“湯治客”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とうじきゃく50.0%
たうぢきやく50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから七八二月ふたつきわたって、この線路に集ってくる湯治客とうじきゃくの、どんなに雑沓ざっとうするかをさも面白そうに例の調子で話してかせたあとで、自分の同伴者を顧みた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
都会から来た避暑客は、既に皆帰ってしまって、あとには少しばかりの湯治客とうじきゃくが、静かに病を養っているのであった。秋の日影は次第に深く、旅館のわびしい中庭には、木々の落葉が散らばっていた。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
蹴込けこみ片足かたあしけてつてたのでは、おほいに、いや、すくなくとも湯治客たうぢきやく體面たいめんそこなふから、其處そこで、停車場ていしやぢやう出口でぐちさくはうひらいて、悠然いうぜんつたのである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
或る日に、多分雨の降つてゐた日ででもあつたか、湯治客たうぢきやくがみんなして芝居の真似まねをした。何でも僕らは土戸つちどのところで見物してゐたとおもふから、舞台は倉座敷であつたらしい。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)