トップ
>
濕
>
しめ
ふりがな文庫
“
濕
(
しめ
)” の例文
新字:
湿
塗
(
ぬ
)
りたての
壁
(
かべ
)
は
狹苦
(
せまくる
)
しい
小屋
(
こや
)
の
内側
(
うちがは
)
を
濕
(
しめ
)
つぽく
且
(
かつ
)
闇
(
くら
)
くした。
壁
(
かべ
)
の
土
(
つち
)
の
段々
(
だん/\
)
に
乾
(
かわ
)
くのが
待遠
(
まちどほ
)
で
卯平
(
うへい
)
は
毎日
(
まいにち
)
床
(
ゆか
)
の
上
(
うへ
)
の
筵
(
むしろ
)
に
坐
(
すわ
)
つて
火
(
ひ
)
を
焚
(
たい
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
坂
(
さか
)
の
上
(
うへ
)
の
煙草屋
(
たばこや
)
にて
北八
(
きたはち
)
嗜
(
たし
)
む
處
(
ところ
)
のパイレートを
購
(
あがな
)
ふ。
勿論
(
もちろん
)
身錢
(
みぜに
)
なり。
此
(
こ
)
の
舶來
(
はくらい
)
煙草
(
たばこ
)
此邊
(
このへん
)
には
未
(
いま
)
だ
之
(
こ
)
れあり。
但
(
たゞ
)
し
濕
(
しめ
)
つて
味
(
あじはひ
)
可
(
か
)
ならず。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「北側は
濕
(
しめ
)
り土で、猫の子が歩いても足跡のつくところですが、何んにもありませんよ。窓の外も桐の下も、
嘗
(
な
)
めたやうに綺麗だ」
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾々
(
われ/\
)
は
覺醒
(
かくせい
)
せりと
叫
(
さけ
)
ぶひまに、私達はなほ暗の中をわが
生命
(
いのち
)
の
渇
(
かわ
)
きのために、
泉
(
いづみ
)
に
近
(
ちか
)
い
濕
(
しめ
)
りをさぐる
愚
(
おろ
)
かさを
繰
(
く
)
りかへすのでした。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
そこには舊い昔難破した商船から拾ひ上げた
阿蘭陀附木
(
おらんだつけぎ
)
(マツチのこと、柳河語)の大きな凾が
濕
(
しめ
)
りに濕つたまま投げ出されてあつた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
二人は、裏畑の中の材木小屋に入つて、積み重ねた角材に
凭
(
もた
)
れ乍ら、雨に
濕
(
しめ
)
つた新しい木の香を嗅いで、小一時間許りも
密々
(
ひそ/\
)
語つてゐた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
澁紙の袋を引き出して塵を
拂
(
はた
)
いて中を
檢
(
しら
)
べると、畫は元の儘
濕
(
しめ
)
つぽく
四折
(
よつをり
)
に疊んであつた。畫の外に、無いと思つた子規の手紙も幾通か出て來た。
子規の画
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
また
濕
(
しめ
)
つた
粘土
(
ねんど
)
が
火
(
ひ
)
の
傍
(
そば
)
に
置
(
お
)
かれると、
固
(
かた
)
くなることを
知
(
し
)
つたといふことなどが
發見
(
はつけん
)
の
緒
(
いとぐち
)
となつたかと
想像
(
そう/″\
)
せられます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
聞お光
破談
(
はだん
)
の事の原因はやう/\
解
(
わか
)
りし物ながら
怒
(
いかり
)
に堪ぬは家主が其
奸計
(
かんけい
)
は
口惜
(
くちをし
)
き如何はせんと計りにて涙に
暮
(
くる
)
る女氣の袖を
濕
(
しめ
)
らせゐたりしが
稍
(
やゝ
)
有
(
あ
)
つて顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
濕
(
しめ
)
つた夜氣にまたたいてゐるこのあかりは、ゐ据わつてるのだらうが、動くやうにも見える。見つめてゐると、また大きくなつたり、小さくなつたりするやうだ。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
崖
(
がけ
)
の
上
(
うへ
)
の
觀音樣
(
くわんのんさま
)
には
茶店
(
ちやみせ
)
がありました。
密柑
(
みかん
)
