“蕋”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しべ81.8%
ずゐ9.1%
ずい6.1%
シベ3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はたを離れて、彼はひとり、裏の桃林を逍遥していた。はや晩春なので、桃の花はみな散り尽して黒い花のしべを梢に見るだけであった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何があんな花弁を作り、何があんなずゐを作つてゐるのか、俺は毛根の吸ひあげる水晶のやうな液が、静かな行列を作つて、維管束ゐくわんそくのなかを夢のやうにあがつてゆくのが見えるやうだ。
桜の樹の下には (新字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
七匹の青蜘蛛ぐもが張りわたしている絃を掻き鳴らし始めると、二人のお爺さんは、睡蓮の花を静かに左や右に揺り、いっぱいに咲きこぼれている花々のずいからは
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
仄暗いシベの処に、むら/\と雲のやうに、動くものがある。黄金のシベをふりわける。其は黄金の髪である。髪の中から匂ひ出た荘厳な顔。閉ぢた目が、憂ひを持つて、見おろして居る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)