トップ
>
人影
>
ひとかげ
ふりがな文庫
“
人影
(
ひとかげ
)” の例文
子供
(
こども
)
は、
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
りながら、
母親
(
ははおや
)
に
連
(
つ
)
れられてゆきました。そして、その
姿
(
すがた
)
は、だんだんあちらに、
人影
(
ひとかげ
)
に
隠
(
かく
)
れて
見
(
み
)
えなくなりました。
雪の上のおじいさん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
左
(
ひだり
)
へ
折
(
お
)
れたところに
応接室
(
おうせつしつ
)
か
喫煙室
(
きつえんしつ
)
かといふやうな
部屋
(
へや
)
の
窓
(
まど
)
の
戸
(
と
)
が
少
(
すこ
)
しあいてゐて
人影
(
ひとかげ
)
が
差
(
さ
)
してゐたが、そこを
過
(
す
)
ぎると
玄関
(
げんかん
)
があつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
煙草盆
(
たばこぼん
)
に
香
(
かう
)
の
薫
(
かをり
)
のみして、
座
(
ざ
)
にいまだ
人影
(
ひとかげ
)
なき
時
(
とき
)
、
瀧君
(
たきくん
)
の
此
(
こ
)
の
光景
(
くわうけい
)
は、
眞田
(
さなだ
)
が
六文錢
(
ろくもんせん
)
の
伏勢
(
ふせぜい
)
の
如
(
ごと
)
く、
諸葛亮
(
しよかつりやう
)
の
八門遁甲
(
はちもんとんかふ
)
の
備
(
そなへ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
る。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
公園には
人影
(
ひとかげ
)
がなかった。
乾干
(
ひから
)
びた電車の音だけが夜の
静寂
(
せいじゃく
)
を破っていた。空には星、地にはアーク灯、それのみが静かに輝いていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
目かくしされ首に綱をつけ、しずかに塀をうしろにして、立っている死刑囚のそのうしろの塀に横あいから近づく一つの
人影
(
ひとかげ
)
をうつした。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
頓
(
やが
)
て
船尾
(
せんび
)
の
方
(
かた
)
へ
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
此處
(
こゝ
)
は
人影
(
ひとかげ
)
も
稀
(
まれ
)
で、
既
(
すで
)
に
洗淨
(
せんじよう
)
を
終
(
をは
)
つて、
幾分
(
いくぶん
)
の
水氣
(
すゐき
)
を
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
る
甲板
(
かんぱん
)
の
上
(
うへ
)
には、
月
(
つき
)
の
色
(
ひかり
)
も
一段
(
いちだん
)
と
冴渡
(
さへわた
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ということに落ちて、笑って立とうとする時に、峠の道の
武州路
(
ぶしゅうじ
)
の方から青葉の茂みをわけて登り来る
人影
(
ひとかげ
)
があります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すべての恋する人々は、自分等以外に全く
人影
(
ひとかげ
)
のない
離
(
はな
)
れ小島の無人島で、心行くまで二人だけの生活をし、二人だけの会話をしたいと願うのである。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
聞える物音とては、島のぐるり中から響いて来る遠くの砕け波の音と、叢林の中で鳴く無数の虫の声だけであった。
人影
(
ひとかげ
)
一つなく、海上には
帆影
(
ほかげ
)
一つない。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
貢さんは
困
(
こま
)
つたらしく黙つて
俯向
(
うつむ
)
いた。此時
前
(
まへ
)
の桑畑の中に、白い
絣
(
かすり
)
を着て
走
(
はし
)
つて行く
人影
(
ひとかげ
)
がちらと見えた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
打まもり
嘸
(
さぞ
)
御無念におはすらん
汝
(
おの
)
れ敵め其儘にして置べきやと
四邊
(
あたり
)
を見れども
人影
(
ひとかげ
)
無
(
な
)
ければ懷中
何
(
いか
)
にと改め見るに金も見えず彼是する
折柄
(
をりから
)
人々も
駈着
(
かけつけ
)
此有樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
外
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
くと、うす
暗
(
ぐら
)
いプラットフォオムにも、
今日
(
けふ
)
は
珍
(
めづ
)
らしく
見送
(
みおく
)
りの
人影
(
ひとかげ
)
さへ
跡
(
あと
)
を
絶
(
た
)
つて、
唯
(
ただ
)
、
檻
(
をり
)
に
入
(
い
)
れられた
小犬
(
こいぬ
)
が一
匹
(
ぴき
)
、
時時
(
ときどき
)
悲
(
かな
)
しさうに、
吠
(
ほ
)
え
立
(
た
)
ててゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夜
