さま)” の例文
新字:
しかしあなたさまがわざわざおいで下さつたのですから、なんとかして還りたいと思います。黄泉よみの國の神樣に相談をして參りましよう。
そのかは小六ころくさん、はゞかさま座敷ざしきてて、洋燈ランプけて頂戴ちやうだいいまわたしきよはなせないところだから」と依頼たのんだ。小六ころく簡單かんたん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御夢想ごむさうくすりぢやに……なん病疾やまひすみやかになほるで、ひないな……ちやうど、來合きあはせたは、あなたさまみちびきぢや……あだにはおもはれますな。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
高野に汝あること風の便たよりに聞きしゆゑ、汝を頼みて戒を受け、さまを變へ、其上にて心安く都にも入り、妻子にも遇はばやとこそ思ふなれ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
されどいへ、汝はこれを己が財布の中につや。我即ち。然り、そをさまに何の疑はしき事もなきまで光りてまるし。 八五—八七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
少年こどもがこれを口にいれるのはゆび一本いつぽんうごかすほどのこともない、しかつかはてさま身動みうごきもしない、無花果いちじくほゝうへにのつたまゝである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
三左 上書うはがきは女文字でさままゐる。むゝ。(うなづく。)これ、角助。わしがこれまでたび/\申聞かせて置いたのを忘れたか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
この、おの/\の位置いちによつてえる樹木じゆもく種類しゆるい森林しんりんかたちとがことなつてゐるありさまづけて、『森林帶しんりんたい』または『森林植物帶しんりんしよくぶつたい』とひます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
箱番所はこばんしよの者共よりせいさせける是則ち天一坊さまの御座所ととなへて斯の如く嚴重げんぢうかまへしなり又天忠は兩人の下男に云付る樣は天一坊御事は是迄は世を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こゝろみに蝋燭らふそくされたあとほのふさま想像さうざうしてました、まへ其麽そんなものたことを記憶きおくしてませんでしたから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おばあさんは初めて通る家のさまに、ちよつとの間きよとんとしてゐたが、席に坐ると稍自分を取り戻したらしく
おばあさん (旧字旧仮名) / ささきふさ(著)
乳母 では、なう、いそいでロレンスさま庵室あんじつまでかっしゃれ。あそこでおまへ内室うちかたになさるゝひとってぢゃ。
公は漸く其處迄辿り着き、氣息奄々たるさまでとつつきの一軒に匍ひ込む。扶け入れられ、差出された水を一杯飮み終つた時、到頭來たな! といふ太い聲がした。
盈虚 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
ぶん入院料にふゐんれう前金まへきんをさめろですつて、今日けふ明日あすにもれない重態ぢうたい病人びやうにんだのに——ほんとに、キリストさま病院びやうゐんだなんて、何處どこまち病院びやうゐんちがところがあるんだ。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
その巷に於いて兄さん兄さんと呼ばれて居るさまの、そんなふざけたものではないやうである。
人物に就いて (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
あがめたてまつ先生せんせいでもゆきあめには勿論もちろんこと、三に一はおことわりがつねのものなり、それをなんぞや駄々だヾさま御機嫌ごきげんとり/″\、此本このほんさつよみおはらば御褒美ごはうびにはなにまいらせん
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何處いづことも分らず、谷の末は元より意識にあるばかりで、私達の歩いてゐる處は、水の音によつてうかゞひ、立木のたけを見、いこひの息の冷えてゆくさまによつて知るの他はない。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
我先われさきその端艇たんてい乘移のりうつらんと、人波ひとなみうつて嘈閙ひしめさまは、黒雲くろくもかぜかれて卷返まきかへすやうである。
そんな風にして何にともなく拗ねてゐるさまに、自己陶醉してゐるのだといふこともある。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
またたとへば、父母ふぼはととさま、ははさまんですこしもつかへなきのみならず、かへつ恩愛おんあいぜうこもるのに、なにくるしんでかパパさま、ママさまと、歐米おうべい模倣もはうさせてゐるものが往々わう/\ある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
毎年まいねんイタリイを旅行りよこうするひと非常ひじようおほいのでありますが、イタリイ滯在たいざいなかばは、博物館はくぶつかんすごし、あとのなかばはローマだとかポムペイだとかの舊蹟きゆうせき巡遊じゆんゆうするといふありさまであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これだけあらした權現臺ごんげんだいは、其後そののち幾變遷いくへんせんして、以前もとさまられぬ。四十一ねんなつつてると、鷄屋とりやさへくなつてしまつてる。幻花子げんくわし鷄屋とりや出來できまへからつてるのだ。
つるぎつゑに。松陰まつかげの。いはほさゝへて。吐息といきつく。時哉をりしも見ゆる。若武者わかむしやは。そもいくさの。使つかひかや。ればころもの。美麗うるはしさ。新郎はなむことかも。あやまたる。其鬚髯そのほうひげの。新剃にひそりは。秋田あきたを刈れる。刈稻かりしねの。そろへるさまに。
「西周哲学著作集」序 (旧字旧仮名) / 井上哲次郎(著)
