特別とくべつ)” の例文
おまえは、なかにいるときに、あまりものぐさで、他人たにんたいして、特別とくべつによいこともしなかったかわりに、わるいこともしなかった。
ものぐさじじいの来世 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし本來ほんらい耐震性たいしんせい木造建築もくざうけんちくに、特別とくべつ周到しうたう精巧せいかうなる工作こうさくほどこしたのであるから、自然しぜん耐震的能率たいしんてきのうりつすのは當然たうぜんである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
御米およね特別とくべつ挨拶あいさつもしなかつた。小六ころく其儘そのまゝつて六でふ這入はいつたが、やがてえたとつて、火鉢ひばちかゝえてまたた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あなたはたしかに特別とくべつ御用ごようってうまれたひと相違そういない……。わたくし指導役しどうやくかみさまもそんなことをってられました……。
言い合いというようなことばを犬に使うのは少し無理むりだと言うかもしれないが、動物だってたしかにその仲間なかまに通用する特別とくべつなことばがあった。
それは四面しめん鐵檻てつおり堅牢けんらうなるうへにも堅牢けんらうならんことのぞんで、如何いか力強ちからつよてきおそひきたつても、けつして車中しやちう安全あんぜんがいせられぬため特別とくべつ注意ちうゐであるさうな。
自分じぶん學力がくりよく優等いうとうといふので自分じぶんくらす志村しむらくらすとを同時どうじにやるべく校長かうちやうから特別とくべつ處置しよちをせられるので自然しぜん志村しむら自分じぶん競爭者きやうさうしやとなつてた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この二人ふたり先輩せんぱいうた手本てほんにして、だん/\自分じぶん本領ほんりようしてたのが、さきべた山部赤人やまべのあかひとなのです。このひとうたでは、特別とくべつ名高なだかいものとして
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ゆづる者ならんと思はれ何所迄どこまでも家來の體に取扱とりあつかはれしは實に特別とくべつ慈悲じひと云べきを却て主税之助は是をよき機會しほなりと藤五郎をはいして實子すけ五郎に家督かとく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
著者ちよしや想像そう/″\では、かり地震豫報ぢしんよほう出來できても、それは地震ぢしんおこりそうなある特別とくべつ地方ちほう指摘してきるのみで
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
醫者いしや特別とくべつ出來事できごとがなければくるまにはらないので、いつも朴齒ほうば日和下駄ひよりげたみじか體躯からだをぽく/\とはこんでく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
特別とくべつおほきくなりたかないの』とこたへてあいちやんはいそがしさうに、『ほかひともこんなに度々たび/″\かはるかしら、え』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
今では小学校の読本とくほんは、日本中どこへいっても同じのを使つかっておりますが、その当時とうじは、北海道用という特別とくべつのがあって、わたしたちは、それをならったものです。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
わたくしだいとうのスタニスラウの勳章くんしやうもらひました。だいとう勳章くんしやうは、全體ぜんたいなら外國人ぐわいこくじんでなければもらへないのですが、わたくしにはの、特別とくべつもつてね、例外れいぐわいえます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
およそ文章ぶんしょうでは書きあらわせないような、まことにあいすべき、一しゅ特別とくべつな想像力をもっていたのだ。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
天秤棒てんびんぼう兩方りやうはうかた手桶てをけをかついだ近所きんじよ女達をんなたちがそこへ水汲みづくみあつまつてます。みづ不自由ふじいうなところにうまれたとうさんは特別とくべつにその清水しみづのあるところをたのしおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そのほか陳列品ちんれつひんちひさく區別くべつした特別とくべつ博物館はくぶつかんがたくさんあることはまをすまでもありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
朝、家鴨あひるの子のようにたらいの中をかきまわす時の音楽おんがくもあったし、ピアノの前の腰掛こしかけに上って、いやな稽古けいこをする時の音楽も——またその腰掛こしかけから下る時の特別とくべつ音楽おんがくもあった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
げんにしてへば、此貝塚このかひづか彌生式やよひしきのでもい、石器時代せききじだいのでもい、一しゆ特別とくべつ貝塚かひづかに、彌生式やよひしき混入こんにふした。土器どき混入こんにふしたと——まアひたいくらゐゐ、んにもぬ。
べつ特別とくべついたむわけでもなく外面ぐわいめんからも右足うそく膝關節しつくわんせつは、なんの異常いじやうもなかつたのであるけれども、自由じいう曲折きよくせつ出來できないめに、學校がくかうでは作法さはふ體操たいさうやすまなければならなかつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
天変地異てんぺんちいわらつてますものは文学者ぶんがくしやなり。社会しやくわい人事じんじちやにして仕舞しまふ者は文学者ぶんがくしやなり。な、神の特別とくべつなる贔屓ひいきけて自然しぜんhypnotizeヒプノタイズ さる〻ものは文学者ぶんがくしやなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
木曾きそ秋田あきたその地方ちほうで、特別とくべつ針葉樹しんようじゆ保護ほごしてゐる土地とちのぞけば、あとはほとんど落葉樹らくようじゆで、ふゆになつてちると、まるでとほてんつらなつてゐるようにさびしい景色けしきになります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
