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片手
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かたて
ふりがな文庫
“
片手
(
かたて
)” の例文
片手
(
かたて
)
にブリキかんをぶらさげて、
片手
(
かたて
)
にはさおを
持
(
も
)
ち、いつも
帽子
(
ぼうし
)
を
目深
(
まぶか
)
にかぶって、よくこの
洋服屋
(
ようふくや
)
の
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
ったのでありました。
窓の内と外
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
老婆は、
片手
(
かたて
)
に、まだ屍骸の頭から
奪
(
と
)
つた長い拔け毛を
持
(
も
)
つたなり、
蟇
(
ひき
)
のつぶやくやうな聲で、口ごもりながら、こんな事を云つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
足し
出
(
いで
)
つゝ手をば
洗
(
すゝが
)
んと見れば
雪隱
(
せついん
)
の角の柱に五合樽の
片手
(
かたて
)
を
斷
(
き
)
り引掛あれど中には水なし困じて
側
(
そば
)
に待ゐたる和吉に
吩咐
(
いひつけ
)
井戸の水を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見
(
み
)
よ、
頭
(
かしら
)
なき
其
(
そ
)
の
骸
(
むくろ
)
、
金鎧
(
きんがい
)
一縮
(
いつしゆく
)
して
戟
(
ほこ
)
を
横
(
よこた
)
へ、
片手
(
かたて
)
を
擧
(
あ
)
げつゝ
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
砂煙
(
すなけむり
)
を
拂
(
はら
)
つてトツ/\と
陣
(
ぢん
)
に
還
(
かへ
)
る。
陣中
(
ぢんちう
)
豈
(
あに
)
驚
(
おどろ
)
かざらんや。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『それも
駄目
(
だめ
)
だ』と
心
(
こゝろ
)
秘
(
ひそ
)
かに
思
(
おも
)
つてる
中
(
うち
)
、
愛
(
あい
)
ちやんは
兎
(
うさぎ
)
が
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
へ
來
(
き
)
たのを
知
(
し
)
り、
急
(
きふ
)
に
片手
(
かたて
)
を
伸
(
の
)
ばして
只
(
たゞ
)
當
(
あて
)
もなく
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
一寸法師は、目の前の
象
(
ぞう
)
の
袋
(
ふくろ
)
のすそをめくりました。一
尺
(
しゃく
)
ほど象の鼻の先があらわれると、一寸法師はそれへ
片手
(
かたて
)
を
掛
(
か
)
けました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ふたりは、ひっしと花前の両手を
片手
(
かたて
)
ずつとらえて
離
(
はな
)
さない。ふたりはとうとう花前を主人のまえに引きすえて
訴
(
うった
)
える。
兼吉
(
かねきち
)
は
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と
片手
(
かたて
)
さぐりに河原の水音をたどっていった竹童、岩と岩との間から首をのばして、ザアッと流れる水の
瀬
(
せ
)
で
血汐
(
ちしお
)
をあらい、顔をひやし
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近衞家
(
このゑけ
)
の
京武士
(
みやこぶし
)
は、
綺麗
(
きれい
)
な
扇
(
あふぎ
)
で、のツぺりした
顏
(
かほ
)
を
掩
(
おほ
)
ひつゝ、
片手
(
かたて
)
で
鼻
(
なは
)
を
摘
(
つ
)
まんで、三
間
(
げん
)
も
離
(
はな
)
れたところから、
鼻聲
(
はなごゑ
)
を
出
(
だ
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そして
鎧
(
よろい
)
や
兜
(
かぶと
)
は
笈
(
おい
)
の中にかくして、
背中
(
せなか
)
に
背負
(
せお
)
って、
片手
(
かたて
)
に
金剛杖
(
こんごうづえ
)
をつき、
片手
(
かたて
)
に
珠数
(
じゅず
)
をもって、
脚絆
(
きゃはん
)
の上に
草鞋
(
わらじ
)
をはき
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
