片足かたあし)” の例文
片足かたあしは、みづ落口おちくちからめて、あしのそよぐがごとく、片足かたあしさぎねむつたやうにえる。……せきかみみづ一際ひときはあをんでしづかである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どんなときでも、どういうことをしてる時でも、たとえば片足かたあしでとびながら往来おうらいを歩きまわっている時でも——祖父そふの家のゆかにねころがり
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
馬方うまかたひますと、うま片足かたあしづゝたらひなかれます。うま行水ぎやうずゐわらでもつて、びつしよりあせになつた身體からだながしてやるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
真坊しんぼうは、ボールをげるときのように、片足かたあしげて、たかいひさしにかかっている、まるいはちのをねらっていしげました。
真坊と和尚さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはやなぎのかれたようなみきの間に根をっていた。また砲台ほうだい傾斜地けいしゃちをわたしたちはよく片足かたあしで楽にすべって下りた——それもかきたい。
たちま全山ぜんざん高等野次馬かうとうやじうまは、われおくれじと馳付はせつけてると、博士はかせわらひながら、古靴ふるぐつ片足かたあしを、洋杖すてつきさきけてしめされた。
片足かたあし煙突えんとつうへしました、『どんなことがあつてもうこれがとまりだらう、これでうなるのかしら?』とつぶやきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
といいながら、欄干らんかん片足かたあしをかけて一のをつがえて、一ぱいにきしぼって、ってはなしました。はまさしくむかでのみけんにたりました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
『おつ魂消たまぎえた/\、あぶなく生命いのちぼうところだつた。』と流石さすが武村兵曹たけむらへいそうきもをつぶして、くつ片足かたあしでゝたが、あし幸福さひはひにも御無事ごぶじであつた。
おもふにはゝがつゝをもてといひしゆゑ、母の片足かたあしを雪の山かげにくらひゐたるおほかみをうちおとして母のかたきはとりたれど、二疋をもらししはいかに口惜くちをしかりけん。
これまでの象使いはれい一寸法師いっすんぼうしでしたが、一寸法師には、片足かたあしを上げさせたり、ラッパをかせたり、碁盤ごばんの上へ乗せたりするぐらいしか出来ませんでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
すると耳に手をあてて、わあわあといながら片足かたあしでぴょんぴょんんでいた小さな子供こどもらは、ジョバンニがおもしろくてかけるのだと思って、わあいとさけびました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
附て道中をなされましとはなしながらに行所を此所こなた松陰まつかげより忽然ぬつと出たる畔倉重四郎ものをも云ずうまうへなる飛脚の片足かたあしをばつさりと切付きりつけたり飛脚はアツと馬よりころげ落るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やぶれかぶれにあばれてあばれて、正太郎しようたらうつらきず一つ、れも片眼かため片足かたあしなきものとおもへばやすし、加擔人かたうど車屋くるまやうし元結もとゆひよりのぶん手遊屋おもちやゝ彌助やすけなどあらばけはるまじ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天滿與力てんまよりきは、渡船とせんもどしてみたけれど、ほとんど片足かたあし餘地よちもないので、腹立はらだたし舌打したうちして、みぎはつてゐたが、やがてたかく、とらえるやうにこゑげると
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
娘が出る。腰痛ようつうでなければ婆さんも出る。奇麗に掃いた禾場うちばに一面の穂麦をいて、男は男、女は女と相並んでの差向い、片足かたあし踏出ふみだし、気合を入れて、一上一下とかわる/″\打下ろす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
けれどもしきいまたときに、片方かたほう上沓うわぐつげたので、片足かたあしには、上沓うわぐつ穿き、片足かたあしは、沓下くつしただけで、前垂まえだれけ、片手かたてには、黄金きんくさり片手かたてには、ヤットコをって、まちなか跳出とびだしました。
がまがなめくじに魔術まじゅつをほどこしたごとく、じゅうぶんかれの気をのんでしまった竹童は、やがて、一しゃく二尺と梁の上をはいわたって、蛾次郎がじろうのすぐ脳天のうてんのところへ片足かたあしをブランとらした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木履くつ片足かたあしくなした、さむいと一人ひとりが云ふと、なにを? と一人ひとりが聞きなほした。木履くつくなして寒いとまへのものが同じ事を繰り返した。Mは何処どこにゐるとだれか聞いた。此所こゝにゐるとだれか答へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
庭先にわさきのつちなかに、おおぶりな瀬戸物せともの金魚鉢きんぎょばちが、ふちのところまでいけこんであつて、そのはちのそばで、セルの和服わふく片足かたあしにだけ庭下駄にわげたをつつかけた人間にんげん死体したいが、べたにいつくばつている。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
