海岸かいがん)” の例文
あるあさのこと、ひがしそらがやっとあかくなりはじめたころ、いつものごとくふねそうと、海岸かいがんをさして、いえかけたのであります。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
海岸かいがんで、とび喧嘩けんくわをしてけたくやしさ、くやしまぎれにものをもゆはず、びをりてきて、いきなりつよくこつんと一つ突衝つゝきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そこで正直をもうしますと、この小さな「イギリス海岸かいがん」の原稿げんこうは八月六日あの足あとを見つける前の日のばん宿直室しゅくちょくしつで半分書いたのです。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
稜を鋭く何箇所かそらに目がけて切り立つて、孔雀石と翡翠の明暗を隈つた半島が此方の海岸かいがんに詰め寄せるかのやうにあざやかに浮出してゐる。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
みなさんはじり/\ときつけるような海岸かいがん砂濱すなはまたり、あせながしながら登山とざんをされるときのことをかんがへてごらんなさい。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それで、その當時とうじひと住居じゆうきよしたあと海岸かいがん附近ふきんのこつてゐて、かれつてすてた貝殼かひがらや、さかなけだものほねなどがたまつてゐるところがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
海岸かいがんちかやまやまには松柏しようはくしげり、其頂そのいたゞきには古城こじやう石垣いしがきのこしたる、其麓そのふもと小高こだかところつてるのが大島小學校おほしませうがくかうであります。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わたくしんだか心配しんぱいなんです、稻妻いなづまがいくらつよくつたつて、あの澤山たくさん猛獸まうじうなかを、無事ぶじ海岸かいがんいへかへこと出來できませうか。
わたくしがある海岸かいがんあそんでりますと、指導役しどうやくのおじいさんがれいながつえきながら彼方むこうからトボトボとあるいてられました。
和歌わかうらしほがさしてると、遠淺とほあさうみ干潟ひがたがなくなるために、ずっと海岸かいがんちかくにあしえてゐるところをめがけて、つるいてわたつてる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そこで諭吉ゆきちは、ま夜中よなかの十二ごろに江戸えどをでて、よる東海道とうかいどうをあるいて、夜明よあけごろに横浜よこはまにつきました。さっそく海岸かいがんのほうへいってみました。
ニールスは、海岸かいがんにそって南のほうへ走っていきました。そして、いちばん南のはしの燈台とうだいや霧を散らすために打つ大砲たいほうのところまでいってみました。
それゆゑ海上かいじよううかんでゐる船舶せんぱくには其存在そのそんざいまた進行しんこうわかりかねる場合ばあひおほい。たゞしそれが海岸かいがん接近せつきんすると、比較的ひかくてききゆううしほ干滿かんまんとなつてあらはれてる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あいちやんはうまれてから是迄これまでたつた一しか海岸かいがんつたことがないので、勝手かつて獨斷ひとりぎめをしてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
土地の人びとは、もう夜になると海をわたることはもちろん、海岸かいがんへ出ることさえできなくなりました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
わたくし時折ときをり種々いろ/\こと妄想まうざうしますが、往々わう/\幻想まぼろしるのです、或人あるひとたり、またひとこゑいたり、音樂おんがくきこえたり、またはやしや、海岸かいがん散歩さんぽしてゐるやうにおもはれるときります。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこに一月餘ひとつきあまりも滯在たいざいしてゐるうちに九ぐわつになりけたので、保田ほたからむかふへ突切つつきつて、上總かづさ海岸かいがん九十九里くじふくりづたひに、銚子てうしまでたが、そこからおもしたやう東京とうきやうかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたし病氣びやうきして海岸かいがんかなかつたならば海岸かいがんつて宿やどまどから、うみはうてゐなかつたならば——、彼女かれ末男すゑを夫婦ふうふにならずに、らずのひととしてをはつたかもしれない。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
目的めあて海岸かいがん——某地ぼうちくと、うみ三方さんぱう——見晴みはらして、旅館りよくわん背後うしろやまがある。うへ庚申かうしんのほこらがあるとく。……町並まちなみ、また漁村ぎよそん屋根やねを、隨處ずゐしよつゝんだ波状はじやう樹立こだちのたゝずまひ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
海岸かいがんはさびしき椰子やしの林よりうしほのおとのふがに聞こゆ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
やがて、あちらのやまを、海岸かいがんほうへまわるとみえて、一せい汽笛きてきが、たかそらへひびくと、くるまおとがしだいにかすかにえていきます。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆびくつしてると、當日たうじつ吾等われら海岸かいがんいへつてから、丁度ちやうど九日目こゝぬかめで、かね海底戰鬪艇かいていせんとうてい試運轉式しうんてんしきさだめられたる紀元節きげんせつ前日ぜんじつである。
いままをしたように、日本につぽん青銅器せいどうきがはひつてたのは支那しなからでありまして、それは多分たぶん滿洲朝鮮まんしゆうちようせん海岸かいがんてはひつてたものとおもはれますから
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
丁度ちょうどなつのことでございましたから、小供こどもほとんどいえ内部なかるようなことはなく、海岸かいがんすないじりをしたり、小魚こざかなとらえたりしてあそびに夢中むちゅう
水馬演習すいばえんしゅうだ。むこがわへ行こう。」こう云いながら、そのまっ白なイギリス海岸かいがん上流じょうりゅうにのぼり、そこから向う側へおよいで行く人もたくさんありました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
