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其節
赤らめイヱ/\五ヶ
年前私し
在所柏原の宿へ一夜
泊りたれども
其節父銀五郎病中にて私しは十二
歳一夜の
旅宿に
爭然樣の
儀を
私事其節一思ひに不法の事を申掛け、
愛想を尽され候やうに致し、離縁の
沙汰にも
相成候はば、誠に此上無き
幸と
存付き候へども、
此姑と
申候人は、評判の心掛善き御方にて
文久錢とも
云ふべき
錢を
呑んだのです、
恰度私も
其節其塲に
居りましたが、
何も
心得ませんから
唯慌てる
計り、
何か
振舞のあツた
時ですから、
大勢人も
居りましたが、
何れも
青くなり