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大方
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おほかた
ふりがな文庫
“
大方
(
おほかた
)” の例文
駕籠舁どもは大いに
笑
(
わら
)
ひコレ
旦那
(
だんな
)
何
(
どう
)
した事をいひなさる此道中は初めてと見えるゆゑ夫リヤア
大方
(
おほかた
)
此宿の者が御客を
釣
(
つる
)
つもりの話しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
わびしさ……
侘
(
わび
)
しいと
言
(
い
)
ふは、
寂
(
さび
)
しさも
通越
(
とほりこ
)
し、
心細
(
こゝろぼそ
)
さもあきらめ
氣味
(
ぎみ
)
の、げつそりと
身
(
み
)
にしむ
思
(
おもひ
)
の、
大方
(
おほかた
)
、かうした
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
であらう。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さうして、
神樣
(
かみさま
)
の
言葉
(
ことば
)
すらも、やはり、
歌
(
うた
)
で
現
(
あらは
)
されることになりました。それは
大方
(
おほかた
)
、
三
(
みつ
)
つの
句
(
く
)
の
形
(
かたち
)
になつたものらしく
考
(
かんが
)
へられます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
現在
(
げんざい
)
うけ
合
(
あ
)
ひしは
我
(
わ
)
れに
覺
(
おぼ
)
えあれど
何
(
なに
)
の
夫
(
そ
)
れを
厭
(
いと
)
ふ
事
(
こと
)
かは、
大方
(
おほかた
)
お
前
(
まへ
)
が
聞
(
きゝ
)
ちがへと
立
(
たて
)
きりて、
烟草
(
たばこ
)
輪
(
わ
)
にふき
私
(
わたし
)
は
知
(
し
)
らぬと
濟
(
すま
)
しけり。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『それは
能
(
よ
)
く
解
(
わか
)
つてる、
大方
(
おほかた
)
蛙
(
かはづ
)
か
蟲
(
むし
)
ぐらゐのものだらう』と
云
(
い
)
つて
家鴨
(
あひる
)
は『しかし、
僕
(
ぼく
)
の
訊
(
き
)
くのは
大僧正
(
だいそうじよう
)
が
何
(
ど
)
うしたと
云
(
い
)
ふのだ?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
数寄屋河岸
(
すきやがし
)
の
真顔
(
まがほ
)
が、「イヤ
是
(
これ
)
は
大方
(
おほかた
)
二十一
日
(
にち
)
であらう、「
昔
(
むかし
)
」と
云
(
い
)
ふ
字
(
じ
)
ハ、廿一
日
(
にち
)
と書くから、まア廿一
日
(
にち
)
に
行
(
い
)
つて見なさい。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何処
(
どこ
)
まで歩いて行つても道は
狭
(
せま
)
くて土が黒く
湿
(
しめ
)
つてゐて、
大方
(
おほかた
)
は
路地
(
ろぢ
)
のやうに
行
(
ゆ
)
き
止
(
どま
)
りかと
危
(
あやぶ
)
まれるほど
曲
(
まが
)
つてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
文庫
(
ぶんこ
)
のなかを
捜
(
さが
)
しても
無
(
なか
)
つた。
鏡台
(
きやうだい
)
にも
針箱
(
はりばこ
)
にも
箪笥
(
たんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
にも
無
(
なか
)
つた。
大方
(
おほかた
)
焼棄
(
やきす
)
てるか
如何
(
どう
)
かしたのであらう。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
咏風
(
よみぶり
)
に
大方
(
おほかた
)
は誰と知らるゝが多かれど、時に予想外なるがありて、こは君なりしかとうち驚かる。
杜鵑
(
ほととぎす
)
の歌に
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
パンの
破片
(
かけら
)
、
紙屑
(
かみくづ
)
、
牛
(
うし
)
の
骨
(
ほね
)
など、
而
(
さう
)
して
寒
(
さむさ
)
に
顫
(
ふる
)
へながら、
猶太語
(
エヴレイご
)
で、
早言
(
はやこと
)
に
歌
(
うた
)
ふやうに