みなさま、まあごらんあそばせ、あれを。あれでも着物きものまをすのでせうか。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
われかのさまいきづきぬ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
かゞやわたさま
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
獨りごちつゝ首傾けて暫し思案のさまなりしが、忽ち眉揚まゆあがまなこするどく『さては』とばかり、面色めんしよく見る/\變りて握り詰めし拳ぶる/\と震ひぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
門口かどぐちだれ所有しよいうともかないやなぎが一ぽんあつて、ながえだほとんのきさはりさうにかぜかれるさま宗助そうすけた。には東京とうきやうちがつて、すこしはとゝのつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
新しき一の光はさきの諸靈と同じく哲理神學に精しき靈の一群より出づる光にて、一樣に燦かなるはその群の中なる諸聖徒の光いづれも同じさまに輝くなり
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かくはまは、名古屋通なごやつうむねをそらした杉野氏すぎのし可笑をかしがつて、當時たうじ先生せんせい御支配人ごしはいにんたはむれにあざけつた渾名あだなである。御存ごぞんじのとほり(さま)を彼地かのちでは(はま)といふ。……
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こちのひいさまはな、それは/\しほらしうて……ほんに、ほんに、まだちひさうて、分別たわいもないことをうてゞあった時分じぶんは……お、あのな、パリスさまうて、お立派りっぱかたがな
はなれて十町ばかり野合のあひへ掛る處へ向ふより二人の旅人とほかゝり幸之進が馬のわきを行違ふ時拔手ぬくても見せず右の片足をばつさり切落きりおとしければ幸之進はアツトさま馬より落る處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なほむかし風俗ふうぞく生活せいかつのありさまについては、くはしいことをこゝでおはなしする時間じかんもなく、みなさんが歴史れきしほんほか先生せんせいからをそはることゝおもひますから、今日けふはこれだけでよしてきます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
然し實川は其の上下とも多少の難所はあると見ても先づ内氣なさまを示してゐた。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
盆前ぼんまへよりかけてあつさの時分じぶんをこれがときよと大汗おほあせになりての勉強べんきやうせはしなく、そろへたるとう天井てんぜうから釣下つりさげて、しばしの手數てすうはぶかんとてかずのあがるをたのしみに脇目わきめもふらぬさまあはれなり。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はづかしいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己は、己の詩集が長安風流人士の机の上に置かれてゐるさまを、夢に見ることがあるのだ。岩窟の中に横たはつて見る夢にだよ。
山月記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
「あなたさまはどなたでいらつしやいますか」と申しましたから
ラクダルはさまをぢろり横目よこめたが、だまつてた。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
森林しんりんのありさまもそれ/″\かはつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
なにさまにはまゐらさう。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あいちやんのみぎあしさま
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
慮外りよぐわいながら此のわたりのいほりに、近き頃さまへて都より來られし、俗名ぞくみやう齋藤時頼と名告なの年壯としわかき武士のおさずや』。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
その油氣あぶらけのないこはかみが、ういふわけか、あたま眞中まんなか立派りつぱ左右さいうけられてゐるさまを、えずまへうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
得たるか如くにてあれはこゝえる人にころもを下さるをなさけに同じ事なりうゑたるもの食を得たるが如くとあれば御憐愍ごれんびんの御政事こゝを以て知るべしとき常憲院さま五十のの時何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
パリス 今朝けさかほうれしさをば、ひさしう待焦まちこがれてをったに、此樣このやうさまようとは!
なかえたるにくをむしや——むしやらへるさまは、戰悚よだつばかりなりと。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うすらさびしきやうものおもはしげにて、いづ華族くわぞくであらうお化粧つくり濃厚こつてりだとよしらうふりかへりてふをみゝにもれぬらしきさまにて、れとうちながめたゞ悄然しよんぼりとしてあるにらうこゝろならず
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一間いつけんほどの距離きよりいてならんでゐるといふようなありさまであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しばしたゆたふてさまです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さまにもたれて眞白百合ましらゆり
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)