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紋
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もん
ふりがな文庫
“
紋
(
もん
)” の例文
肌を押し脱ぐと、背筋を眞ん中にして、左右へ三枚づつ、
眞田
(
さなだ
)
の
紋
(
もん
)
のやうに、六文錢の文身、これは何となく方がきいて居りました。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私たちの若い時は羽織の
紋
(
もん
)
が一つしきゃないのを着て
通人
(
つうじん
)
とか何とかいって喜んでいた。それが近頃は五つ紋をつけるようになった。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
同
(
おな
)
じ
式
(
しき
)
、
同
(
おな
)
じ
紋
(
もん
)
。
瓜
(
うり
)
を
二
(
ふた
)
ツの
類型土器
(
るゐけいどき
)
が
各地
(
かくち
)
から
出
(
で
)
るのである。それ
等
(
ら
)
の
數
(
すう
)
から
考
(
かんが
)
へても、
大仕掛
(
おほじかけ
)
を
以
(
もつ
)
て
土器
(
どき
)
を
製造
(
せいざう
)
したと
云
(
い
)
へる。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
翌日
(
よくじつ
)
は
別當
(
べつたう
)
の
好意
(
かうい
)
で、
玄竹
(
げんちく
)
は
藥箱
(
くすりばこ
)
を
葵
(
あふひ
)
の
紋
(
もん
)
の
附
(
つ
)
いた
兩掛
(
りやうが
)
けに
納
(
をさ
)
め、『
多田院御用
(
ただのゐんごよう
)
』の
札
(
ふだ
)
を、
兩掛
(
りやうがけ
)
けの
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
の
蓋
(
ふた
)
に
立
(
た
)
てて
貰
(
もら
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
地質は多分
塩瀬
(
しおぜ
)
であろう、表は上の方へ紅地に白く
八重梅
(
やえうめ
)
の
紋
(
もん
)
を抜き、下の方に
唐
(
から
)
美人が高楼に
坐
(
ざ
)
して琴を
弾
(
だん
)
じている図がある。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
その旗も幾多の風の日、雨の日に会って、
印
(
しるし
)
もよく分らなくなっているが、丸の中に二引き両の
紋
(
もん
)
、つまり足利氏の
定紋
(
じょうもん
)
である。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一同出立には及びたり其
行列
(
ぎやうれつ
)
には第一番の
油箪
(
ゆたん
)
掛
(
かけ
)
し長持十三
棹
(
さを
)
何れも
宰領
(
さいりやう
)
二人づつ
附添
(
つきそひ
)
その跡より
萠黄
(
もえぎ
)
純子
(
どんす
)
の油箪白く
葵
(
あふひ
)
の御
紋
(
もん
)
を染出せしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其癖
(
そのくせ
)
、
學校
(
がくかう
)
で、おの/\を
覗
(
のぞ
)
きつくらをする
時
(
とき
)
は「
蛇
(
じや
)
の
目
(
め
)
の
紋
(
もん
)
だい、
清正
(
きよまさ
)
だ。」と
言
(
い
)
つて、
負
(
まけ
)
をしみに
威張
(
ゐば
)
つた、
勿論
(
もちろん
)
、
結構
(
けつこう
)
なものではない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
十月二十九日朝
御暇乞
(
おんいとまごい
)
に参り、
御振舞
(
おんふるまい
)
に預り、
御手
(
おんて
)
ずから御茶を下され、
引出物
(
ひきでもの
)
として九曜の
紋
(
もん
)
赤裏の小袖
二襲
(
ふたかさね
)
を
賜
(
たま
)
わり候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
奔馬の
紋
(
もん
)
のついた真白い着物を着た、想像よりはずっと
痩形
(
やせがた
)
だが、長身の方で、そうして髪は
月代
(
さかやき
)
で
蔽
(
おお
)
われているが、
面
(
かお
)
の色は
蒼
(
あお
)
