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松
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まつ
ふりがな文庫
“
松
(
まつ
)” の例文
八の
字
(
じ
)
を
深
(
ふか
)
くしながら、
寄
(
よ
)
せた
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
眼先
(
めさき
)
を、ちらとかすめたのは、
鶯
(
うぐいす
)
の
糞
(
ふん
)
をいれて
使
(
つか
)
うという、
近頃
(
ちかごろ
)
はやりの
紅色
(
べにいろ
)
の
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
見
(
み
)
ればそこら
中
(
じゅう
)
が、きれいな
草地
(
くさち
)
で、そして
恰好
(
かっこう
)
の
良
(
よ
)
いさまざまの
樹草
(
じゅそう
)
……
松
(
まつ
)
、
梅
(
うめ
)
、
竹
(
たけ
)
、その
他
(
た
)
があちこちに
点綴
(
てんせつ
)
して
居
(
い
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
卯平
(
うへい
)
は
久振
(
ひさしぶり
)
で
故郷
(
こきやう
)
に
歳
(
とし
)
を
迎
(
むか
)
へた。
彼等
(
かれら
)
の
家
(
いへ
)
の
門松
(
かどまつ
)
は
只
(
たゞ
)
短
(
みじか
)
い
松
(
まつ
)
の
枝
(
えだ
)
と
竹
(
たけ
)
の
枝
(
えだ
)
とを
小
(
ちひ
)
さな
杙
(
くひ
)
に
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けて
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
てたのみである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
やれ、やれ、昼寝の夢が覚めて見れば、今日はまた一段と暑いようじゃ。あの
松
(
まつ
)
ヶ
枝
(
え
)
の
藤
(
ふじ
)
の花さえ、ゆさりとさせるほどの風も吹かぬ。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
橋
(
はし
)
のあつたのは、
市
(
まち
)
を
少
(
すこ
)
し
離
(
はな
)
れた
処
(
ところ
)
で、
堤防
(
どて
)
に
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
が
並
(
なら
)
むで
植
(
う
)
はつて
居
(
ゐ
)
て、
橋
(
はし
)
の
袂
(
たもと
)
に
榎
(
え
)
の
樹
(
き
)
が
一本
(
いつぽん
)
、
時雨榎
(
しぐれえのき
)
とかいふのであつた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
外に拙者と、お腰元が一人、お
松
(
まつ
)
といってこれは十八、仲働きが二十六のお
宮
(
みや
)
という忠義者、下女が二人、それに
鉄
(
てつ
)
という
仲間
(
ちゅうげん
)
がいる。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども一体どうしたのかあの
温和
(
おとな
)
しい穂吉の形が見えませんでした。風が少し出て来ましたので
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずえ
)
はみなしずかにゆすれました。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
などと
考
(
かんが
)
えていました。そして、ガタ、ガタと
車
(
くるま
)
をひいてきかかりますと、あちらの
松
(
まつ
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
見慣
(
みな
)
れないおじいさんが
休
(
やす
)
んでいました。
村の兄弟
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
陸
(
おか
)
へ
上
(
あ
)
がってきょろきょろ
見
(
み
)
まわしていますと、そこの
松
(
まつ
)
の木の
枝
(
えだ
)
にまっ
赤
(
か
)
な
顔
(
かお
)
をして、まっ
赤
(
か
)
なお
尻
(
しり
)
をしたものがまたがっていました。
くらげのお使い
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
この南嶺から東に
降
(
くだ
)
れば、
穴太村
(
あなふとむら
)
白鳥坂に出るし、西に
降
(
くだ
)
ればまっすぐに修学院白河村——あの
雲母坂
(
きららざか
)
や
下
(
さが
)
り
松
(
まつ
)
の辻につながる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先日
(
せんじつ
)
歳暮
(
せいぼ
)
に
参
(
まゐ
)
つたら
松
(
まつ
)
と
梅
(
うめ
)
の
地紋
(
ぢもん
)
のある
蘆屋
(
あしや
)
の
釜
(
かま
)
を
竹自在
(
たけじざい
)
に
吊
(
つ
)
つて、
交趾
(
かうち
)
の
亀
(
かめ
)
の
香合
(
かうがふ
)
で
仁清
(
にんせい
)
の
宝尽
(
たからづく
)
しの
水指
(
みづさし
)
といふので一ぷく
頂戴
(
ちやうだい
)
しました。
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
インケツの
松
(
まつ
)
と名乗って
京極
(
きょうごく
)
や千本の
盛
(
さか
)
り
場
(
ば
)
を荒しているうちに、だんだんに顔が売れ、随分男も泣かしたが、女も泣かした。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
(自分をあざけるように)きょう、
松
(
まつ
)
の
家
(
や
)
のお
内儀
(
かみ
)
に、
泥棒猫
(
どろぼうねこ
)
だとののしられました。私の小指ほどの価もないあの鬼ばばに!
