はん)” の例文
また日本にほん小説せうせつによくあらはれる魔法遣まはふづかひが、不思議ふしぎげいえんずるのはおほくは、一はん佛教ぶつけうから一はん道教だうけう仙術せんじゆつからたものとおもはれる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
人のからだ男はやうなるゆゑ九出きうしゆつし(●頭●両耳●鼻●両手●両足●男根)女は十しゆつす。(男根なく両乳あり)九ははんやう十は長のいん也。
「ゆうべ、この千吉の妹のやつが、殺されたんです。いつぞやお話し申し上げた、柳橋から雛妓おしゃくに出ていたおはんというです」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
帰朝後の三年ゆうはんもまた不愉快の三年有半なり。去れども余は日本の臣民なり。不愉快なるが故に日本を去るの理由を認め得ず。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
われにぎつて、さうまなこあきらかにさいを、多勢たぜい暗中あんちゆう摸索もさくして、ちやうか、はんか、せいか、か、と喧々がや/\さわてるほど可笑をかしことい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一グラムとは一もんめまうして三ゲレンとは三わりにして硝盃コツプに三十てきはんゲレンぢやが、見てういふ工合ぐあいにするのだ。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「なんだか天気がちっとばかりおかしいけれど、明日の朝のはんごろには木更津へ着くって言いますから、案じるがものはありますまいねえ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
むねつかへのやまひしやくにあらねどそも/\とこつききたるとき田町たまち高利こうりかしより三月みつきしばりとて十ゑんかりし、一ゑん五拾せん天利てんりとてりしは八ゑんはん
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日露戦争の際、私は東京日々とうきょうにちにち新聞社から通信員として戦地へ派遣された。三十七年の九月、遼陽りょうようより北一はん大紙房だいしぼうといふ村に宿とまつて、滞留約半月はんつき
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしはその雅号を彩牋堂さいせんどう主人ととなえている知人の愛妾あいしょうはんという女がまたもと芸者げいしゃになるという事を知ったのは
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
農家のうかの人たちが、職人みたいに、かわはんズボンに、木靴きぐつをはいた小人こびとを見たって言ったでしょう? それからさ、ヴィットシェーヴレにいったときには
じょうはんと六帖の、裏長屋のその住居には、火のない長火鉢と小さな茶箪笥ちゃだんす、そして竹行李たけごうりが一つしかなかった。
へちまの木 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
『つい昔話むかしばなし面白おもしろさに申遲まうしおくれたが、じつ早急さつきふなのですよ、今夜こんや十一はん滊船きせん日本くにかへ一方いつぱうなんです。』
さんのつぎに、はんズボンをはいたりょうちゃんが、ハーモニカをらし、そのあとに、大太鼓おおだいこをたたくせいちゃんがつづきました。大太鼓おおだいこは、町会ちょうかいからりたものです。
クラリネットを吹く男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
台州たいしうから天台縣てんだいけんまでは六十はんほどである。日本にほんの六はんほどである。ゆる/\輿かせてたので、けんから役人やくにんむかへにたのにつたとき、もうひるぎてゐた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
合せて読んでみると、三行みくだはんである。日附は十月五日とある。昨日である。お槙が酔っ払って、土蔵の中へあばれこんだというわけが、これで分ったようである。
実際その何分かの間は、当人同志は云うまでもなく、平常は元気の好い泰さんさえ、いよいよ運命のさいを投げて、ちょうはんかをきめる時が来たような気がしたのでしょう。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
根岸の植留の若えもンで、渡り職人の金公てエはんチク野郎やろう——こういう名で入りこんではいるが。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
どうかしてかたきちたいとおもいますが、何分なにぶんこうは三上山みかみやま七巻ななまはんくというおおむかでのことでございますから、よしかって行っても見込みこみがございません。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もっともそれには理由わけがあるので、お染の産れたその同じ日に——詳細くわしく云えば弘化こうか元年八月十日のことであるが、藤九郎の女房のおはんというのが、やはり女の児を産んだ。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……そんなふうにして、ジリジリしながら待っているうちに、ようやく時計がはんをうちます。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
海中にはんカイリほども突き出した岩鼻で、その沖合には悪性の暗礁あんしょうが多く、三陸沿海を南下してくる千島寒流が、この岬の北方数浬の地点で北上する暖流の一支脈と正面衝突をし
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
あさはんつてから、老人らうじんあしだから、池田いけだいたときは、もうつであつた。おくれた中食ちうじきをして、またぽつ/\と、うまかよひにくいみちを、かはつて山奧やまおくへとすゝんでつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
この警戒管制には、市民の生命が、ちょうはんかのさいころの目に懸けられているのだ!