いほど白い。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そう聞かされて見れば、子供心にもなるほどとうなずかれる。流し場の隅に積み重ねてある
留桶
(
とめおけ
)
のなかで
三升
(
みます
)
の
紋
(
もん
)
などが光っていたからである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
今日
(
こんにち
)
の
回向院
(
ゑかうゐん
)
はバラツクである。
如何
(
いか
)
に
金
(
きん
)
の
紋
(
もん
)
を打つた
亜鉛葺
(
トタンぶ
)
きの屋根は
反
(
そ
)
つてゐても、
硝子
(
ガラス
)
戸を立てた本堂はバラツクと云ふ
外
(
ほか
)
に仕かたはない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのなめらかな青ぞらには、まだ何か、ちらちらちらちら、
網
(
あみ
)
になったり
紋
(
もん
)
になったり、ゆれてるものがありました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あんた、なんか
業病
(
ごうびょう
)
があるんじゃない。だって指先に一向力がはいらないじゃないの」責任者のお
紋
(
もん
)
というのに、光枝はたっぷり
皮肉
(
ひにく
)
をいわれた。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もうその頃はずっと地味づくりになって、意気なおつくりで黒ちりめんの五ツ
紋
(
もん
)
のお羽織を着てお出でした。女のお子のおありのこともその時に知りました。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
おや、これはまた、
象
(
ぞう
)
でものみそうな、大きな蛇の皮じゃないか。ああ、背中の
紋
(
もん
)
がまるで、金のように光ってるな。これさえあれば、どんな病気だってなおせる。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
式場の正面の、白い布で
覆
(
おお
)
うたテーブルの上には免状やら賞品やらが高く積み上げられている。左右には
白襟
(
しろえり
)
紋
(
もん
)
つきの子供の母達や教師たちが
虔
(
つつま
)
しやかに
居並
(
いなら
)
んでいる。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
晨
(
あした
)
に金光を
鏤
(
ちりば
)
めし
満目
(
まんもく
)
の雪、
夕
(
ゆうべ
)
には
濁水
(
じょくすい
)
と
化
(
け
)
して
河海
(
かかい
)
に落滅す。
今宵
(
こんしょう
)
銀燭を
列
(
つら
)
ねし
栄耀
(
えいよう
)
の花、暁には
塵芥
(
じんかい
)
となつて泥土に
委
(
い
)
す。三界は波上の
紋
(
もん
)
、一生は
空裡
(
くうり
)
の虹とかや。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
脂肪
(
しぼう
)
づいた
小富豪
(
しょうふごう
)
らしい
身体
(
からだ
)
に、小初と同じ都鳥の
紋
(
もん
)
どころの水着を着て、貝原はすっかり水泳場の助手になり済ましている。小初はいつもよりいくらか
滑
(
なめ
)
らかに答えた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
書付類
(
かきつけるゐ
)
はありませぬが、
御先祖様
(
ごせんぞさま
)
の着た
黒羽二重
(
くろはぶたへ
)
に大きな
轡
(
くつわ
)
の
紋
(
もん
)
の
附
(
つ
)
いた着物が一枚あります。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
交詢社
(
こうじゅんしゃ
)
の広間に行くと、
希臘風
(
ギリシヤふう
)
の人物を描いた「
神の森
(
ボアサクレエ
)
」の壁画の
下
(
もと
)
に、
五
(
いつ
)
ツ
紋
(
もん
)
の紳士や
替
(
かわ
)
り
地
(
じ
)
のフロックコオトを着た紳士が幾組となく対座して、
囲碁仙集
(
いごせんしゅう
)
をやっている。
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
うなるようにいって、背広の人に手をひかれながら、自動車からあらわれたのは、
縫
(
ぬ
)
い
紋
(
もん
)
の
羽織
(
はおり
)
にセルの
袴
(
はかま
)
といういでたちの、でっぷり
肥
(
ふと
