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並
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なら
ふりがな文庫
“
並
(
なら
)” の例文
旧字:
竝
秘密警備隊員の
笹枝弦吾
(
ささえだげんご
)
は、
定
(
さだ
)
められた時刻が来たので、同志の
帆立介次
(
ほたてかいじ
)
と肩を
並
(
なら
)
べてS公園の
脇
(
わき
)
をブラリブラリと歩き始めていた。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
當
(
とう
)
時、
私
(
わたし
)
の一家は長
崎
(
さき
)
に
住
(
す
)
んでゐた。その長
崎
(
さき
)
には、下岡蓮杖
翁
(
おう
)
と
並
(
なら
)
んで、日本寫
眞
(
しん
)
界
(
かい
)
の
元祖
(
ぐわんそ
)
である上野彦馬
翁
(
おう
)
が同じく
住
(
す
)
んでゐた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
町
(
まち
)
へ
出
(
で
)
まして、いろいろりっぱなものを
並
(
なら
)
べた
店頭
(
みせさき
)
を
通
(
とお
)
りましても、それは、ただ
見
(
み
)
るばかりで、
名
(
な
)
すら
知
(
し
)
らなかったのであります。
赤い手袋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼
(
か
)
の
八
(
や
)
ツ
山
(
やま
)
の
沖
(
おき
)
に
並
(
なら
)
んで
泛
(
うか
)
ぶ
此
(
これ
)
も無用なる
御台場
(
おだいば
)
と
相俟
(
あひま
)
つて、いかにも
過去
(
すぎさ
)
つた時代の遺物らしく放棄された悲しい
趣
(
おもむき
)
を示してゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一ツの羽子を
並
(
なら
)
びたちてつくゆゑに、あやまちて
取落
(
とりおと
)
したるものは
始
(
はじめ
)
に定ありて、あるひは雪をうちかけ、又は
頭
(
かしら
)
より雪をあぶする。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
私はその
頸
(
くび
)
から
鉄鎖
(
てつぐさり
)
を取り、
羊飼
(
ひつじか
)
いに手伝わせて、ロボをブランカの死体をおいた
小舎
(
こや
)
へ運び入れて、そのかたわらに
並
(
なら
)
べてやった。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
大体、三番の
梶
(
かじ
)
さんと、四番のぼくは
並
(
なら
)
んで引くのが原則ですが、
下手糞
(
へたくそ
)
な
為
(
ため
)
、時々、五番の松山さんや整調の森さんとも引きます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
みちみち孔子と昨夜の老人とを
並
(
なら
)
べて考えてみた。孔子の明察があの老人に
劣
(
おと
)
る訳はない。孔子の
慾
(
よく
)
があの老人よりも多い訳はない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
其晩
(
そのばん
)
宗助
(
そうすけ
)
は
裏
(
うら
)
から
大
(
おほ
)
きな
芭蕉
(
ばせう
)
の
葉
(
は
)
を二
枚
(
まい
)
剪
(
き
)
つて
來
(
き
)
て、それを
座敷
(
ざしき
)
の
縁
(
えん
)
に
敷
(
し
)
いて、
其上
(
そのうえ
)
に
御米
(
およね
)
と
並
(
なら
)
んで
涼
(
すゞ
)
みながら、
小六
(
ころく
)
の
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
橋
(
はし
)
のあつたのは、
市
(
まち
)
を
少
(
すこ
)
し
離
(
はな
)
れた
処
(
ところ
)
で、
堤防
(
どて
)
に
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
が
並
(
なら
)
むで
植
(
う
)
はつて
居
(
ゐ
)
て、
橋
(
はし
)
の
袂
(
たもと
)
に
榎
(
え
)
の
樹
(
き
)
が
一本
(
いつぽん
)
、
時雨榎
(
しぐれえのき
)
とかいふのであつた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして二
枚
(
まい
)
の
大畫
(
たいぐわ
)
(
今日
(
けふ
)
の
所謂
(
いはゆ
)
る
大作
(
たいさく
)
)が
並
(
なら
)
べて
掲
(
かゝ
)
げてある
前
(
まへ
)
は
最
(
もつと
)
も
見物人
(
けんぶつにん
)
が
集
(
たか
)
つて
居
(
ゐ
)
る二
枚
(
まい
)
の
大畫
(
たいぐわ
)
は
言
(
い
)
はずとも
志村
(
しむら
)
の
作
(
さく
)
と
自分
(
じぶん
)
の
作
(
さく
)
。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
三条
(
さんじょう
)
まで
来
(
く
)
ると、たくさんりっぱなお
屋敷
(
やしき
)
が
立
(
た
)
ち
並
(
なら
)
んだ中に、いちばん目にたってりっぱな
門構
(