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「十一はんさ、近頃ちかごろどうもやすくつてな」商人あきんどはいひながらあさ目笊めざるたまごれて萠黄もえぎひものたどりをつてはかりさをにして、さうして分銅ふんどういとをぎつとおさへたまゝ銀色ぎんいろかぞへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
屍臭を放つ腐り船がはん沈みなんだ。青みどろなんかが、からみついてるんだ。
泥葬 (新字新仮名) / 竹内浩三(著)
ゆうべお旗本のがま本多ほんだ部屋へやで、はんつづけて三ったら、いうてのにわか分限ぶんげんでの、きゅう今朝けさから仕事しごとをするのがいやンなって、天道様てんとうさまがべそをかくまでてえたんだが蝙蝠こうもりと一しょ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「もうすぐに六時だろう。サン・メダールでさっきはんが打ったんだから。」
まへべたやうに七ぐわつ爲替相場かはせさうばが一わりさがつてつたが、貿易ぼうえき段々だん/\改善かいぜんせられるにしたがつて爲替相場かはせさうば段々だん/\騰貴とうきして、さうして十一ぐわつ二十には爲替相場かはせさうばは四十八ドルはんまでのぼつたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
藥屋くすりやしゆ寫眞材料店しやしんざいれうてん、名かたかん板のはんダース、現像液げんぞうえきていえきさら、赤色とう、それだけは懇願こんぐわんすゑ母から金をもらつたのだつたが、むねをどらせながら、おし入へもぐりんでかん板を裝置そうちして
「では一時間はんで帰ってくるよ」といながらくら戸口とぐちを出ました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ばあやははんには朝早くから籠を背負つて花を売つてあるく。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
始め若年寄わかどしより三奉行並に立合の役人席につかるゝや大岡殿中央にすゝまれ大目附兩脇りやうわきに附て立合るゝ時大岡殿には榊原家家來伊藤半右衞門とよばれ其方の吟味ぎんみにて傳吉は罪に伏したる由然樣なるかとありければ伊藤いとうはん右衞門つゝしんで彼段々と吟味ぎんみ仕つり候處其罪明白めいはくに伏し候段相違さうゐ御座なく然るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三下みくだはんを請求する方もその覚悟、やる方もその了見りょうけんだから双方共洒然しゃぜんとして形式のためにわずらわされないのであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
奧樣おくさまとて日出雄樣ひでをさまとて今夜こんや御出帆ごしゆつぱんになつたらけつして御無事ごぶじではみません、はい、その理由わけは、今日けふは五ぐわつの十六にちでせう、して、今夜こんやの十一はんといふは
了簡りようけん一つではいまのお内儀かみさんに三くだはんをもられるのだけれど、おまへ氣位きぐらゐたかいからげんさんと一處ひとつにならうとはおもふまい、それだものなほことぶん子細しさいがあるものか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
吉兵衛の三下みくだはんを持って引っかえして来て、これならば文句はありますまい、と言った。
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
丁度火消人足ひけしにんそくが谷町で火を食ひ止めようとしてゐる所であつたが、人数が少いのと一同疲れてゐるのとのために、くれ六つはんに谷町代官所に火の移るのを防ぐことが出来なかつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「ねえ、旦那。あっしらア戻り駕籠で、これから巣へけえって、一ぺえやって寝ちまおうと思ってたところなんだ。けえりがはんちくになりやすから、思い入れはずんでおくんなせえ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
秋の日の暮れ切つたくれはん(午後七時)頃である。小僧はどこへか使つかいに出た。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「……それ、なに——あの、みやげにつてつた勘茂かんもはんぺんはいくつだつけ。」
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三尺の土間にはみのや合羽が掛けてあり、四じょうはんだけ畳の敷いてある部屋も、納戸なんどがないとみえ、隅には夜具がつくねてあるし、脱ぎっ放しの仕事着だの、なにかの包だのがごたごたして
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
るかツて、えらいのがます、故人こじん高島屋たかしまや彦三郎しんすゐます、はんらうや、仲蔵なかざうなどもて、それに今度こんど訥升とつしやうそうらう這入はいつて大層たいそう芝居しばゐります。岩「成程なるほど此方こつちはうい。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
二三日はお粥もめずらしかったし、おばあさんが三度々々小さなおなべてくれるはんぺんやおいもがどんなにおいしかったでしょう。青い眼がねをかけて食べると、何もかも青く青く見えました。
祖母 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこは、御岳みたけ神殿しんでんから、まだ二はんもある深山みやま絶顛ぜってんに近いところ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてきつねかくパンを三つってはんズボンをはいてやって来ました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
軍鷄駕籠とうまるかごに入れて役人大勢守護しゆごなし并傳吉つましうと與惣次及び榊原殿郡奉行伊藤はん右衞門公用方下吟味川崎金右衞門小野寺源兵衞訴訟人憑司夫婦皆々江戸表へ出立致させ榊原さかきばらより役人百人ばかり附添つきそひ享保きやうほ十午年十月廿二日江戸着に相成其段そのだん屆出とゞけいでしかば傳吉は直取ぢきとり大岡請取られ入牢申付られ郡奉行其外は江戸表屋敷又は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
外面そとは大方おぼろであろう。晩餐にはんぺんの煮汁だし鮑貝あわびがいをからにした腹ではどうしても休養が必要である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
了簡りようけん一つでは今のお内儀かみさんに三下みくだはんをも遣られるのだけれど、お前は気位が高いから源さんと一処ひとつにならうとは思ふまい、それだものなほの事呼ぶ分に子細があるものか
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
丁度ちやうど此時このとき甲板かんぱんには十一はんほうずる七點鐘てんしようひゞいて、同時どうじにボー、ボー、ボーツとあだか獅子しゝゆるやうな滊笛きてきひゞき、それは出港しゆつかう相圖あひづで、吾等われら運命うんめいたくする弦月丸げんげつまる