トップ
>
吸
>
す
ふりがな文庫
“
吸
(
す
)” の例文
『見ろ、何が食へる。薄ら寒い秋の
末
(
すゑ
)
に熱い汁が一杯
吸
(
す
)
へないなんて
情
(
なさけ
)
ないことがあるものか。下宿屋だつて汁ぐらゐ吸はせる。』
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
世界大地震
(
せかいだいぢしん
)
の
記事
(
きじ
)
に
於
(
おい
)
て、
人畜
(
じんちく
)
を
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
むほどの
地割
(
ぢわ
)
れの
開閉現象
(
かいへいげんしよう
)
が
起
(
おこ
)
つたのは、
著者
(
ちよしや
)
の
鋭意
(
えいい
)
調
(
しら
)
べた
結果
(
けつか
)
、
以上
(
いじよう
)
の
三回
(
さんかい
)
のみである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
……まア、あたじけない!
皆
(
みん
)
な
飮
(
の
)
んでしまうて、
隨
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
かう
予
(
わたし
)
の
爲
(
ため
)
に
只
(
たゞ
)
一
滴
(
てき
)
をも
殘
(
のこ
)
しておいてはくれぬ。……お
前
(
まへ
)
の
脣
(
くちびる
)
を
吸
(
す
)
はうぞ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
プーンと
醗酵
(
はっこう
)
している
花梨
(
かりん
)
の
実
(
み
)
、
熟
(
う
)
れた
柿
(
かき
)
は岩のあいだに落ちて、あまい
酒
(
さけ
)
になっている。鳥も
吸
(
す
)
え、
栗鼠
(
りす
)
ものめ、
蜂
(
はち
)
もはこべと——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
にいれてあるすいれんが、かわいらしい
黄色
(
きいろ
)
な
花
(
はな
)
を
開
(
ひら
)
きました。どこから
飛
(
と
)
んできたか
小
(
ちい
)
さなはちがみつを
吸
(
す
)
っています。
すいれんは咲いたが
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
折
(
をり
)
から
雨
(
あめ
)
のあとの
面
(
おもて
)
打沈
(
うちしづ
)
める
蒼々漫々
(
さう/\まん/\
)
たる
湖
(
みづうみ
)
は、
水底
(
みなそこ
)
に
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
を
吸
(
す
)
はうとして、
薄
(
うす
)
く
輝
(
かゞや
)
き
渡
(
わた
)
つて、
沖
(
おき
)
の
大蛇灘
(
おろちなだ
)
を
夕日影
(
ゆふひかげ
)
が
馳
(
はし
)
つた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして、とまるたびに、地上からまいあがるほこりの
柱
(
はしら
)
のようなものを
吸
(
す
)
い入れました。こうして、その雲はだんだん大きくなりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
新秋
(
しんしう
)
の
氣
(
き
)
もちいゝ
風
(
かぜ
)
が
簾
(
すだれ
)
を
透
(
とほ
)
して
吹
(
ふ
)
く、それが
呼吸氣管
(
こきうきくわん
)
に
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
まれて、
酸素
(
さんそ
)
が
血
(
ち
)
になり、
動脈
(
どうみやく
)
が
調子
(
てうし
)
よく
搏
(
う
)
つ………その
氣
(
き
)
が
味
(
あぢ
)
はへない。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
蠅
(
はえ
)
がばいきんをまきちらす、そうしてわれわれは知らずに、年中少しずつそれらのばいきんを
吸
(
す
)
い
込
(
こ
)
みのみ
込
(
こ
)
んでいるために
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そんな
事
(
こと
)
を、あまり
熱心
(
ねつしん
)
に、そして
感傷的
(
かんしやうてき
)
に
話
(
はな
)
し
合
(
あ
)
つたのちは、
二人
(
ふたり
)
とも
過去
(
くわこ
)
の
山
(
やま
)
や
川
(
かは
)
にその
心
(
こゝろ
)
を
吸
(
す
)
いとられたやうに、ぽかんとしてゐた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
へゝゝ
不断
(
ふだん
)
やりつけてるもんですから……(一
口
(
くち
)
飲
(
の
)
んで
猪口
(
ちよこ
)
を下に置き)
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、どうも……。小「
冷
(
さめ
)
ない
中
(
うち
)
にお
吸
(
す
)
ひよ、お
椀
(
わん
)