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
す、
大方
(
おほかた
)
開店
(
かいてん
)
でも
爲
(
し
)
た
氣取
(
きどり
)
で
何
(
なに
)
かを
吹聽
(
ふいちやう
)
してゐるので
有
(
あ
)
らう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其味
生
(
なま
)
なるにかはる事なく、母もよろこび
大方
(
おほかた
)
ならず、いか
成
(
なる
)
人のここに落せしや、是又
壱
(
ひと
)
つのふしぎ也。
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでも、此間、雨のふるさびしい日に、
何
(
ど
)
うした拍子か、
大方
(
おほかた
)
和尚
(
をしやう
)
さんも淋しかつたんだんべい。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
今夜は
辻待
(
つじまち
)
の自動車や馬車が
大方
(
おほかた
)
休んで居て
偶
(
たま
)
にあつても
平生
(
ふだん
)
の四倍ぐらゐの
価
(
ね
)
を云ふので、自分等は
其処
(
そこ
)
からゆるゆると※クトル・マツセの下宿まで歩いて帰つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「よし/\、それで
大方
(
おほかた
)
わかつた。さぞ骨が折れたことだらう、一杯つけて骨休めをするがいい」
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おや
左樣
(
さう
)
。
餘
(
あんま
)
り
遲
(
おそ
)
いから、
大方
(
おほかた
)
何處
(
どこ
)
かで
召上
(
めしや
)
がつたらうとは
思
(
おも
)
つたけれど、
若
(
も
)
し
未
(
ま
)
だゞと
不可
(
いけ
)
ないから」と
云
(
い
)
ひながら、
布巾
(
ふきん
)
で
鍋
(
なべ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
撮
(
つま
)
んで、
土瓶敷
(
どびんしき
)
の
上
(
うへ
)
に
卸
(
おろ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これらは
大方
(
おほかた
)
、
而
(
しか
)
も
今年
(
ことし
)
六ツになる
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
のわたしたちの
玲子
(
れいこ
)
——千
草
(
ぐさ
)
は、まだやつと
第
(
だい
)
一のお
誕生
(
たんじやう
)
がきたばかりで、
何
(
なんに
)
も
解
(
わか
)
りません——に、
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
の
寐床
(
ねどこ
)
のなかなどで
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
横笛
潛
(
ひそ
)
めし聲に力を入れて、『
大方
(
おほかた
)
ならぬ由あればこそ、夜陰に
御業
(
おんげふ
)
を驚かし參らせしなれ。庵は往生院と覺ゆれば、主の御身は、小松殿の御内なる齋藤瀧口殿にてはお
在
(
は
)
さずや』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
此
(
この
)
次
(
つぎ
)
は
如何
(
いか
)
なる
人
(
ひと
)
が
出
(
で
)
るだらうと、
私
(
わたくし
)
は
春枝夫人
(
はるえふじん
)
と
語
(
かた
)
りながら一
方
(
ぽう
)
の
倚子
(
ゐす
)
に
倚
(
よ
)
りて
眺
(
なが
)
めて
居
(
を
)
つたが、
暫時
(
しばらく
)
は
何人
(
たれ
)
も
出
(
で
)
ない、
大方
(
おほかた
)
今
(
いま
)
の
鵞鳥聲
(
がてうごゑ
)
の
婦人
(
ふじん
)
の
爲
(
た
)
めに
荒膽
(
あらぎも
)
を
※
(
ぬ
)
かれたのであらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
剛さんは
如何
(
どう
)
なすつたでせう、
今夜
(
こよひ
)
はお帰りの日取なんだが、今頃までお帰りないのは、
大方
(
おほかた
)
此の雨でお泊りのでせう、お一人なら雨や雪に
頓着
(
とんちやく
)
なさる
男
(
ひと
)
ぢやないけれど、お友達と
御一所
(
ごいつしよ
)
では
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
青銅器
(
せいどうき
)
鐵器
(
てつき
)
の
時代
(
じだい
)
となりましたのは、
日本
(
につぽん
)
