あの金魚きんぎょは、まだ元気げんきですか
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
書物しよもつはたくさんまなくても、耳食じしよくひとにならない用心ようじん必要ひつようです。うた解釋かいしやくしてると
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「いまも京町さんと話をして居たことです。ソフトカラーをしているお互いは、ネクタイで締められないように用心ようじん肝要かんようだとナ。ハッハッハッ」先生はうつろのような声を出して笑った。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なほ伐木ばつぼくについで用心ようじんしなければならないのはおそろしい山火事やまかじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
用心ようじんしたほうがいいぜ。おれのおばさんもね、ヘイスティングズでやはり宿屋やどやをやっているがね。見なれぬ客がえらく大きなりっぱなかばんをさげてきたのをみて、すっかり信用してしまったのさ。
持ちたる故隨分ずゐぶん用心ようじんはすれども白晝ひるひなかの事なれば何心なく歩行あゆみきたりし所手拭てぬぐひにて顏をつゝみたる大の男三人あらはれいで突然ゆきなり又七に組付くみつくゆゑ又七は驚きながら振放ふりはなさんとる所を一人の男指込さしこ懷中くわいちうの金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
隨分ずゐぶん亂暴らんばうだから用心ようじんせんとあたま打觸ぶつけますよ。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「二かいればねずみがさわぐ。うすなかはくものだらけ。かまの中はあたたかで、用心ようじんがいちばんいい。そうだ、やっぱりかまの中によう。」
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あついおおきなふくろをつけると、よろこんでとんできました。二人ふたりは、くろねこのそばへ用心ようじんぶかくやってきました。
もののいえないもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
まつたく、おたがひが、所帶しよたいつて、女中ぢよちうこれにはなやまされた、用心ようじんわるいから、それだけはよしなよ。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
用心ようじんなさいよ、オヤユビさん!」と、白いはねのノロ公がさけびました。「ハヤテのやつが、きみをいたがっているキツネをつれて、外にきているんですよ!」
へてれとらさぬ用心ようじんむかし氣質かたぎいつこくを立通たてとほさする遠慮ゑんりよ心痛しんつうおいたはしやみぎひだり御苦勞ごくらうばかりならばおよめさまなり舅御しうとごなり御孝行ごかうかう御遠慮ごゑんりよらぬはず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ著者ちよしやがこのごろ本文ほんもんおいて、『たゞもと用心ようじんわすれざること』とくはへた所以ゆえんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
近所きんじょでもよくつていることですが、老人ろうじんはかなりへんくつな人物じんぶつです。ひどく用心ようじんぶかくて、昼日中ひるひなかでも、もん内側うちがわしまりがしてあり、門柱もんちゅう呼鈴よびりんさないと、もんをあけてくれません。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
もちろん、まだどろぼうが貨車の中にぐずついていようとは思わなかったけれど、用心ようじんのために、そばにあった信号旗しんごうきのまいたのを、右手に持ち、左手にランプを高くさし上げて、用心ぶかすすんだ。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
だから山登やまのぼりをするひととく用心ようじんをすることが大事だいじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
まれるから。それになにより第一だいいちねこ用心ようじんするんだよ。
しかし、透明人間とうめいにんげんはどこまでも用心ようじんぶかかった。
なし兎も角も一ツ長屋に居れば我々まで引合ひきあひになるも知れず日來ひごろ一口ひとくちづつ呑合のみあひし者は今さら仕方なし皆々恐れ用心ようじんしてぞ居たりける偖文右衞門久兵衞の兩人は増々ます/\云募いひつの假令たとへ浪人らうにんしても大橋文右衞門ぞや他人の金などに目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おなじかくれるにしても、二かいほう用心ようじんがいい。」とおもって、馬吉うまきちは二かいがって、そっとすすだらけなたたみの上にごろりとよこになりました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぼくは、おとなりのしょうちゃんと二人ふたりで、カチ、カチと、ひょうしをたたいて、近所きんじょを、用心ようじんにまわりました。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
