氣味きみ)” の例文
新字:気味
かんがへてりやあ生身なまみをぐつ/\煮着につけたのだ、尾頭をかしらのあるものの死骸しがいだとおもふと、氣味きみわるくツてべられねえツて、左樣さういふんだ。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
アンドレイ、エヒミチは奈何いかにも情無なさけないとふやうなこゑをして。『奈何どうしてきみ那樣そんな氣味きみだとふやうな笑樣わらひやうをされるのです。 ...
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いろ/\な可愛かあいらしい蝶々てふ/\澤山たくさんあるなかで、あのおほきなくろ蝶々てふ/\ばかりは氣味きみわるいものです。あれは毛蟲けむし蝶々てふ/\だとひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこで、日の目が見えなくなると、誰でも氣味きみを惡るがつて、この門の近所きんじよへはあしぶみをしない事になつてしまつたのである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
宗助そうすけこの派出好はでずきおとうとが、其後そのごんな徑路けいろつて、發展はつてんしたかを、氣味きみわる運命うんめい意思いしうかゞ一端いつたんとして、主人しゆじんいてた。主人しゆじん卒然そつぜん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして依然いぜんとして『御返事ごへんじつてります』とある。をとこ少々せう/\氣味きみわるくなつた。とう/\また葉書はがきが十二まいたまつた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
かく氣味きみわることだとおもつてうちに、あやしふねはだん/\と速力そくりよくして、わが弦月丸げんげつまる左方さはうかすめるやうに※去すぎさとき
そこ女王樣ぢよわうさま眼鏡めがねをかけ、氣味きみわるほど帽子屋ばうしや凝視みつめられました、帽子屋ばうしやさをになつてふるへてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すご氣味きみのわるいこゑいたら……おゝ、はやまってめた時分じぶんに、其樣そのやうおそろしい、こはいものに取卷とりまかれたら
うす氣味きみわるやにたにたのわらがほ坂本さかもといでては用心ようじんたま千住せんじゆがへりの青物車あをものぐるまにお足元あしもとあぶなし、三島樣しまさまかどまでは氣違きちが街道かいだう御顏おんかほのしまりいづれもるみて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかもこれはをんなはうから種々しゆ/″\問題もんだい持出もちだしてるやうだそして多少いくらうるさいといふ氣味きみをとこはそれに説明せつめいあたへてたが隨分ずゐぶん丁寧ていねいものけつして『ハア』『そう』のではない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おほきい石室せきしつ奧行おくゆきが十間近じつけんちかくもあり、室内しつない眞暗まつくらですからたいそう氣味きみわるいものでありますが、蝋燭ろうそくともしたり、懷中電燈かいちゆうでんとうたづさへてきますと、内部ないぶ模樣もようがよくわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「また始めやがツた。」と俊男はまゆの間に幾筋いくすぢとなくしわを寄せて舌打したうちする。しきり燥々いら/\して來た氣味きみで、奧の方を見て眼をきらつかせたが、それでもこらえて、體をなゝめに兩足をブラりえんの板に落してゐた。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ああよい氣味きみだ。
利發りはつの藤重なれば早くもあやしとすゐし其上今宵こよひ夜更よふけあそびに來るべしと約束されしも氣味きみわるければ家主に頼み其身は室町なる心安き者の方へしばらく行て居る程に留守るす當分たうぶん明家あきやの積りにして若吾助が尋ね來らば斯樣々々かやう/\に云こしらへて給るべしと頼み置けるにぞ右の如く家主より返答へんたふせしなり此藤重と云はさきしうとめへ孝を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いゝえ可厭いやかぜいたんです……そして、ばん可恐おそろしい、氣味きみわるばうさんに、忌々いま/\しいかねたゝかれましたから……」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何故なぜだと。』と、イワン、デミトリチはおどすやうな氣味きみで、院長ゐんちやうはう近寄ちかより、ふる病院服びやうゐんふくまへあはせながら。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
にいさん、すこ御話おはなしがあつてたんですが」とひらなほられたので、宗助そうすけすこおどろいた氣味きみで、暑苦あつくるしい洋服やうふくさへへずに、小六ころくはなしいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
四隣しりん氣味きみわるほど物靜ものしづかで、たゞ車輪しやりんきしおとと、をりふし寂寞じやくばくとした森林しんりんなかから、啄木鳥たくぽくてうがコト/\と、みきたゝおととが際立きわだつてきこゆるのみであつたが、鐵車てつしやすゝすゝんで