院長
(
いんちょう
)
は
片手
(
かたて
)
で
頬杖
(
ほおづえ
)
を
突
(
つ
)
きながら
考込
(
かんがえこ
)
んで、ただ
機械的
(
きかいてき
)
に
質問
(
しつもん
)
を
掛
(
か
)
けるのみである。
代診
(
だいしん
)
のセルゲイ、セルゲイチが
時々
(
ときどき
)
手
(
て
)
を
擦
(
こす
)
り
擦
(
こす
)
り
口
(
くち
)
を
入
(
い
)
れる。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わたしは開いた口がふさがらなかった、するとマチアは
片手
(
かたて
)
でくつ
下
(
した
)
をつかんで、
片手
(
かたて
)
でわたしを
路地口
(
ろじぐち
)
から
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
と言って、おかみさんは、ランプを
片手
(
かたて
)
にもち、
時計屋
(
とけいや
)
をうながすような目をして、もういちど部屋にはいっていった。時計屋があとにつづいた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「ここは、とても
寒
(
さむ
)
いや。」と、少年は思って、もうなくなっているとは知らず、おかあさんの
肩
(
かた
)
にぼんやり
片手
(
かたて
)
をかけたまま、しばらく立っていた。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
帯
(
おび
)
もせざる女
片手
(
かたて
)
に
小児
(
せうに
)
を
背負
(
せおひ
)
、
提灯
(
ちやうちん
)
を
提
(
さげ
)
て
高処
(
たかきところ
)
へ
逃
(
にげ
)
のぼるは、
近
(
ちか
)
ければそこらあらはに見ゆ、
命
(
いのち
)
とつりがへなればなにをも
恥
(
はづか
)
しとはおもふべからず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
後
(
うし
)
ろから看護婦が草履の
音
(
おと
)
を立てゝ
近付
(
ちかづ
)
いて来た。三四郎は思ひ切つて戸を半分程
開
(
あ
)
けた。さうして
中
(
なか
)
にゐる女と顔を見合せた。(
片手
(
かたて
)
に
握り
(
ハンドル
)
を
把
(
も
)
つた儘)
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
颯
(
さっ
)
と
浴衣
(
ゆかた
)
をかなぐり
棄
(
す
)
てると
手拭
(
てぬぐい
)
片手
(
かたて
)
に、
上手
(
かみて
)
の
段
(
だん
)
を二
段
(
だん
)
ばかり、そのまま
戸袋
(
とぶくろ
)
の
蔭
(
かげ
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
用心口
(
ようじんぐち
)
を
鎖
(
さ
)
してお
寢間
(
ねま
)
へ
戻
(
もど
)
り
給
(
たま
)
ひしが
再度
(
ふたゝび
)
立
(
た
)
つてお
菓子戸棚
(
くわしとだな
)
のびすけつとの
瓶
(
びん
)
とり
出
(
いだ
)
し、お
鼻紙
(
はながみ
)
の
上
(
うへ
)
へ
明
(
あ
)
けて
押
(
おし
)
ひねり、
雪灯
(
ぼんぼり
)
を
片手
(
かたて
)
に
縁
(
ゑん
)
へ
出
(
いづ
)
れば
天井
(
てんぜう
)
の
鼠
(
ねづみ
)
がた/\と
荒
(
あ
)
れて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
議員さんのなかに
賢
(
かしこ
)
い老人が一人あって、それなら、
裁判長
(
さいばんちょう
)
が、
片手
(
かたて
)
にみごとな赤いりんごを、片手にライン地方で通用する一グルデン銀貨をつかんで、子どもを呼びよせて
子どもたちが屠殺ごっこをした話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
奧
(
おく
)
さんはたくましい青木さんの
肩
(
かた
)
に
片手
(
かたて
)
をかけたまゝこびるやうにその
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
上げた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
片手
(
かたて
)
にふろしきづつみ、片手にうみたてのほろぬくい卵を持って通りに出ると、正九郎は身も心もかるくなったのを感じた。長いあいだいたんだむしばがポロリとぬけたような気持ちだ。
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「しめたぞ!」と
大悦
