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其夜
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そのよ
ふりがな文庫
“
其夜
(
そのよ
)” の例文
しかも梅の影がさして、窓がぽつと
明
(
あかる
)
くなる時、
縁
(
えん
)
に
蚊遣
(
かやり
)
の
靡
(
なび
)
く時、折に触れた今までに、つい
其夜
(
そのよ
)
の如く
香
(
か
)
の高かつた事はないのである。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう後悔しても
取反
(
とりかえ
)
しが附かなくなって、
止
(
や
)
むことを得ず
好加減
(
いいかげん
)
な口実を設けて別々に内を出て、新富座を見物した
其夜
(
そのよ
)
の事。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
其夜
(
そのよ
)
は
床
(
とこ
)
に
入
(
い
)
りしかども、さりとは
肝癪
(
かんしやく
)
のやる
瀬
(
せ
)
なく、よしや
如何
(
いか
)
なる
用事
(
ようじ
)
ありとても、
我
(
わ
)
れなき
留守
(
るす
)
に
無斷
(
むだん
)
の
外出
(
ぐわいしつ
)
、
殊更
(
ことさら
)
家内
(
かない
)
あけ
放
(
はな
)
しにして
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
借て
手傳
(
てつだ
)
はせしに
夜
(
よ
)
も
更
(
ふけ
)
し
儘
(
まゝ
)
其夜
(
そのよ
)
は下女事私し方へ泊り
翌朝
(
よくてう
)
客
(
きやく
)
の
給仕
(
きふじ
)
などを仕舞て立歸り候處右の
騷動
(
さうどう
)
故
(
ゆゑ
)
大いに驚き候由を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其夜
(
そのよ
)
、帆村探偵は、彼の研究室に
閉
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
って、事件の最初から今日の調べのところまで幾度となく、復習をしてみた。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
其夜
(
そのよ
)
は
征西将軍
(
せい/\しやうぐん
)
の宮の大祭で、町は
賑
(
にぎや
)
かであつた。街頭をぞろぞろと人が
通
(
とほ
)
つた。花火が勇ましい音を立てゝあがると、人々が
皆
(
み
)
な足を留めて
振返
(
ふりかへ
)
つた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
其夜
(
そのよ
)
大雨
(
たいう
)
が
降
(
ふ
)
り
出
(
だ
)
したので、これ
迄
(
まで
)
野營
(
やえい
)
を
續
(
つゞ
)
けてゐた
附近
(
ふきん
)
の
被害民
(
ひがいみん
)
は、
皆
(
みな
)
此
(
こ
)
の
潰
(
つぶ
)
れ
殘
(
のこ
)
りの
家
(
いへ
)
に
集
(
あつ
)
まつて
來
(
き
)
て
餘
(
あま
)
り
大勢
(
おほぜい
)
でありし
爲
(
ため
)
、
混雜
(
こんざつ
)
はしたけれども、
皆
(
みな
)
口々
(
くち/″\
)
に
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
其夜
(
そのよ
)
床
(
とこ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
明日
(
あした
)
こそ
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて、
坂井
(
さかゐ
)
へ
行
(
い
)
つて
安井
(
やすゐ
)
の
消息
(
せうそく
)
をそれとなく
聞
(
き
)
き
糺
(
たゞ
)
して、もし
彼
(
かれ
)
がまだ
東京
(
とうきやう
)
にゐて、
猶
(
なほ
)
しば/\
坂井
(
さかゐ
)
と
徃復
(
わうふく
)
がある
樣
(
やう
)
なら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其夜
(
そのよ
)
から
僕
(
ぼく
)
は
熱
(
ねつ
)
が
出
(
で
)
て
今日
(
けふ
)
で
三日
(
みつか
)
