とう)” の例文
翻訳は、僕自身の作品にちようすれば、中々正確に訳してある。その上、地名、官名、道具の名とうには、ちやんと註釈をほどこしてある。
日本小説の支那訳 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
また、一とうしつからも、大臣だいじんや、高等官こうとうかんかおがちょっとばかりあらわれました。しかしそのひとたちのかおは、じきにんでしまいました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
出し半合羽はんがっぱ日和下駄ひよりげたにて浅草山あさくさやま宿辺しゅくへん住居すまいより木挽町楽屋へ通ひ衣裳かつら大小だいしょうの道具帳を書きまた番附表看板とうの下絵を綺麗に書く。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これは彼が、所謂いわゆる自己嫌悪、肉親憎悪、人間憎悪とう一聯いちれんの特殊な感情を、多分に附与ふよされていたことを語るものであるかも知れない。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なほ針葉樹しんようじゆであつて常緑じようりよく(まつ、すぎなど)を『常緑針葉樹じようりよくしんようじゆ』といひ、代濶葉樹かかつようじゆであつて常緑じようりよく(かし、くすとう)を『常緑濶葉樹じようりよくかつようじゆ
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
夫婦めおと岩、蓬莱ほうらい岩、岩戸不動滝、垂釣潭すいちょうたん、宝船、重ね岩、宝塔とう等等の名はまたあらずもがな、真の気魄きはくはただに天崖より必逼ひつひつする。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
づこんなりふれた問答もんだふから、だん/\談話はなしはながさいて東京博覽會とうきようはくらんくわいうはさ眞鶴近海まなづるきんかい魚漁談ぎよれふだんとう退屈たいくつまぬかれ、やつとうらたつした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一日いちんちに十六手水場てうづばつたの一とうだつけが、なあに病氣びやうきなんぞにやけらツるもんかつちんだから、ときにや村落中むらぢうかたではあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
立てゝ三歳なる文藏を守立もりたてて奉公人の取締とりしまり行屆ゆきとゞきしかば漸次々々しだい/\勝手かつてよくなりし故所々へ貸金とうもいたし番頭に忠兵衞と言者いふもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
検疫船けんえきせん検疫医けんえきいむ。一とう船客せんかくどう大食堂だいしよくだうあつめられて、事務長じむちやうへんところにアクセントをつけて船客せんかくげる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
煙草入たばこいれにも入れてなく、ふくろにも入れてなくして、暖炉ストーブ枠の上、食器棚の上、ピアノの上とう至る所に一塊ひとかたまりづゝにして載せてある。
東北地方とうほくちほう活火山かつかざん鳥海山ちようかいざんたか二千二百三十米にせんにひやくさんじゆうめーとる)、岩手山いはてさんたか二千四十一米にせんしじゆういちめーとる)、岩木山いはきさんたか千六百二十五米せんろつぴやくにじゆうごめーとるとうがある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
緑赤色りよくせきしよくをして南天の葉を枚横に並べた様な擬態を現して居るクロマリイとうこの通信を書く時の記憶に鮮かに残つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
機關兵きくわんへい機關室きくわんしつまもり、信號兵しんがうへい戰鬪樓せんとうらうち、一とう、二とう、三とう水兵等すいへいら士官しくわん指揮しきしたに、いま引揚ひきあげた端艇たんていをさめつゝ。
第三 さけちや菓子かしるゐ食時しよくじせつ少々せう/\もちゐて飮食いんしよく消化せうくわたすくるはがいなしといへども、その時限じげんほか退屈たいくつときもちゆとうがいあること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
子貢曰く、その礼を見ればすなわちその政を知り、その楽を聞けばすなわちその徳を知る。百世の後より百世の王をとうするに、これにく違うことし。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
日蓮上人、為兼卿ためかねきやう、遊女初君はつきみとう古跡こせきもたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち気運きうんじゆんうしなひ、としやゝけんしてこくねだん日々にあがり人気じんきおだやかならず。
エヽ講談の方の読物は、多く記録、其の古書とう、多少よりどころのあるものでござりますが、浄瑠璃や落語人情噺に至っては、作物さくぶつが多いようでござります。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「だがね、うれしいどころか、反対はんたいすごくなりやしないから? 一とうだと二千円——ぼくの二年分の給料きふれう以上のお金がいきなり懷にびこんでくる……」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
欧洲の政風人情政治上の事については竜動ロンドン巴里パリとうに在留中、色々な人に逢うて色々な事をきいたが、もとよりその事柄の由来を知らぬからわかけもない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
高岩岳を外輪山とする西雲仙火山と、普賢岳を中央火口丘とし、国見、妙見、江丸えまるとうを外輪山とする東雲仙火山との交錯から出来上っている連峰を指すのである。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
わたくしだいとうのスタニスラウの勳章くんしやうもらひました。だいとう勳章くんしやうは、全體ぜんたいなら外國人ぐわいこくじんでなければもらへないのですが、わたくしにはの、特別とくべつもつてね、例外れいぐわいえます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
トルストイ、ツルゲネーフとう吾人ごじんひさしくこれけども、ドストイヱフスキーの著書ちよしよいたりては吾文界わがぶんかいこれ紹介せうかいするのこう不知庵フチアンおほしとはざるからず。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
れ其妻に向いては殆どやわらか過るほど柔かにして全く鼻の先にて使われ居し者なり、かくも妻孝行の男は此近辺に二人と見出し難し、とうの事柄にして殆ど異口同音なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そして風雅人鑑賞家として知られた孫七峯そんしちほうとつゞき合で、七峯は当時の名士であつた楊文襄やうぶんじやう文太史ぶんたいし祝京兆しゆくけいてう唐解元たうかいげん李西涯りせいがいとう朋友ともだちで、七峯の居たところの南山で