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
自分は
傍
(
そば
)
にいる人から
浄瑠璃
(
じょうるり
)
にある
下
(
さが
)
り
松
(
まつ
)
というのを教えて貰った。その松はなるほど
懸崖
(
けんがい
)
を伝うように
逆
(
さか
)
に枝を
伸
(
の
)
していた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女流歌人
松
(
まつ
)
の
門
(
と
)
三艸子
(
みさこ
)
は長命であったが、その前身は井上文雄の
内弟子
(
うちでし
)
兼
妾
(
めかけ
)
で、その後、深川松井町の芸妓
小川小三
(
おがわこさん
)
である。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それにあんなものわけなく弾けるようになるんだから。僕だって「
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
」くらいなら弾けるよ」と先生は言っておられた。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「そうか、そんならおまえのすきにしてくれや。それじゃ
松
(
まつ
)
や、おかあさんはね、すこし休むちから、さあ
甘甘
(
あまあま
)
にしようよ」
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
落
(
ち
)
り
過
(
す
)
ぎたる
紅葉
(
もみぢ
)
に
庭
(
には
)
は
淋
(
さび
)
しけれど、
垣
(
かき
)
の
山茶花
(
さゞんか
)
折
(
をり
)
しり
顏
(
かほ
)
に
匂
(
にほ
)
ひて、
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
のこまやかに、
醉
(
よ
)
ひすゝまぬ
人
(
ひと
)
なき
日
(
ひ
)
なりける。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これは
松
(
まつ
)
の
門
(
と
)
三艸子といって、大野定子と並んで歌よみといわれていた人でした。人あたりのよい方で、福羽氏ともお知合だったと見えます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
民さんは二三日の留置場の生活がよほど
応
(
こた
)
えたと見え、
松
(
まつ
)
の手入れをしていながら、ここでこうしていた方がどれだけいいか分らないといった。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
松
(
まつ
)
の
東面
(
とうめん
)
の
方
(
はう
)
に
坑
(
あな
)
を
開
(
ひら
)
かうとして、
草原
(
くさはら
)
を
分
(
わ
)
けて
見
(
み
)
ると、
其所
(
そこ
)
に
掘
(
ほ
)
り
掛
(
か
)
けの
小坑
(
せうかう
)
がある。
先度
(
せんど
)
幻翁
(
げんおう
)
が
試掘
(
しくつ
)
して、
中止
(
ちうし
)
した
處
(
ところ
)
なのだ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
二つは低い
石甃
(
いしだたみ
)
の
壇
(
だん
)
の上に並んで立っていて春琴女の墓の
右脇
(
みぎわき
)
にひと
本
(
もと
)
の
松
(
まつ
)
が植えてあり緑の枝が墓石の上へ屋根のように
伸
(
の
)
びているのであるが
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
祖父
(
おぢい
)
さんの
書院
(
しよゐん
)
の
前
(
まへ
)
には、
白
(
しろ
)
い
大
(
おほ
)
きな
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
く
牡丹
(
ぼたん
)
があり、
古
(
ふる
)
い
松
(
まつ
)
の
樹
(
き
)
もありました。
月
(
つき
)
のいゝ
晩
(
ばん
)
なぞには
松
(
まつ
)
の
樹
(
き
)
の
影
(
かげ
)
が
部屋
(
へや
)
の
障子
(
しやうじ
)
に
映
(
うつ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ぼくは、ぼくの小学校時代、大巻の
徹太郎叔父
(
てつたろうおじ
)
につれられて山に登り、岩を真二つに割って根を大地に張っていた
松
(
まつ
)
の木を見たことを今思い出す。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
この
松
(
まつ
)
や
杉
(
すぎ
)
のように
丈
(
たけ
)
の
高
(
たか
)
くなり、
形
(
かたち
)
も
大
(
おほ
)
きくなる
樹木
(
じゆもく
)
を『
喬木
(
きようぼく
)
』といひ、つゝじやぼけのように
形
(
かたち
)
も
小
(
ちひ
)
さく、
機状
(
きじよう
)
に
茂
(
しげ
)
る
木
(
き
)
を『
灌木
(
かんぼく
)
』と
呼
(
よ
)
びます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
落葉木
(
らくようぼく
)
は若葉から漸次青葉になり、
杉
(
すぎ
)
松
(
まつ
)
樫
(
かし
)
などの常緑木が古葉を
落
(