同藩どうばん澤木さわぎ言葉ことばのいとゑをたがへぬるとも、此約束このやくそくけつしてたがへぬ、堪忍かんにんせよと謝罪あやまつておあそばしたるとき氣味きみのよさとては、月頃つきごろつかへがりて、むねのすくほとうれしうおもひしに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おほきな蝶々てふ/\だけが氣味きみわるくろはねをひろげて、枳殼からたちのまはりをんでました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「うん」とこたへただけであつたが、その樣子やうす素氣そつけないとふよりも、むし湯上ゆあがりで、精神せいしん弛緩しくわんした氣味きみえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眞晝間まつぴるまつきものがしたか、ばかされてでもるやうで、そのね、ふさんだをとこなんざ、少々せう/\氣味きみわるかつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昨日きのふ小膽せうたんつたことも、つきさへも氣味きみわることも、以前いぜんにはおもひもしなかつた感情かんじやうや、思想しさうありまゝ吐露とろしたこと、すなは哲學てつがくをしてゐる丁斑魚めだか不滿足ふまんぞくことふたことなども
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おゝ氣味きみるいとくびちゞめながら、四五けんさき瓦斯燈がすとうした大黒傘だいこくがさかたにしてすこしうつむいてるらしくとぼ/\とあゆ信如しんにようしろかげ、何時いつまでも、何時いつまでも、何時いつまでも、見送みおくるに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
氣味きみわるくて仲々なか/\せないほどである。
さらぬだに、地震ぢしん引傾ひつかしいでゐる借屋しやくやである。颶風ぐふう中心ちうしんとほるより氣味きみわるい。——むね引緊ひきしめ、そであはせて、ゐすくむと、や、や、次第しだい大風おほかぜれせまる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遠慮ゑんりよをされるとくゝるほどに何事なにごとだまつて年上としうへこともの奧樣おくさますつとお羽織はをりをぬぎて、千葉ちば背後うしろより打着うちきたまふに、人肌ひとはだのぬくみ氣味きみわるく、麝香じやこうのかをり滿身まんしんおそひて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれ、釣下つりさがつた電燈でんとううへところに、へんものがつて、身悶みもだえをするんですもの。氣味きみわるさツたら!
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寢間ねま時計とけいの十二をつまで奧方おくがたはいかにするともねふことくていくたびがへりすこしはかん氣味きみにもなれば、らぬ浮世うきよのさま/″\より、旦那樣だんなさま去歳こぞ今頃いまごろ紅葉舘こうえうくわんにひたとかよひつめて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いゝえ山犬やまいぬならまだしもでございます……そんなひと……氣味きみわるい、わたしうしませう。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……そのちひさなだいりに、すな氣味きみわる階子段はしごだんがると、……プンとにほつた。げるやうなにほひである。ハツとおもふと、かうのせゐか、てこめたなかけむりつ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かまひません、毎日まいにちのやうにまゐるんですから……まあ、にぎやかなところですのに……魔日まびつてふんでせう、こんなことがあるものです。おや、氣味きみわるい、……さあ、まゐりませう。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たまりかねて、民子たみこそつなほつたが、世話せわになる遠慮深ゑんりよぶかく、氣味きみわるいぐらゐにはいへのぬしおこされず、そのまゝ突臥つゝぷしてたけれども、さてあるべきにあらざれば、恐々こは/″\行燈あんどう引提ひつさげて
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……家内かない牛込うしごめまでようたしがあつて、ひるぎにいへたが、三時頃さんじごろかへつてて、一寸ちよつとまるくして、それは/\氣味きみわるいほどうつくしいものをましたとつて、おどろいたやうにつぎはなしをした。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へんだとおもふと、またまへ手拭掛てぬぐひかけがふはりとて……ると、トントントンとんで、ギクリ、シヤクリ、とやつて、スー、うにも氣味きみわるさつたらないのです。——一度いちどてみてください。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
可厭いやかほをして、をんなたちは、はて氣味きみわるがつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
氣味きみわるくてがつけられません。」
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
可笑をかしいが、氣味きみわるい。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)