間違まちが)” の例文
四国しこくしまわたって、うみばたのむら托鉢たくはつしてあるいているうちに、ある日いつどこでみち間違まちがえたか、山の中へまよんでしまいました。
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
カピ長 やゝ、これは! おゝ、我妻わがつまよ、あれ、さしませ、愛女むすめ體内みうちからながるゝ! えゝ、このけん住家すみかをば間違まちがへをったわ。
しかし、私が話したことだけは、間違まちがいのないことだから、それを基礎きそにして、これからのすべての報道を冷静に判断してもらいたい。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「うん、そうだ。間違まちがいないよ。」も一人の黒いふくの役人が答えました。さあ、もう私たちはきっところされるにちがいないと思いました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
なんでもチャックの返答はだいたいこうだったように覚えています。もっとも多少細かいところは間違まちがっているかもしれません。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたし間違まちがつたことひますれば、其處そこます師匠ししやう沙汰さたをしますはずともつてつてりますうへは、けつして相違さうゐないとぞんじます。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それ以上いじよう歩行ほこうすることは困難こんなんであつて、たとひ階下かいかかうなどといふ間違まちがつたかんがへをおこしても、それは實行不可能じつこうふかのうであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
王樣わうさま論據ろんきようでした、あたまのあるものならなんでもあたまねることが出來できる、死刑執行者しけいしつかうしやふところもあなが間違まちがつてはない。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
代助と軌道レールあひだには、つちいしんだものが、たかい土手の様にはさまつてゐた。代助ははじめて間違まちがつた所につてゐる事を悟つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくの姓は坂本ですが、七番の坂本さんと間違まちがやすいので、いつも身体からだの大きいぼくは、侮蔑ぶべつ的な意味もふくめて、大坂ダイハンと呼ばれていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
今日きょうも、ローズ・ブノワさんは読方よみかたならったところをちっとも間違まちがえずに諳誦あんしょうしました。それで、いいおてんをいただきました。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
それそばてはあぶさうもとで幾度いくたびはりはこびやうを間違まちがつていたこともあつたが、しまひには身體からだにしつくりふやうにつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それは勿論もちろん正氣せうきひとからはちがひとえるはづ自分じぶんながらすこくるつてるとおもくらゐなれど、ちがひだとてたねなしに間違まちがものでもなく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ルイザはクラフト家の人たちのすぐれていることを文句もんくなしにいつもみとめていたから、おっとしゅうと間違まちがっているなどとはゆめにも思っていなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
東京の某耶蘇教会で賢婦人の名があった某女史は、眼が悪い時落ちたたすき間違まちがえて何より嫌いな蛇をにぎり、其れから信仰に進んだと伝えられる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
五人ごにん方々かた/″\わたししいとおももの註文ちゆうもんして、それを間違まちがひなくつてくださるかたにおつかへすることにいたしませう
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
悟りということはいかなる場合にも平気で死ぬることかと思って居たのは間違まちがいで、悟りということはいかなる場合にも平気で生きて居ることであった。
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
これは日本人につぽんじんがまだ學問がくもんをするには學校がつこうだけで十分じゆうぶんであるといふような、間違まちがつたかんがへをつてゐることからたものでありませうが、今後こんご學校以外がつこういがい
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「もしぬすまなかったのなら、なぜくのだ?」と生徒監はいった。「わたしは何もおまえぬすんだとはいやしない。ただ間違まちがってしたろうと想像そうぞうするまでだ。 ...
