かは)” の例文
女はだまつてゐる。やがてかはの流れから、眼をげて、三四郎を見た。二重瞼ふたへまぶたにはつきりとりがあつた。三四郎は其眼付で半ば安心した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はしうへかはうへにぎはひを人達ひとたち仲見世なかみせ映画街えいぐわがいにもおとらぬ混雑こんざつ欄干らんかんにもたれてゐる人達ひとたちたがひかたあはすばかり。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
冬時とうじこのかは灌水くわんすゐおこなふには、あらかじ身體しんたいるゝに孔穴こうけつこほりやぶりてまうき、朝夕あさゆふこの孔穴こうけつぼつして灌水くわんすゐおこなふ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
王栄老は郊外電車の不通に出会つた銀行員のやうに、荷物を横抱きにぶつぶつぼやきながら、かはぺりの宿屋に入つた。
串戲じようだんつちやけません。あれをつてようものなら、かはつこつてしまつたんです。」と、無論むろんたか俥代くるまだいはらつて、くるまうちまでつてたものです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
初秋しよしう洪水こうずゐ以來いらいかは中央ちうあうにはおほきな堆積たいせきされたので、ふね周圍しうゐうてとほ彎曲わんきよくゑがかねばらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大吉備津日子おほきびつひこの命と若建吉備津日子わかたけきびつひこの命とは、二柱相たぐはして、針間はりまかはさき忌瓮いはひべゑて、針間を道の口として、吉備の國言向ことむやはしたまひき。
是より一行又かはさかのぼり、れて河岸かはぎし露泊ろはくす、此日や白樺の樹皮をぎ来りて之を数本の竹上にはさみ、火をてんずれば其明ながら電気灯でんきとうの如し、鹽原君其下そのしたに在りて
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
『サア、これから獅子狩しゝがりだ/\。』といさみすゝめるのを、わたくしやうやくこと押止おしとめたが、しからばこのしま御案内ごあんないをといふので、それから、やまだの、かはだの、たにそこだの、深林しんりんなかだの
ともかく大昔おほむかし人間にんげんは、森林しんりんんで、くさや、や、野獸やじゆうや、かはさかななどをとつて、なまのまゝでべてゐたもので、ちょうど今日こんにち山猿やまざるのような生活せいかつをしてゐたのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
洋々やう/\たるナイルかは荒漠くわうばくたるサハラの沙漠さばく是等これらおほい化物思想ばけものしさう發達はつたつうながした。埃及えじぷと神樣かみさまには化物ばけもの澤山たくさんある。しかこれ希臘ぎりしやくと餘程よほどことなり、かへつて日本にほんる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
さてなる事は、かはひろにてかれうみおきたる所洪水こうずゐなどにてかはりて河原かはらとなりしが幾とせたちてもうみたる子くさらず、ふたゝび瀬となればその子生化せいくわしてさけとなる。
やまわた秋沙あきさきてむそのかはなみつなゆめ 〔巻七・一一二二〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
雲飛うんぴは石をうばはれて落膽らくたんし、其後はうち閉籠とぢこもつて外出しなかつたが、いしかはおち行衞ゆくへ不明ふめいになつたことをつたき、或朝あるあさはやく家を出で石のちたあととむらふべく橋上けうじやうたつて下を見ると、河水かすゐ清徹せいてつ
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
惠那山ゑなやまもよくえます。もつとむかふのやまえます。たかやまがいくつも/\えます。そのやまむかふには、見渡みわたすかぎり廣々ひろ/″\とした野原のはらがありますよ。なにひかつてえるかはのやうなものもありますよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
左様さやう 望遠鏡ばうゑんきやうでみますと かははみんなまつすぐに見えますね
霧のうち入日いりひのあとのかはをただうちながむ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
桃太郎もゝたらうは、かはながれしもゝよりうまれて
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はしりてかはにあつまりぬ。
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
かはえてけぶり小野をの
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かたむきかゝるあまかは
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
かはおもては悲しく灰色に光つてゐて、冬の日のをはりを急がす水蒸気すゐじようきは対岸のつゝみをおぼろにかすめてゐる。荷船にぶねあひだをばかもめ幾羽いくはとなく飛びちがふ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