子供こども片足かたあしづゝげてあそぶことを、東京とうきやうでは『ちん/\まご/\』とひませう。土地とちによつては『足拳あしけん』とふところもるさうです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しまか、みつか、はたきけて——おちよ、いゝえう/\……矢張やつぱりこれは、はなしなかで、わに片足かたあし食切くひきられたと土人どじんか。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
敬礼けいれいがすむとかれは仲間なかまのほうを向いて、かたっぽの前足でやはり胸をおさえながら、片足かたあしをさしのべて、みんなそばにるように合図をした。
おもふにはゝがつゝをもてといひしゆゑ、母の片足かたあしを雪の山かげにくらひゐたるおほかみをうちおとして母のかたきはとりたれど、二疋をもらししはいかに口惜くちをしかりけん。
をはるやあいちやんの片足かたあしすべつて、みづなかへぱちやん!あいちやんは鹹水しほみづなかあごまでつかりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ズボンは滅茶苦茶めちやくちや引裂ひきさかれ、片足かたあしくつ無殘むざん噛取かみとられて、いのちから/″\車中しやちうまろんだ。
にち太郎たろうは、学校がっこうで、幾人いくにんかのともだちとおにごっこをしてさわいでいました。そのとき、一人ひとりが、ベンチにつまずいて、片足かたあしほねくだきました。みんなは、大騒おおさわぎをしました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、この男も退治たいじに出かけた次の朝、片足かたあし半分食い取られ、おまけに鼻や耳やっぺたまでかみ切られて、おいおいきながら地べたをうようにしてげ帰って来た。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
わたしちゝといふは三つのとしゑんからおち片足かたあしあやしきふうになりたれば人中ひとなかたちまじるもやとて居職いしよくかざり金物かなものをこしらへましたれど、氣位きぐらいたかくて人愛じんあいのなければ贔負ひいきにしてくれるひともなく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
岩のかげへ身をくっして片足かたあしをおって、短銃たんじゅう筒先つつさきをキッとかまえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蹴込けこみ片足かたあしけてつてたのでは、おほいに、いや、すくなくとも湯治客たうぢきやく體面たいめんそこなふから、其處そこで、停車場ていしやぢやう出口でぐちさくはうひらいて、悠然いうぜんつたのである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みるよります/\おどろきはせいりければ狼二疋にげさりけり、あたりをみれば母はゐろりのまへにこゝかしこくひちらされ、片足かたあしはくひとられてしゝゐたり。
二人ふたり片足かたあしづゝげまして、さかになつたむら往来わうらいを『ちんぐら、はんぐら』とよくあそびました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こと朝日島あさひじま紀念塔きねんたふ設立せつりつ顛末てんまつ——あの異樣ゐやうなる自動冐險車じどうぼうけんしやが、縱横無盡じうわうむじんに、深山しんざん大澤たいたくあひだ猛進まうしんしたる其時そのとき活劇くわつげき猛獸まうじう毒蛇どくじやとの大奮鬪だいふんとう武村兵曹たけむらへいそう片足かたあしあぶなかつたこと
わたしは子どもをおびえさせまいと思って、まえよりはしずかにひいた。そうして少しでもそばへせようとした。両手をばして、片足かたあしずつよちよち上げて、かれは歩いて来た。
かずちゃんは、ほこったように、片足かたあしげて、トン、トンとねました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みるよります/\おどろきはせいりければ狼二疋にげさりけり、あたりをみれば母はゐろりのまへにこゝかしこくひちらされ、片足かたあしはくひとられてしゝゐたり。
小戻こもどりして、及腰およびごしに、ひつくやうにバスケツトをつかんで、あわててすべつて、片足かたあしで、怪飛けしとんだ下駄げたさがしてげた。どくさうなかほをしたが、をんなもそツとつてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
或はまた山に九曲まがりくねりあるには、くだんのごとくにくゝしたるたきゞそりり、片足かたあしをあそばせて是にてかぢをとり、船をはしらすがごとくして難所なんじよよけて数百丈のふもとにくだる、一ツもあやまつことなし。
いま大塚おほつか樹立こだちはうからさつ光線くわうせん射越いこして、つゆ煌々きら/\する路傍ろばうくさへ、ちひさな片足かたあしれて、うへからりてものみちひらいて待構まちかまへると、まへとはちがひ、ゆるう、のさ/\とあらはれたは
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
或はまた山に九曲まがりくねりあるには、くだんのごとくにくゝしたるたきゞそりり、片足かたあしをあそばせて是にてかぢをとり、船をはしらすがごとくして難所なんじよよけて数百丈のふもとにくだる、一ツもあやまつことなし。
そして大跨おほまたに、そのたくましくつ片足かたあしづゝ、やりちがへにあげちやあ歩行あるいてる、くつうらあかいのがぽつかり、ぽつかりとひとツづゝ此方こつちからえるけれど、自分じぶんじやあ、そのつまさきもわかりはしまい。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けものだのが、いくらでもえるから、ちつとは思出おもひでになるトいつちやあ、アノ笑顔わらひがほをおしなので、わたしもさうおもつてせいか、ひとがあるいてとき片足かたあしをあげたところ一本脚いつぽんあしとりのやうでおもしろい
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)