もんがま
)
えのお
屋敷
(
やしき
)
がありました。
一寸法師
(
いっすんぼうし
)
は
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
白はただ夢のように、ベンチの
並
(
なら
)
んでいる
路
(
みち
)
ばたへ出ました。するとその路の曲り角の向うにけたたましい犬の声が起ったのです。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
教会と市役所のあいだには、広場をとりかこんで、さまざまの
飾
(
かざ
)
りのついた、見るも美しい
破風
(
はふ
)
のある家々が立ち
並
(
なら
)
んでいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
程なく彼の船と、
警固
(
けいご
)
の
艀
(
はしけ
)
とが、両国下の横堀へ入ると、そこの一つ目橋の上に、
先刻
(
さっき
)
の十一名が欄干に姿を
並
(
なら
)
べていた。そして
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この広い屋敷の中には、私達の家の外に、同じような草花や木に囲まれた
平家
(
ひらや
)
が、円を
描
(
えが
)
いたようにまだ四軒ほども
並
(
なら
)
んでいた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
それとも、ご
馳走
(
ちそう
)
のたくさん
並
(
なら
)
んでいる
食卓
(
しょくたく
)
について、一
皿
(
さら
)
ごとに銀の紙で口もとをふきたいものだと望んでいたのでしょうか。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
其
(
そ
)
の
踊
(
をどり
)
の
周圍
(
しうゐ
)
には
漸
(
やうや
)
く
村落
(
むら
)
の
見物
(
けんぶつ
)
が
聚
(
あつま
)
つた。
混雜
(
こんざつ
)
して
群集
(
ぐんしふ
)
と
少
(
すこ
)
し
離
(
はな
)
れて
村落
(
むら
)
の
俄商人
(
にはかあきんど
)
が
筵
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いて
駄菓子
(
だぐわし
)
や
梨
(
なし
)
や
甜瓜
(
まくはうり
)
や
西瓜
(
すゐくわ
)
を
並
(
なら
)
べて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
勞働者勞働者と一口に
賤
(
いやし
)
んだツて、
我々
(
われ/\
)
も其の勞働者と些ツとも違やしないぢやないか。下らぬ
理屈
(
りくつ
)
を
並
(
なら
)
べるだけ
却
(
かえ
)
ツて惡いかも知れない。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
で、
若
(
も
)
し
松竹梅
(
しょうちくばい
)
と三つ
並
(
なら
)
べて
見
(
み
)
たら、
強
(
つよ
)
いのと
弱
(
よわ
)
いのとの
両極端
(
りょうきょくたん
)
が
松
(
まつ
)
と
竹
(
たけ
)
とで、
梅
(
うめ
)
はその
中間
(
ちゅうかん
)
に
位
(
くらい
)
して
居
(
い
)
るようでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そんなたけやぶの大きなたけを割って、それを
並
(
なら
)
べてこしらえた、
八絃琴
(
はちげんきん
)
は、それはそれは調子がよく
整
(
ととの
)
って申し分がない。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てる内にアノ山口巴から來る若旦那かへと小夜衣は
空然
(
うつかり
)
長庵の口に
乘
(
のせ
)
られ
然
(
され
)
ばなりその三河町の若旦那は
頓
(
とん
)
と
鼬
(
いたち
)
の
道
(
みち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見
(
み
)
ながら
孃
(
ぢやう
)
さまは
何處
(
いづこ
)
へぞお
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えぬやうなりと
人騷
(
ひとさわ
)
がせするもあり
乳母
(
うば
)
は
夜
(
よ
)
の
目
(
め
)
ろく/\
合
(
あは
)
さずお
高
(
たか
)
が
傍
(
かたへ
)
に
寢床
(
ねどこ
)
を
並
(
なら
)
べ
浮世
(
うきよ
)
雜談
(
ざふだん
)
に
諷諫
(
ふうかん
)
の
意
(
い
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ロミオ はて、
伸
(
の
)
びると
言
(
い
)
へば、その
伸
(
の
)
びるとは
足下
(
きみ
)
の
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
ぢゃ、
今
(
いま
)
天下
(
てんか
)
に
並
(
なら
)
びもない
拔作
(
ぬけさく
)
どのとは
足下
(
きみ
)
のことぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
スミレの果実は三
殻片
(
かくへん
)
からなっているので、それが
開裂
(
かいれつ
)
するとまったく三つの
殻片
(
かくへん
)
に分かれる。そしてその各
殻片内
