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ばん
ふりがな文庫
“
晩
(
ばん
)” の例文
よくいいつかったことを
忘
(
わす
)
れたり、また、
晩
(
ばん
)
になると、じきに
居眠
(
いねむ
)
りをしましたので、よく
叔父
(
おじ
)
さんから、
小言
(
こごと
)
をいわれていました。
人の身の上
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雨風
(
あめかぜ
)
の患のない、人目にかゝる惧のない、一
晩
(
ばん
)
樂
(
らく
)
にねられさうな所があれば、そこでともかくも、
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かさうと思つたからである。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでわたしたちは
炉
(
ろ
)
を
囲
(
かこ
)
んで、いっしょにくらす
晩
(
ばん
)
などには、そういう古い本をたんすから引き出して、めいめいに分けて読んだ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
その
晩
(
ばん
)
、
郵便局長
(
ゆうびんきょくちょう
)
のミハイル、アウエリヤヌイチは
彼
(
かれ
)
の
所
(
ところ
)
に
来
(
き
)
たが、
挨拶
(
あいさつ
)
もせずにいきなり
彼
(
かれ
)
の
両手
(
りょうて
)
を
握
(
にぎ
)
って、
声
(
こえ
)
を
顫
(
ふる
)
わして
云
(
い
)
うた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それからは、まい
晩
(
ばん
)
、くらくなりますと、ノロ公はじぶんのいつもの
寝場所
(
ねばしょ
)
をぬけだして、あき
小屋
(
ごや
)
へいくことにしているのでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
▼ もっと見る
木こりは、
晩
(
ばん
)
に
寝床
(
ねどこ
)
へはいってからも、あれやこれやと考えると、
心配
(
しんぱい
)
で心配でねむることもできず、ねがえりばかりうっていました。
ヘンゼルとグレーテル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
一
本
(
ぽん
)
の大きな木の、うつろになった中に
入
(
はい
)
って、
犬
(
いぬ
)
どもを木のまわりに
集
(
あつ
)
めて、たくさんたき
火
(
び
)
をして、その
晩
(
ばん
)
は
眠
(
ねむ
)
ることにしました。
忠義な犬
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一昨日
(
おとつい
)
の
晩
(
ばん
)
宵
(
よい
)
の口に、その松のうらおもてに、ちらちら
灯
(
ともしび
)
が
見
(
み
)
えたのを、
海浜
(
かいひん
)
の別荘で花火を
焚
(
た
)
くのだといい、
否
(
いや
)
、
狐火
(
きつねび
)
だともいった。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで正直を
申
(
もう
)
しますと、この小さな「イギリス
海岸
(
かいがん
)
」の
原稿
(
げんこう
)
は八月六日あの足あとを見つける前の日の
晩
(
ばん
)
宿直室
(
しゅくちょくしつ
)
で半分書いたのです。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その
晩
(
ばん
)
は
伯父
(
をぢ
)
さんも
友伯父
(
ともをぢ
)
さんも
呼
(
よ
)
ばれて
行
(
ゆ
)
きましたが、『
押飯
(
おうはん
)
』と
言
(
い
)
つて
鳥
(
とり
)
の
肉
(
にく
)
のお
露
(
つゆ
)
で
味
(
あぢ
)
をつけた
御飯
(
ごはん
)
の
御馳走
(
ごちさう
)
がありましたつけ。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
用
(
よう
)
じゃァねえが、おかみさんもああいうンだから、
晩
(
ばん
)
にしたらどうだ。どうせいま
行
(
い
)
ったって、
会
(
あ
)
えるもんでもねえンだから。——」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
でもつぎの
晩
(
ばん
)
、さよなきどりのうたっているところへ、漁師がまた網にでてきました。そうして、またおなじことをいいました。
小夜啼鳥
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
史に記す。道衍
晩
(
ばん
)
に道余録を著し、
頗
(
すこぶ
)
る先儒を
毀
(
そし
)
る、識者これを
鄙
(
いや
)
しむ。
其
(
そ
)
の故郷の
長州
(
ちょうしゅう
)
に至るや、同産の姉を
候
(
こう
)
す、姉
納
(
い
)
れず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
林太郎のおとうさんは、きのうの
晩
(
ばん
)
も
酒
(
さけ
)
によってきて、林太郎のことをいっては、この家をでていけ、と、おっかさんをいじめたのでした。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
まい朝おべんとうをつめてくださる手、まい
晩
(
ばん
)
「おやすみ。」とやさしくふとんのえりをおさえてくださるその手の指が——。
美しき元旦
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
「僕は其時程朋友を難有いと思つた事はない。
嬉
(
うれ
)
しくつて其晩は少しも
寐
(
ね
)
られなかつた。月のある
晩
(
ばん
)
だつたので、月の消える迄起きてゐた」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
晴
(
は
)
れのあしたを前にして、なにを
密議
(
みつぎ
)
するのか、その
晩
(
ばん
)
、
徳川
(
とくがわ
)
ばたけの者ばかりが、首を
集
(
あつ
)
めておそくまで声をひそめていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シューラは
破
(
やぶ
)
れたシャツを
着
(
き
)
て、
学校
(
がっこう
)
へ
出
(
で
)
かけなければならなくなる——そうしたら、シャツは
晩
(
ばん
)
までには、どんなになるかわかりゃしない!
