調しら)” の例文
しかしぐっと胆力たんりょくをすえて、本堂の中へ入ってみた。そして中の様子をくまなく調しらべた。それから廊下ろうかつづきの庫裡くりの方へ入って行った。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
世界大地震せかいだいぢしん記事きじおいて、人畜じんちくむほどの地割ぢわれの開閉現象かいへいげんしようおこつたのは、著者ちよしや鋭意えいい調しらべた結果けつか以上いじよう三回さんかいのみである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
其所そこで、その岩窟がんくつなるものが、そもそんであるかを調しらべる必用ひつようしやうじ、坪井理學博士つぼゐりがくはかせだい一の探檢調査たんけんてうさとなつた。それは九ぐわつ十二にちであつた。
享保二年六月廿八日一同申口まをしくち調しらあげと相成同日長庵始め引合の者共白洲へ呼込よびこみになり越前守殿たからかに刑罰けいばつ申渡されける其次第は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いつも呻いている無数の滑車と、いつも噛み合っている無数の歯車と、そうしていつも走り廻わっている数百本の調しらかわと」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
洋傘直しは剃刀をていねいに調しらべそれから茶いろの粗布あらぬのの上にできあがった仕事しごとをみんなせほっと息して立ちあがります。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
配下はいかのほとんど全員ぜんいん手配てはいめいじておいて、はじめはしかし、島本守しまもとまもるには見張みはりだけをつけ、事件現場じけんげんば金魚鉢きんぎょばち調しらべた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
そしてこれをよく調しらべると、その時分じぶんひとがいかなる文化ぶんかをもつてゐたかとか、どういふ技術ぎじゆつ所有者しよゆうしやであつたかといふことがわかりますので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
火事くわじ見舞みまひ間際まぎはに、こまかい地圖ちづして、仔細しさい町名ちやうめい番地ばんち調しらべてゐるよりも、ずつとはなれた見當違けんたうちがひ所作しよさえんじてゐるごとかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うれしい消息しらせなら、それを其樣そんかほをしてきゃるのは、ゆかしいらせのこと調しらべを臺無だいなしにしてしまふといふもの。
紅花べにばななへや、おしろいのなへ——とくちうするにおよぶまい、苗賣なへうりこゑだけは、くさはながそのまゝでうたになること、なみつゞみまつ調しらべにあひひとしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私は、長い間、書面を調しらべた。筆蹟は、年老としとつた婦人のものらしく舊式で、どちらかと云へば覺束おぼつかない方であつた。この條件コンデイションはまづ申分がなかつた。
じょうのかかっているのを役人やくにんたちははずして、せまろうとびらひらいてなかへはいり、くまなく、あたりを調しらべてみました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
八絃やつをの琴を調しらべたるごと、天の下らしびし、伊耶本和氣いざほわけの天皇の御子、市の邊の押齒のみこの、やつこ御末みすゑ
まもなく、おとうさんは馬小屋にやってきて、馬のどこが悪いのか、もう一ど調しらべようと思って、びっこをひいているほうの足を高く上げてみました。
鉄馬創業てつばそうげふさい大通おほどほりの営業別えいげふべつ調しらべたるに、新橋浅草間しんばしあさくさかん湯屋ゆや一軒いつけんなりしと、ふるけれどこれも其老人そのらうじん話也はなしなり
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
そのあいだに、いま申した疑問ぎもんてんをとうほうでもじゅうぶんに取り調しらべておくから、それまで待てと申すのだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なほこれからおはなしをする日本につぽん森林植物帶しんりんしよくぶつたい調しらべにはこれらの老樹ろうじゆはなくてはならぬものなのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
世界せかい歴史れきし風俗ふうぞく調しらべてるに、何國なにこく何時代なにじだいおいても、化物思想ばけものしさうところけつしていのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
たちま盤上ばんじやうたままろばすがごとひゞき、ピアノにかみ宿やどるかとうたがはるゝ、そのたへなる調しらべにつれてうたいだしたる一曲ひとふしは、これぞ當時たうじ巴里パリー交際かうさい境裡じやうり大流行だいりうかうの『きくくに乙女おとめ
おもへども、れぬ不審ふしんうたがひのくもりて、たゞ一トさほ箪笥たんす引出ひきだしより、柳行李やなぎこりそこはかと調しらべて、もし其跡そのあとゆるかとぐるに、ちり一はしの置塲おきばかわらず
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
バンドもはずし、上着うわぎからズボンも取らせた。何から何までばたばたふるって調しらべてみた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
めさめし時は秋の日西に傾きて丘の紅葉もみじば火のごとくかがやき、松のこずえを吹くともなく吹く風の調しらべは遠き島根に寄せては返す波の音にも似たり。その静けさ。童は再び夢心地ゆめこごちせり。