(
おほよろこび
)
で、ぐツと氣を
落着
(
おちつ
)
け、眼を
瞑
(
つぶ
)
り、
片手
(
かたて
)
で
後頭部
(
こうとうぶ
)
を押へて息を
凝
(
こ
)
らして考へて見る………頭の中が何か泡立ツてゐるやうにフス/\
鳴
(
な
)
ツてゐるのが
微
(
かすか
)
に
顳顬
(
こめかみ
)
に響く。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
とう/\
釣
(
つるし
)
ランプを
片手
(
かたて
)
にさげて、
長吉
(
ちやうきち
)
の部屋になつた二階まで
上
(
あが
)
つて行つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
不用意
(
ふようい
)
に
入
(
い
)
ると
窒息
(
ちつそく
)
して
死
(
し
)
ぬ
恐
(
おそ
)
れがあるので、
先
(
ま
)
づ
蝋燭
(
らうそく
)
の
火
(
ひ
)
をさし
入
(
い
)
れる
必用
(
ひつよう
)
がある。
人足
(
にんそく
)
が
一人
(
ひとり
)
進
(
すゝ
)
んで、
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
片手
(
かたて
)
の
火
(
ひ
)
をさし
入
(
い
)
れると、
火
(
ひ
)
は
次第
(
しだい
)
に
小
(
ちいさ
)
く
成
(
な
)
つて、
後
(
のち
)
には、ふツと
消
(
き
)
えた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
お
爺
(
じい
)
さんがそう
言
(
い
)
われている
中
(
うち
)
に、
天狗
(
てんぐ
)
さんは
直径
(
ちょくけい
)
一尺
(
いっしゃく
)
もありそうな、
長
(
なが
)
い
大
(
おお
)
きな
杉
(
すぎ
)
の
枝
(
えだ
)
を
片手
(
かたて
)
にして、二三十
丈
(
じょう
)
の
虚空
(
こくう
)
から、ヒラリと
身
(
み
)
を
躍
(
おど
)
らして
私
(
わたくし
)
の
見
(
み
)
ている、すぐ
眼
(
め
)
の
前
(
まえ
)
に
降
(
お
)
り
立
(
た
)
ちました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
片手
(
かたて
)
には
噛
(
かぢ
)
りのこせし
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
大
(
おお
)
きな
地震
(
じしん
)
だ!」といって、あちらからおかあさんが
駈
(
か
)
けてきて、
片手
(
かたて
)
によっちゃん、
片手
(
かたて
)
にみいちゃんをだいて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しました。
時計とよっちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其船頭
(
そのせんどう
)
は
悠然
(
いうぜん
)
として、
片手
(
かたて
)
で
艫
(
ろ
)
を
繰
(
あやつ
)
りはじめながら、
片手
(
かたて
)
で
其
(
そ
)
の
水
(
みづ
)
を
飮
(
の
)
む
時
(
とき
)
、
白鷺
(
しらさぎ
)
の
一羽
(
いちは
)
が
舞
(
ま
)
ひながら
下
(
お
)
りて、
舳
(
みよし
)
に
留
(
と
)
まつたのである。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御前
(
ごぜん
)
に
立
(
た
)
つてゐました、
左右
(
さいう
)
から
二人
(
ふたり
)
の
兵士
(
へいし
)
に
護衞
(
ごゑい
)
されて、
王樣
(
わうさま
)
のお
側
(
そば
)
には、
片手
(
かたて
)
に
喇叭
(
らつぱ
)
、
片手
(
かたて
)
に
羊皮紙
(
やうひし
)
の
卷物
(
まきもの
)
を
持
(
も
)
つた
白兎
(
しろうさぎ
)
が
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
独楽は竹童のふところに飛んでかえって、かれ自身もまた、アッ——と
片手
(
かたて
)
で顔をかくしたまま、あぶなくそこへたおれかかる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人
(
ふたり
)
は
默
(
だま
)
る。
厨房
(
くりや
)
からダリユシカが
鈍
(
にぶ
)
い
浮
(
う
)
かぬ
顏
(
かほ
)
で
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て、
片手
(
かたて
)
で
頬杖
(
ほゝづゑ
)
を
爲
(
し