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
背広
(
せびろ
)
を
軽
(
かる
)
いセルのひと衣にぬぎ
換
(
かへ
)
て、青木さんが
奧
(
おく
)
さんと一
緒
(
しよ
)
につましやかな
晩
(
ばん
)
さんを
済
(
す
)
ましたのはもう八
時
(
じ
)
近
(
ちか
)
くであつた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そしてある
晩
(
ばん
)
、にわかに甚兵衛の
所
(
ところ
)
へ
押
(
お
)
し入り、
眠
(
ねむ
)
ってる甚兵衛を
縛
(
しば
)
りあげ、
刀
(
かたな
)
をつきつけて、人形をだせと
嚇
(
おど
)
かしました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ある
晩
(
ばん
)
、ゴットフリートがどうしても歌ってくれそうもなかった
時
(
とき
)
、クリストフは
自分
(
じぶん
)
が
作
(
つく
)
った
小曲
(
しょうきょく
)
を一つ
彼
(
かれ
)
に聞かしてやろうと思いついた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
晩
(
ばん
)
、俵的と女房だけを病院に残し、私は家へ帰ると台所から冷酒の入った一
升
(
しょう
)
罎
(
びん
)
を持ってきて机の上におき、コップで、ぐいぐいと
呷
(
あお
)
った。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
一
年中
(
ねんぢう
)
の
臟腑
(
ざうふ
)
の
砂拂
(
すなはらひ
)
だといふ
冬至
(
とうじ
)
の
蒟蒻
(
こんにやく
)
を
皆
(
みんな
)
で
喰
(
た
)
べた。お
品
(
しな
)
は
喰
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
は
明日
(
あす
)
からでも
起
(
お
)
きられるやうに
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ヂュリ ほんに
然
(
さう
)
もあらうか、
妾
(
わたし
)
の
有
(
もの
)
ではないゆゑ。……(ロレンスに)
御坊樣
(
ごぼうさま
)
、
今
(
いま
)
お
暇
(
ひま
)
でござりますか、
改
(
あらた
)
めて
晩
(
ばん
)
のお
祈祷頃
(
いのりごろ
)
に
參
(
まゐ
)
りませうか?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
要吉は、その
晩
(
ばん
)
、ひさしぶりにいなかの家のことを
夢
(
ゆめ
)
に見ました。ある山国にいる要吉の家のまわりには、少しばかりの
水蜜桃
(
すいみつとう
)
の
畑
(
はたけ
)
がありました。
水菓子屋の要吉
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
「おしいことだった。ブランカを殺さずに、いけどっておいておとりにしたら、
翌日
(
よくじつ
)
の
晩
(
ばん
)
には、きっとロボをつかまえることができたであろう。」
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
或
(
あ
)
る一
學生
(
がくせい
)
は
横濱
(
よこはま
)
まで
行
(
ゆ
)
きましたが、
晩
(
ばん
)
に
成
(
な
)
つても
歸
(
かへ
)
りませんから、
心配
(
しんぱい
)
して
電報
(
でんぱう
)
もて
其
(
そ
)
の
消息
(
せうそく
)
を
問
(
と
)
ひ
合
(
あは
)
せました。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
はすの花の
咲
(
さ
)
いているときもあるし、ほたるの飛んだ
晩
(
ばん
)
もあったし、
氷
(
こおり
)
の上に雪のつもっているときもありました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
夢か
現
(
うつゝ
)
かや是も
矢張
(
やつぱり
)
小西屋が破談に成た故で有うあゝ悦ばし嬉しとて手の
舞
(
まひ
)
足の
踏
(
ふむ
)
所も知ざるまでに
打喜
(
うちよろこ
)
び夫では
晩
(
ばん
)
に待てゐるから
急度
(
きつと
)
で有るよと念を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
晩
(
ばん
)
、
暑
(
あつ
)
さを
拂
(
はら
)
ふ
凉雨
(
れうう
)
が
來
(
き
)
た、
昨夜
(
ゆうべ
)
猫
(
ねこ
)
のために十
分
(
ぶん
)
に
寢
(
ね
)
られなかつた
入
(
い
)
れ
合
(
あは
)
せに
今夜
(
こんや
)
は
熟睡
(
じゆくすゐ
)
しようと
思
(
おも
)
つた。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
道子
(
みちこ
)
は
唯
(
たゞ
)
何
(
なん
)
といふ
訳
(
わけ