と
大方
(
おほかた
)
同
(
おな
)
じ
頃
(
ころ
)
であります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
大方
(
おほかた
)
にうれしきものを不尽の山わが
家
(
や
)
のそらに見えにけるかも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大方
(
おほかた
)
の
憂
(
う
)
きにつけては
厭
(
いと
)
へどもいつかこの世を
背
(
そむ
)
きはつべき
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
此処に積んである本は、
大方
(
おほかた
)
僕が書いたの。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
世の
大方
(
おほかた
)
を
後
(
のち
)
にしぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
猪子
(
いぬしゝ
)
して
(
ママ
)
は
大
(
おほき
)
なものよ、
大方
(
おほかた
)
猪
(
いぬしゝ
)
ン
中
(
なか
)
の
王様
(
わうさま
)
が
彼様
(
あんな
)
三角形
(
さんかくなり
)
の
冠
(
かんむり
)
を
被
(
き
)
て、
市
(
まち
)
へ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
而
(
そ
)
して、
私
(
わたし
)
の
母様
(
おつかさん
)
の
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
を
通
(
とほ
)
るのであらう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
出せといふに又一人も同じく
侍士
(
さふらひ
)
に向ひ
應
(
おう
)
然樣
(
さう
)
だ殘らず渡したとて
損
(
そん
)
はあるまいコウ
侍士
(
さふらひ
)
大方
(
おほかた
)
此女は
餘所
(
よそ
)
の
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
を
唆
(
そゝの
)
かし云合せて親の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
黒
(
くろ
)
く
多
(
おほ
)
き
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
最惜
(
いとを
)
しげもなく
引
(
ひき
)
つめて、
銀杏返
(
いてうがへ
)
しのこはれたるやうに
折返
(
をりかへ
)
し
折返
(
をりかへ
)
し
髷形
(
まげなり
)
に
疊
(
たゝ
)
みこみたるが、
大方
(
おほかた
)
横
(
よこ
)
に
成
(
な
)
りて
狼藉
(
らうぜき
)
の
姿
(
すがた
)
なれども
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
他
(
ほか
)
に
別段
(
べつだん
)
用事
(
ようじ
)
もなかつたので、
大方
(
おほかた
)
終
(
しま
)
ひには
何
(
なに
)
か
良
(
い
)
い
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
して
呉
(
く
)
れるだらうと
思
(
おも
)
つて
悠然
(
ゆつくり
)
待
(
ま
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
屋根
(
やね
)
の低い
片側町
(
かたかはまち
)
の
人家
(
じんか
)
は
丁度
(
ちやうど
)
後
(
うしろ
)
から深い
溝
(
どぶ
)
の
方
(
はう
)
へと
押詰
(
おしつ
)
められたやうな気がするので、
大方
(
おほかた
)
其
(
そ
)
のためであらう、
其
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
に混雑もせぬ
往来
(
わうらい
)
がいつも
妙
(
めう
)
に
忙
(
いそが
)
しく見え
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
根太
(
ねだ
)
も
畳
(
たヽみ
)
も
大方
(
おほかた
)
朽
(
く
)
ち落ちて、
其上
(
そのうへ
)
に
鼠
(
ねずみ
)
の毛を
挘
(
むし
)
り
散
(
ちら
)
した
様
(
やう
)
な
埃
(
ほこり
)
と、
麹
(
かうじ
)
の様な
黴
(
かび
)
とが積つて居る。落ち残つた
根太
(
ねだ
)
の
横木
(
よこぎ
)
を一つ
跨
(
また
)
いだ時、
無気味
(
ぶきみ
)
な
菌
(
きのこ
)
の
様
(