(
よ
)
は
漸々
(
やう/\
)
に
深
(
ふか
)
くならんとす
人影
(
ひとかげ
)
ちらほらと
稀
(
まれ
)
になるを
雪
(
ゆき
)
はこゝ
一段
(
いちだん
)
と
勢
(
いきほひ
)
をまして
降
(
ふ
)
りに
降
(
ふ
)
れど
隱
(
かく
)
れぬものは
鍋燒饂飩
(
なべやきうどん
)
の
細
(
ほそ
)
く
哀
(
あは
)
れなる
聲
(
こゑ
)
戸
(
と
)
を
下
(
おろ
)
す
商家
(
しやうか
)
の
荒
(
あら
)
く
高
(
たか
)
き
音
(
おと
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さらに見れば、川向こうから
三方
(
みかた
)
ヶ
原
(
はら
)
のおちこちには、いつか、
秋霜
(
しゅうそう
)
のごとき
槍
(
やり
)
と刀と
人影
(
ひとかげ
)
をもって、完全な
人縄
(
ひとなわ
)
を
張
(
は
)
り、
遠巻
(
とおま
)
きに二
重
(
じゅう
)
のにげ道をふさいでいる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
団子坂へ行く者
皈
(
かえ
)
る者が
茲処
(
ここ
)
で落合うので、処々に
人影
(
ひとかげ
)
が見える、若い女の笑い
動揺
(
どよ
)
めく声も聞える。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
揷
(
さ
)
した
秋海棠
(
しゅうかいどう
)
が、
伊満里
(
いまり
)
の
花瓶
(
かびん
)
に
影
(
かげ
)
を
映
(
うつ
)
した
姿
(
すがた
)
もなまめかしく、
行燈
(
あんどん
)
の
焔
(
ほのお
)
が
香
(
こう
)
のように
立昇
(
たちのぼ
)
って、
部屋
(
へや
)
の
中程
(
なかほど
)
に
立
(
た
)
てた
鏡台
(
きょうだい
)
に、
鬘下地
(
かつらしたじ
)
の
人影
(
ひとかげ
)
がおぼろであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
平岡の
家
(
いへ
)
の近所へ
来
(
く
)
ると、
暗
(
くら
)
い
人影
(
ひとかげ
)
が
蝙蝠
(
かはほり
)
の如く
静
(
しづ
)
かに
其所
(
そこ
)
、
此所
(
こゝ
)
に
動
(
うご
)
いた。粗末な
板塀
(
いたべい
)
の
隙間
(
すきま
)
から、
洋燈
(
ランプ
)
の
灯
(
ひ
)
が往来へ
映
(
うつ
)
つた。
三千代
(
みちよ
)
は
其光
(
そのひかり
)
の
下
(
した
)
で新聞を
読
(
よ
)
んでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あとをふりかえって見ると、二人三人黒い
人影
(
ひとかげ
)
がぼくの家の方に走って行くのが見える。ぼくはそれがうれしくって、なおのこと、次の家から次の家へとどなって歩いた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
小川
(
をがは
)
の
油
(
あぶら
)
のやうな
水面
(
すゐめん
)
は
大
(
おほ
)
きく
波立
(
なみだ
)
つて、
眞黒
(
まつくろ
)
な
人影
(
ひとかげ
)
が
毆
(
こは
)
れた
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
のやうに
動
(
うご
)
いてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
しかし霧は絶えず流れているので、
或
(
あ
)
る時は一層
濃
(
こ
)
いのが来てその
人影
(
ひとかげ
)
をほとんど見えなくさせるが、やがてそれが薄らいで行くにつれてその人影も次第にはっきりしてくる。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
寸志の一包と、吾れながら
見事
(
みごと
)
に出来た
聖護院
(
しょうごいん
)
大根
(
だいこ
)
を三本
提
(
さ
)
げて、挨拶に行く。
禾場
(
うちば
)
には祝入営の旗が五本も
威勢
(
いせい
)
よく立って、広くもあらぬ家には
人影
(
ひとかげ
)
と
人声
(
ひとごえ
)
が一ぱいに溢れて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「どうしてッて。わたしとあんたとはいくらも年がちがわないんだもの。わたしの方じゃ
稼
(
かせ
)
ぐつもりでもお客の方が……。」と言いながら女は物干台の
人影
(
ひとかげ
)
に心づいて急に声をひそめる。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一物
(
いちもつ
)
をも得ずして逃げ
失
(
う
)
せぬと覚しく、すでに四辺に
人影
(
ひとかげ
)
もなかりき。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
玄関
(
げんかん
)
のドアが、
人影
(
ひとかげ
)
もないのに開いて、バタンと
閉
(
し
)
まった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
往きかふ
人影
(
ひとかげ
)
淡き光帶びて
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
このとき、すこし
隔
(
へだ
)
たったところに、
黒
(
くろ
)
い
人影
(
ひとかげ
)
が
人
(
ひと
)
のくるのを
待
(
ま
)
っているように
立
(
た
)
っていました。
彼女
(
かのじょ
)
は、その