やたまご 、
駄菓子
(
だぐわし
)
なんどを
並
(
なら
)
べて、
參詣者
(
おまへりびと
)
の
咽喉
(
のど
)
を
澁茶
(
しぶちや
)
で
濕
(
しめ
)
させてゐたそのおばあさんは、
苦勞
(
くらう
)
しぬいて
來
(
き
)
た
人
(
ひと
)
でした。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
地上の變異すべて地氣より生ず、此氣の
濕
(
しめ
)
れるもの雨、雪、雹、露、霜となり、その乾けるもの風を起し乾きて強きもの地震を起すと(地、三三・一〇三—五註參照)
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
濕
(
しめ
)
つぽい夜更けの風の氣持好く吹いて來る暗い濠端を、客の少い電車が、はやい速力で駛つた。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
アルビオンの温和の氣候が
創
(
つく
)
つたものゝ中でも嘗てない美しい
眼鼻立
(
めはなだち
)
、その
濕
(
しめ
)
つた風と
水氣
(
すゐき
)
を含んだ空が生み蔽うたものゝ中でも嘗てない
淨
(
きよ
)
らかな薔薇と、百合花の色が
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
まるで
酒場
(
さかば
)
の
醉
(
よ
)
ひどれのやうな
兵士
(
へいし
)
の
集團
(
しふだん
)
は
濕
(
しめ
)
つた
路上
(
ろじやう
)
に
重
(
おも
)
い
靴
(
くつ
)
を
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
りながら、
革具
(
かはぐ
)
をぎゆつぎゆつ
軋
(
きし
)
らせながら
劍鞘
(
けんざや
)
を
互
(
たがひ
)
にかち
合
(
あは
)
せながら、
折折
(
をりをり
)
寢言
(
ねごと
)
のやうな
唸
(
うな
)
り
聲
(
ごゑ
)
を
立
(
た
)
てながら
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
雪で
濕
(
しめ
)
つてゐるかもしれないが、兎も角もこれだけ置いて行きませうよ。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
幼馴染
(
おさなゝじみ
)
の
妻
(
つま
)
に
美尾
(
みを
)
といふ
身
(
み
)
がらに
合
(
あは
)
せて
高品
(
かうひん
)
に
美
(
うつ
)
くしき
其
(
その
)
とし十七ばかり
成
(
なり
)
しを
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも二つなき
物
(
もの
)
と
捧
(
さゝ
)
げ
持
(
も
)
ちて、
役處
(
やくしよ
)
がへりの
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
、
人
(
ひと
)
にはしたゝれるほど
濕
(
しめ
)
つぽき
姿
(
すがた
)
と
後指
(
うしろゆび
)
さゝれながら
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夜來
(
やらい
)
の
雨
(
あめ
)
はあがつたが、
空氣
(
くうき
)
は
濕
(
しめ
)
つて、
空
(
そら
)
には
雲
(
くも
)
が
漂
(
たゞよ
)
ふて
居
(
ゐ
)
た。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
しつとりと
濕
(
しめ
)
つた
悲嘆
(
なげき
)
が私の影法師を深く迷はしてゆく
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
日
(
ひ
)
にめざめ、
濕
(
しめ
)
りに
吹呿
(
あく
)
び
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
濕
(
しめ
)
れる
棹
(
さを
)
を手にすれど
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
上には親類の年寄が二三人と、嫁のお清が、まだ
入棺
(
にふくわん
)
も濟まぬ死骸の前に、
濕
(
しめ
)
つぽく坐つて引つ切りなしに線香を上げて居るのでした。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