を。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まるでひるの間にいっぱい日光を
吸
(
す
)
った
金剛石
(
こんごうせき
)
のように
露
(
つゆ
)
がいっぱいについて、赤や
緑
(
みどり
)
やきらきら
燃
(
も
)
えて光っているのでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そこで余等も馬に
劣
(
おと
)
らじと
鼻孔
(
びこう
)
を開いて初秋高原清爽の気を
存分
(
ぞんぶん
)
に
吸
(
す
)
いつゝ、或は関翁と打語らい、或は
黙
(
もく
)
して
四辺
(
あたり
)
の景色を眺めつゝ行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
のんきなもので、敵が直ぐ頭の上に窺ツてゐるとも知らないで、ぴかり、ぴかり、
體
(
からだ
)
を光らしながら、草の
葉裏
(
はうら
)
で一生懸命に露を
吸
(
す
)
ツてゐる。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
手許
(
てもと
)
の
火鉢
(
ひばち
)
に
載
(
の
)
せた
薬罐
(
やかん
)
からたぎる
湯気
(
ゆげ
)
を、千
切
(
ぎ
)
れた
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の
片脚
(
かたあし
)
のように、
頬
(
ほほ
)
を
引
(
ひ
)
ッつらせながら、
夢中
(
むちゅう
)
で
吸
(
す
)
い
続
(
つづ
)
けていたのは
春重
(
はるしげ
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
煙管
(
きせる
)
をすつと
拔
(
ぬ
)
いてから
又
(
また
)
齒齦
(
はぐき
)
へ
空氣
(
くうき
)
を
吸
(
す
)
うて
煙
(
けぶり
)
と一つに
飮
(
の
)
んで
畢
(
しま
)
つたかと
思
(
おも
)
ふやうにごくりと
唾
(
つば
)
を
嚥
(
の
)
んで、それから
煙
(
けぶり
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
すのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして
殘
(
のこ
)
つた
四分
(
しぶん
)
の
三
(
さん
)
の
雨
(
あめ
)
が
葉
(
は
)
から
枝
(
えだ
)
、
枝
(
えだ
)
から
幹
(
みき
)
へ
流
(
なが
)
れて、
徐々
(
じよ/\
)
に
地面
(
じめん
)
に
落
(
お
)
ち、そこにある
落
(
お
)
ち
葉
(
ば
)
に
吸
(
す
)
ひ
取
(
と
)
られるのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
灰の固まり——それは確かに見覚えのあるものだった。夫がいつも愛用した
独逸製
(
ドイツせい
)
の半練り煙草の
吸
(
す
)
い
殻
(
がら
)
に違いなかった。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
裏木戸
(
うらきど
)
のそとに女のすがたがある。しきりに手招きしているのだ。その手招きに
吸
(
す
)
い寄せられるように、園絵は二、三歩、そっちへよろめいた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
老人はなぜ
寝
(
ね
)
てしまったか、源四郎はどう思ってるのか。使いの人らは帰るにも帰れず、ぼんやりたばこを
吸
(
す
)
うている。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
一ぱいのスープはみるみる
吸
(
す
)
われてしまった。わたしがスープを下に
置
(
お
)
くと、前に立ってながめていたリーズがかわいらしい
満足
(
まんぞく
)
のため息をした。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それを
吸
(
す
)
へば
紫蘇
(
しそ
)
の
味
(
あぢ
)
がして、チユー/\
吸
(
す
)
ふうちに、だん/\
筍
(
たけのこ
)
の
皮
(
かは
)
が
赤
(
あか
)
く
染
(
そま
)
つて
來
(
く
)
るのも
嬉
(
うれ
)
しいものでした。このお
雛
(
ひな
)
は
村
(
むら
)
の
髮結
(
かみゆひ
)
の
娘
(
むすめ
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
三
人
(
にん
)
は
表
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
て
遠
(
とほ
)
く
濃
(
こ
)
い
色
(
いろ
)
を
流
(
なが
)
す
海
(
うみ
)
を
眺
(
なが
)
めた。
松
(
まつ
)
の
幹
(
みき
)
から
脂
(
やに
)
の
出
(
で
)
る
空氣
(
くうき
)
を
吸
(
す
)
つた。
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
は
短
(
みじか
)
い
空
(
そら
)
を
赤裸々
(
せきらゝ
)
に
横切
(
よこぎ
)
つて
大人
(
おとな
)