おと
)
し落して最後の
衣更
(
ころもがえ
)
をする。田は
紫雲英
(
れんげそう
)
の花ざかり。林には金蘭銀蘭の花が咲く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
其
(
そ
)
の上から
松
(
まつ
)
の枝も見える。
石灰
(
いしばひ
)
の散つた便所の
掃除口
(
さうぢぐち
)
も見える。
塵芥箱
(
ごみばこ
)
の
並
(
なら
)
んだ
処
(
ところ
)
もある。
其
(
そ
)
の
辺
(
へん
)
に猫がうろ/\して
居
(
ゐ
)
る。
人通
(
ひとゞほ
)
りは案外に
烈
(
はげ
)
しい。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
三芝居もどんなものだか、
佐
(
さ
)
の
松
(
まつ
)
の若衆人形の落ちこぼれが、
奥山
(
おくやま
)
あたりに出没しているとのことだが、それも気が進まない。
活人形
(
いきにんぎょう
)
も見てしまった。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「殿様、わかりました。お家の名刀はたしかに、お
城
(
しろ
)
のうらのいちばん大きな
松
(
まつ
)
の根元にうずめてございます。」
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
女
(
むすめ
)
が三人あつて、名を
松
(
まつ
)
菊
(
きく
)
京
(
きやう
)
と云つた。与助の妻は酒を
被
(
かうぶ
)
つて大言する癖があつて、「女が三人あるから、一人五百両と積つても千五百両がものはある」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
川はすっかり
霧
(
きり
)
で
隠
(
かく
)
れて、やや晴れた方の空に
亀山
(
かめやま
)
、
小倉山
(
おぐらやま
)
の
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずえ
)
だけが
墨絵
(
すみえ
)
になってにじみ出ていました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「もとは
柳橋
(
やなぎばし
)
にいた奴だよ、今は、
駒形堂
(
こまがたどう
)
の傍に、
船板塀
(
ふないたべい
)
に
見越
(
みこし
)
の
松
(
まつ
)
と云う寸法だ、しかも、それが
頗
(
すこぶ
)
るの美と来てるからね」と小声で云って
笑顔
(
わらいがお
)
をした。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
店内ではその生人形に、お
松
(
まつ
)
、お
竹
(
たけ
)
、お梅という名前をつけて、まるで生きた人間の様に「お梅さんの帯だ」とか「お梅さんのショールだ」とかいっていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
張った立派な松があった。これが
首尾
(
しゅび
)
の
松
(
まつ
)
といって有名なもの、此所は今の高等工業学校校内になっている
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
得月楼
(
とくげつろう
)
の前へ船をつけ自転車を引上げる若者がある。楼上と門前とに女が立ってうなずいている。犬引も通る。これらが煩悩の犬だろう。
松
(
まつ
)
が
端
(
はな
)
から車を雇う。
高知がえり
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
参差
(
しんし
)
たる
松
(
まつ
)
ヶ枝
(
え
)
、根に
上
(
あが
)
り、横に
葡
(
は
)
い、空にうねって、いうところの
松籟般若
(
しょうらいはんにゃ
)
を弾ずるの
神境
(
しんきょう
)
である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
さて
今
(
いま
)
申
(
まを
)
したいろ/\の
形
(
かたち
)
の
古墳
(
こふん
)
は、
今日
(
こんにち
)
遺
(
のこ
)
つてゐるものには、たいてい
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
や
他
(
た
)
の
樹木
(
じゆもく
)
が
生
(
は
)
え
繁
(
しげ
)
つて、
遠方
(
えんぽう
)
から
眺
(
なが
)
めると、こんもりした
森
(
もり
)
のように
見
(
み
)
えるのですが
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
A ウン、あれは
俺
(
おれ
)
のぢやないけれど、
斯
(
か
)
ういふんだ。『
君
(
きみ
)
が
代
(
よ
)
の
社頭
(
しやとう
)
の
松
(
まつ
)
に
首
(
くび
)
くくり』さ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
この遊びをする日が、特に正月の
松
(
まつ
)
の
内
(
うち
)
となっているのは、
由来
(
ゆらい
)
の久しいことかと思う。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
松
(
まつ
)
柏
(
かしは
)
は奥ふかく
茂
(
しげ
)
りあひて、
二一
青雲
(
あをぐも
)
の
軽靡
(
たなび
)
く日すら
小雨