)
もなく
吾妻橋
(
あづまばし
)
のたもとが
好
(
よ
)
さゝうな
気
(
き
)
のするまゝ、こゝを
出場所
(
でばしよ
)
にしたのであるが、
最初
(
さいしよ
)
の
晩
(
ばん
)
から
景気
(
けいき
)
が
好
(
よ
)
く、
宵
(
よひ
)
の
中
(
うち
)
に
二人
(
ふたり
)
客
(
きやく
)
がつき
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
大歳
(
おおとし
)
または十四日の
年越
(
としこし
)
の
晩
(
ばん
)
に、家々の門に来てこれを振りまわし、ダシヤレダシヤレ、またはハーラメダーセ、すなわち孕み女を出せとわめくのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私
(
わたくし
)
も
今
(
いま
)
、
左樣
(
さう
)
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
つた
處
(
ところ
)
だ、
大佐閣下
(
たいさかくか
)
だつて
私共
(
わたくしども
)
が、
其樣
(
そんな
)
に
早
(
はや
)
く
歸
(
かへ
)
らうとは
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
なさるまいし、それにね、
約束
(
やくそく
)
の
五日目
(
いつかめ
)
の
晩
(
ばん
)
には、
海岸
(
かいがん
)
の
家
(
いへ
)
では
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
親
(
おや
)
も
兄弟
(
きやうだい
)
もない
僕
(
ぼく
)
の
身
(
み
)
には、こんな
晩
(
ばん
)
は
頗
(
すこぶ
)
る
感心
(
かんしん
)
しないので、おまけに
下宿住
(
げしゆくずまひ
)
、
所謂
(
いはゆ
)
る半夜燈前十年事、一時和雨到心頭といふ一
件
(
けん
)
だから
堪忍
(
たまつ
)
たものでない
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
金太郎は路傍の道しるべの石に片足をかけて、自轉車に
跨
(
またが
)
つたまゝ憩みながら、今
晩
(
ばん
)
たつといふ
返
(
へん
)
事をした。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
月光
(
げつこう
)
の
照
(
てら
)
す
下
(
もと
)
に
聞
(
きこ
)
えて
來
(
く
)
るその
波
(
なみ
)
の
響
(
ひゞ
)
きも、
思
(
おも
)
へば
夜
(
よ
)
の
更
(
ふ
)
けた
感
(
かん
)
じのすることだ。かうした
晩
(
ばん
)
に、この
海
(
うみ
)
に
舟旅
(
ふなたび
)
をして、
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
目
(
め
)
の
覺
(
さ
)
めてゐる
人
(
ひと
)
もあらう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
さうかうするうちに
三年
(
さんねん
)
ばかりたちました。その
年
(
とし
)
の
春先
(
はるさき
)
から、
赫映姫
(
かぐやひめ
)
は、どうしたわけだか、
月
(
つき
)
のよい
晩
(
ばん
)
になると、その
月
(
つき
)
を
眺
(
なが
)
めて
悲
(
かな
)
しむようになりました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
そして
晩
(
ばん
)
の御飯もいつもよりたべなかった。夜おそくまで考えつづけたあげく、やっとお母さんにいった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
百人前
(
ひやくにんまへ
)
の
仕事
(
しごと
)
をしたからとつて
褒美
(
はうび
)
の
一
(
ひと
)
つも
出
(
で
)
やうでは
無
(
な
)
し、
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
一寸法師
(
いつすんぼし
)
の
言
(
い
)
はれつゞけで、それだからと
言
(
い
)
つて
一生
(
いつしやう
)
經
(
た
)
つても
此
(
この
)
身長
(
せい
)
が
延
(
の
)
びやうかい
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
けれども
南瓜
(
かぼちや
)
はくやしくつて、くやしくつて、たまらず、その
晩
(
ばん
)
、みんなの
寢靜
(
ねじづ
)
まるのを
待
(
ま
)
つて、
地
(
ぢ
)
べたに
頬
(
ほつぺた
)
をすりつけて、
造物
(
つくり
)
主
(
ぬし
)
の
神樣
(
かみさま
)
をうらんで
男泣
(
をとこな
)
きに
泣
(
な
)
きました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
大和
(
やまと
)
の
遠飛鳥
(
とおあすか
)
という村までおいでになって、そこへまた一