海岸かいがんには、えだぶりのうつくしいくろまつがつらなりえたりしてゐます。おなまつでもあかまつはやまてきしてゐますが、くろまつは潮風しほかぜもつとつよです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
かういふ津浪つなみ沖合おきあひおいてはがいして數尺すうしやくたかさしかたないから、もしそれがそのまゝのたかさをもつ海岸かいがん押寄おしよせたならば、大抵たいてい無難ぶなんなるべきはずである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
なんでも、ずんずん南に進んでいけば、やがて大きな「鳥の道」に出るということです。それはブレーキンゲの海岸かいがんにそって、ずっとのびているそうです。
海岸かいがんから三四丁はなれたやまふもとたつ此小學校このせうがくかうところけつして立派りつぱなものではありません。ことぼくはひつたころ粗末そまつ平屋ひらやで、教室けうしつかずよついつゝしかかつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
英吉利イギリス海岸かいがんけば何所どこにでも、うみなかおよいでる澤山たくさん機械きかいられる、子供等こどもらくわすなぽじりをしてゐる、そして一れつならんでる宿屋やどや、それからそのうしろには停車場ステーシヨン
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
わたくし時折ときおり種々いろいろなことを妄想もうぞうしますが、往々おうおう幻想まぼろしるのです、或人あるひとたり、またひとこえいたり、音楽おんがくきこえたり、またはやしや、海岸かいがん散歩さんぽしているようにおもわれるときもあります。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
どこもみななごりしいが、いまとほつてゐる播州ばんしゆう海岸かいがん印南野いなびぬも、とほりすぎきれないほどになつかしくおもつてゐると、ちょうどむかうのほうに、なんだか、ちかよつてきたいこゝろおこさせる
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
海岸かいがんたからつて、なみひとるぢやなし、桜貝さくらがひひとつあるんぢやあない。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ある二人ふたりは、ひそかに部落ぶらくからのがました。そして、たにつたい、やまえて、たからかになみせる海岸かいがんまでやってきました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
海岸かいがん沿ふてこと七八ちやう岩層がんそう小高こだかをかがある、そのをかゆると、今迄いまゝでえたうみ景色けしきまつたえずなつて、なみおと次第しだい/\にとうく/\。
けれども元来私どもはイギリス海岸に行こうと思ったのでしたからだまってそこを通りすぎました。そしてそこはもうイギリス海岸かいがんの南のはじなのでした。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一體いつたい新石器時代しんせつきじだい人間にんげんは、どんなところんでゐたかといひますと、もちろん洞穴ほらあなむものもあり、山間さんかんにゐるものもありましたが、海岸かいがんちかくに住居じゆうきよして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
六、 海岸かいがんおいては津浪襲來つなみしゆうらい常習地じようしゆうち警戒けいかいし、山間さんかんおいては崖崩がけくづれ、山津浪やまつなみかんする注意ちゆういおこたらざること。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あくる朝早く、ニールスはガンたちと約束やくそくしておいた海岸かいがんにいきました。きょうはまたすばらしいお天気で、わたり鳥のむれがひっきりなしに飛んでいきます。
さて只今ただいま申上もうしあげました不図ふととした動機どうきというのは、とし三浦みうら海岸かいがんおそった大海嘯おおつなみなのでございました。
海岸かいがんからだん/\に山地さんちへかゝり高山こうざんのぼつていくにつれ、だん/\と温度おんどひくくなるのは、ちょうど緯度いどみなみからきたすゝむにしたがつてさむさがますのとおなじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
うさね』とつてグリフォンは、『最初さいしよ海岸かいがん沿うて一れつをつくる——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
なんだかはじめてのかたには、外國語がいこくごでもいてゐるかんじがするかもれません。印南野いなびぬといふのは、播州ばんしゆう海岸かいがんひろわたつた地名ちめいで、加古川かこがは中心ちゆうしんとして、印南郡いなぐん加古郡かこぐんひろがつてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
にんうつくしいおんなたちは、あか馬車ばしゃりました。あか馬車ばしゃは、あおうみ左手ひだりてにながめながら、海岸かいがんはしっていったのであります。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはまあ、ざっと百二十万年まんねんぐらい前のくるみだよ。ごく新しい方さ。ここは百二十万年前まんねんまえ第三紀だいさんきのあとのころは海岸かいがんでね、この下からはかいがらも出る。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、やがて、おんなは、かごをかついでさきち、主人しゅじんは、そのあとからついてもんて、まっすぐに、海岸かいがんほうしてみちいそいだのです。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま汽車は青森県の海岸かいがんを走っている。海ははりをたくさんならべたように光っているし木のいっぱいえた三角な島もある。いま見ているこの白い海が太平洋たいへいようなのだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ここに、だれもゆかないような、さびしい海岸かいがんに、なみげられたものか、こわれたふねがある、そのなかんでいる老人ろうじんがありました。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
その白いいわになったところの入口に、〔プリオシン海岸かいがん〕という、瀬戸物せともののつるつるした標札ひょうさつが立って、向こうのなぎさには、ところどころ、ほそてつ欄干らんかんえられ
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
みなと人々ひとびとはみんな海岸かいがんてながめていました。そのうちには老人ろうじんもあれば子供こどももありました。若者わかものもあればむすめもありました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)