やう
)
なものを踏んだ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
石敢当も亦実在の人物ならず、
無何有郷裡
(
むかいうきやうり
)
の英雄なるべし。もし又更に
大方
(
おほかた
)
の士人、石敢当の出処を知らんと欲せば、秋風
禾黍
(
くわしよ
)
を動かすの辺、孤影蕭然たる
案山子
(
かかし
)
に問へ。
八宝飯
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此所
(
こゝ
)
の蕎麦屋はあれで大分儲かるだらうと話してゐる。何とかいふ先生は夏でも
釜
(
かま
)
揚
饂飩
(
うどん
)
を食ふが、どう云ふものだらうと云つてゐる。
大方
(
おほかた
)
胃が
悪
(
わる
)
いんだらうと云つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
アンドレイ、エヒミチはアツと
云
(
い
)
つたまゝ、
緑色
(
みどりいろ
)
の
大浪
(
おほなみ
)
が
頭
(
あたま
)
から
打被
(
うちかぶ
)
さつたやうに
感
(
かん
)
じて、
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
引
(
ひ
)
いて
行
(
ゆ
)
かれたやうな
心地
(
こゝち
)
。
口
(
くち
)
の
中
(
うち
)
には
鹽氣
(
しほけ
)
を
覺
(
おぼ
)
えた、
大方
(
おほかた
)
齒
(
は
)
からの
出血
(
しゆつけつ
)
であらう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
最初惡人に
引摺
(
ひきず
)
られたが、美しい奧方と一緒に居るうち、本當に惡い望みを起して、奧方に無禮なことをしたのさ——、
末期
(
まつご
)
の苦しい息の下から、奧方の方を拜んだと聽いて俺は
大方
(
おほかた
)
察
(
さつ
)
したよ。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
宮
(
みや
)
の
森
(
もり
)
にはたくさんの
老木
(
らうぼく
)
がありました。
大方
(
おほかた
)
それは
松
(
まつ
)
でした。
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
の
高
(
たか
)
みからあたりを
睨望
(
みをろ
)
して、そしていつも
何
(
なん
)
とかかとか
口喧
(
くちやかま
)
しく
言
(
い
)
つてゐました。
暑
(
あつ
)
ければ、
暑
(
あつ
)
い。
寒
(
さむ
)
ければ、また
寒
(
さむ
)
いと。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
『それは
大方
(
おほかた
)
貴下
(
あなた
)
の
眼
(
め
)
の
誤
(
あやま
)
りでせうよ。うふゝゝゝ。』
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
大方
(
おほかた
)
の秋の別れも悲しきに鳴く
音
(
ね
)
な添へそ
野辺
(
のべ
)
の松虫
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大方
(
おほかた
)
は
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
母
(
はゝ
)
は
大方
(
おほかた
)
かゝる
事
(
こと
)
と
今朝
(
けさ
)
よりの
懸念
(
けねん
)
うたがひなく、
幾金
(
いくら
)
とねだるか、ぬるき
旦那
(
だんな
)
どのゝ
處置
(
しよち
)
はがゆしと
思
(
おも
)
へど、
我
(
わ
)
れも
口
(
くち
)
にては
勝
(
かち
)
がたき
石之助
(
いしのすけ
)
の
辨
(
べん
)
に
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
おなじむきに
連立
(
つれだ
)
つた
學生
(
がくせい
)
の
方
(
かた
)
が、
大方
(
おほかた
)
居
(
ゐ
)
まはりで
見知越
(
みしりごし
)
であつたらう。
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
引擔
(
ひつかつ
)
いで
下
(
くだ
)
すつた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
申自身番にて新藤市之丞などと
云
(
いふ
)
六ヶ敷
(
むづかしき
)
名
(
な
)
の人は
紙屑買
(
かみくづかひ
)
にはあるべからず
夫
(
そ
)
は
大方
(
おほかた
)
浪人者
(
らうにんもの
)
の
間違
(
まちが
)
ひなる
可
(
べし
)
と云ゆゑ文右衞門は
