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飜
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ひるがへ
ふりがな文庫
“
飜
(
ひるがへ
)” の例文
新字:
翻
其錦旗を
飜
(
ひるがへ
)
して東海道に下向し、山の如き関東の勢を物の数とせざりしが如き議政官に上局下局を設けて公議輿論を政治の標準とし
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
よし母様のともかくもして、我をそこに送りたまはむとも、さてはいよいよ御苦労の重るべければ、我はここに思ひを
飜
(
ひるがへ
)
さでは叶はじ。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
駱駝
(
らくだ
)
のやうな感じの喜三郎老人は、思ひの外
敏捷
(
びんせふ
)
に立ち上がると、平次と八五郎が留める間もなく、身を
飜
(
ひるがへ
)
してざんぶと川の中へ——。
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
飜
(
ひるがへ
)
つて考へて見なければならない余地はないか否か。かれ等は少くとも犬死ではなかつた。すぐれた
芽
(
め
)
を
蒔
(
ま
)
いたには相違なかつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
他日
(
たじつ
)
我
(
わ
)
が
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
が、
帝國軍艦旗
(
ていこくぐんかんき
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、
千艇※艦
(
せんていばんかん
)
の
間
(
あひだ
)
に
立
(
た
)
つの
時
(
とき
)
、
願
(
ねがは
)
くば
其
(
その
)
名
(
な
)
の
如
(
ごと
)
く、
神速
(
しんそく
)
に、
且
(
か
)
つ
猛烈
(
まうれつ
)
ならん
事
(
こと
)
を
望
(
のぞ
)
むのです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
悉
(
こと/″\
)
く
畑
(
はた
)
へ
走
(
はし
)
つた
村落
(
むら
)
の
内
(
うち
)
には
稀
(
まれ
)
にさういふ
青葉
(
あをば
)
の
間
(
あひだ
)
に
鯉幟
(
こひのぼり
)
がばさ/\と
飜
(
ひるがへ
)
つてはぐたりと
成
(
な
)
つて、それが
朝
(
あさ
)
から
永
(
なが
)
い
日
(
ひ
)
を一
日
(
にち
)
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
色を失へる貫一はその堪へかぬる
驚愕
(
おどろき
)
に駆れて、
忽
(
たちま
)
ち身を
飜
(
ひるがへ
)
して
其方
(
そなた
)
を見向かんとせしが、
幾
(
ほとん
)
ど同時に又枕して、
終
(
つひ
)
に動かず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其日は紀元節で、
見窄
(
みすぼ
)
らしい新開街の家々にも國旗が
飜
(
ひるがへ
)
つて見えた。さうした商家の軒先に立つて私は番地を訪ねなどした。
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
が、その代りに感覚的な美を叙述する事にかけては、
滾々
(
こんこん
)
として百里の波を
飜
(
ひるがへ
)
す河のやうな、驚く可き雄弁を備へてゐた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
凄
(
すさま
)
じく
嘶
(
いなゝ
)
いて
前足
(
まへあし
)
を
両方
(
りやうはう
)
中空
(
なかぞら
)
へ
飜
(
ひるがへ
)
したから、
小
(
ちひさ
)
な
親仁
(
おやぢ
)
は
仰向
(
あふむ
)
けに
引
(
ひツ
)
くりかへつた、づどんどう、
月夜
(
つきよ
)
に
砂煙
(
すなけぶり
)
が
𤏋
(
ぱツ
)
と
立
(
た
)
つ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は外へ出ると急いで歩いた。あたりはまだ
明
(
あかる
)
いけれどもう日は
当
(
あた
)
つて
居
(
ゐ
)
ない。ごた/\した
千束町
(
せんぞくまち
)
の