谷中やなかと千駄木がたにで出逢ふと、一番低い所に小川が流れてゐる。此小川を沿ふて、まちを左りへ切れるとすぐ野にる。かはは真直に北へ通つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この人がまだ普魯西プロシヤ王フレデリキ・ウイルレム四世の皇弟であつた一八四九年のある秋の日、御微行おしのびでライン河のかはぷちをぶらぶらしてゐた事があつた。
また宇陀うだ墨坂すみさかの神に、赤色の楯矛たてほこを祭り、また大坂おほさかの神一〇に、墨色の楯矛を祭り、またさか御尾みをの神、かはの神までに、悉に遺忘おつることなく幣帛ぬさまつりたまひき。
吉野よしぬなる夏実なつみかは川淀かはよどかもくなるやまかげにして 〔巻三・三七五〕 湯原王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
すぢ日本につぽんうるはしき乙女おとめ舞衣まひぎぬ姿すがたが、月夜げつやにセイヌかは水上みなか彷徨さまよふてるといふ、きはめて優美ゆうびな、またきはめて巧妙こうめう名曲めいきよく一節ひとふし、一は一よりはなやかに、一だんは一だんよりおもしろく
かうしたおそろしい洪水こうずいはどうしておこるのかといへば、それはむろん一時いちじ多量たりようあめつたからですが、そのあめ洪水こうずいになるといふそのもとは、つまりかは水源地方すいげんちほう森林しんりんあらされたために
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
信水しんすゐ犀川さいかは濁水だくすゐあるゆゑ也。さけ初秋より海をいでて此ながれさかのぼる。蒲原郡の流は底深そこふかかはひろきゆゑ大あみを用ひてさける。かの川口えきよりかみ上田妻有うへだつまりのあたりにては打切うちきりといふ事をなして鮏をる。
ばゞ洗濯せんたくかはにて、ひろ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おとすは淺黄あさぎ瑠璃るりかは
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
もういくら待つても人通ひとゞほりはない。長吉ちやうきち詮方せんかたなく疲れた眼をかははうに移した。河面かはづら先刻さつきよりも一体にあかるくなり気味悪きみわるい雲のみねは影もなく消えてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
其所そこかはが流れて、やなぎがあつて、古風ないへであつた。くろくなつた床柱とこばしらわきちがだなに、絹帽シルクハツト引繰返ひつくりかへしに、二つならべて置いて見て、代助は妙だなとつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まことに知る、鏡を懸け珠を吐きたまひて、百の王相續き、劒ををろちを切りたまひて、萬の神蕃息はんそくせしことをやすかははかりて天の下をことむけ、小濱をばまあげつらひて國土を清めたまひき。
ひがし西にしみなみ三方さんぽうこのしま全面ぜんめんで、見渡みわたかぎ青々あを/\としたもりつゞき、處々ところ/″\やまもある、たにえる、またはるか/\の先方むかう銀色ぎんしよく一帶いつたい隱見いんけんしてるのは、其邊そのへん一流いちりうかはのあることわかる。
森林しんりん洪水こうずいがいふせぎ、かはみづ不斷ふだんえずながし、水田すいでんをもからさないといふてんで、土地とち安全あんぜんたもつてくれる效用こうようがあることがわかつてたので、以來いらいはじめて森林しんりん保護ほごしてそだてるようになり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
泳ぎの達者な男がかはぷちをぶら/\してゐると、水に溺れかゝつた者の泣き声が聞えるのだ。その男はいきなり河に飛び込んで其奴そいつを助けてやつた。助けたのはかくいふロイド・ジヨウジぢやないか。
つたくらくこのかは
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かははうからはげしく吹きつける風が屋根やねの上の電線をヒユー/\ならすのと、星の光のえて見えるのとで、風のある夜は突然とつぜん冬が来たやうな寒い心持こゝろもちをさせた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
代助は晩食ばんめしはずに、すぐ又おもてへ出た。五軒町から江戸川のへりつたつて、かはむかふへ越した時は、先刻さつき散歩からの帰りの様に精神の困憊を感じてゐなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かつらをとめはかはしもに梁誇やなぼこりするあゆみて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
三四郎もとう/\きたない草の上にすはつた。美禰子と三四郎のあひだは四尺ばかり離れてゐる。二人ふたりあししたにはちいさなかはが流れてゐる。秋になつて水が落ちたから浅い。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まどしたはすぐかはながれ駒形橋こまがたばし橋影はしかげ対岸たいがんまちえる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
かはぞひの白楊はこやなぎ、またひこばえて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
代助はもんた。江戸川迄ると、かはみづがもうくらくなつてゐた。彼は固より平岡をたづねる気であつた。から何時いつもの様に川辺かはべりつたはないで、すぐはしわたつて、金剛寺坂こんごうじざかあがつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)