)
った、
背丈
(
せたけ
)
も
人並
(
ひとなみ
)
以上の老人だった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「私は平民ですが、私の村には河原姓が多いです。
紋
(
もん
)
も皆先生と同じ丸に
剣片食
(
けんかたばみ
)
です」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
エモンを字の
如
(
ごと
)
くイモンと読んで
衣
(
きぬ
)
に
附
(
つ
)
けた
紋
(
もん
)
と
心得
(
こゝろえ
)
て
居
(
ゐ
)
た
小説家
(
せうせつか
)
があつたさうだが、
或
(
ある
)
若
(
わか
)
い
御新造
(
ごしんぞう
)
が
羽織
(
はをり
)
を
幾枚
(
いくまい
)
こしらへても、
実家
(
じつか
)
の
紋
(
もん
)
を附けるのを隣の
老婢
(
ばあや
)
が
怪
(
あやし
)
んでたづねると
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
この
地衣
(
こけ
)
のために、
岩
(
いは
)
はいろ/\
美
(
うつく
)
しい
模樣
(
もよう
)
や
紋
(
もん
)
を
現
(
あらは
)
してゐます。
日本
(
につぽん
)
では
木曾
(
きそ
)
の
御嶽
(
おんたけ
)
や
駒
(
こま
)
が
嶽
(
たけ
)
はこの
帶
(
たい
)
の
位置
(
いち
)
がよくわかります。この
帶
(
たい
)
の
上部
(
じようぶ
)
はそれこそ
地衣
(
こけ
)
もない
裸
(
はだか
)
のまゝの
岩石
(
がんせき
)
です。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
お
母
(
かあ
)
さんは、たんすのひきだしにしまってあった、
浅黄木綿
(
あさぎもめん
)
の
大
(
おお
)
きなふろしきを
出
(
だ
)
して、さおにかけ、
秋
(
あき
)
の
日
(
ひ
)
に
干
(
ほ
)
していられました。ふろしきをひろげると、
白
(
しろ
)
く
染
(
そ
)
めぬいた
紋
(
もん
)
が
見
(
み
)
えました。
夕雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
太郎「なるほどそうかねえ、
道理
(
どうり
)
で
清正
(
きよまさ
)
の
紋
(
もん
)
とおんなじだとおもつたよ」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
今回の挿圖中右の上の
隅
(
すみ
)
の三個と右の下の隅の一
個
(
こ
)
との他、
周圍
(
しうゐ
)
に寫したるものは總て土器の
把手
(
とつて
)
なり。其
形
(
かたち
)
其
紋
(
もん
)
實に
名状
(
めふでう
)
すべからず。コロボックル
美術
(
びじゆつ
)
の
標本
(
ひようほん
)
たるの
價値
(
かちよく
)
充分なりと云ふべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
今日
(
けふ
)
ならではの
花盛
(
はなざか
)
りに、
上野
(
うへの
)
をはじめ
墨田川
(
すみだがは
)
へかけて
夫婦
(
ふうふ
)
づれを
樂
(
たの
)
しみ、
隨分
(
ずいぶん
)
とも
有
(
あ
)
る
限
(
かぎ
)
りの
体裁
(
ていさい
)
をつくりて、
取
(
と
)
つて
置
(
お
)
きの一てう
羅
(
ら
)
も
良人
(
おつと
)
は
黒紬
(
くろつむぎ
)
の
紋
(
もん
)
つき
羽織
(
ばをり
)
、
女房
(
にようぼう
)
は
唯
(
たゞ
)
一
筋
(
すぢ
)
の
博多
(
はかた
)
の
帶
(
おび
)
しめて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
都会の小児などは月中の
兎
(
うさぎ
)
の絵か、そうでなければ家の
紋
(
もん
)
に、杵と称して横に柄をつけぬものを見るくらいになっているが、是は一言でいうと『
和漢三才図会
(
わかんさんさいずえ
)
』時代以後、二百年足らずの間の変遷で
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お袖は其処ではお
紋
(
もん
)
と云うことにしていたので驚いた。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
牡丹餅大
(
ぼたもちだい
)
の
紋
(
もん
)
をつけたのが