小売店
(
こうりみせ
)
の
暖簾
(
のれん
)
や旗なぞが
激
(
はげ
)
しく
飜
(
ひるがへ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「…………。」足許で
椚
(
くぬぎ
)
の朽葉の風に
飜
(
ひるがへ
)
つてゐるのが辰男の目についてゐた。いやに
侘
(
わび
)
しい氣持になつた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
浪高く小砂を転じ、
忽
(
たちま
)
ち捲いて忽ち落つ、之れを見て快意そゞろに生じ、身を
飜
(
ひるがへ
)
して浪上にのぼれば、自から虚舟の思あり。手を抜いて躰を進むるに心甚だ壮なり。
客居偶録
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「どうしたと云ふのです。」と
横柄
(
わうへい
)
な別の聲が
訊
(
き
)
いた。さうして、リード夫人が、帽子のレイス飾を廣く
飜
(
ひるがへ
)
しながら、激しく衣擦れの音を立てゝ、廊下傳ひにやつて來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
綾羅
(
りようら
)
の袂ゆたかに
飜
(
ひるがへ
)
るは花に休める
女蝶
(
めてふ
)
の翼か、
蓮歩
(
れんぽ
)
の
節
(
ふし
)
急
(
きふ
)
なるは
蜻蛉
(
かげろふ
)
の水に點ずるに似たり。折らば落ちん萩の露、
拾
(
ひろ
)
はば消えん
玉篠
(
たまざゝ
)
の、あはれにも亦
婉
(
あで
)
やかなる其の姿。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
チッバルトは
突殺
(
つきころ
)
され、
倒
(
たふ
)
るゝ
途端
(
とたん
)
に
身
(
み
)
を
飜
(
ひるがへ
)
し、ロミオは
逃去
(
にげさ
)
ってござりまする。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
上流の方には京都の下加茂の森に好く似た
中島
(
なかじま
)
があつて
木立
(
こだち
)
の中に質素な別荘
家
(
や
)
が赤い屋根を幾つも見せて居る。両
岸
(
がん
)
には二階
造
(
づくり
)
に成つた洗濯
船
(
ぶね
)
が幾艘か繋がれて白い洗濯物が
飜
(
ひるがへ
)
つて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一郭
(
ひとくるわ
)
なせる山村の寺などそれかとも見ゆるに、濃く白き雲の、足疾く風に乗りて空に翔くるが、
自己
(
おのれ
)
の形をも且つ龍の如く且つ虎の如く、
飜
(
ひるがへ
)
りたる布の如く、張りたる傘の如くさま/″\に変へつゝ
雲のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、
夏繪
(
なつゑ
)
は
紺
(
こん
)
のスカアトを
飜
(
ひるがへ
)
しながら
鞠
(
まり
)
を
追
(
お
)
つた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
たゆげに
飜
(
ひるがへ
)
り
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
軍艦
(
ぐんかん
)
「
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
」の
甲板
(
かんぱん
)
では、
後部艦橋
(
こうぶかんけう
)
のほとりより
軍艦旗
(
ぐんかんき
)
飜
(
ひるがへ
)
る
船尾
(
せんび
)
に
到
(
いた
)
るまで、
多
(
おほ
)
くの
乘組
(
のりくみ
)
は、
列
(
れつ
)
を
正
(
たゞ
)
して、
我
(
わが
)
端艇
(
たんてい
)
の
歸艦
(
きかん
)
を
迎
(
むか
)
へて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
指す人込の中から、一人の男、身を
飜
(
ひるがへ
)
して逃げ出さうとするのを、早くも平次の手から飛んだ投げ錢、一枚はその
項
(
うなじ
)
を、一枚は背を打ちます。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくまでに悩まさるる不幸を恨み、
飜
(
ひるがへ
)
りて一点の人情無き
賤奴
(
せんど
)
の虐待を憤る胸の内は、前後も覚えず
暴
(
あ
)