)
て、
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かうと
戸口
(
とぐち
)
に
立留
(
たちどま
)
つてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
結びて手拭
冠
(
かぶ
)
り
拭
(
たへ
)
の
布子
(
ぬのこ
)
の
裾
(
すそ
)
端折
(
はしをり
)
片手
(
かたて
)
に
古
(
ふる
)
びし岡持下げ足元輕く立歸る
老婆
(
らうば
)
は長屋の
糊賣
(
のりうり
)
お金營業仕舞て
這入來
(
はひりく
)
る
姿
(
すがた
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
玉虫色
(
たまむしいろ
)
の服をきた美しい女が、
片手
(
かたて
)
に
絵日傘
(
えひがさ
)
を持ち、すらりとした足をしずかにすべらせようとしています。二
丈
(
じょう
)
もあろうと思われる高いところです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ホールはびんを
片手
(
かたて
)
に、ぽかんとドアの前につったって、ゆうべたしかに
玄関
(
げんかん
)
のドアはしめたはずだ、と思った。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
親方は、
片手
(
かたて
)
に
弓
(
ゆみ
)
、片手にヴァイオリンを持って、身ぶりをしながら
口上
(
こうじょう
)
を
述
(
の
)
べだした。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
打水
(
うちみづ
)
のあと
輕
(
かろ
)
く
庭下駄
(
にはげた
)
にふんで、
裳
(
もすそ
)
とる
片手
(
かたて
)
はすかし
骨
(
ぼね
)
の
塗柄
(
ぬりえ
)
の
團扇
(
うちわ
)
に
蚊
(
か
)
を
拂
(
はら
)
ひつ、
流
(
なが
)
れに
臨
(
のぞ
)
んで
立
(
たつ
)
たる
姿
(
すがた
)
に、
空
(
そら
)
の
月
(
つき
)
恥
(
はぢ
)
らひてか
不圖
(
ふと
)
かゝる
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
の
末
(
すゑ
)
あたり
俄
(
にわか
)
に
暗
(
くら
)
くなる
折
(
をり
)
しも
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
花前は、耳で
合点
(
がてん
)
したともいうべきふうをして
仕事
(
しごと
)
にかかる。
片手
(
かたて
)
にしぼりバケツと
腰掛
(
こしか
)
けとを持ち、
片手
(
かたて
)
に
乳房
(
ちぶさ
)
を
洗
(
あら
)
うべき
湯
(
ゆ
)
をくんで、じきにしぼりにかかる。花前もここでは
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そこへとびこんで行ったわたしが、
片手
(
かたて
)
でマレイの
鋤
(
すき
)
に、もう
一方
(
いっぽう
)
の手でその
袖
(
そで
)
にしっかりしがみついたとき、マレイは、やっと、わたしのただごとでないようすを見てとりました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
けれども
閾
(
しきい
)
を
跨
(
また
)
ぐ
時
(
とき
)
に、
片方
(
かたほう
)
の
上沓
(
うわぐつ
)
が
脱
(
ぬ
)
げたので、
片足
(
かたあし
)
には、
上沓
(
うわぐつ
)
を
穿
(
は
)
き、
片足
(
かたあし
)
は、
沓下
(
くつした
)
だけで、
前垂
(
まえだれ
)
を
掛
(
か
)
け、
片手
(
かたて
)
には、
黄金
(
きん
)
の
鎖
(
くさり
)
、
片手
(
かたて
)
には、ヤットコを
持
(
も
)
って、
街
(
まち
)
の
中
(
なか
)
へ
跳出
(
とびだ
)
しました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
次郎
(
じろう
)
さんは、
往来
(
おうらい
)
に
立
(
た
)
ちどまって
見
(
み
)
ていました。やはり
勇
(
ゆう
)
ちゃんでした。もちぼうを
持
(
も
)
ち、
片手
(
かたて
)
にとんぼのかごをぶらさげていました。
きれいなきれいな町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
濡色
(
ぬれいろ
)
を
含
(
ふく
)
んだ
曙
(
あけぼの
)
の
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
から、