詩想 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのころ、それが賭博とばくとのうたがひをけて、ばんどうがそのすぢから調しらべをけるやうな事件じけんあがつたが、調しらべるがはがその技法ぎはふらないのでだれかが滔滔たうたう講釋かうしやくをはじめ
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それでも神様かみさまほうでは、格別かくべついかりにもならず、内々ないないひいさまのところをお調しらべになってられたものとえまして、今度こんどいよいよ時節じせつたとなりますと、御自身ごじしんわたくし案内あんないして
中には不思議ふしぎに思う者もあって、舞台ぶたい調しらべてみたり、人形を検査けんさしたりしました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「あゝさうですか。いま調しらべてませう。鳥渡ちよつとつてください。そこへ御掛おかけなさい。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
北太平洋の波の音の淋しい釧路の白糠しらぬか駅で下りて、宿の亭主を頼み村役場に往って茶路ちゃろに住むと云うM氏の在否ざいひ調しらべてもらうと、先には居たが、今は居ない、行方ゆくえは一切分からぬと云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「——どうして錢形の親分は、あの船を調しらべ拔く氣にならないのだらうつて」
あの月がいい証拠しやうこだよ 火星くわせい調しらべるには月がとてもいい参考さんかうになるんぢや
雅俗折衷の調しらべにこめ得る格調と曲線とをおのれの声としなければならない。
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
調しらぶるは下司げすのうた、はしやげる曲馬チヤリネ囃子はやし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
よくよく先祖せんぞをお調しらべさせになりました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
緒合をあはせの調しらべのいとぞなかえし。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
をんなこゑ調しらべにしたがひて……。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
調しらべのひとつだにあらば
じつ博士はかせをわざ/\ろうするまでもかつたので、これは古代こだい葬坑さうかうで、横穴よこあな通稱つうしようするもの。調しらべたら全國ぜんこくいたところるかもれぬ。
失なひ斯迄かくまで千辛萬苦して調しらぶるも手懸りを得ず此上は是非に及ばじこの旨江戸へ申おくり我等は紀州きしうにて自殺致じさついたすより外なしと覺悟を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わらの上のわかい農夫はぎょっとしました。そしていそいで自分の腕時計うでどけい調しらべて、それからまるで食い込むようにむこうのあやしい時計を見つめました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ちがうでしよう。女中じょちゅうから板前いたまえまで調しらべてある。夕方ゆうがたかけて、十二ごろ、タクシーでかえつたことがわかつている」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
然し、是は東京から襲はれる点に於て、牛込に居るとたいした変りはないと思つた。代助は旅行案内を買つてて、自分のくべきさき調しらべて見た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ばいでもむかしいま角度かくど幾分いくぶん相違そういしてゐるようですし、赤貝あかゞひでもせんかずすこかはつてゐるといふようなことが、貝塚かひづか貝殼かひがら調しらべてればわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
が、おもむきちがふ。彼處かしこのは、よこなびいて婉轉ゑんてんとしてながれあやつり、此處こゝのは、たてとほつて喨々れう/\としてたき調しらぶる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
妖怪えうくわい研究けんきうつても、べつ專門せんもん調しらべたわけでもなく、またさういふ專門せんもんがあるやいなやをもらぬ。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「今主張されたことを調しらべて、それが眞實か間違ひかの證がなくては續けることは出來ません。」
艶笑一、女は、もいちどおくれ髪を調しらべて寺を立ち去った。そして屋敷へ帰ると、次の日は小婢こおんな迎児げいじに珠やら着物やらを買ってやり、これも手のうちにまろめこんだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れいになき子細しさいらしきおきやく呼入よびいれて二かいの六ぢよう三味線さみせんなしのしめやかなる物語ものがたりとしはれてはれて其次そのつぎおやもとの調しらべ、士族しぞくかといへばれははれませぬといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
をりふし鵞鳥がてうのやうなこゑうたうた調しらべは左迄さまで妙手じやうずともおもはれぬのに、うた當人たうにん非常ひじやう得色とくしよくで、やがて彈奏だんそうをはると小鼻こばなうごめかし、孔雀くじやくのやうにもすそひるがへしてせきかへつた。
世界せかい大地震記録だいぢしんきろく調しらべてみると、かういふおそろしい現象げんしよう三所みところ見出みいだされる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
とにかく、これから博物館はくぶつかんへごいっしょにまいりまして調しらべてみましょう。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)