になるが
未
(
ま
)
だ
快然
(
はつきり
)
しない。
山
(
やま
)
に
登
(
のぼ
)
つて
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
いたのであらう。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
此
(
こ
)
のまま雨中に立ち尽しては、
或
(
あるい
)
は凍えて死ぬかも知れぬので、遺憾ながら安行の捜索は一旦中止して、一同も空しく町へ
引揚
(
ひきあ
)
げて来た。市郎は
其夜
(
そのよ
)
一睡も
為
(
し
)
なかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其夜
(
そのよ
)
は
詩集
(
ししふ
)
など
出
(
いだ
)
して読みしは、
我
(
われ
)
ながら
止所
(
とめどころ
)
のなき
移気
(
うつりぎ
)
や、
夫
(
それ
)
も
其夜
(
そのよ
)
の夢だけにて、
翌朝
(
よくあさ
)
はまた
他事
(
ほかのこと
)
に
心移
(
こゝろうつ
)
りて、
忘
(
わす
)
れて
年月
(
としつき
)
を
経
(
へ
)
たりしが、
梅
(
うめ
)
の花の
咲
(
さ
)
くを見ては
毎年
(
まいとし
)
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
瀬田は二十五歳で、脇差を盗まれたために、見苦しい
最期
(
さいご
)
を遂げた。村役人を連れて帰つた
爺
(
ぢ
)
いさんが、
其夜
(
そのよ
)
の
中
(
うち
)
に死骸を見付けて、二十二日に領主稲葉
丹後守
(
たんごのかみ
)
に届けた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
其夜
(
そのよ
)
は
慙恨
(
ざんこん
)
の
情
(
じやう
)
に
驅
(
か
)
られて、一
睡
(
すゐ
)
だも
爲
(
せ
)
ず、
翌朝
(
よくてう
)
遂
(
つひ
)
に
意
(
い
)
を
决
(
けつ
)
して、
局長
(
きよくちやう
)
の
所
(
ところ
)
へと
詑
(
わび
)
に
出掛
(
でかけ
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
他
(
ほか
)
でも無い、あの流星と云うものは何んだか気味の悪いもので、それが落ちたと
覚
(
おぼ
)
しき場所へは、余程の勇士でも
其夜
(
そのよ
)
直
(
す
)
ぐに行くのは
厭
(
いや
)
がると云う、
爾
(
そう
)
して昔からの
口碑
(
いいつたえ
)
にも
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
悲しい
其夜
(
そのよ
)
が明けますと
北国
(
ほつこく
)
の皇太子は家来を大勢連れて
此
(
こ
)
の野原へ狩猟に来ましたがやがて
叢
(
くさむら
)
の中に
睡
(
ねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
るお玉を見つけて
其
(
そ
)
の美しいのに驚いて眼のさめるのを待つて身の上を
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
其間
(
そのひま
)
に、
予
(
わし
)
の
消息
(
しらせ
)
で、ロミオが
此
(
この
)
計畫
(
けいくわく
)
を
知
(
し
)
り、
卿
(
おこと
)
が
覺
(
さ
)
めさッしゃる
前
(
まへ
)
に、
此方
(
こち
)
へ
來
(
く
)
ることとならう。
予
(
わし
)
も
共々
(
とも/″\
)
目覺
(
めさめ
)
まで
番
(
ばん
)
をして、
其夜
(
そのよ
)
の
中
(
うち
)
にロミオが
卿
(
おこと
)
をばマンチュアへ
伴
(
つ
)
れて
行
(
いな
)
う。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
強盜
(
がうとう
)
と
間違
(
まちが
)
へられた
憤慨
(
ふんがい
)
紛
(
まぎ
)
れに、
二人
(
ふたり
)
はウン/\
汗
(
あせ
)
を
絞
(
しぼ
)
りながら、一
里
(
り
)
餘
(
よ
)
の
道
(
みち
)
を
境
(
さかい
)
の
停車場
(
ていしやば
)
に
出
(
い
)
で、
其夜
(
そのよ
)
の
汽車
(
きしや
)
に
乘
(
の
)
つて、
品川
(
しながは
)
まで
歸