(
かくへんない
)
に二列に
並
(
なら
)
ぶ種子を持っている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
私
(
わたくし
)
は
斷言
(
だんげん
)
する、
鷲
(
わし
)
の
如
(
ごと
)
く
猛
(
たけ
)
く、
獅子
(
しゝ
)
の
如
(
ごと
)
く
勇
(
いさ
)
ましき
列國
(
れつこく
)
の
艦隊
(
かんたい
)
が
百千舳艫
(
ひやくせんじくろ
)
を
並
(
なら
)
べて
來
(
きた
)
るとも、
日章旗
(
につしようき
)
の
向
(
むか
)
ふ
處
(
ところ
)
、
恐
(
おそ
)
らくば
風靡
(
ふうび
)
せざる
處
(
ところ
)
はあるまいと。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
洋傘
(
ようがさ
)
直しは
農園
(
のうえん
)
の中へ入ります。しめった五月の黒つちにチュウリップは
無雑作
(
むぞうさ
)
に
並
(
なら
)
べて
植
(
う
)
えられ、一めんに
咲
(
さ
)
き、かすかにかすかにゆらいでいます。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
いざ入ってみるとそこは、あまり
小奇麗
(
こぎれい
)
とも言えぬ手狭な一間で、
貧乏
(
びんぼう
)
くさい家具の
並
(
なら
)
べ
方
(
かた
)
も、まるで急場しのぎにやってのけたといった様子だった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
入り口と
周壁
(
しうへき
)
の或る
部分
(
ぶぶん
)
には
席
(
むしろ
)
を下げ置きしなるべく、
地上
(
ちじやう
)
には木材を
並
(
なら
)
べ、其上に席、
編
(
あ
)
み
物
(
もの
)
、
獸皮
(
じうひ
)
、
木皮抔
(
もくひなど
)
敷
(
し
)
き
列
(
つら
)
ねて座臥の塲所とせしなるべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
御徒士町辺
(
おかちまちあたり
)
を
通
(
とほ
)
つて見るとお
玄関
(
げんくわん
)
の
処
(
ところ
)
へ
毛氈
(
もうせん
)
を
敷詰
(
しきつ
)
め、お
土蔵
(
くら
)
から
取出
(
とりだ
)
した
色々
(
いろ/\
)
のお
手道具
(
てだうぐ
)
なぞを
並
(
なら
)
べ、
御家人
(
ごけにん
)
やお
旗下衆
(
はたもとしゆう
)
が
道具商
(
だうぐや
)
をいたすと
云
(
い
)
ふので
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのクリスマス・ツリーには、あかりや、
金紙
(
きんがみ
)
や、りんごが、どっさりつるさがっていて、そのまわりは、
人形
(
にんぎょう
)
やおもちゃの馬が、ぎっしり
並
(
なら
)
べてある。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
復一の家の縁に、立てかけて
乾
(
ほ
)
してある金魚
桶
(
おけ
)
と
並
(
なら
)
んで腰をかけて鼎造は復一の育ての親の宗十郎と話を始めた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
モイセイカは
今日
(
けふ
)
は
院長
(
ゐんちやう
)
のゐる
爲
(
ため
)
に、ニキタが
遠慮
(
ゑんりよ
)
して
何
(
なに
)
も
取返
(
とりかへ
)
さぬので、
貰
(
もら
)
つて
來
(
き
)
た
雜物
(
ざふもつ
)
を、
自分
(
じぶん
)
の
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
洗
(
あら
)
ひ
浚
(
ざら
)
ひ
廣
(
ひろ
)
げて、一つ/\
並
(
なら
)
べ
初
(
はじ
)
める。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
どっさりと酒を買うて百十四、五名のラマ及び尼さんを招き、銘々本堂の仏の前にずらりと
並
(
なら
)
んで椀を持って居ります側からどしどし
注
(
つ
)
いで
廻
(
まわ
)
るのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それが次第に近寄って、むくむくと
大蛇
(
だいじゃ
)
が横に
這
(
は
)
うように舟の
舳
(
へさき
)
へ寄って来たかと思うと、舳を
並
(
なら
)
べていた小舟は
一斉
(
いっせい
)
に首をもたげて波の上に乗りました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
ベートーヴェンとブラームスのヴァイオリン
協奏曲
(
コンチェルト
)
と
並
(
なら
)
べて、世に
所謂
(
いわゆる
)
三大ヴァイオリン協奏曲の一つである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
象の
背中
(
せなか
)
には、
桃色
(
ももいろ
)
の洋服をきたかわいい少女が三人、人形のようにちょこんと
並
(
なら
)
んでのっかっています。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
すなわち彼等の
目的
(
もくてき
)
は
時機
(
じき
)
に投じて
恩威
(
おんい
)
並
(
なら
)
び
施