落
(
お
)
ち
掛
(
か
)
けた
日
(
ひ
)
が
少時
(
しばし
)
竹藪
(
たけやぶ
)
を
透
(
とほ
)
して
濕
(
しめ
)
つた
土
(
つち
)
に
射
(
さ
)
し
掛
(
か
)
けて、それから
井戸
(
ゐど
)
を
圍
(
かこ
)
んだ
井桁
(
ゐげた
)
に
蒞
(
のぞ
)
んで
陰氣
(
いんき
)
に
茂
(
しげ
)
つた
山梔子
(
くちなし
)
の
花
(
はな
)
を
際立
(
はきだ
)
つて
白
(
しろ
)
くした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
森
(
もり
)
の
下
(
した
)
の
徑
(
こみち
)
を
行
(
ゆ
)
けば、
土
(
つち
)
濡
(
ぬ
)
れ、
落葉
(
おちば
)
濕
(
しめ
)
れり。
白張
(
しらはり
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
に、
薄
(
うす
)
き
日影
(
ひかげ
)
さすも
物淋
(
ものさび
)
し。
苔
(
こけ
)
蒸
(
む
)
し、
樒
(
しきみ
)
枯
(
か
)
れたる
墓
(
はか
)
に、
門
(
もん
)
のみいかめしきもはかなしや。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼
(
かれ
)
は
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
き
通
(
とほ
)
す
土藏
(
どざう
)
の
戸前
(
とまへ
)
の
濕
(
しめ
)
つぽい
石
(
いし
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
古
(
ふる
)
くから
家
(
いへ
)
にあつた
江戸名所圖會
(
えどめいしよづゑ
)
と
江戸砂子
(
えどすなご
)
といふ
本
(
ほん
)
を
物珍
(
ものめづら
)
しさうに
眺
(
なが
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
濕
(
しめ
)
つた土に
擦
(
す
)
れる下駄の、音が取留めもなく
縺
(
もつ
)
れて、疲れた頭が直ぐ
朦々
(
もう/\
)
となる。
霎時
(
しばし
)
は皆無言で足を運んだ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(
第二十七圖
(
だいにじゆうしちず
)
)なほイタリイの
北
(
きた
)
の
方
(
ほう
)
などでは、
水
(
みづ
)
はなくても
低
(
ひく
)
い
濕
(
しめ
)
つぽい
所
(
ところ
)
に、
湖上住居
(
こじようじゆうきよ
)
と
同
(
おな
)
じような
杙
(
くひ
)
をたて、その
上
(
うへ
)
に
小屋
(
こや
)
を
作
(
つく
)
つて
住
(
す
)
んでゐた
人間
(
にんげん
)
が
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
と
云
(
いふ
)
一
言
(
こと
)
が此世の
餘波
(
なごり
)
涙
(
なみだ
)
に
濕
(
しめ
)
る
枕邊
(
まくらべ
)
は雨に
亂
(
みだ
)
れし
糸萩
(
いとはぎ
)
の
流
(
なが
)
れに
沈
(
しづ
)
むばかりなり然ば
男乍
(
をとこなが
)
らも吉兵衞は
狂氣
(
きやうき
)
の如く
歎
(
なげ
)
きつゝ
斯
(
かく
)
まで妻の
顏
(
かほ
)
痩
(
やせ
)
て昔に
變
(
かは
)
る
哀
(
あは
)
れさよと
落
(
おつ
)
る涙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私はまたいろいろの小さなびいどろ罎に薄荷や肉桂水を入れて吸つて
歩
(
ある
)
いた。また
濃
(
こ
)
い液は白紙に垂らし、柔かに揉んで
濕
(
しめ
)
した上その
端々
(
はしばし
)
を小さく引き裂いては唇にあてた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
寸
(
すん
)
ほどにのびた
院内
(
ゐんない
)
の
若草
(
わかぐさ
)
が、
下駄
(
げた
)
の
齒
(
は
)
に
柔
(
やはら
)
かく
觸
(
ふ
)
れて、
土
(
つち
)
の
濕
(
しめ
)
りがしつとりと
潤
(
うるほ
)
ひを
持
(
も
)
つてゐる。
微
(
かす
)
かな