しく
西
(
にし
)
へ
落
(
お
)
ちた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ガンと一つ顔でもなぐられたら、
頬
(
ほお
)
が五
日
(
か
)
もいたんで、一きれのパンも、かめなくなる。スープばかり
吸
(
す
)
っていなければならない、という
評判
(
ひょうばん
)
なのだ。
小指一本の大試合
(新字新仮名)
/
山中峯太郎
(著)
さうして、『“Comme cela”(こんな風)』にしておまへのおつ母さんは、俺の英吉利ヅボンのポケットから英吉利金貨を
吸
(
す
)
ひ寄せたのさ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
吸物
(
すひもの
)
は
吸
(
す
)
ひ尽した。小僧は『お
代
(
かは
)
りを』といつて、塗の剥げた盃をさしつけた。
松潜
(
まつくゞ
)
りは
既
(
も
)
う
楓
(
かへで
)
の枝に居らぬ。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
顔の
下半分
(
したはんぶん
)
にはマフラーをまきつけて、パイプを口にさしこむのに、マフラーをゆるめようとはしないで、口もとをかくすようにしてパイプを
吸
(
す
)
っていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
芝居
(
しばゐ
)
の
土間
(
どま
)
で
煙草
(
たばこ
)
を
吸
(
す
)
つて、
他人
(
たにん
)
の
袂
(
たもと
)
を
焦
(
こ
)
がしたものも、
打首
(
うちくび
)
になるといふ
噂
(
うはさ
)
が
傳
(
つたは
)
つた
時
(
とき
)
は、
皆々
(
みな/\
)
蒼
(
あを
)
くなつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
苦力達
(
クウリイたち
)
は
營營
(
えいえい
)
と
働
(
はたらく
)
く、
女
(
をんな
)
——
細君
(
さいくん
)
を
買
(
か
)
ひたいために、ばくちをしたいために、
阿片
(
あへん
)
を
吸
(
す
)
ひたいために。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そのうち店の前を、三人五人と、楽隊の音に
吸
(
す
)
われるようにして、急いで行く人たちが通りはじめました。兄弟同士が手をつないで走って行く
子供
(
こども
)
たちもありました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
是
(
これ
)
も用法
不詳
(
ふしやう
)
なれど、
煙管
(
きせる
)
のラウの如き
管
(
くだ
)
をば上より下へ
傾
(
かたむ
)
け
差
(
さ
)
し
込
(
こ
)
み、
全体
(
ぜんたい
)
をば大なる西洋煙管の如くにし、噐中に
飮
(
の
)
み
物
(
もの
)
を
盛
(
も
)
りて管より之を
吸
(
す
)
ひしやに考へらる。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
人々はさかんにお膳をあらした、チビ公はだまってお膳を見るとたいの焼きざかなにきんとん、かまぼこ、まぐろの
刺身
(
さしみ
)
は赤く輝き、
吸
(
す
)
い
物
(
もの
)
は暖かに湯気をたてている。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
母
(
かあ
)
さまが
何處
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くにしろ
坊
(
ばう
)
は
必
(
かな
)
らず
置
(
お
)
いては
行
(
ゆ
)
かない、
私
(
わたし
)
の
物
(
もの
)
だ
私
(
わたし
)
のだとて
頬
(
ほゝ
)
を
吸
(
す
)
ひますと
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はれぬ
解
(
と
)
けるやうな
笑顏
(
ゑがほ
)
をして、
莞爾々々
(
にこ/\
)
とします
樣子
(
やうす
)
の
可愛
(
かあい
)
い
事
(
こと
)
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
言
(
い
)
つて、
赤
(
あか
)
くなつた
私
(
わたし
)
の
手
(
て
)
を
熱
(
あつ
)
い
唇
(
くちびる
)
でひつたりと
吸
(
す
)
ひました。
布団
(
ふとん
)
を
眼深
(
まぶか
)
かにかぶつた
小鳩
(
こばと
)
のやうに
臆病
(
をくびやう
)
な
少年
(
せうねん
)
はおど/\しながらも、
女
(
おんな
)
のするがまヽにまかせてゐた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
何
(
なに
)
に
使
(
つか
)
つたのかよくわかりませんが、ある
人
(
ひと
)
はその
孔
(
あな
)
に
小
(
ちひ
)
さい
竹
(
たけ
)
の
管
(
くだ
)
を
差
(
さ
)
し
込
(
こ
)
んで、
中
(
なか
)
にある
水
(
みづ
)
とか
酒
(
さけ
)
とかを
吸
(
す
)
つたものだらうといひます。あるひはさうかも
知
(
し
)