(
ほどこ
)
し、
飽
(
あ
)
くまでも自国の
利益
(
りえき
)
を
張
(
は
)
らんとしたるその中には、公使始めこれに
附随
(
ふずい
)
する
一類
(
いちるい
)
の
輩
(
はい
)
にも種々の
人物
(
じんぶつ
)
ありて
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
そのうちに、
赫映姫
(
かぐやひめ
)
が
並
(
なら
)
ぶものゝないほど
美
(
うつく
)
しいといふ
噂
(
うはさ
)
を、
時
(
とき
)
の
帝
(
みかど
)
がお
聞
(
き
)
きになつて、
一人
(
ひとり
)
の
女官
(
じよかん
)
に
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
この日に家康は
翠色
(
みどりいろ
)
の
装束
(
しょうぞく
)
をして、
上壇
(
じょうだん
)
に
畳
(
たたみ
)
を二
帖敷
(
じょうし
)
かせた上に、
暈繝
(
うんげん
)
の錦の
茵
(
しとね
)
を重ねて着座した。使は下段に進んで、二度半の拝をして、右から左へ三人
並
(
なら
)
んだ。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
美佐子はベッドの上に
腹匐
(
はらば
)
って、青年紳士はその頭のところへ立って。——青年紳士は
蟇口
(
がまぐち
)
から何枚かの紙幣を
掴
(
つか
)
み出してベッドの上に
並
(
なら
)
べているところであった。
秘密の風景画
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ちょうど
並
(
なら
)
んだ隣の寝台に父は繃帯した片手を胸にあてて眠っている、ひげもびんも焼けちぢれてところどころ黒ずんでいるほおは繃帯のあいだからもれて見える。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
私
(
わたし
)
は
再
(
ふたゝ
)
びS、H
氏
(
し
)
と
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べてゐた
時
(
とき
)
、これといふ
話題
(
わだい
)
もなかつたので、ふとI
子
(
こ
)
のことを
話
(
はな
)
した。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
奈良を立ったのが早かったので、われわれは
午
(
ひる
)
少し過ぎに上市の町へ
這入
(
はい
)
った。街道に
並
(
なら
)
ぶ人家の様子は、あの橋の上から想像した通り、いかにも
素朴
(
そぼく
)
で古風である。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その翌日の二月朔日はことに名が多く、
並
(
なら
)
べ正月、重ね正月、
二
(
に
)
正月ともヒシテ正月とも、またひと日正月ともいう処があって、この一日だけが多くは休みであった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
崖
(
がけ
)
の
上
(
うへ
)
の
觀音樣
(
くわんのんさま
)
には
茶店
(
ちやみせ
)
がありました。
密柑
(
みかん
)
やたまご 、
駄菓子
(
だぐわし
)
なんどを
並
(
なら
)
べて、
參詣者
(
おまへりびと
)
の
咽喉
(
のど
)
を
澁茶
(
しぶちや
)
で
濕
(
しめ
)
させてゐたそのおばあさんは、
苦勞
(
くらう
)
しぬいて
來
(
き
)
た
人
(
ひと
)
でした。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
1か7か9か6かと眼を
凝
(
こ
)
らした
途端
(
とたん
)
、はやゴール直前で白い息を
吐
(
は
)
いている先頭の馬に
並
(
なら
)
び、はげしく競り合ったあげく、わずかに鼻だけ抜いて単勝二百円の大穴だ。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
あれだ、
若旦那
(
わかだんな
)
。あっしゃァ
後
(
うしろ
)
にいたんじゃねえんで。
若旦那
(
わかだんな
)
と
並
(
なら
)
んで、のぞいてたんじゃござんせんか。
腰
(
こし
)
を
押
(
お
)
すにも
押
(
お
)
さないにも、まず、
手
(
て
)
が
届
(
とど
)
きゃァしませんや。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんは
古
(
ふる
)
い
苔
(
こけ
)
の
生
(
は
)
えたお
墓
(
はか
)
のいくつも
並
(
なら
)
んだ
石壇
(
いしだん
)
の
上
(
うへ
)
を
綺麗
(
きれい
)
に
掃
(
は
)
いたり、
水
(
みづ
)
をまいたりして
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
かれは、田川の声には
無頓着
(
むとんちゃく
)
なように、
並
(
なら
)
べられていく机の列をじっとにらんでは、そのみだれを正していた。——二人とも、それぞれに室長に選ばれていたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
並
常用漢字
小6
部首:⼀
8画
“並”を含む語句
並木道
家並
並木路
人並
門並
月並
軒並
歯並
並居
押並
並立
日並
並等
相並
並木
世間並
居並
並行
並々
世並
...