黒人くろんぼ給仕きふじみちびかれて、燈籠とうろうかげあらはれたつけね——主人しゆじんよう商賣あきなひものをはこせつは、盜賊どろばう用心ようじんきつつ……穗長ほながやりをねえ、こんな場所ばしよへはつけないから
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此處こヽとなりざかひの藪際やぶぎはにて、用心ようじんためにと茅葺かやぶきまうけにまはする庭男にはをとこさてさて此曲物このくせものとは。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二、 非常ひじよう地震ぢしんたるをさとるものはみづか屋外おくがい避難ひなんせんとつとめるであらう。數秒間すうびようかん廣場ひろばられる見込みこみがあらば機敏きびんすがよい。たゞもと用心ようじんわすれざること。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
被害者ひがいしゃ刈谷音吉老人かりやおときちろうじんは、もと高利貸こうりかしでへんくつで、昼日中ひるひなかでももんしまりをしていて、よびりんをさないと、ひと門内もんないとおさなかつたというほどに用心ようじんぶかく、それに妻子さいしはなく女中じょちゅうもおかず
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
ながめ居たりしがはるかむかうに山一ツ見えけるにぞ吉兵衞は水差みづさしに向ひあの高き山は何國いづくの山なりやかきし駿河の富士山ふじさんよくも似たりと問ふ水差みづさしこたへて那山あのやまこそ名高き四國の新富士しんふじなりと答ふるをりから抑何そもいかに此山の絶頂ぜつちやうより刷毛はけにて引し如き黒雲くろくもの出しに水差は仰天ぎやうてんしすはや程なく雨下あまおろしの來るぞや早く用心ようじんして帆を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふと、きつねのるうわさが、あたまかんだので、おじいさんは、いっそう用心ようじんしながら、ほうちかづきました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今夜こんや……こなたひにく……をんなかげらうと、かねてつけねらうてるによつて、きびし用心ようじんふか謹愼つゝしみをしますやう、こなたつうじて、こゝろづけがしたかつたのぢや。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「なるほど、さっきおかあさんがえだってててあるいたのは、わたしが一人ひとりかえるとき、みちまよわないための用心ようじんであったか。」と今更いまさらおかあさんのなさけがしみじみうれしくおもわれました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おくさまのもとの用心ようじんをとわたし、れもれもよとおつしやつて、おなじう寐間ねまへは入給いりたまへど、何故なにゆゑとなうやすからぬおもひのありて、はねども面持おもゝちたゞならぬを、且那だんなさま半睡はんすい御覽ごらんじて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「とにかく、いってとどけよう。」と、若者わかもの用心ようじんしながら、一足ひとあし一足ひとあし、それへちかづいたのです。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きますよ。ご用心ようじん。」「心得こゝろえた。」で、みゝへがつしりとはめた、シテ、ワキ兩人りやうにん
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「これはなかなかえらいかみだ。用心ようじんをしなければならない。」
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あなたは、正直しょうじきですから、ひとにだまされやすい。よく、よく、用心ようじんしなければなりません。」
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其處そこ各自めい/\が、かの親不知おやしらず子不知こしらずなみを、巖穴いはあなげるさまで、はひつてはさつつゝ、勝手許かつてもと居室ゐまなどのして、用心ようじんして、それに第一だいいちたしなんだのは、足袋たび穿はきもので、驚破すは
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あのいぬがいると用心ようじんはいいけれど、そととおる、なんでもないひとまでが迷惑めいわくしますね。」と、おかあさんは、むすめ正月しょうがつあか色合いろあいのった衣物きものいながら、おっしゃいました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
よるひる附𢌞つけまはすぞ、それ、かげうすいわ、用心ようじんせい、とお前樣まへさま
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
どこからくまがしてくるかわからないので、猟師りょうし用心ようじんうえにも用心ようじんをして、ゆきますと、どこか、あちらのがけのあたりで、ものすごいうなりごえのようなものがきこえました。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とききらはれぬ用心ようじんさつせえ、と御坊ごばう言托ことづけたのまうかい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)