)” の例文
その足跡からすと、の高さ一メートルにちかく、体重も六、七十キロくらいはたしかにある。おそろしくたくましいやつらしい。
たふうへにははとあそぶさうである。く。花屋敷はなやしきをのがれたざうたふしたきた。ざう寶塔はうたふにしてしろい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眼鏡めがねをかけているのが、有田ありたくんのおかあさん、ひくいちぢれがみのが、あずまくんのおかあさん、ふとっているのは、小原おばらくんのおかあさんさ。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おれの家の目印になるような、あの馬鹿にの高い大樹なんだ。そして、その根許ねもとの所に親父の腰かけていた、切石がおいてあるのだ。
疑惑 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たちまち、なにおそろしいことでもきふおもしたかのやうに、かれかしらかゝへるなり、院長ゐんちやうはうへくるりとけて、寐臺ねだいうへよこになつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ヒラリとたまりへかえった加藤孫一、使番目印つかいばんめじるし黄幌きほろに赤の差旗さしものにつッたて、馬をあおって、右陣うじん福島市松ふくしまいちまつのところへけとばした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもつたる大形おほがた裕衣ゆかたひつかけおび黒繻子くろじゆすなにやらのまがひものひらぐけがところえてはずとれしこのあたりのあねさまふうなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
灰色はいいろ土塊どかいが長く幾畦いくあぜにもなっているかと思うと、急にそれが動きだしたので、よく見るとひつじの群れのが見えていたのでした。
やがてわか姉さんが、ファットマンの鼻の上に乗ってひらりとそのび上がりました。そして長い竹棒たけぼうを受け取りました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
いつも銀鼠ぎんねずみの洋服に銀鼠の帽子をかぶっている。はむしろ低い方かも知れない。けれども見たところはすらりとしている。
お時儀 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かれ毎日まいにちのやうにおつぎをつれて、唐鍬たうぐはおこしたつちかたまり萬能まんのうたゝいてはほぐして平坦たひらにならさせつゝあつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのぞうがまた、平素へいそはごくあらっぽいのに、その時ばかりは、王子をにのせたまま、おとなしくのそりのそりと歩いているのではありませんか。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
君子きみこのびをしてむすばれた電氣でんきつなをほどいてゐた。とそのときはゝあたかもそのひかりにはじかれたやうにぱつとあがつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さうして見よ、背後うしろから尾をあげを高めた黒猫がただぢつときんの眼を光らしてゐたではないか。私は悸然ぎよつとして泣いた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
茶色のはん点がいっぱいある、赤みがかったつやのよい頭を日に光らせ、洗いふるしたねずみ色の着物のをまるくしている、年よりの是信さん。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
春信はるのぶは、こいからはなすと、きゅうおもいだしたように、縁先えんさき万年青おもと掃除そうじしている、少年しょうねん門弟もんてい藤吉とうきちんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その時この白い女人柱カリヤチイドの張切つたの上に、神々かみ/″\の涙がちて、突き刺された怪獸シメエル痍口きずぐちから、血のれるのがみえる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
アシは、人間のよりも高く、びっしりとしげるものですから、小舟こぶねでさえも、その中にわけいることはできません。
見るとその畑の中に、何やら黒く動くものが見えました。もとより人のよりも高い唐黍もろこしが茂っているのですから、何ものだかはっきり分りません。
(新字新仮名) / 久米正雄(著)
絶頂ぜつてう平坦たひらになし、馬の天険てんけんをたのみてこゝに住居し耕作かうさくをもしたるが、ほろびてのち其灵魂れいこんこゝにとゞまりて苗場なへば奇異きゐをもなすにやとおもへり。
わたし生命いのちがけの旅行に連れ出して行った男にソックリなんですもの……の高さと色が違うだけで、真正面まともから見ているとホントに兄弟かと思う位よ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
天気のいい、秋のる朝のこと、タングルウッドという田舎のお屋敷の玄関先に、の高い青年を取りかこんで、愉快な子供達の一群が集まっていた。
くと、それがボズさんとのちつた老爺ぢいさんであつた。七十ちかい、ひくいが骨太ほねぶと老人らうじん矢張やはり釣竿つりざをもつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
がっしりした、かなりの高い、ひどく白髪しらがのまじった赤ちゃけたひげをぐるりとかおいちめんにはやした百姓です。
気多けたのみさきまでずっとならんでみよ、そうすればおれがその中の上をつたわって、かぞえてやろうと申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
請ふ我に告げてこの後紙にしるすをえしめよ、汝等は誰なりや、また汝等のかたにゆくむれは何ぞや。 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