れ乱れてほとほと引裂けんとするなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
三日
(
みつか
)
つゞき、
五日
(
いつか
)
、
七日
(
なぬか
)
つゞいて、
飜
(
ひるがへ
)
り
且
(
か
)
つ
飛
(
と
)
んで、
窓
(
まど
)
にも
欄干
(
らんかん
)
にも、
暖
(
あたゝ
)
かな
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
りかゝる
風情
(
ふぜい
)
を
見
(
み
)
せたのである。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼は思はず身を
飜
(
ひるがへ
)
して、扉の方へ飛んで行つた。が、いくら
推
(
お
)
しても引いても、扉は開きさうな
気色
(
けしき
)
さへなかつた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
時雨
(
しぐれ
)
の
雲
(
くも
)
に
映
(
えい
)
ずる
槭
(
もみぢ
)
の
梢
(
こずゑ
)
は
確然
(
かくぜん
)
と
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
つて
居
(
ゐ
)
ながら
天鵞絨
(
びろうど
)
の
地
(
ぢ
)
に
深
(
ふか
)
く
浸
(
し
)
み
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
る
樣
(
やう
)
にも
見
(
み
)
えた。
其
(
そ
)
の
前
(
まへ
)
に
空
(
そら
)
を
支
(
さゝ
)
へて
立
(
た
)
つた二
條
(
でう
)
の
白
(
しろ
)
い
柱
(
はしら
)
は
幟旗
(
のぼりばた
)
であつた。
幟旗
(
のぼりばた
)
は
止
(
や
)
まずばた/\と
飜
(
ひるがへ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と片手ながらに
一揮
(
ひとふり
)
揮
(
ふ
)
れば、
鞘
(
さや
)
は
発矢
(
はつし
)
と飛散つて、電光
袂
(
たもと
)
を
廻
(
めぐ
)
る
白刃
(
しらは
)
の影は、
忽
(
たちま
)
ち
飜
(
ひるがへ
)
つて貫一が面上三寸の処に
落来
(
おちきた
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
平次の言葉のをはるを待たず、重三郎はサツと身を
飜
(
ひるがへ
)
しました。が、早くもその氣勢を察して、退路を絶つた八五郎。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
されば傾城もかくてはなるまじいと気を
苛
(
いらだ
)
つたか、つと地獄絵の
裳
(
もすそ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、斜に隠者の膝へとすがつたと思へば
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
浪打際
(
なみうちぎは
)
は
綿
(
わた
)
をば
束
(
つか
)
ねたやうな
白
(
しろ
)
い
波
(
なみ
)
、
波頭
(
なみがしら
)
に
泡
(
あわ
)
を
立
(
た
)
てて、どうと
寄
(
よ
)
せては、ざつと、おうやうに、
重々
(
おも/\
)
しう、
飜
(
ひるがへ
)
ると、ひた/\と
押寄
(
おしよ
)
せるが
如
(
ごと
)
くに
來
(
く
)
る。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
之
(
これ
)
よりは
我
(
わが
)
大日本帝國
(
だいにつぽんていこく
)
の
領地
(
りようち
)
である
事
(
こと
)
を
表示
(
ひやうし
)
する
爲
(
ため
)
に、
幾本
(
いくほん
)
の
日章旗
(
につしようき
)
を
海岸
(
かいがん
)
に
飜
(
ひるがへ
)
して
置
(
お
)
いても、
一朝
(
いつてう
)
此處
(
こゝ
)
を
立去
(
たちさ
)
つた
後
(
あと
)
の
事
(
こと
)
は、
少
(
すくな
)
からず
氣遣
(
きづか
)
はれるのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かの
長生殿裡
(
ちやうせいでんり
)
日月
(
じつげつ
)
のおそき
處
(
ところ
)
、ともに
𢌞風
(
くわいふう
)
の
曲
(
きよく
)
を
唱
(
しやう
)
するに
當