方
(
ほう
)
に
歩
(
ある
)
いてゆきました。
星の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれども、
冬
(
ふゆ
)
の
鳥打帽
(
とりうちばう
)
を
被
(
かむ
)
つた
久留米絣
(
くるめがすり
)
の
小僧
(
こぞう
)
の、
四顧
(
しこ
)
人影
(
ひとかげ
)
なき
日盛
(
ひざか
)
りを、
一人
(
ひとり
)
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
に
抗
(
かう
)
して
行
(
ゆ
)
く
其
(
そ
)
の
勇氣
(
ゆうき
)
は、
今
(
いま
)
も
愛
(
あい
)
する。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
滿船
(
まんせん
)
を
照
(
てら
)
す
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
は
白晝
(
はくちう
)
を
欺
(
あざむ
)
かんばかり、
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
の
下
(
した
)
に
一個
(
いつこ
)
の
異樣
(
ゐやう
)
なる
人影
(
ひとかげ
)
現
(
あら
)
はれて、
忽
(
たちま
)
ち
檣桁
(
しやうかう
)
高
(
たか
)
く
信號旗
(
しんがうき
)
が
上
(
あが
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
が、
人影
(
ひとかげ
)
はどこにも見えない。ずっと奥に見えるリフトも
昇
(
のぼ
)
ったり
降
(
くだ
)
ったりしている癖に、一人も客は出て来ないようである。よくよくはやらないホテルらしい。
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると、その
濠
(
ほり
)
ぎわの木のかげから、ツイとはなれた
人影
(
ひとかげ
)
があった。
黒布
(
こくふ
)
をかぶった
妖婆
(
ようば
)
である。いうまでもなく、それは
加茂
(
かも
)
の
堤
(
どて
)
から、三人の
僧
(
そう
)
をつけてきた
蚕婆
(
かいこばばあ
)
——
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見れば扇子一本
落
(
おち
)
てあり藤兵衞手に取あげ
能々
(
よく/\
)
見るに
鐵扇
(
てつせん
)
にて親骨に
杉田
(
すぎた
)
三五郎と
彫付
(
ほりつけ
)
有りし故掃部大いに
怒
(
いか
)
り然らば是は
幸手
(
さつて
)
の三五郎が
所業
(
しわざ
)
に
違
(
ちがひ
)
無
(
な
)
し今西の方へ
駈出
(
かけだ
)
して
行
(
ゆく
)
人影
(
ひとかげ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
池
(
いけ
)
の
近
(
ちか
)
くにたたずんだまま、
人影
(
ひとかげ
)
に
寄
(
よ
)
って
来
(
く
)
る
鯉
(
こい
)
の
動
(
うご
)
きをじっと
見詰
(
みつ
)
めていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ぶらぶら土手の上をあるきながら、約三丁も来たと思ったら、向うに
人影
(
ひとかげ
)
が見え出した。月に
透
(
す
)
かしてみると影は二つある。
温泉
(
ゆ
)
へ来て村へ帰る若い
衆
(
しゅ
)
かも知れない。それにしては
唄
(
うた
)
もうたわない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一かたまりになった
人影
(
ひとかげ
)
がこちらを向いて歩いてくるのを認めた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
人影
(
ひとかげ
)
一つも動かず、風の音の他には物音一つしなかった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
とんぼが、きゅうりや、すいかの
大
(
おお
)
きな
葉
(
は
)
の
上
(
うえ
)
に
止
(
と
)
まったり、
棒
(
ぼう
)
の
先
(
さき
)
に
止
(
と
)
まったりしているほか、だれも
人影
(
ひとかげ
)
がなかったのです。
薬売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
欄干
(
らんかん
)
の
横木
(
よこぎ
)
が、
水
(
みづ
)
の
響
(
ひゞ
)
きで、
光
(
ひかり
)
に
搖
(
ゆ
)
れて、
袂
(
たもと
)
に
吹
(
ふ
)
きかゝるやうに、
薄黒
(
うすぐろ
)
く
二
(
ふた
)
ツ
三
(
み
)
ツ
彳
(
たゝず
)
むのみ、
四邊
(
あたり
)
に
人影
(
ひとかげ
)
は
一
(
ひと
)
ツもなかつた。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いつぞやこの原の
細道
(
ほそみち
)
で、
足軽
(
あしがる
)
がになっていくのを
竹童
(
ちくどう
)
がチラと見かけた、あの
高札
(
こうさつ
)
が打ってあるのだ。——といつの
間
(
ま
)
にか、その
立札
(
たてふだ
)
と
獄門
(
ごくもん
)
の前へ、三ツの
人影
(
ひとかげ
)
が近づいている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近
(
ちか
)
づいて
見
(
み
)
ると
艇中
(
ていちう
)
には
一個
(
いつこ
)
の