胸裏きょうりの図案は三二でくずれた。見ると、筒袖つつそでを着た男が、まきせて、熊笹くまざさのなかを観海寺の方へわたってくる。隣りの山からおりて来たのだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
茫然ぼうぜんと立って居ると、苅草かりくさいっぱいにゆりかけた馬を追うて、若い百姓ひゃくしょうが二人峠の方から下りて来て、余等の前を通って、またむこうみねへ上って往った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
まつた不思議ふしぎことでございました。やまからとらつてかへつてまゐられたのでございます。そしてそのまゝ廊下らうか這入はひつて、とらぎんじてあるかれました。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さて人が七十以上生き延ぶる時は、そのかがみ、その面変り、その心曇り、小児めきて児女に笑われ、痴人に嘲らる。これもと猴から受けた三十年だからだと。
とおっしゃって、調使丸ちょうしまるという召使めしつかいの小舎人ことねりをくらのうしろにせたまま、うまって、そのまますうっとそらの上へんでおきになりました。下界げかいでは
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
当日の演説家を案内して、会場へ入つて来たの高い司会者は、先づつて、この名高い政治家を聴衆に紹介ひきあはしたが、そのなかに次ぎのやうな言葉があつた。
には矢が千本も入るゆぎを負われ、胸にも五百本入りの靱をつけ、また威勢のよい音を立てるともをお帶びになり、弓を振り立てて力強く大庭をお踏みつけになり
寧ろ、「事しあらば小泊瀬山をはつせやま石城いはきにもこもらば共にな思ひ吾が」(巻十六・三八〇六)の方が、古い味いがあるように思える。巻十六の歌は後に選んで置いた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
こんなわけで、男は神さまになかをむけて、すたすた歩いて行きました。そこへ悪魔がやってきて
きり何時いつしかうすらいでたのか、とほくのひく丘陵きうりよう樹木じゆもくかげ鉛色なまりいろそらにしてうつすりとえた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
うまやの外の広場には、下弦かげんの月が雪を銀に照らしていた。そこにあったむしろをへかけてやろうとすると、朝月あさづきはそれをはね落として、くらをぐいぐいとひいた。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
しかし、光吉こうきちは、母にを向けたまま返事ができなかった。何か、あついものがむねをいっぱいにした。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
そこで彼はパイプに火をつけ、をかがめて、いつものひどい悪洒落わるじゃれがすむのを、静かにつのであった。クリストフの祖父そふと父は、彼をあざけりぎみに軽蔑けいべつしていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
子どもだけでなく大人おとなでさえ、ひやっとすじにつめたい水をびせかけられたような気分きぶんになった。
よるよ、やれ、はややれ、ローミオー! あゝ、よるひるとはおまへことぢゃ。よるつばさりたおまへは、からすいまりかゝるそのゆきしろゆるよりもしろいであらう。
いもあさよいそでを連ね、おもかわして過し得る人生であったならば、恋と名を附して考えなければならぬ場合もすでに少なく、まして恋しきという形容詞などは
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
正面しやうめんにはもう多田院ただのゐん馬場先ばばさきの松並木まつなみきえだかさねて、ずうつとおくふかくつゞいてゐるのがえた。松並木まつなみき入口いりくちのところに、かはにして、殺生せつしやう禁斷きんだんつてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
すかし見るに生憎あひにく曇りて黒白あやめも分ず怖々こは/\ながら蹲踞つぐみ居ればくだんの者は河原へあがより一人の女を下しコレ聞よ逃亡者かけおちものと昨日から付纒つきまとひつゝやう/\と此所へ引摺ひきずこむまでは大にほね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お政は泣く子をかげでしかりつけ、におうて膳立ぜんだてをするのである。おちついてやるならばなんでもないことながら、心中惑乱わくらんしているお政の手には、ことがすこしも運ばない。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
じひしんちょう(慈悲心鳥じひしんちよう)のこゑ山中さんちゆうでなければかれません。これは灰黒色かいこくしよくむねはら淡赤茶色うすあかちやいろで、おなじその部分ぶぶんしろいほとゝぎすやかっこうと區別くべつすることが出來できます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それはこの深山しんざんんで白頭猿はくとうえんばるゝ、きわめて狡猾こうくわつさる一種いつしゆで、一群いちぐんおよそ三十ぴきばかりが、數頭すうとう巨大きよだいぞうまたがつて、丁度ちやうどアラビヤの大沙漠だいさばく旅行りよかうする隊商たいしやうのやうに
孫子そんしいはく、『まへすなはむねひだりひだりみぎみぎうしろすなはよ』と。婦人ふじんいはく、『だく』と。約束やくそくすでき、すなは(五)鈇鉞ふゑつまうけ、すなはこれ(六)れいしんす。
一五七一時をあやまるともまぬがるべからずと、かたくをしへて、筆をとり、正太郎がより手足におよぶまで、一五八篆籀てんりうのごとき文字を書き、猶一五九朱符しゆふあまた紙にしるしてあた
すごいといおうか、なんといおうか、いってもいっても、りょうがわには人間のよりも高いあしやかやがびっしりとしげっているばかりで、人間くさいものなんか一つもありはしない。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)