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「買ってもらいたいのは、ジャガタラの品物じゃありません。
武田菱
(
たけだびし
)
の
紋
(
もん
)
をうった、りっぱな人間です。どうです、ご相談にのりませんか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幼稚園へ行く七つになる男の子が、
巴
(
ともえ
)
の
紋
(
もん
)
のついた
陣太鼓
(
じんだいこ
)
のようなものを持って来て、
宵子
(
よいこ
)
さん叩かして上げるからおいでと連れて行った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
当時有名な煙管商、
住吉屋七兵衛
(
すみよしやしちべえ
)
の手に成った、
金無垢地
(
きんむくじ
)
に、
剣梅鉢
(
けんうめばち
)
の
紋
(
もん
)
ぢらしと云う、
数寄
(
すき
)
を
凝
(
こ
)
らした
煙管
(
きせる
)
である。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
せなかに大きな
桔梗
(
ききょう
)
の
紋
(
もん
)
のついた
夜具
(
やぐ
)
をのっしりと
着込
(
きこ
)
んで
鼠色
(
ねずみいろ
)
の
袋
(
ふくろ
)
のような
袴
(
はかま
)
をどふっとはいておりました。そして大きな青い
縞
(
しま
)
の
財布
(
さいふ
)
を出して
紫紺染について
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
支配人の用助さんは私より三つ年上の五十四で、養子の金三郎さんは二十五、ゆくゆくは主人の
姪
(
めい
)
のお
紋
(
もん
)
さんと
嫁合
(
めあわ
)
せることになっておりますが——
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
豐岡
(
とよをか
)
から
來
(
く
)
る
間
(
あひだ
)
、
夕雲
(
ゆふぐも
)
の
低迷
(
ていめい
)
して
小浪
(
さゝなみ
)
に
浮織
(
うきおり
)
の
紋
(
もん
)
を
敷
(
し
)
いた、
漫々
(
まん/\
)
たる
練絹
(
ねりぎぬ
)
に、
汽車
(
きしや
)
の
窓
(
まど
)
から
手
(
て
)
をのばせば、
蘆
(
あし
)
の
葉越
(
はごし
)
に、
觸
(
さは
)
ると
搖
(
ゆ
)
れさうな
思
(
おもひ
)
で
通
(
とほ
)
つた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
取寄
(
とりよせ
)
忠八に渡し此品にて候と云にぞ忠八手に取て一目見に
黒地
(
くろぢ
)
に金にて丸に三ツ引の
紋
(
もん
)
散
(
ちら
)
し紛ふ方なき主人喜内が常に腰に提られし印籠なれば思ず
涙
(
なんだ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
東
(
ひがし
)
の
門
(
もん
)
から
入
(
はひ
)
つて、
露店
(
ろてん
)
と
參詣人
(
さんけいにん
)
との
雜沓
(
ざつたふ
)
する
中
(
なか
)
を、
葵
(
あふひ
)
の
紋
(
もん
)
の
幕
(
まく
)
に
威勢
(
ゐせい
)
を
見
(
み
)
せた
八足門
(
はつそくもん
)
の
前
(
まへ
)
まで
行
(
ゆ
)
くと、
向
(
むか
)
うから
群衆
(
ぐんしう
)
を
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けて、
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い
武士
(
ぶし
)
がやつて
來
(
き
)
た。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「
申
(
もう
)
し。お寒うはござりませぬか」笛を置いた若衆の左の手が、
仰向
(
あおむ
)
けになっている甘利の左の胸を軽く
押
(
おさ
)
えた。ちょうど
浅葱色
(
あさぎいろ
)
の
袷
(
あわせ
)
に
紋
(
もん
)
の染め
抜
(
ぬ
)
いてある辺である。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
黒毛
繻子
(
じゅす
)
がはやりだした時分なので、加賀
紋
(
もん
)
(赤や、青や、金の色糸で縫った紋)をつけた赤い裏の羽織、黒
羅紗
(
ラシャ
)
