男女なんによ)” の例文
そこで、それ以来、その女のやうなものを関係した中へ勘定したから、合せて男女なんによ四干四百六十七人に戯れた事になると云ふ次第さ。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これから釣堀つりぼりへまゐりますと、男女なんによ二人連ふたりづれゆゑ先方せんぱうでもかして小間こまとほして、しゞみのおつけ、おいも煑転につころがしで一猪口いつちよこ出ました。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
十二時にならないと店をけない贅沢ぜいたくな料理屋も其処此処そこここにある。芝居帰りの正装で上中流の男女なんによが夜食を食べに来るのださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
二号にがう活字くわつじ広告くわうこく披露ひろうさるゝほかなんよくもなき気楽きらくまい、あツたら老先おひさきなが青年せいねん男女なんによ堕落だらくせしむる事はつゆおもはずして筆費ふでづひ紙費かみづひ
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
しばし有りてをんなどもの口々に呼邀よびむかふる声して、入来いりきし客の、障子ごしなる隣室に案内されたる気勢けはひに、貫一はその男女なんによの二人づれなるを知れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かう言つて、信者の男女なんによはやつて来た。現に、かの女の行つた時にも、若い老いた女や男が五六人庫裡に集つて経をしてゐるのを見た。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
馬に乘る人、うさぎうまに騎る人、車を驅る人など絶えず往來して、その間には男女なんによ打ち雜りたる旅人の群の一しほの色彩を添ふるあり。
丁度祭日まつりびであつたその夕方に、綺麗によそほはれた街の幼い男女なんによは並木の間々あひだ/\で鬼ごつこや何やと幾団いくだんにもなつて遊んで居ました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
帯に記したる所は、后が王の寵愛を受けし場所は王宮の花園にして、其処には希臘グレシア男女なんによの神体をきざめる美しき大理石の立像数多あまた有りし由に候。
もっとくわしくいうと、男女なんによ両柱ふたはしら神々かみがみがそれぞれ御分霊ごぶんれいし、その二つが結合けつごうして、ここに一つの独立どくりつした身魂みたまつくられたのでございます。
あきにもると、山遊やまあそびをするまち男女なんによが、ぞろ/\つゞいて、さかかゝくちの、此處こゝにあつた酒屋さかやで、吹筒すひづつひさごなどに地酒ぢざけんだのをめたもので。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのころ習慣ならはしにしたがつて、三日みつかあひだ大宴會だいえんかいひらいて、近所きんじよひとたちや、そのほかおほくの男女なんによをよんでいはひました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
せいする事出來ずかへつて取持しは人外といひつべし是より家内の男女なんによ色欲しきよくふけりおつねは何時も本夫をつとしやう三郎には少しの小遣こづかひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老若の男女なんによが御堂一ぱいに詰つて、熱心に説教を聴いて居る。その中に、鉄色の肩衣かたぎぬをかけた私の父もあつた。父は恐らく説教も耳に入らないだらう。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
彼等かれら彼等かれらに、不徳義ふとくぎ男女なんによとしてづべくうつまへに、すで不合理ふがふり男女なんによとして、不可思議ふかしぎうつつたのである。其所そこ言譯いひわけらしい言譯いひわけなんにもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これを始として、一族のものは互にあの椅子、この椅子と指ざしをして、どれでは誰、どれでは誰と、一族の男女なんによが腰を掛けて死んだと云ふことを数へ合つた。
祭日 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
檀家だんかなかにも世話好せわずきのある坂本さかもと油屋あぶらや隱居ゐんきよさま仲人なかうどといふもものなれどすすめたてゝ表向おもてむきのものにしける、信如しんによ此人このひとはらよりうまれて男女なんによ二人ふたり同胞きやうだい
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それが済むと、ほかの会葬男女なんによの群を離れて、ドルフ一人は暗い片隅に跪いて祈祷した。
男女なんによまじつて太鼓たいこ中央ちうあうゑがいてる。それが一てい間隔かんかくいては一どうふくろくちひもいたやうしぼまつて、ぱらり/\と手拍子てびやうしをとつて、また以前いぜんのやうにひろがる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あにさん何してるのだと舟大工ふなだいくの子の声をそろによればその時の小生せうせいあにさんにそろ如斯かくのごときもの幾年いくねんきしともなく綾瀬あやせとほざかりそろのち浅草公園あさくさこうえん共同きようどう腰掛こしかけもたれての前を行交ゆきか男女なんによ年配ねんぱい
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
之を用ゐしは男子だんしならん。そは此所にべたる如き面貌の土偶は乳房ちぶさの部の膨れ方はなはだすくなきを以てさつすべし。光線反射の眼に害有る男女なんによに從つて差有るのし。女子は如何いかにして眼を保護ほごせしや。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
師をうやまひ弟子をかなしむ遮莫さもあらばあれほかならぬかもよ男女なんによてふもの
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白衣びやくえ男女なんによおもてをつゝみ
偏奇館吟草 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
又自分たちが猥雑わいざつな心もちにとらはれ易いものだから、男女なんによの情さへ書いてあれば、どんな書物でも、すぐ誨淫くわいいんの書にしてしまふ。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
美しい一人の青年の諸侯に口説くどかれて木陰で接吻をする。それを偶然来掛つたモリエエルが瞥見べつけんした。恋に落ちた若い男女なんによは林の奥へ逃げた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
夫婦と覺しき男女なんによおもてをのみ飾りたる衣をまとひて板敷の上に立ちたるが、客をぶことの忙しさに、聲は全くれたり。