特別とくべつゆるしてやろう。お前を少尉しょういにする。よくはたらいてくれ」
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そうかんがえると、だれもかれも、いっしょにくるしむがいい、とおもいまして、たとえ子供こどもであろうが、特別とくべつ同情どうじょうするになれません。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わしは牛は売るがはづなは売らないぞ」こう言ってかれは、せっかくおなじみになったのだから、特別とくべつではづなを六十スーで売ってやると言った。
さいはひにもネープルスちゆうで「富貴ふうきなる日本人につぽんじん。」と盛名せいめい隆々りう/\たる濱島武文はまじまたけぶみ特別とくべつなる盡力じんりよくがあつたので、吾等われらつひこの最上さいじやう船室キヤビン占領せんりやうすることになつた。
あなたはいまうしているわたくし姿すがたて、ただ一人ひとりのやさしい女性じょせいおもうであろうが、じつはこれは人間にんげんのお客様きゃくさまむかえるとき特別とくべつ姿すがた、いつか機会おりがあったら
けれども、それはいけないので、ほかに、いづもといふ言葉ことばと、特別とくべつ關係かんけいがあつたにちがひありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
御米およねはこれを故意こいから小六ころく仕打しうちかともうたぐつた。しか自分じぶん佐伯さへきたいして特別とくべつ利害りがいかんじない以上いじやう御米およね叔母をば動靜どうせいみゝにしないはうを、かへつてよろこんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたくしだいとうのスタニスラウの勲章くんしょうもらいました。このだいとう勲章くんしょうは、全体ぜんたいなら外国人がいこくじんでなければもらえないのですが、わたくしにはその、特別とくべつもってね、例外れいがいえます。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
赤子あかご兒童じどう死體したいは、おほきい土器どきつぼれて特別とくべつはうむつてある場合ばあひおほいのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ストロムボリのようにかつて活動かつどう休止きゆうししたことのない火山かざん磐梯山ばんだいざんごときはめてまれに、しかし突然とつぜん爆發ばくはつをなす火山かざん特別とくべつとして、一般いつぱん活火山かつかざんは、間歇的かんけつてき活動かつどうするのが原則げんそくである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
旅行りよかうして旅宿やどいてこのがつかりするあぢまた特別とくべつなもので、「疲勞ひらう美味びみ」とでもはうか、しか自分じぶん場合ばあひはそんなどころではなくやまひ手傳てつだつてるのだからはなからいきねつ今更いまさらごとかん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「やはり、人間にんげんにしてやったほうがいい。」と、かんがえられて、おけらは、特別とくべつのおぼしめしで、人間にんげんにされたのであります。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日本につぽんうたには、意味いみ思想しそうからはなれて、また特別とくべつのねうちをつたものさへあるのです。そしてその代表的だいひようてきなものがこのうたです。まづ第一だいゝちに、調子ちようしたかいことをかんじるでせう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
たって私達わたくしたちにんめに特別とくべつもうけてくれたとしかおもえない恰好かっこうなのでございます。
特別とくべつにそういう人をたのんで花を見分けてもらわなければならなかった。
それについては津浪襲來つなみしゆうらい常習地じようしゆうちといふものがある。この常習地じようしゆうちみぎしるしたような地震ぢしん見舞みまはれた場合ばあひ特別とくべつ警戒けいかいようするけれども、其他そのた地方ちほうおいては左程さほど注意ちゆうい必要ひつようとしないのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
イヤ、こゝたゞ一人いちにん特別とくべつわたくしとゞまつたものがあつた。
あにはいつもならわけのないことだとおもいました。しかし、今日きょう特別とくべつおもをつけてきたので、このうえ人間にんげんせるということは難儀なんぎでした。
村の兄弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
びんぼうなうちではめったに医者をぶということはないが、わたしの容態ようだいがいかにも重くって心配であったので、わたしのため特別とくべつに、習慣しゅうかんのためいつか当たり前になっていた規則きそくやぶってくれた。
そこで、そのばかりは、特別とくべつ無礼ぶれいのことのないかぎり、かれらはくつろいでんでも、いいとのことであったから、みんなは、上機嫌じょうきげんになってしまいました。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
特別とくべつにきらった理由りゆうの一つは、ほかの生徒せいとのごとく学科がっかができないからというのではなく、秀吉ひできちがいつも、じっと教師きょうしかおつめて、なにかうらみをもつように
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
秀吉ひできちは、灰色はいいろのどくろのに、なにか特別とくべつむねにせまるするどいものをかんじました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このおたまだけは、どうしてもわなければならないものだ。」と、こころなかで、さけびました。おじいさんは、一ぴき五せんるのだけれど、きょうは特別とくべつに三せんけておくといいました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
偶然ぐうぜんのことから、わたしは、らんに興味きょうみをもつようになりました。いままでは無関心むかんしんにこれをていて、ただ普通ふつうくさの一しゅとしかおもわれなかったのが、特別とくべつ高貴こうきなもののようにおもいはじめたのです。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)