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
きつけられて、
雨
(
あめ
)
の
糸
(
いと
)
はさわ/\と
傘
(
かさ
)
を
打
(
う
)
ち、
柄
(
え
)
を
握
(
にぎ
)
つた
手
(
て
)
を
霑
(
うるほ
)
す。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
しかし私の夜は
慘
(
みじ
)
めで、私の
憇
(
いこひ
)
は破られた。地上は
濕
(
しめ
)
つぽく空氣は
冷
(
つめ
)
たかつた。その上、
闖入者
(
ちんにふしや
)
が一度ならず私の直ぐ傍を通つて行くので、私は幾度も場所を變へねばならなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
濕
(
しめ
)
りて濃き水氣の薄らぎはじむるころ、日の光微かにその中に入り來るを 四—六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
花
(
はな
)
のしづくに
濕
(
しめ
)
すまに
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
親類や、近所の衆がそれを遠卷にして、内儀のお紺は
濕
(
しめ
)
つぽく佛の飾りの世話を燒き、お夏は心配さうに縁側から覗いてをります。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
凡
(
すべ
)
てから
濕
(
しめ
)
つた
布
(
ぬの
)
を
火
(
ひ
)
に
翳
(
かざ
)
したやうに
凝
(
こ
)
つた
水蒸氣
(
すゐじようき
)
が
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
白
(
しろ
)
くほか/\と
立
(
た
)
ち
騰
(
のぼ
)
つて
低
(
ひく
)
く一
帶
(
たい
)
に
地
(
ち
)
を
掩
(
おほ
)
ふことがあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かように
大切
(
たいせつ
)
な
土器
(
どき
)
を
誰
(
たれ
)
がどこで
發明
(
はつめい
)
したかといふことは
容易
(
ようい
)
にわからぬのでありますが、
最初
(
さいしよ
)
は
粘土
(
ねんど
)
が
水
(
みづ
)
に
濕
(
しめ
)
されると
軟
(
やはら
)
かくなり、
思
(
おも
)
ふ
形
(
かたち
)
に
造
(
つく
)
られることが
知
(
し
)
られ
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
固
(
もと
)
より
以前
(
いぜん
)
から、
友造
(
ともざう
)
の
家
(
いへ
)
は、
土地
(
とち
)
でも、
場末
(
ばすゑ
)
の、
町
(
まち
)
はづれの、
舊
(
もと
)
の
足輕町
(
あしがるまち
)
の
破
(
やぶ
)
れ
長屋
(
ながや
)
に、
家族
(
かぞく
)
が
大勢
(
おほぜい
)
で、かびた、
濕
(
しめ
)
つた、じと/\した
貧
(
まづ
)
しい
暮
(
くら
)
しで
居
(
ゐ
)
たのであるから
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
うつし繪の
面
(
おもて
)
に
濕
(
しめ
)
つた仄かな油のひほひはまた新らしい七歳の夏を印象せしめる。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ある日回診の番が隣へ廻つてきたとき、
何時
(
いつ
)
もよりは
大分
(
だいぶ
)
手間が掛ると思つてゐると、やがて低い話し聲が聞え出した。それが二三人で持ち合つて中々
捗取
(
はかど
)
らないやうな
濕
(
しめ
)
り
氣
(
け
)
を帶びてゐた。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
迫
(
せめ
)
て
自然
(
しぜん
)
と知せる天下の
大法
(
たいはふ
)
早
(
はや
)
亡
(
な
)
き身とまで
覺悟
(
かくご
)
せしおみつ親子は
不測
(
ふしぎ
)
に助り然のみならず
戀
(
こひ
)
しと言
郎
(
をとこ
)
の
許
(
もと
)
へ
縁
(
えん
)
づくやう
再度
(
ふたゝび
)
結
(
むす
)
ぶ
赤繩
(
せきじよう
)
に
有難泪
(
ありがたなみだ
)
は
白洲
(
しらす
)
