がほ)” の例文
新字:
したとき、……おきなあかがほは、のまゝけさうに俯向うつむいて、をしばたゝいた、とると、くちびるがぶる/\とふるへたのである。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
日出雄ひでをさん、あんまりやるとそんじますよ。』と氣遣きづかひがほわたくしさへ、その生臭なまくさにく口中こうちう充滿いつぱい頬張ほうばつてつたのである。
いまうへにはにくくし剛慾がうよくもの事情じじやうあくまでりぬきながららずがほ烟草たばこふか/\あやまりあればこそたゝみひたひほりうづめて歎願たんぐわん吹出ふきいだすけむりして
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼等かれら自己じここゝろのある部分ぶぶんに、ひとえない結核性けつかくせいおそろしいものがひそんでゐるのを、ほのかに自覺じかくしながら、わざとらぬがほたがひつてとしすごした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『百ねんてさうもかんでせうが、二十ねん其邊そこらびますよ。』ハヾトフはなぐさがほ。『なんんでもりませんさ、なあ同僚どうれう悲觀ひくわんももう大抵たいていになさるがいですぞ。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ゆめかな‥‥とおもふと、空洞うつろたたくやうな兵士達へいしたちにぶ靴音くつおとみみいた。——あるいてるんだな‥‥とおもふと、何時いつにからないをんなわらがほまへにはつきりえたりした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たとへば、かつ日本にほんを「東洋とうやう英國えいこく」などとほこりがほにとなへたことがある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
そのうちに一そらからりたかとおもふと、なんといふつばめが一むらりてます。そしてたがひうれしさうなこゑつて、ふる馴染なじみ軒塲のきばたづがほに、おもひ/\にわかれてんできます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ふるひ宜しく申し爲し給ふべしと何か耳語さゝやきければ左仲は微笑ほゝゑみ此書面は貴殿の認められしことなれば我れ能々はらをさめて持參致し某し日頃の能辯のうべんを以て天晴上首尾じやうしゆび仕課しおほせ申すべしとて獨りほこがほに支度を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
をちかたの都會の光、平原を領するがほ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
此時このときロミオ物思ものおもがほにて一ぱうる。
勘次かんじほこがほにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
占問うらどがほにたたずみて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
「へい、何方どちらで、」とふのが、あかがほひげもじやだが、莞爾につこりせた、ひとのよささうな親仁おやぢうれしく
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うす氣味きみわるやにたにたのわらがほ坂本さかもといでては用心ようじんたま千住せんじゆがへりの青物車あをものぐるまにお足元あしもとあぶなし、三島樣しまさまかどまでは氣違きちが街道かいだう御顏おんかほのしまりいづれもるみて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
窓際まどぎは紫檀しだんたくはさんでこしおろし、おたがひつかがほでぼんやり煙草たばこをふかしてゐると、をんな型通かたどほ瓜子クワスワツアはこんでくる。一人ひとり丸顏まるがほ一人ひとり瓜實顏うりさねがほそれ口紅くちべにあかく、耳環みゝわ翡翠ひすゐあをい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
よ、硝煙せうえんうちをぬけ。 つきひかりがほに。
ればよなとおもひながら、殊更ことさららずがほよそほひつゝ、主人あるじ御婦人ごふじんなるにや、さて何某殿なにがしどの未亡人びばうじんとか、さらずはおもひものなんどいふひとか、べつしてあたへられたる邸宅ていたくかとへば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
白木綿しろもめん布子ぬのこえり黄色きいろにヤケたのに、單衣ひとへらしい、おなしろ襦袢じゆばんかさね、石持こくもちで、やうかんいろ黒木綿くろもめん羽織はおり幅廣はゞびろに、ぶわりとはおつて、むね頭陀袋づだぶくろけた、はなたかい、あかがほ
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
がほしてしきにもあらずことばかけられては置場おきばもなけれどそれにもなにいろのあるもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いままでは、春雨はるさめに、春雨はるさめにしよぼとれたもよいものを、なつはなほと、はら/\はらとりかゝるを、われながらサテ情知なさけしがほそでにうけて、綽々しやく/\として餘裕よゆうありしからかさとともにかたをすぼめ
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
物思ものおもがほ若者わかものえりのあたりいやりとしてハツと振拂ふりはらへば半面はんめん瓦斯燈がすとうひかり蒼白あをじろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うら田圃たんぼを、やますそから、あかざつゑいて、畝路あぜみちづたひに、わたし心細こゝろぼそそらくもります、離座敷はなれざしきへ、のそ/\とはひつてました、ひげしろい、あかがほの、たかい、茶色ちやいろ被布ひふ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とりたてゝなに自分じぶんばかり美事みごとたからつてるやうにほこがほまをすことの可笑をかしいをおわらひにりましやう、だからわたしくちして其樣そん仰山ぎやうさんらしいことひませぬけれど
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わかひとの、やつがほに、いろさつのぼつて、——國々くに/″\島々しま/″\方々はう/″\が、いづれもおわかりのないとある、たゞ一句いつく不思議ふしぎな、みじかい、鸚鵡あうむこゑまをすのを、わたくしさきまをしてませう……もしや?……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへはまだないのかえ、と障子しようじそとからこゑをかけて、おくさまずつとたまへば、室内うちなるをとこ讀書どくしよつむりおどろかされて、おもひがけぬやうなあきがほをかしう、おくさまわらふてたまへり。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひと生命せいめいあることをらせがほよそほつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御新造ごしんぞおどきたるやうのあきがほして、れはまあなんことやら、なるほどおまへ伯父おぢさんの病氣びやうき、つゞいて借金しやくきんはなしもきゝましたが、いまいまわたしのうちから立換たてかへようとははなかつたはづ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もうつてはくださらぬかなどヽ敷居しきゐきわにすりつておそのけるもらず、學士がくしはそのときつとつて、今日けふはお名殘なごりなるにめてはわらがほでもせてたまはれとさらり障子しようじくれば
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ちらり姿すがたなつすだれごしくやれゆゑしみてか藥師やくしさまの御縁日ごゑんにちにそヾろあるきをするでもなく、ひとまちがほ立姿たちすがたかどにおがみしこともなけれど美人びじんこの近傍かいわいにかくれなしとくは
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぬやうにらずがほ信如しんによのつくるに、ゑゝいつもとほりの心根こゝろねなきおもひをあつめて、すこなみだうらがほなににくんでそのやうに無情つれなきそぶりはせらるゝ、ひたいこと此方こなたにあるを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あは手向てむけはなに千ねんのちぎり萬年まんねんじやうをつくして、れにみさをはひとりずみ、あたら美形びけい月花つきはなにそむけて、何時いつぞともらずがほに、るや珠數じゆずかれては御佛みほとけ輪廻りんゑにまよひぬべし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
假令たとへにかへいのちにかへてもくしまゐらするこゝろなるを、よしなき御遠慮ごゑんりよはおくだされたしとうらがほなり、これほどまでにおもひくるゝ、其心そのこゝろらぬにもらぬを、このごろ不愛想ぶあいさうこゝろもだゆるまゝに
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)