人影
(
ひとかげ
)
もなく、
海水
(
かいすい
)
は
艇
(
てい
)
の
半
(
なか
)
ばを
滿
(
みた
)
して
居
(
を
)
るが、
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
天
(
てん
)
の
助
(
たすけ
)
と
打
(
うち
)
よろこび、
少年
(
せうねん
)
をば
浮標
(
ブイ
)
に
托
(
たく
)
し、
私
(
わたくし
)
は
舷側
(
げんそく
)
に
附
(
つ
)
いて
泳
(
およ
)
ぎながら、
一心
(
いつしん
)
に
海水
(
かいすい
)
を
酌出
(
くみだ
)
し
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
立出
道
(
みち
)
すがら
昨夜
(
ゆうべ
)
の相方は
斯々
(
かく/\
)
なりなどと
雜談
(
ざふだん
)
を云つゝ一本の
傘
(
かさ
)
に三人が
小雨
(
こさめ
)
を
凌
(
しの
)
ぎながら品川を後にして
高輪
(
たかなわ
)
より
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
の方へ
差掛
(
さしかゝ
)
りける處に夜の引明なれば未だ
往來
(
わうらい
)
は
人影
(
ひとかげ
)
もなく向ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小さな黒い
人影
(
ひとかげ
)
が隠れるのを私たちは認めた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
伴天連
(
ばてれん
)
めきたる
人影
(
ひとかげ
)
あり。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
白
(
しろ
)
いシャツに、
白
(
しろ
)
い
帽子
(
ぼうし
)
をかぶって、
青
(
あお
)
い
車
(
くるま
)
を
引
(
ひ
)
いた
青年
(
せいねん
)
が、あちらから
走
(
はし
)
ってきました。
日
(
ひ
)
の
当
(
あ
)
たる
道
(
みち
)
には、ほかに
人影
(
ひとかげ
)
もなかったのです。
野菊の花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのほかに
殆
(
ほとん
)
ど
人影
(
ひとかげ
)
を
見
(
み
)
なかつたといつても
可
(
よ
)
い。——あんなのが「
飲
(
の
)
ましやい。」であらうと
観念
(
くわんねん
)
したのであつたから。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
踊
(
おど
)
らぬ
人影
(
ひとかげ
)
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼
(
かれ
)
は、すぐに
家
(
うち
)
から
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
しました。そして、
子供
(
こども
)
の
走
(
はし
)
っていった
方角
(
ほうがく
)
を
見
(
み
)
ましたが、なんらそれらしい
人影
(
ひとかげ
)
もありません。
真昼のお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雨戸
(
あまど
)
を
開
(
あ
)
けて
欄干
(
らんかん
)
から
外
(
そと
)
を
見
(
み
)
ると、
山気
(
さんき
)
が
冷
(
ひやゝ
)
かな
暗
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
つて、
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
を
提灯
(
ちやうちん
)
が
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ、どや/\と
人影
(
ひとかげ
)
が、
道
(
みち
)
を
右左
(
みぎひだり
)
へ
分
(
わか
)
れて
吹立
(
ふきた
)
てる
風
(
かぜ
)
に
飛
(
と
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
灯影
(
ほかげ
)
人影
(
ひとかげ
)
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれどそのときは、
内部
(
ないぶ
)
はしんとして
人影
(
ひとかげ
)
がなかった。ちょうどそこへ、五、六
人
(
にん
)
の
子供
(
こども
)
らがやってきて、ガラス
戸
(
ど
)
の
内側
(
うちがわ
)
をのぞいていました。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
唯
(
たゞ
)
さへ、
思
(
おも
)
ひ
掛
(
が
)
けない
人影
(
ひとかげ
)
であるのに、
又
(
また
)
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
が、
星
(
ほし
)
のない
外面
(
とのも
)
の、
雨氣
(
あまけ
)
を
帶
(
お
)
びた、
雲
(
くも
)
に
染
(
にじ
)
んで、
屋根
(
やね
)
づたひに
茫
(
ばう
)
と
來
(
き
)
て、
此方
(
こなた
)
を
引包
(
ひきつゝ
)
むやうに
思
(
おも
)
はれる。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
影
常用漢字
中学
部首:⼺
15画
“人”で始まる語句
人
人間
人々
人気
人形
人数
人魂
人力車
人目
人通