(
あた
)
りてや、
庭前
(
ていぜん
)
颯
(
さつ
)
と
風
(
かぜ
)
興
(
おこ
)
り、
花
(
はな
)
ひら/\と
飜
(
ひるがへ
)
ること、
恰
(
あたか
)
も
霏々
(
ひゝ
)
として
雪
(
ゆき
)
の
散
(
ち
)
るが
如
(
ごと
)
くなりしとぞ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その美しくも無氣味な
情景
(
シーン
)
も一瞬にして消え、女は身を
飜
(
ひるがへ
)
して、夜の水の中に、ザンブと跳び込んだのです。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
油火
(
あぶらび
)
のかすかな光の下で、
御経
(
おんきやう
)
を
読誦
(
どくじゆ
)
し奉つて居つたが、
忽
(
たちま
)
ちえならぬ香風が吹き渡つて、雪にも
紛
(
まが
)
はうず桜の花が紛々と
飜
(
ひるがへ
)
り
出
(
いだ
)
いたと思へば、いづくよりともなく一人の
傾城
(
けいせい
)
が
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
そ
)
の
顔
(
かほ
)
と、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
、
引返
(
ひきかへ
)
した
身動
(
みじろ
)
ぎに、
飜
(
ひるがへ
)
つた
褄
(
つま
)
の
乱
(
みだ
)
れに、
雪
(
ゆき
)
のやうに
顕
(
あら
)
はれた
円
(
まる
)
い
膝頭
(
ひざがしら
)
……を
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
るや
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
賽錢
(
さいせん
)
箱の中に、なにがしかの鳥目を投げ入れると、暫らく默祷をして居りましたが、何に
脅
(
おび
)
えたか、いきなり身を
飜
(
ひるがへ
)
してバタバタと逃げて行くのを、山門の前で
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さうしてその机の
後
(
うしろ
)
、二枚重ねた座蒲団の上には、
何処
(
どこ
)
か
獅子
(
しし
)
を想はせる、
背
(
せい
)
の低い
半白
(
はんぱく
)
の老人が、或は手紙の筆を走らせたり、或は
唐本
(
たうほん
)
の詩集を
飜
(
ひるがへ
)
したりしながら、
端然
(
たんぜん
)
と独り坐つてゐる。……
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それよりも、
見事
(
みごと
)
なのは、
釣竿
(
つりざを
)
の
上下
(
あげおろし
)
に、
縺
(
もつ
)
るゝ
袂
(
たもと
)
、
飜
(
ひるがへ
)
る
袖
(
そで
)
で、
翡翠
(
かはせみ
)
が
六
(
むつ
)
つ、十二の
翼
(
つばさ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
すやうなんです。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次に反問する隙も與へず、
乾鮭
(
からしやけ
)
のやうな娘のお豊は身を
飜
(
ひるがへ
)
して自分の部屋へ入つてしまひました。
銭形平次捕物控:186 御宰籠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
紅
(
べに
)
も
笹色
(
さゝいろ
)
の
粧
(
よそほひ
)
を
凝
(
こら
)
して、
月光
(
げつくわう
)
に
溶
(
と
)
けて
二葉
(
ふたは
)
三葉
(
みは
)
、たゞ
紅
(
べに
)
の
點滴
(
したゝ
)
る
如
(
ごと
)
く、
峯
(
みね
)
を
落
(
お
)
ちつつ、
淵
(
ふち
)
にも
沈
(
しづ
)
まず
飜
(
ひるがへ
)
る。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
千萬無量の思慕を籠めた手拭が、ヒラヒラと夕風に
飜
(
ひるがへ
)
ると、それを待ち構へたやうに、川を隔てた福井屋の二階欄干からは、赤い鹿の子
絞
(
しぼ
)
りの
扱帶
(
しごき
)
が下がるではありませんか。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
徳
(
とく
)
は
孤
(
こ
)
ならず、ちよろつかな