(
かへ
)
つたが、
新宿
(
しんじゆく
)
の
乘替
(
のりかへ
)
で、
陸橋
(
ブリツチ
)
を
上下
(
じやうげ
)
した
時
(
とき
)
の
苦
(
くる
)
しさ。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
犬嫌
(
いぬぎらい
)
の父は泊めた
其夜
(
そのよ
)
を
啼明
(
なきあか
)
されると、うんざりして了って、
翌日
(
あくるひ
)
は是非
逐出
(
おいだ
)
すと言出したから、私は
小狗
(
こいぬ
)
を抱いて逃廻って、
如何
(
どう
)
しても放さなかった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
寢
(
ね
)
かし
置
(
おき
)
其夜
(
そのよ
)
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
とも思しき頃
豫
(
かね
)
て
研澄
(
とぎすま
)
したる
出刄庖丁
(
でばばうちやう
)
を
懷中
(
くわいちう
)
なし
頬冠
(
ほゝかぶ
)
りして忍び
出
(
いで
)
頓
(
やが
)
て質屋の前へ行き
四邊
(
あたり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さりとて
其夜
(
そのよ
)
は
寐
(
ね
)
らるヽところならず、
強
(
し
)
ひて
床
(
とこ
)
へは
入
(
い
)
りしものヽ
寐間着
(
ねまき
)
も
着
(
き
)
かへず
横
(
よこ
)
にもならず、さてつく/″\と
考
(
かんが
)
へれば
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
晝間
(
ひるま
)
の
樣々
(
さま/″\
)
が
浮
(
う
)
かびて
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
五月朔日
(
ごぐわつついたち
)
の
事
(
こと
)
也
(
なり
)
。
其夜
(
そのよ
)
、
飯坂
(
いひざか
)
に
宿
(
とま
)
る。
温泉
(
をんせん
)
あれば
湯
(
ゆ
)
に
入
(
いり
)
て
宿
(
やど
)
をかるに、
土座
(
どざ
)
に
筵
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いて、あやしき
貧家
(
ひんか
)
なり。
灯
(
ともしび
)
もなければ、ゐろりの
火影
(
ほかげ
)
に
寢所
(
しんじよ
)
を
設
(
まう
)
けて
云々
(
うん/\
)
。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
代助は
其夜
(
そのよ
)
すぐ
立
(
た
)
たうと思つて、グラツドストーンの
中
(
なか
)
を
門野
(
かどの
)
に掃
除
(
じ
)
さして、携帯品を
少
(
すこ
)
し
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
んだ。
門野
(
かどの
)
は
少
(
すく
)
なからざる好奇心を以て、代助の
革鞄
(
かばん
)
を
眺
(
なが
)
めてゐたが
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
フムと感心のコナシありて、
此子
(
このこ
)
なか/\話せるワエと、
忽
(
たちま
)
ち
詩箋
(
しせん
)
に
龍蛇
(
りうだ
)
はしり、
郵便箱
(
いうびんばこ
)
に
金玉
(
きんぎよく
)
の
響
(
ひゞき
)
ある
事
(
こと
)
になるとも、
我
(
われ
)
また
其夜
(
そのよ
)
の
思寝
(
おもひね
)
に
和韻
(
わゐん
)
の一
詩
(
し
)
をすら/\と
感得
(
かんとく
)
して
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
或
(
あるひ
)
は
七十五尺
(
しちじゆうごしやく
)
といふような
高
(
たか
)
さの
洪水
(
こうずい
)
となり、
合計
(
ごうけい
)
二萬七千人
(
にまんしちせんにん
)
の
人命
(
じんめい
)
を
奪
(
うば
)
つたのに、
港灣
(
こうわん
)
の
兩翼端
(
りようよくたん
)
では
僅
(
わづか
)
に
數尺
(
すうしやく
)
にすぎない
程
(
ほど
)
のものであつたし、
其夜
(
そのよ
)
沖合
(
おきあひ
)
に
漁獵
(