れません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
妹が見えなくなつてしまふと
窓
(
まど
)
硝
(
がら
)
子をおろして、
腰
(
こし
)
を落着けバツトを取り出して
吸
(
す
)
ひつけた。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
たった
一人
(
ひとり
)
の
母親
(
ははおや
)
に
別
(
わか
)
れて、
毎日
(
まいにち
)
泣
(
な
)
き
暮
(
く
)
らしておりますうちに、どうしたわけか、ある日
空
(
そら
)
から
鉢
(
はち
)
が
降
(
ふ
)
ってきて、
頭
(
あたま
)
に
吸
(
す
)
いついて、このようなへんな
姿
(
すがた
)
になってしまいました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
すうっとかすかな音をさせていきを
吸
(
す
)
い、松江は顔いっぱいによろこびをみなぎらせた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
音楽は
家
(
いえ
)
の
外
(
そと
)
にあるものなんだ、外で神様のさわやかな
空気
(
くうき
)
を
吸
(
す
)
う
時
(
とき
)
なんかに……。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
訪問客、すなわち蝶々はその長い
嘴
(
くちばし
)
を花中へ差し込み、
花蓋
(
かがい
)
のもとの方の内面に
分泌
(
ぶんぴつ
)
している
蜜
(
みつ
)
を
吸
(
す
)
うのである。その時、その虫の体も
嘴
(
くちばし
)
も
葯
(
やく
)
に
触
(
ふ
)
れて、その花粉を体や
嘴
(
くちばし
)
に
着
(
つ
)
ける。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そこには
可愛
(
かあい
)
らしい
肉附
(
にくづき
)
の、むつちり
肥
(
ふと
)
つたあかんぼ が
母親
(
はゝおや
)
に
抱
(
だ
)
かれて、すやすやと
眠
(
ねむ
)
つてゐました。その
頬
(
ほ
)
つぺたに
蚊
(
か
)
が
吸
(
す
)
ひつくと、あかんぼ は
目
(
め
)
をさまして
泣
(
な
)
きだしました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
『あゝ
貴方
(
あなた
)
も
此
(
こゝ
)
へ
入
(
い
)
れられましたのですか。』と
彼
(
かれ
)
は
嗄
(
しはが
)
れた
聲
(
こゑ
)
で
片眼
(
かため
)
を
細
(
ほそ
)
くして
云
(
い
)
ふた。『いや
結構
(
けつこう
)
、
散々
(
さん/″\
)
人
(
ひと
)
の
血
(
ち
)
を
恁
(
か
)
うして
吸
(
す
)
つたから、
此度
(
こんど
)
は
御自分
(
ごじぶん
)
の
吸
(
す
)
はれる
番
(
ばん
)
だ、
結構々々
(
けつこう/\
)
。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
あの長いのや短いのやいろ/\の物干竿を使つて、金兵衞の入智慧で若旦那の敬太郎はお茂世さんを呼出しては逢引して居たんだらう。金兵衞がうんと甘い汁を
吸
(
す
)
つたことは言ふ迄もないよ
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
第一
(
だいゝち
)
あなた
方
(
がた
)
にはたばこを
吸
(
す
)
ふ
人
(
ひと
)
の
氣持
(
きも
)
ちがわかるはずがないのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
蠅
(
はえ
)
や
小蜂
(
こばち
)
に
吸
(
す
)
い
枯
(
か
)
らされることを防ぐことである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
精霊
(
しやうれい
)
の日本の秋の
啜泣
(
すゝりなき
)
吸
(
す
)
ひ取る如し、泣く如し。
緑の種子
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
裂
(
さ
)
き
捨
(
す
)
てられた
泥
(
どろ
)
に
吸
(
す
)
はれた
伝単
(
でんたん
)
を
見詰
(
みつ
)
め
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
穴
(
あな
)
に心を
吸
(
す
)
はれゆくごとく思ひて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
眼
(
め
)
をとぢて光を
吸
(
す
)
へば
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
白き血を
吸
(
す
)
へや
大地
(
おほつち
)
秋の一夕
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
吸
常用漢字
小6
部首:⼝
6画
“吸”を含む語句
呼吸
吸血鬼
吸殻
吸筒
一呼吸
吸物
吸口
吸物椀
吸子
吸盤
吸付
吸管
吸呑
吸込
一吸
吸取紙
吸取
速吸
吸物膳
吸入
...