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
貴方あなたなに間違まちがつておいでなのでせう、ひどわたしおこつてゐなさるやうだが、まあ落着おちついて、しづかに、さうしてなに立腹りつぷくしてゐなさるのか、有仰おつしやつたらいでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひめがあれをただ海神かいじんいかりとのみかんじたのはいささか間違まちがってるが、それはそうとして、あの場合ばあいひめ心胸むねにはまことになみだぐましい真剣しんけんさが宿やどっていた。
申自身番にて新藤市之丞などといふ六ヶ敷むづかしきの人は紙屑買かみくづかひにはあるべからず大方おほかた浪人者らうにんもの間違まちがひなるべしと云ゆゑ文右衞門は當惑たうわくなせしかど是非共ぜひとも尋ねて金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もしかして案内あんないするとり方角はうがく間違まちがへて、鳥屋とやあみにでもかゝらうものなら、いてとりなんありましてもみなおなじやうにそのあみくび突込つゝこんでしまひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
また作文さくぶんにしても間違まちがつたところがあればしるしけてだけで、滅多めつた間違まちがひてん説明せつめいしてかさない。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
誰某たれそれはいが、行詰ゆきづまつたてに、はくをつけにくのと、おなじだとおもはれると、大変たいへん間違まちがひなんだ。」
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
夫の明けた音は細君の耳には必ず夫の明けた音と聞えて、百に一つも間違まちがうことは無い。それが今日は、夫の明けた音とは聞えず、ハテ誰が来たかというように聞えた。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
真証しんしょう間違まちがいなしの、立派りっぱ品物しなものってって、若旦那わかだんなよろこかおながら、拝借はいしゃくおよぼうッてんだ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ぢやア明朝みやうあさ早く骨揚こつあげますから、死骸しがい間違まちがひないやうに願ひます。坊「其様そんな事はありやせぬ。金「何分なにぶんたのまうします。とたくかへつたがまだ暗いうちにやつてました。金 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ならんでつて望生ぼうせい膝頭ひざかしらどろうまつてるのを、狹衣子さごろもし完全くわんぜん土器どき間違まちがへて掘出ほりださうとすると、ピヨイと望生ぼうせい起上たちあがつたので、土器どき羽根はねえたかとおどろいたのも其頃そのごろ
燕子花と同様な大間違おおまちがいをしているものは、紫陽花である。日本人はだれでもこの紫陽花をアジサイと信じ切っていれど、これもまことにおめでたい間違まちがいをしているのである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
いま乞食坊主こじきばうずたのになつたのは、なんとなくえらさうにえる坊主ばうず態度たいどしんおこしたのと、みず一ぱいでするまじなひなら間違まちがつたところ危險きけんこともあるまいとおもつたのとのためである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
月日つきひともきず疼痛いたみうすらぎ、また傷痕きずあとえてく。しかしそれとともくゐまたるものゝやうにおもつたのは間違まちがひであつた。彼女かのぢよいまはじめてまことくゐあぢはつたやうながした。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
世間せけんのものをても、たれにもわかるものが、きっとよい文學ぶんがく藝術げいじゆつであるとおもつてゐるひともあるが、それはたいへんな間違まちがひであるといはねばなりません。景樹かげきのことはこれでよします。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
まあなん上手じょうずあし使つかことったら! それにからだもちゃんとぐにててるしさ。ありゃ間違まちがいなしにあたしさ。よくりゃ、あれだってまんざら、そうっともなくないんだ。
いやいや如何どうかんがへてもわたくししろみどりあか燈光とうくわう星火榴彈せいくわりうだん火箭くわぜん間違まちがへるほどわるまなこつてらぬはづ。してると先刻せんこく難破船信號なんぱせんしんがうは、何時いつにか安全航行あんぜんかうかう信號しんがうかはつたに相違さうゐない。
君なぞは食物を舌でばかり味わうと思うから間違まちがっている。食物の味を心に感ずるのは眼と鼻と舌との三つである。盲目者は別にして誰でも先ず食物に対すれば眼を以てその体裁ていさいる。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
だが、そんな気で、この秘話を聞き、今日の世相を甘く見ていると、飛んでもない間違まちがいが起ろうというものだ。たとえば今日こんにちアメリカにける自動車事故による惨死者ざんししゃの数字をみるがいい。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そんな馬鹿な間違まちがいが」と、いきり立つ僧をおさえて三要は言いました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その帰りみち、私はその代りに、まだ彼女が知らないというベルヴェデエルのおかの方へ彼女を案内するため、いましがた登ってきたのとはちがった山径を選んでいるうちに、どう道を間違まちがえたのか
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「それは大変な間違まちがいだ」と光一は叫んだ。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
この心持は間違まちがってはいなかった。
買出し (新字新仮名) / 永井荷風(著)
こんどこそ間違まちがいはないと玄翁げんのうおもって、ひょいとがりますと、どうでしょう、さっきの石のあったところがほんのりあかるくなって
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
但し最後に前論士は釈尊の終りに受けられた供養くようが豚肉であるという、何という間違まちがいであるか豚肉ではないきのこの一種である。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
のくらゐの間違まちがひのないことを、ひとをしへたことはないとおもつた。おもつたなりでとした。實際じつさいとした。ついちかころである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はじめからしまひまで間違まちがつてる』と斷乎きつぱり芋蟲いもむしひました。それから双方さうはうともくちつぐんでしまつたので、しばらくのあひだまたしんとしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
けれども間違まちがつたつて、そんな無暗な事は起らない様にするつもりです。中途半端ちうとはんぱにしてゐては、御互も苦痛だし、平岡君に対してもわるい。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
間違まちがつたことはしてないとめてりましたから、すべての衝突しようとつ旦那だんなさまのおこゝろひとつからおここととして仕舞しまつて、遮二無二しやにむに旦那だんなさまをうらみました
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それでもときにおしなのしたやうにふところけて乳房ちぶさふくませててもちひさな乳房ちぶさ間違まちがつてもはなかつた。砂糖さたうけててもあざむけなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
このやま琵琶湖びはことも一夜いちやにして出來できたなどといふのは、科學かがくらなかつたひとのこじつけであらうが、富士ふじわか火山かざんであることには間違まちがひはない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それをまたどう間違まちがえたか、客の獺に飲ませてしまったのです。獺はもちろん死んでしまいました。それから……
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)