のマントル(赤裏)を着て下駄は鈴のはいったポックリだ。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一つの扉には
葵
(
あおい
)
の
紋
(
もん
)
があって、中に「贈正一位大相国公尊儀」と刻し、もう一つの方は
梅鉢
(
うめばち
)
の紋で、中央に「帰真 松誉貞玉信女霊位」と
彫
(
ほ
)
り、その右に「
元文
(
げんぶん
)
二年
巳
(
み
)
年」
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
春章が
暫
(
しばらく
)
の図は
橘
(
たちばな
)
の
紋
(
もん
)
染抜きたる花道の
揚幕
(
あげまく
)
を
後
(
うしろ
)
にして
大
(
だい
)
なる
素袍
(
すおう
)
の両袖
宛
(
さなが
)
ら
蝙蝠
(
こうもり
)
の
翼
(
つばさ
)
ひろげたるが如き『
暫
(
しばらく
)
』を真正面より
描
(
えがき
)
しものにて、余はその意匠の奇抜なるに一驚せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ズツと
頭巾
(
ずきん
)
を取ると
年
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
は廿五六にもなりませうか、色の
浅黒
(
あさぐろ
)
い髪の毛の
光沢
(
つや
)
の
好
(
よ
)
いちよいと
銀杏返
(
いてふがへ
)
しに
結
(
ゆ
)
ひまして、
京縮緬
(
きやうちりめん
)
の
小紋織
(
こもんおり
)
の
衣類
(
いるゐ
)
、
上
(
うへ
)
には
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の小さい
紋
(
もん
)
の
附
(
つい
)
た
羽織
(
はおり
)
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ただ
城楼
(
じょうろう
)
高きところ——
下
(
さが
)
り
藤
(
ふじ
)
大久保家
(
おおくぼけ
)
の
差物
(
さしもの
)
と、
淡墨色
(
うすずみいろ
)
にまるく
染
(
そ
)
めた
葵
(
あおい
)
の
紋
(
もん
)
の
旗
(
はた
)
じるしとが目あたらしく
翩翻
(
へんぽん
)
としている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
えらいだろう。ところが一つえらくないことがあるんだ。何でも何代目かの人が、君に裏切りとかをしたということだ。家の
紋
(
もん
)
は
井桁
(
いげた
)
の中に菊の紋だ。
僕の昔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
見
(
み
)
る、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ、
黄色
(
きいろ
)
い
提灯
(
ちやうちん
)
の
灯
(
ひ
)
が
流
(
なが
)
れて、がたりと
青
(
あを
)
く
塗
(
ぬ
)
つた
函車
(
はこぐるま
)
を
曳出
(
ひきだ
)
すものあり。
提灯
(
ちやうちん
)
には
赤
(
あか
)
い
蕋
(
しべ
)
で、
車
(
くるま
)
には
白
(
しろ
)
い
紋
(
もん
)
で、
菊屋
(
きくや
)
の
店
(
みせ
)
に
相違
(
さうゐ
)
ない。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは
眼
(
め
)
が赤くてつるつるした
緑青
(
ろくしょう
)
いろの胸をもち、そのりんと張った胸には波形のうつくしい
紋
(
もん
)
もありました。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
掛たり
引馬
(
ひきうま
)
一疋
銀拵
(
ぎんごしら
)
への茶辨當には高岡玄純付添ふ其餘は合羽籠兩掛等なり繼いて
朱塗
(
しゆぬり
)
に十六葉の
菊
(
きく
)
の
紋
(
もん
)
を付紫の化粧紐を掛たる先箱二ツ徒士五人
打物
(
うちもの
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“紋”の意味
《名詞》
(モン)模様。
(モン)紋所。定紋。家紋。
(出典:Wiktionary)
紋
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
“紋”を含む語句
斑紋
定紋
渦紋
蛇紋岩
御定紋
衣紋
紋付
紋附
波紋
紋様
指紋
衣紋坂
紋切形
五紋
葵紋
紋章
紋白蝶
倶梨伽羅紋々
紋羽二重
九紋龍
...