當惑
(
たうわく
)
なせしかど
是非共
(
ぜひとも
)
尋ねて金子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
人通
(
ひとどほ
)
りと
云
(
い
)
つては一人もない
此方
(
こなた
)
の岸をば、意外にも
突然
(
とつぜん
)
二台の人力車が
天神橋
(
てんじんばし
)
の
方
(
はう
)
から
駈
(
か
)
けて来て、二人の休んでゐる寺の
門前
(
もんぜん
)
で
止
(
とま
)
つた。
大方
(
おほかた
)
墓参
(
はかまゐ
)
りに来たのであらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
平岡は
其時
(
そのとき
)
、僕も
大方
(
おほかた
)
左様
(
さう
)
だらうと思つてゐたと云つて、妙な
眼
(
め
)
をして三千代の方を
見
(
み
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
巴里
(
パリイ
)
で毛の多い女と云はれるのは前髪や
鬢
(
びん
)
、つまり髪の
外輪
(
ぐわいりん
)
だけが
地毛
(
ぢげ
)
で出来る人で、
髷
(
まげ
)
は
大方
(
おほかた
)
附髷
(
つけまげ
)
をして居るのである。
其
(
その
)
外輪
(
ぐわいりん
)
さへも完全に
行
(
ゆ
)
かない人は前髪にも
添毛
(
そへげ
)
をする。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
『三
月兎
(
ぐわつうさぎ
)
とは
大變
(
たいへん
)
面白
(
おもしろ
)
いのね、
大方
(
おほかた
)
これが五
月
(
ぐわつ
)
なら
狂人
(
きちがひ
)
になつて
暴
(
あば
)
れ
廻
(
まは
)
るだらう——
假令
(
たとひ
)
三
月
(
ぐわつ
)
程
(
ほど
)
ではなくとも』
愛
(
あい
)
ちやんは
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
つて
上
(
うへ
)
を
見
(
み
)
ると、
復
(
ま
)
た
其猫
(
そのねこ
)
が
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
の
上
(
うへ
)
に
坐
(
すわ
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
誘つて、釣に行くといふのからして腑に落ちません、——
大方
(
おほかた
)
?
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こは
啻
(
ただ
)
に予のみにあらず、
大方
(
おほかた
)
の
君子
(
くんし
)
も
亦
(
また
)
然るが如し。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
河岸
(
かし
)
の
小店
(
こみせ
)
の
百囀
(
もゝさへ
)
づりより、
優
(
ゆう
)
にうづ
高
(
たか
)
き
大籬
(
おほまがき
)
の
樓上
(
ろうじやう
)
まで、
絃歌
(
げんか
)
の
聲
(
こゑ
)
のさま/″\に
沸
(
わ
)
き
來
(
く
)
るやうな
面白
(
おもしろ
)
さは
大方
(
おほかた
)
の
人
(
ひと
)
おもひ
出
(
い
)
でゝ
忘
(
わす
)
れぬ
物
(
もの
)
に
思
(
おぼ
)
すも
有
(
あ
)
るべし。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
恁
(
か
)
くは
森
(
もり
)
のおどろ/\しき
姿
(
すがた
)
のみ、
大方
(
おほかた
)
の
風情
(
ふぜい
)
はこれに
越
(
こ
)
えて、
朝夕
(
あさゆふ
)
の
趣
(
おもむき
)
言
(
い
)
ひ
知
(
し
)
らずめでたき
由
(
よし
)
。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
三四郎は原口と云ふ名前を聞いた時から、
大方
(
おほかた
)
あの
画工
(
ゑかき
)
だらうと思つてゐた。
夫
(
それ
)
にしても与次郎は交際家だ。大抵な先輩とはみんな
知合
(
しりあひ
)
になつてゐるから
豪
(
えら
)
いと感心して
硬
(
かた
)
くなつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“大方”の意味
《名詞》
大 方(たいほう)
見識の広い人。
仏の道。
大部分。殆ど。
(出典:Wiktionary)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“大方”で始まる語句
大方師
大方村
大方殿
大方郷
大方無隅
大方等大集経
大方広仏華厳経