おこな)” の例文
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
さうして、このふたつながら、ならんでおこなはれてゐました。そのとなごとが、今日こんにちでも、社々やしろ/\神主かんぬしさんたちのとなへる、祝詞のりとなのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そして、私はまあ、何という気違いでございましょう。その奇怪極まる妄想を、実際におこなって見ようと思い立ったのでありました。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ロセツの申出はついにおこなわれざりしかども、彼が日本人に信ぜられたるその信用しんようを利用して利をはかるに抜目ぬけめなかりしはおよそこのたぐいなり。
柄は木質にてちて居りし事故、如何いかなる方法にて石斧いしおのくくり付けしか詳ならされど、其状そのじやう現今げんこんおこなはるるタガネと大差たいさ無かりしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
この作は、浅草再法庵さいほうあんに、おこない澄ましていた、元吉原松葉屋の抱え瀬川の作であって、いおりの壁に書いてあった一首のうちだというのである。
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
一人の婦人と、無数のしかも密接な文通を、彼の手紙を異常な写真の技術で顕微鏡のガラスの上に微細にうつしておこなったのも彼であった。
河野はおこなすまして動かなかった。七日の明け方になったところで、今まで傍にいた鹿はどこへ往くともなしに急にいなくなってしまった。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
東国の逆乱もすみやかな静謐せいひつを見、相共によろこばしい。さっそく将士の軍功の施与せよは、綸旨りんじの下に、朝廷でおこなうであろう。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉体にくたいててこちらの世界せかい引越ひきこしたものになりますと、ほとんどすべての仕事しごとはこの仕掛しかけのみによりておこなわれるのでございます。
麻雀競技會マアジヤンきやうぎくわい常勝者じやうしようしやとしてその技法ぎはふをたゞ驚歎きやうたんされてゐたそれがしが、支那人式しなじんしき仕方しかたからすれば至極しごく幼稚えうち不正ふせいおこなつてゐたことがわかるし
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
これは吾人ごじん日々ひゞ會話くわいわ新聞しんぶんなどにも無數むすう發見はつけんするが、たとへば、ちかごろ何々日といふはりに何々デーといふ惡習あくしふが一おこなはれてゐる。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
過去くわこ經驗けいけんれば、金解禁きんかいきん準備じゆんびをする場合ばあひには、世界せかいいづれからも日本にほん圓貨ゑんくわたいして思惑投機おもわくとうきおこなはれるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
村民をあつめて文珠菩薩の祭礼さいれいおこなひ、あはせて此一行をも招待せうたいすべし、而して漸次道路を開通がいつうここたつし、世人をして参詣さんけいするを得せしめんと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
そのほかの人達は、ポリデクティーズ王に限らず、みんなおこないが悪くてちょうどこれから起ろうとするような目に遇うのがあたりまえでした。
さうして一遍汚れた以上は、それに対する十倍の徳をおこなつても、その汚れたのを汚れざる者に改めることは到底出来んのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
けつして心服しんぷくつかまつらじ、しかするときもく命令めいれいおこなはれで、そむものきたらむには、かへつ國家こくからんとならむこと、憂慮きづかはしくさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このかた朝鮮ちようせんからはひつてて、日本につぽんにだん/\おこなはれるようになつたのでありまして、そのかたちはいろ/\あります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
實際じつさいんな發明はつめいは、宗助そうすけからると、本當ほんたうやうでもあり、またうそやうでもあり、いよ/\それが世間せけんおこなはれるまでは、贊成さんせい反對はんたい出來できかねたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひしがれたれば如何に強膽がうたんの者なりとも勿々なか/\かくす事能はず立石が家内三人切殺せし事ども殘らず白状なしければ小塚原こづかはらに於てつひはりつけにこそおこなはれけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
冬時とうじこのかは灌水くわんすゐおこなふには、あらかじ身體しんたいるゝに孔穴こうけつこほりやぶりてまうき、朝夕あさゆふこの孔穴こうけつぼつして灌水くわんすゐおこなふ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
同時に自然科学者としてもいろいろな研究をおこなったので、なかでも生物に対しては、その形がそれぞれちがっていても
チャールズ・ダーウィン (新字新仮名) / 石原純(著)
その名のみひろごりて、ついに世におこなはるることなくて、聖人の道はたゞいたづらに、人をそしる世々の儒者ずさどもの、さへづりぐさとぞなれりける。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しるしたものゝなかには實驗じつけんおこなるものもあるから、教師きようし父兄ふけい指導しどうもとに、安全あんぜん場所ばしよえらびて、これをこゝろみることはきはめて有益ゆうえきなことである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
『雪の日』『軒もる月』で試みた獨白體を、さらにこの作では口語をもつておこなつてゐる。かの女の作品中、唯一つの口語をもつて書かれた小説である。
それは離屋を急に改造した庵室の仏壇の前で、おこない済した姿の若い美女が、あられもない姿になって、紅に染んで死んでいる、恐しく冒涜的ぼうとくてきな情景です。
ある国の裁判官は斯の如き無作法な審理を日々におこなつて居る。只茲に例外の時がある。それは被告人に弁護人があつて、それが審理に立会りつくわいしたときである。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
冒険譚ばうけんだんおこなはれし十八世紀せいきには航海かうかい好奇心かうきしんもやし、京伝きやうでん洒落本しやれぼん流行りうかうせしとき勘当帳かんだうちやう紙数しすう増加ぞうかせしとかや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
百姓ひやくしやういそがしい田植たうゑをはれば何處どこいへでもあき收穫しうくわく準備じゆんびまつたほどこされたので、各自かくじらうねぎらため相當さうたう饗應もてなしおこなはれるのである。それ早苗振さなぶりである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「これはお前のまやかしでもなければ、お前の妖術でもない。自然のたことだ。自然が目覺めてたゞその最上のさくを——奇蹟きせきではない——おこなつたのだ。」
式をおこなった翌日から、夫婦は終日渋江の家にいて、夜更よふけて矢川の家へ寝に帰った。この時文一郎はあらた馬廻うままわりになった年で二十九歳、陸は二十三歳であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
かみさまが、ああいうひどいおこないをやめさせるために、きょうのうちに、こんな悲しみをくだされて、あたしの心を動かそうとなさっているのではないかしら?