包
(
つゝ
)
み
加減
(
かげん
)
。
拔
(
ぬ
)
いた
串
(
くし
)
に
皮
(
かは
)
が
開
(
あ
)
いて、
小姉
(
ちひねえ
)
の
手
(
て
)
の
上
(
うへ
)
に
飜
(
ひるがへ
)
つたのを、
風呂敷
(
ふろしき
)
ごと
引奪
(
ひつたく
)
るやうに
取
(
と
)
つて、
奴
(
やつこ
)
は
屋臺
(
やたい
)
で、
爲直
(
しなほ
)
しながら
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
娘はヒラリと身を
飜
(
ひるがへ
)
すと、生垣の蔭に隱れてしまつたのです。チヽと鳴き乍ら春の
日南
(
ひなた
)
に群れ立つ小鳥、八五郎は五六歩追ひすがりましたが、娘の姿はもう何處にも見えません。
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……よく
年
(
とし
)
よりが
言
(
い
)
つて
聞
(
き
)
かせた。——
飜
(
ひるがへ
)
つて
思
(
おも
)
ふに、
自
(
おのづ
)
から
忌
(
い
)
み
憚
(
はゞか
)
るやうに、
人
(
ひと
)
の
手
(
て
)
から
遠
(
とほ
)
ざけて、
渠等
(
かれら
)
を
保護
(
ほご
)
する、
心
(
こゝろ
)
あつた
古人
(
こじん
)
の
苦肉
(
くにく
)
の
計
(
はかりごと
)
であらうも
知
(
し
)
れない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次の意志に引摺られて、何時の間にやら、五兵衞自殺説を
飜
(
ひるがへ
)
したのでせう。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
撫子
(
なでしこ
)
を
一束
(
ひとたば
)
拔
(
ぬ
)
いたが、
籠
(
かご
)
を
取
(
と
)
つて、はたと
溝
(
どぶ
)
の
中
(
なか
)
に
棄
(
す
)
てると、
輕
(
かろ
)
く
翡翠
(
かはせみ
)
の
影
(
かげ
)
が
飜
(
ひるがへ
)
つて
落
(
お
)
ちた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
音も何にもありませんが、身を
飜
(
ひるがへ
)
した曲者は、サツと、闇の中の衣桁へ——。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兎
(
うさぎ
)
は
躍
(
をど
)
つて、
仰向
(
あふむ
)
けざまに
身
(
み
)
を
飜
(
ひるがへ
)
し、
妖気
(
えうき
)
を
籠
(
こ
)
めて
朦朧
(
まうろう
)
とした
月
(
つき
)
あかりに、
前足
(
まへあし
)
の
間
(
あひだ
)
に
膚
(
はだ
)
が
挟
(
はさま
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
衣
(
きぬ
)
を
脱
(
はづ
)
して
掻取
(
かいと
)
りながら
下腹
(
したばら
)
を
衝
(
つ
)
と
潜
(
くゞ
)
つて
横
(
よこ
)
に
抜
(
ぬ
)
けて
出
(
で
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
閃
(
ひら
)
めく
匕首
(
あひくち
)
の下に身を
飜
(
ひるがへ
)
して、右之助は
床几
(
しようぎ
)
を
隔
(
へだ
)
てて聲を絞りました。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それ
熱
(
あつ
)
ければ
梅
(
うめ
)
、ぬるければ
竹
(
たけ
)
、
客
(
きやく
)
を
松
(
まつ
)
の
湯
(
ゆ
)
の
揚場
(
あがりば
)
に、
奧方
(
おくがた
)
はお
定
(
さだま
)
りの
廂髮
(
ひさしがみ
)
。
大島
(
おほしま
)
擬
(
まが
)
ひのお
羽織
(
はおり
)
で、
旦那
(
だんな
)
が
藻脱
(
もぬけ
)
の
籠
(
かご
)
の
傍
(
そば
)
に、
小兒
(
こども
)
の
衣服
(
きもの
)
の
紅
(
あか
)
い
裏
(
うら
)
を、
膝
(
ひざ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
飜
漢検1級
部首:⾶
21画
“飜”を含む語句
飜々
飜然
飜弄
飜筋斗
飜案
飜斗
飜斗返
飜訳者
飜訳
翩飜
飜意
飜譯
飜刻
飜牌
飜訳方
飜訳局
飜訳大監
飜魚
飜覆
飜躍
...