ぎよりよう
)
に
行
(
い
)
つてゐた
村人
(
むらびと
)
は
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
雨は
何時
(
いつ
)
か
降歇
(
ふりや
)
んで、
其夜
(
そのよ
)
も明け放れた。
暁
(
あかつき
)
の霧は晴れて、朝日は昇った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
處
(
ところ
)
が
其夜
(
そのよ
)
、
女中
(
ぢよちゆう
)
どもが
僕
(
ぼく
)
の
部屋
(
へや
)
に
集
(
あつま
)
つて、
宿
(
やど
)
の
娘
(
むすめ
)
も
來
(
き
)
た。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
扨て傳吉は
其夜
(
そのよ
)
亥刻
(
よつ
)
過
(
すぎ
)
に我が家へ歸りければ女房叔母ともに出で立ち今御歸りなされしや金子は如何にと
尋
(
たづ
)
ぬるに傳吉
然
(
され
)
ばお專殿は留守にて分らず歸りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
石之助
(
いしのすけ
)
其夜
(
そのよ
)
はをとなしく、
新年
(
はる
)
は
明日
(
あす
)
よりの三ヶ
日
(
にち
)
なりとも、
我
(
わ
)
が
家
(
いへ
)
にて
祝
(
いは
)
ふべき
筈
(
はづ
)
ながら
御存
(
ごぞん
)
じの
締
(
しま
)
りなし、
堅
(
かた
)
くるしき
袴
(
はかま
)
づれに
挨拶
(
あいさつ
)
も
面倒
(
めんどう
)
、
意見
(
いけん
)
も
實
(
じつ
)
は
聞
(
きゝ
)
あきたり
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其夜
(
そのよ
)
の感情、よく筆に写すを得ず、いかむとなれば予は余りの恐しさに前後忘却したればなり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其夜
(
そのよ
)
代助は平岡と遂に愚図々々で
分
(
わか
)
れた。会見の結果から云ふと、何の
為
(
ため
)
に平岡を新聞社に
訪
(
たづ
)
ねたのだか、自分にも
分
(
わか
)
らなかつた。平岡の方から見れば、猶更
左様
(
さう
)
であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
人數
(
にんず
)
は
彼
(
か
)
のそそくさに
此女中
(
このぢよちゆう
)
と、
他
(
ほか
)
には
御飯
(
ごはん
)
たきらしき
肥大女
(
ふとつちよ
)
および、
其夜
(
そのよ
)
に
入
(
い
)
りてより
車
(
くるま
)
を
飛
(
と
)
ばせて
二人
(
ふたり
)
ほど
來
(
きた
)
りし
人
(
ひと
)
あり、
一人
(
ひとり
)
は
六十
(
ろくじふ
)
に
近
(
ちか
)
かるべき
人品
(
じんぴん
)
よき
剃髮
(
ていはつ
)
の
老人
(
らうじん
)
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
けれども
其夜
(
そのよ
)
は
珍
(
めづ
)
らしく、
坂井
(
さかゐ
)
の
主人
(
しゆじん
)
は四十
恰好
(
がつかう
)
の
髯
(
ひげ
)
のない
人
(
ひと
)
であると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
やら、ピヤノを
彈
(
ひ
)
くのは
惣領
(
そうりやう
)
の
娘
(
むすめ
)
で十二三になると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
やら、
又
(
また
)
外
(
ほか
)
の
家
(
うち
)
の
小供
(
こども
)
が
遊
(
あそ
)
びに
來
(
き
)
ても
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お村も
少
(
すこ
)
しくなる口なるに、
其夜
(
そのよ
)
は心
爽
(
さわや
)
ぎ、
興
(
きよう
)
も
亦
(
また
)
深かりければ、
飲過
(
のみすご
)
して
太
(
いた
)
く
酔
(
ゑ
)
ひぬ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其涙
(
そのなみだ
)
を
敏
(