權藏ごんざうとみいま一郡第一いちぐんだいゝちとなり、かれつて色々いろ/\公共事業こうきやうじげふおこなはれてるのです。けれど諸君しよくんかれあつたらおそらく意外いぐわいおもはるゝだらうとおもひます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つまり、内惑星軌道半径の縮伸というのは、要するに貴方がおこなった、敷物カーペットのそれにすぎなかったのですよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
心と体とを別に考うることはすでに身を売る時よりおこなわるる議論で、良家の子女しじょ泥水どろみずに入る時も、たとえからだ畜生ちくしょう同然になるも、心は親のため、主人のため
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
之は何でも先月おこなはれた運動會のプログラムの進行に關して、吉田と體操の教師達との間に、當時、意見の衝突があり、それが未だこじれてゐるものの由である。
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
斯樣かやう事柄ことがらを一々まをせばかぎりのないことで、居家處世きよかしよせいうへ種々しゆ/″\間違まちがひおほく、さればとつて、これを一々前以ぜんもつ命令めいれいするといふは實際じつさいおこなはれがたことであるから
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
のみならず自殺のおこなわれ易い石炭庫せきたんこの中にもいないことは半日とたたないうちに明かになった。しかし彼の行方不明になったことは確かに彼の死んだことだった。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
処々ところどころたてぬしの伝記、家々いえいえの盛衰、昔よりこのごうおこなわれし歌の数々を始めとして、深山の伝説またはその奥に住める人々の物語など、この老人最もよく知れり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
つとに幸徳秋水こうとくしゅうすいがそれの翻訳をおこなっているが、俺が読んだのは、のちにアナーキストの同志が新しく訳し直した本で、その本を俺はいまだに大事に保存している。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
誠愛誠實を無益のものと思ひ、無暗に人を疑ひ、矢鱈に天を恨み、そのきよくつい精神せいしんやわらぎやぶりておこなふべからざることおこなみづからざるほど惡事あくじ爲遂しとぐることあらば
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
三田は、たつた一度口をきいたばかりだけれど、其の人の動かし難い覺悟をもつておこなつた死を惜んだ。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
一向宗までも呑吐どんとして、諸国への使つかいは一向坊主にさせているところなど、また信玄一流の大きさで、飯綱の法をおこなったかどうか知らぬが、甲州八代やつしろ末木すえき慈眼寺じげんじ
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と。(二三)れいくだすこと流水りうすゐみなもとごとく、民心みんしんしたがはしむ。ゆゑ(二四)ろんひくうしておこなやすし。
ならずして、ふとおんなかみつくられたつなができました。にぎやかな儀式ぎしきおこなわれたあとで、そのつなかねげましたところ、やすやすと鐘楼しょうろうにつるされたのでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『それを説明せつめいする唯一ゆゐいつ方法はうはふはそれをおこなふことである』(みなさんがふゆみづかれをこゝろみんとほつするならば、ドードてうがそれを如何いかにしてつたかをはなしませう)
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
りやう以上いじやう盜賊たうぞくでなくても、くびつながらなかつた。死刑しけい連日れんじつおこなはれた。れが月番つきばんときは、江戸えどなら淺右衞門あさゑもんともいふべき首斬くびきやくやいばに、らぬとてはなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
此事室町殿の頃武家の俗習ぞくしふよりおこりて、農商もこれにならひてやゝおこなはれし事物に見えたり。
そして私のお妾志願も案外そんなところでせう。結局みんな自分の一生は退屈で陳腐で平凡だと思ひこんでゐるくせに案外自分の宿命だけの行動は思ひきつておこなつてゐるのよ。
ほとんの目も離さぬほど自分のおこなひを目戍みまもつてるらしい母親の慈愛じあい窮屈きゆうくつたまらないだけ
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)