(
こさめ
)
そぼふるがごとし。
二二
児
(
ちご
)
が
嶽
(
だけ
)
といふ
嶮
(
けは
)
しき
嶽
(
みね
)
背
(
うしろ
)
に
聳
(
そばだ
)
ちて、千
仞
(
じん
)
の
谷底
(
たにそこ
)
より
雲霧
(
くもきり
)
おひのぼれば、
咫尺
(
まのあたり
)
をも
鬱俋
(
おぼつかな
)
きここちせらる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
黒谷では、「
熊谷
(
くまがい
)
鎧掛
(
よろいかけ
)
の
松
(
まつ
)
」というのが枯れていた。妙に強いのが鉢合せをする。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
不思議なこともあればあるものです、
妾
(
わたし
)
も
先刻
(
さっき
)
、
松
(
まつ
)
さんに殺された夢を見て、思わずキャッと叫ぶと、眼が覚めたのですと、いったので、その
漁夫
(
ぎょふ
)
も、それを聞いて不思議に思ったから
月夜峠
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
おまけに住宅は
松
(
まつ
)
の
木陰
(
こかげ
)
になっていて、海さえ見えぬほどふさがっていました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
「あなたは、まだほんとうに気がついていないのですね。その怪しい事件というのは、ほかでもありません。団長の
松
(
まつ
)
ヶ
谷
(
や
)
さんが、やっぱりさっきから、
行方不明
(
ゆくえふめい
)
になっていることです」
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大磯
(
おおいそ
)
箱根
(
はこね
)
や湯河原を流れ渡って、
唯今
(
ただいま
)
では熱海の
松
(
まつ
)
の
家
(
や
)
に巣を食って居ります。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
庭は
一隅
(
ひとすみ
)
の
梧桐
(
あおぎり
)
の繁みから次第に暮れて来て、ひょろ
松
(
まつ
)
檜葉
(
ひば
)
などに
滴
(
したた
)
る
水珠
(
みずたま
)
は夕立の後かと
見紛
(
みまご
)
うばかりで、その
濡色
(
ぬれいろ
)
に夕月の光の薄く映ずるのは何とも
云
(
い
)
えぬすがすがしさを
添
(
そ
)
えている。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三月十一日紙上に番外百中十首(
松
(
まつ
)
の
山人
(
やまびと
)
投)として掲げある歌を、われらが変名にて掲げ候やの御尋ね有之候へども、右は
尽
(
ことごと
)
く『
柿園詠草
(
しえんえいそう
)
』中にある歌にてわれらの歌とは全く異りをり候。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
春
(
はる
)
うら/\
蝶
(
てふ
)
と
共
(
とも
)
に
遊
(
あそ
)
ぶや
花
(
はな
)
の
芳野山
(
よしのやま
)
に
玉
(
たま
)
の
巵
(
さかづき
)
を
飛
(
と
)
ばし、
秋
(
あき
)
は
月
(
つき
)
てら/\と
漂
(
たゞよ
)
へる
潮
(
うしほ
)
を
観
(
み
)
て
絵島
(
ゑのしま
)
の
松
(
まつ
)
に
猿
(
さる
)
なきを
怨
(
うら
)
み、
厳冬
(
げんとう
)
には
炬燵
(
こたつ
)
を
奢
(
おごり
)
の
高櫓
(
たかやぐら
)
と
閉籠
(
とぢこも
)
り、
盛夏
(
せいか
)
には
蚊帳
(
かや
)
を
栄耀
(
えいえう
)
の
陣小屋
(
ぢんごや
)
として
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
すると、みんなは、われもわれもと、
猫柳
(
ねこやなぎ
)
をはじめ、
桃
(
もも
)
や、
松
(
まつ
)
や、たんぽぽや、れんげそうや、なかにはペンペン
草
(
ぐさ
)
までとって
来
(
き
)
て
鐘
(
かね
)
にささげた。
鐘
(
かね
)
はそれらの
花
(
はな
)
や
葉
(
は
)
でうずまってしまった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
怖
(
こわ
)
い
目
(
め
)
をして
烏
(
からす
)
がだまりこんだので、
雀
(
すゞめ
)
らは
高
(
たか
)
い
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
のうへへ
逃
(
に
)
げながら
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
“松”の意味
《名詞》
まつ。常緑針葉樹。マツ。
(出典:Wiktionary)
“松(マツ)”の解説
マツ属(マツぞく、学名:Pinus)は、マツ科の属の一つ。マツ科のタイプ属である。約100種が北半球の各地域に分布し、針葉樹で針のような形態の葉と、松かさ(松ぼっくり)とよばれる実がなるのが特徴である。人との関わりも深く、さまざまに利用されたり、文化や信仰の対象にもされている。
(出典:Wikipedia)
松
常用漢字
小4
部首:⽊
8画
“松”を含む語句
落葉松
松明
水松
松林
杜松
松下
松脂
松籟
松風
老松
松魚
松花江
松皮疱瘡
松蘿
羅漢松
松茸
偃松
松葉
松平
松柏
...