なる
砂
(
すな
)
を
濕
(
しめ
)
らす其
喜
(
よろこ
)
びお勝は
初
(
はじめ
)
て庄兵衞の
惡
(
わる
)
きを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「それで宜しい。では藥瓶の口を
濕
(
しめ
)
して下さい。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
何故
(
なぜ
)
に
色音
(
いろね
)
の
濕
(
しめ
)
るや。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
井戸端に流れた血潮は洗ひ清めた所で、土が少し
濕
(
しめ
)
つて居りますが、そんなのは平次の探索に何んの役にも立たなかつたのです。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
板圍
(
いたがこひ
)
をして、
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
い、
屋根
(
やね
)
の
低
(
ひく
)
い、
濕
(
しめ
)
つた
暗
(
くら
)
い
中
(
なか
)
で、
働
(
はたら
)
いて
居
(
ゐ
)
るので、三
人
(
にん
)
の
石屋
(
いしや
)
も
齊
(
ひと
)
しく
南屋
(
みなみや
)
に
雇
(
やと
)
はれて
居
(
ゐ
)
るのだけれども、
渠等
(
かれら
)
は
與吉
(
よきち
)
のやうなのではない、
大工
(
だいく
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗助
(
そうすけ
)
が
電車
(
でんしや
)
の
終點
(
しゆうてん
)
迄
(
まで
)
來
(
き
)
て、
運轉手
(
うんてんしゆ
)
に
切符
(
きつぷ
)
を
渡
(
わた
)
した
時
(
とき
)
には、もう
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
が
光
(
ひかり
)
を
失
(
うしな
)
ひかけて、
濕
(
しめ
)
つた
徃來
(
わうらい
)
に、
暗
(
くら
)
い
影
(
かげ
)
が
射
(
さ
)
し
募
(
つの
)
る
頃
(
ころ
)
であつた。
降
(
お
)
りやうとして、
鐵
(
てつ
)
の
柱
(
はしら
)
を
握
(
にぎ
)
つたら、
急
(
きふ
)
に
寒
(
さむ
)
い
心持
(
こゝろもち
)
がした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
匂だち
濕
(
しめ
)
らふ雲の影見れば小夜ふけと月もふけて
和
(
な
)
ぎなむ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三芳屋は殺された主人彦兵衞の初七日で、打ち
濕
(
しめ
)
つたうちにも、何んとなく賑やかに、近所の衆や親類達の顏も見えて居ります。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四谷
(
よつや
)
見
(
み
)
つけの
二夜
(
ふたよ
)
の
露宿
(
ろじゆく
)
から
歸
(
かへ
)
つたばかり……
三日
(
みつか
)
の
午後
(
ごご
)
の
大雨
(
おほあめ
)
に、
骨
(
ほね
)
までぐしよ
濡
(
ぬ
)
れに
成
(
な
)
つて、やがて
着
(
き
)
かへた
後
(
のち
)
も
尚
(
な
)
ほ
冷々
(
ひえ/″\
)
と
濕
(
しめ
)
つぽい、しよぼけた
身體
(
からだ
)
を、ぐつたりと
横
(
よこ
)
にして
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この空の
濕
(
しめ
)
りにあかる日の
在處
(
ありど
)
梢はすでに
紅
(
あか
)
み張りたる
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
平次も八五郎も悉く充ち足りた心持で、醉顏を
濕
(
しめ
)
つぽい夜風に吹かせ乍ら、兩國橋の上にかゝると、丁度金龍山の
亥刻
(
よつ
)
(十時)の鐘が鳴ります。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
濕
部首:⽔
17画
“濕”を含む語句
濕氣
濕々
濕地
陰濕
生濕
薄濕
濕布
濕生
千本濕地
迦濕彌羅
濕雜巾
濕衾
濕臭
濕聲
打濕
濕熱
半濕
濕地蕗
濕地熱
卑濕
...