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
イギリスやドイツやフランスとうにもあまりおとらない博物館はくぶつかんがあつて、よしくにちひさくても博物館はくぶつかん圖書館としよかんだけは、大國だいこくかたならべることが出來できるくらゐのものがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
棚の上には小さき、の長き和蘭陀オランダパイプをななめに一列に置きあり。その外小さき彫刻品、人形、浮彫のしなとうあり。寝椅子のすえの処に一枚戸の戸口あり。これより寝間ねまる。
百合の香に堪へられない人、赤薔薇の香に堪へられない人、リラの香に堪へられない人とうが出てくる。そして、いよいよ香気の「ほのかさ」に向つて、心が誘はれるやうになる。
大講会総奉行だいこうえそうぶぎょう大久保石見守長安おおくぼいわみのかみながやす、その家臣かしん、その目付役めつけやく、その介添役かいぞえやくとう、等、等。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自然お客様のおこしも御座りませんゆゑ、何分用意とうも致し置きませんやうな次第で、然し、一両日いちりようにち中にはお麁末そまつながら何ぞ差上げまするやうに取計ひまするで御座いますで、どうぞ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それから一ぱうせうなる横穴よこあなのシキからは、ひと大腿骨だいたいこつ指骨しこつの一小部分せうぶぶんとがで、直刀ちよくたう折片せつべんつば鐵製てつせい寶珠形ほうじゆがたすかし)脛巾金はゞきおよ朱塗しゆぬり土器どき彌生式土器やよひしきどき類似るゐじす)とうでた。
かのえさるきのえとうのいろいろのこう、あるいは二十三夜講にじゅうさんやこうのようなものを組織し、また継続して、その講中だけは一人もけ落ちず、われひとおなじ心に信心をやしなって行こうとしているのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
緋縮緬などを用ゐ裏には紅絹もみ甲斐絹かひきとうあはす、すなわち一枚にて幾種の半襦袢と継合つぎあはすことを、なほ且長襦袢の如く白きはぎにて蹴出すを得るなり、半襦袢と継合はすために紐を着けたり
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とう諸國しよこくから轉訛てんくわしたもの、およ梵語系ぼんごけいそののものも多少たせうある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
あまつさえ人夫らのうちに、寒気と風雨とに恐れ、ために物議を生じて、四面朦朧もうろう咫尺しせきべんぜざるに乗じて、何時いつにか下山せしものありたるため、翌日落成すべき建築もなお竣工しゅんこうぐるあたわざるとう
阿姪あてつ阿甥あせい書生とうの眼を避けて、鏡にそむいてすまし居たり。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
急行列車きふかうれつしやは一二とう
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
この外にもまだ、島崎藤村しまざきとうそん里見弴さとみとん谷崎潤一郎たにざきじゆんいちらう加能作次郎かのうさくじらう佐藤俊子さとうとしことうの如き幾多の作家があつて、本来選に入るべきであるけれども
日本小説の支那訳 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それ故私はたゞ代官町だいくわんちやう蓮池御門はすいけごもん三宅坂下みやけざかした桜田御門さくらだごもん九段坂下くだんざかしたうしふちとう古来人の称美する場所の名を挙げるにとゞめて置く。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
五、 屋外おくがいおいては屋根瓦やねがはらかべ墜落ついらいあるひ石垣いしがき煉瓦塀れんがべい煙突えんとつとう倒潰とうかいきたおそれある區域くいきからとほざかること。とく石燈籠いしどうろう近寄ちかよらざること。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
相場さうば氣味ぎみときにやうつかりすつと損物そんものだかんな、なんでも百姓ひやくしやうしてこくんでものが一とうだよ、卵拾たまごひろひもなあ、赤痢せきりでも流行はやつててな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日蓮上人、為兼卿ためかねきやう、遊女初君はつきみとう古跡こせきもたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち気運きうんじゆんうしなひ、としやゝけんしてこくねだん日々にあがり人気じんきおだやかならず。
新嘉坡シンガポオルへ輸入する石炭の総額は一年に六千万とんだが、この半額は日本炭と撫順炭で占め、の半額は濠洲炭、英国のカアジフ、ボルネオ炭とうである
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
唐物からものかご芙蓉ふよう桔梗ききょう刈萱かるかやなど秋草を十分にけまして、床脇の棚とうにも結構な飛び青磁の香炉こうろがございまして、左右に古代蒔絵こだいまきえの料紙箱があります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
(現今クンベツ)且つく処として倒れたる大樹ありて、其上を飛越え、或は曲り或は迂回するとうは、とても言語を以て語り筆紙を以て尽すべからざるあり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
見れば外科医とうの切断したものでないことが判明したが附近には右に該当する殺人事件又は婦人の失踪届出とどけいでなく今のところ何者の死体なるや不明であるが
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
小学の科を五等に分ち、吟味を経てとうに登り、五等の科を終る者は中学校に入るの法なれども、学校の起立いまだ久しからざれば、中学に入る者も多からず。
京都学校の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
或日あるひ學校がくかう生徒せいと製作物せいさくぶつ展覽會てんらんくわいひらかれた。その出品しゆつぴんおも習字しふじ※畫づぐわ女子ぢよし仕立物したてものとうで、生徒せいと父兄姉妹ふけいしまいあさからぞろ/\とおしかける。りどりの評判ひやうばん
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「さうださうだ。イスやテエブルはだい一番だな。だが、さうなると、紅茶器こうちやきなんかの上とうしくなる……」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
大根だいこんや、ねぎや、まめや、いもなどを昨日きのうから、近在きんざいの百しょうだちが会場かいじょうんでいますよ。そして、一とうと二とうとは、たいした賞品しょうひんがもらえるということです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)