地震ぢしんめつたになし。しかし、のぐら/\とときは、家々いへ/\老若らうにやく男女なんによこゑてて、なほし、なほし、なほしととなふ。なんとも陰氣いんきにて薄氣味うすきみわるし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たとへばつちはづる〻とも青年せいねん男女なんによにして小説せうせつまぬ者なしといふ鑑定かんていおそらくはづれツこななるべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
檀家の中にも世話好きの名ある坂本の油屋が隠居さま仲人なかうどといふも異な物なれど進めたてて表向きのものにしける、信如もこの人の腹より生れて男女なんによ二人の同胞きようだい
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
欄干てすりの所へつて見ますと、本宅おもやの煙突はひる近くなつてます/\濃い煙を吐くやうになり、窓の隙間から男女なんによ雇人やとひにんの烈しく働いて居る姿の見えるにつけて、私は我儘者
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
夜の静なるを動かして、かの男女なんによ細語ひそめきぬ。はなは幺微かすかなれば聞知るべくもあらねど、娓々びびとして絶えず枕に打響きては、なかなか大いなる声にも増して耳煩みみわづらはしかり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
催せしもあり又男女なんによ打交うちまじりてをどるもありいとにぎはしけれども金兵衞はいそぎの用なればかへつて之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのさいうして男性だんせい女性じょせい区別くべつしょうずるかともうすことは、にも重大じゅうだいなる神界しんかい秘事ひじでございますが、ようするにそれは男女なんによいずれかが身魂みたま中枢ちゅうすう受持うけもつかできまることだそうで、よくをつけて
いたところはたけ玉蜀黍たうもろこしあひだからもさ/\とあかいて、おほきながざわ/\とひとこゝろさわがすやうると、男女なんによむれ霖雨りんうあと繁茂はんもしたはやし下草したぐさぎすました草刈鎌くさかりがまれる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いや少し誇張して云へば、小説の多くも紀行文で、その中に Venus Libentina の信者たる男女なんによを点出したものに過ぎなかつた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
女装をした男や男装の女の多いのは勿論、すこぶふるつた仮装行列や道化ピエロオ沢山たくさんに出た。男女なんによの大学生が東洋諸国の風俗に扮して歩いて居るのも見受けた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
おそろしきはくまでおそろしく、ちりほどのことにしみぬべし、男女なんによなかもかヽるものにや、甚之助じんのすけ吾助ごすけしたふはれともことなりてあはものなれど、わがこのひと一言いちごんおも
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
境内けいだい敷石しきいしうへきつもどりつ、べつにお百度ひやくどるは男女なんによ二人ふたりなり。をんな年紀とし四十ばかり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
東京とうきやうの或る固執派オルソドキシカー教会けうくわいぞくする女学校ぢよがつかう教師けうし曾我物語そがものがたり挿画さしゑ男女なんによあるを猥褻わいせつ文書ぶんしよなりとんだ感違かんちがひして炉中ろちう投込なげこみしといふ一ツばなし近頃ちかごろ笑止せうしかぎりなれど
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
後に思へば、われは世馴れぬ節多く、男女なんによの間の事などにくらきは、赤子に異ならぬ程なれば、サンタの如き女に近づくことの、多少の危險あるべきを知るに由なかりしなり。
三十人に余んぬる若き男女なんによ二分ふたわかれに輪作りて、今をさかり歌留多遊かるたあそびるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
りしならんと云れしかば然樣さやうなりと言にぞ越前守源次郎其節そのせつ川上に男女なんによ死體したいありし由女の方は其方が妻の千代に相違なし又左りのうで彫物ほりものあとある男はさつする所勾引かどはかせし馬丁ならん又彼等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三人の男女なんによの客を帰したあと
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
割木わりきほどの事も大臺おほだいにして叱りとばさるゝ婢女はしたの身つらや、はじめ受宿うけやど老媼おばさまが言葉には御子樣がたは男女なんによ六人、なれども常住内にお出あそばすは御總領と末お二人
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
僕は時々暴君になつて大勢おほぜい男女なんによ獅子ししや虎に食はせて見たいと思ふことがある。が、膿盆のうぼんの中に落ちた血だらけのガアゼを見ただけでも、肉体的に忽ち不快になつてしまふ。
僕は (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
小庭こにはへだてた奧座敷おくざしき男女なんによ打交うちまじりのひそ/\ばなし本所ほんじよも、あのあんまおくはうぢやあわたしいやアよ、とわかこゑなまめかしさ。旦那だんな業平橋なりひらばしあたりうございますよ。おほゝ、とけたこゑおそろしさ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
割木わりきほどのこと大臺おほだいにしてしかりとばさるる婢女はしたつらや、はじめ受宿うけやど老媼おばさまが言葉ことばには御子樣おこさまがたは男女なんによにん、なれども常住じやうぢう家内うちにおいであそばすは御總領ごそうりやうすゑ二人ふたり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今の湯具はいにしへ下裳したもに代用したる下部かぶおほふのなり。嬉遊笑覧きいうせうらんに、湯具ゆぐといふは、男女なんによともに前陰ぜんいんを顕して湯に入ることはもとなき事にて必ず下帯をきかえて湯に入るゆゑ湯具といふ。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見物の男女なんによおびただしうむらがつて、はては通行することも出来まじいと思はれた。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
割木ほどの事も大台にしてしかりとばさるる婢女はしたの身つらや、はじめ受宿うけやど老媼おばさまが言葉には御子様がたは男女なんによ六人、なれども常住家内うちにおいであそばすは御総領と末お二人
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)