晩
(
ばん
)
おとまりになったうえ、けがれ
払
(
ばら
)
いのお祈りをなすって、そのあくる日
石上
(
いそのかみ
)
の神宮へおうかがいになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
B うゝ
極
(
きま
)
つてるよ。
毎日
(
まいにち
)
、
朝
(
あさ
)
と
晩
(
ばん
)
と一
枚
(
まい
)
づつ
來
(
く
)
る。
僕
(
ぼく
)
も
毎日
(
まいにち
)
、
朝
(
あさ
)
と
晩
(
ばん
)
と一
枚
(
まい
)
づつ
出
(
だ
)
してる。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
しかるに
困
(
こま
)
ったことにこの
娘
(
こ
)
の
両親
(
りょうしん
)
は、きつい
仏教
(
ぶっきょう
)
信者
(
しんじゃ
)
であった
為
(
た
)
め、わが
児
(
こ
)
が
早
(
はや
)
く
極楽浄土
(
ごくらくじょうど
)
に
行
(
ゆ
)
けるようにと、
朝
(
あさ
)
に
晩
(
ばん
)
にお
経
(
きょう
)
を
上
(
あ
)
げてしきりに
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
って
居
(
い
)
るのじゃ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
土井は最初そこへ
着
(
つ
)
いた
晩
(
ばん
)
、筆を執るやうな落着きがないのに、ちよつと
失望
(
しつばう
)
したが、
家主
(
やぬし
)
の
住
(
すま
)
つてゐる家の
離
(
はな
)
れを一
室
(
しつ
)
借
(
か
)
りておいたからと、甥が言ふので、彼はそれを信じて
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
晩
(
ばん
)
まで
掛
(
かゝ
)
つて
漸
(
やうや
)
く
土器
(
どき
)
の
端
(
ふち
)
でも
磨
(
す
)
つたらしい
石
(
いし
)
と、
把手
(
とつて
)
の
平凡
(
へいぼん
)
なのを二三
箇
(
こ
)
得
(
え
)
たばかり。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
糟谷
(
かすや
)
はとうとう
神楽坂
(
かぐらざか
)
に
親
(
した
)
しい友人をたずねた。そうしてつとめて、自分が苦労してる問題に
離
(
はな
)
れた話に
興
(
きょう
)
を求め、ことさらにたわいもないことを
騒
(
さわ
)
いで、一
晩
(
ばん
)
ざる
碁
(
ご
)
をたのしんだ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その
晩
(
ばん
)
は、クリスマスの
前夜
(
ぜんや
)
で、とりわけ、
寒
(
さむ
)
さのきびしい晩だった。ある
地下室
(
ちかしつ
)
に、ひとりの少年がいる。少年といっても、まだ六つになったかならないかの、とても小さな子なのだ。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
その
歸
(
かへ
)
りがけ、それは
月夜
(
つきよ
)
の
晩
(
ばん
)
のことでありましたが、あの
應神天皇
(
おうじんてんのう
)
(
伯孫
(
はくそん
)
の
時
(
とき
)
から
百年
(
ひやくねん
)
ほど
前
(
まへ
)
に
當
(
あた
)
る)の
御陵
(
ごりよう
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
りかゝると、
非常
(
ひじよう
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
赤
(
あか
)
い
馬
(
うま
)
に
乘
(
の
)
つてゐる
人
(
ひと
)
に
出會
(
であ
)
ひました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
此の
疲勞
(
つかれ
)
が出たのか、周三は、お房の許へ
引越
(
ひツこ
)
して來た
晩
(
ばん
)
は實に好く眠ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
時宜
(
じぎ
)
によればすぐにも
使者
(
ししゃ
)
をやって、よく聞きただしてみてもいいから、今夜一
晩
(
ばん
)
は不自由でもあろうが役場に
宿
(
とま
)
ってくれとのことであった。教員室には、教員が出たりはいったりしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
“晩”の意味
《名詞》
(バン)夕方。
(出典:Wiktionary)
“晩”の解説
晩(ばん)とは、夕暮れと夜の間の時間帯のことであり、どちらの意味でも使われる。ただし、最近は「夜」という意味に変化しつつある。
(出典:Wikipedia)
晩
常用漢字
小6
部首:⽇
12画
“晩”を含む語句
晩餐
早晩
昨晩
晩食
晩方
毎晩
晩秋
晩春
明晩
晩酌
晩飯
前晩
歳晩
晩景
晩稻
一晩
今晩
晩餐会
晩稲
翌晩
...