姿
(
すがた
)
も
振
(
ふり
)
もしつとりとした
婦
(
をんな
)
を
肩
(
かた
)
に、
片手
(
かたて
)
を
引担
(
ひつかつ
)
ぐやうにして、
一人
(
ひとり
)
の
青年
(
わかもの
)
がとぼ/\と
顕
(
あら
)
はれた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
片手
(
かたて
)
に
独楽
(
こま
)
——まわすと見せて、一方の手に、
般若丸
(
はんにゃまる
)
の
脇差
(
わきざし
)
を
抜
(
ぬ
)
きはなったかと思うと、
杉
(
すぎ
)
の根もとにつながれている、クロの
綱
(
つな
)
をさッと
斬
(
き
)
った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たのは
兎
(
うさぎ
)
で、
綺羅美
(
きらび
)
やかな
服裝
(
なり
)
をして、
片手
(
かたて
)
には
白
(
しろ
)
い
山羊仔皮
(
キツド
)
の
手套
(
てぶくろ
)
を一
對
(
つい
)
、
片手
(
かたて
)
には
大
(
おほ
)
きな
扇子
(
せんす
)
を
持
(
も
)
つて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
二人
(
ふたり
)
は
黙
(
だま
)
る。
厨房
(
くりや
)
からダリュシカが
鈍
(
にぶ
)
い
浮
(
う
)
かぬ
顔
(
かお
)
で
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
片手
(
かたて
)
で
頬杖
(
ほおづえ
)
をして、
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
こうと
戸口
(
とぐち
)
に
立留
(
たちどま
)
っている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ほがらかな声がひびいて、
船員
(
せんいん
)
ふうの気さくそうな男が、
新聞
(
しんぶん
)
を
片手
(
かたて
)
にトーマスに近づき、ベンチに腰かけた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
曲馬団
(
きょくばだん
)
の行列は、
鍛冶屋
(
かじや
)
の横手の火の見の下までやって来ました。と、まっ先の
一寸法師
(
いっすんぼうし
)
が、くるりとうしろへ向きなおり、赤いトルコ
帽
(
ぼう
)
を
片手
(
かたて
)
に取って
差
(
さ
)
し上げ
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
祖父
(
そふ
)
にいたっては自分の前ばかりに気を取られて、自由の
利
(
き
)
く
片手
(
かたて
)
でしじゅうさらから口へがつがつ運んでいた。そのふるえる指先から肉を落とすと、兄弟たちはどっと
笑
(
わら
)
った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
片手
(
かたて
)
わざにも
夏
(
なつ
)
より
手足
(
てあし
)
を
色
(
いろ
)
どりて、
新年着
(
はるぎ
)
の
支度
(
したく
)
もこれをば
當
(
あ
)
てぞかし、
南無
(
なむ
)
や
大鳥大明神
(
おほとりだいめうじん
)
、
買
(
か
)
ふ
人
(
ひと
)
にさへ
大福
(
だいふく
)
をあたへ
給
(
たま
)
へば
製造
(
せいぞう
)
もとの
我等
(
われら
)
萬倍
(
まんばい
)
の
利益
(
りゑき
)
をと
人
(
ひと
)
ごとに
言
(
い
)
ふめれど
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、
片手
(
かたて
)
でわたしのかわりに十
字
(
じ
)
をきり、それから、自分も十字をきりました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
見付村役人に屆けなどする中一人の
旅僧
(
たびそう
)
鼠
(
ねずみ
)
の
衣
(
ころも
)
に
麻
(
あさ
)
の
袈裟
(
けさ
)
を身に
纒
(
まと
)
ひ
水晶
(
すゐしやう
)
の
珠數
(
ずず
)
を
片手
(
かたて
)
に
持
(
もち
)
藜
(
あかざ
)
の
杖
(
つゑ
)
を突て通りかゝりけるが此捨子を見て
杖
(
つゑ
)
を止め
頓
(
やが
)
て立寄りつゝ彼
小兒
(
せうに
)
の
袖
(
そで
)
を
廣
(
ひろ
)
げ
腰
(
こし
)
なる矢立を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“片手”で始まる語句
片手間
片手業
片手掴
片手落
片手打
片手拝
片手撲
片手桶
片手腕
片手釣