さとし
)
に
拭
(
ぬぐ
)
はれて
猶
(
なほ
)
かなしく、
手
(
て
)
にすがりて
何時
(
いつ
)
までも
泣
(
な
)
きしが、
三歳子
(
みつご
)
の
魂
(
たましひ
)
いつはりには
有
(
あ
)
らで、
此
(
この
)
こと
心根
(
しんこん
)
にしみて
悲
(
かな
)
しければこそ、
其夜
(
そのよ
)
閑燈
(
かんとう
)
のもとに
令孃
(
ひめ
)
を
拜
(
を
)
がみて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其夜
(
そのよ
)
は
教師
(
けうし
)
も
用達
(
ようたし
)
に
出掛
(
でか
)
けて
留守
(
るす
)
であつたから、
良
(
やゝ
)
落着
(
おちつ
)
いて
讀
(
よ
)
みはじめた。やがて
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
汽車
(
きしや
)
を
利用
(
りよう
)
して
其夜
(
そのよ
)
のうちに
安井
(
やすゐ
)
の
宿
(
やど
)
に
着
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其夜
(
そのよ
)
の
雁
(
かり
)
も
立去
(
たちさ
)
らず、
餌
(
ゑ
)
にかはれた
飼鳥
(
かひどり
)
のやう、よくなつき、
分
(
わ
)
けて
民子
(
たみこ
)
に
慕
(
した
)
ひ
寄
(
よ
)
つて、
膳
(
ぜん
)
の
傍
(
かたはら
)
に
羽
(
はね
)
を
休
(
やす
)
めるやうになると、はじめに
生命
(
いのち
)
がけ
恐
(
おそろ
)
しく
思
(
おも
)
ひしだけ、
可愛
(
かはい
)
さは
一入
(
ひとしほ
)
なり。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其夜
(
そのよ
)
は
雨催
(
あめもよひ
)
の
空
(
そら
)
が、
地面
(
ぢめん
)
と
同
(
おな
)
じ様な
色
(
いろ
)
に見えた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
又
(
また
)
逢
(
あ
)
ふ
場所
(
ばしよ
)
は
某
(
それ
)
の
辻
(
つじ
)
某
(
それ
)
の
處
(
ところ
)
に
待給
(
まちたま
)
へ
必
(
かな
)
らずよと
契
(
ちぎ
)
りて
別
(
わか
)
れし
其夜
(
そのよ
)
のこと
誰
(
た
)
れ
知
(
し
)
るべきならねば
心安
(
こゝろやす
)
けれど
心安
(
こゝろやす
)
からぬは
松澤
(
まつざは
)
が
今
(
いま
)
の
境涯
(
きやうがい
)
あらましは
察
(
さつ
)
しても
居
(
ゐ
)
たものゝそれ
程
(
ほど
)
までとは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らざりしが
其御難儀
(
そのごなんぎ
)
も
誰
(
たれ
)
がせし
業
(
わざ
)
ならず
勿躰
(
もつたい
)
なけれど
我
(
わ
)
が
親
(
おや
)
うらみなり
聞
(
き
)
かれぬまでも
諫
(
いさ
)
めて
見
(
み
)
んか
否
(
いな
)
父
(
ちゝ
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さて
其夜
(
そのよ
)
こゝへ
來
(
く
)
るのにも
通
(
とほ
)
つたが、
矢來
(
やらい
)
の
郵便局
(
いうびんきよく
)
の
前
(
まへ
)
で、ひとりで
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
した
覺
(
おぼ
)
えがある。
最
(
もつと
)
も
當時
(
たうじ
)
は
青
(
あを
)
くなつて
怯
(
おび
)
えたので、おびえたのが、
尚
(
な
)
ほ
可笑
(
をかし
)
い。まだ
横寺町
(
よこでらまち
)
の
玄關
(
げんくわん
)
に
居
(
ゐ
)
た
時
(
とき
)
である。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
馴
(
なれ
)
ツこになつて
親
(
したし
)
んで居たけれども、泊るのは
其夜
(
そのよ
)
が
最初
(
はじめて
)
。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“其夜”で始まる語句
其夜前