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冷
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つめ
ふりがな文庫
“
冷
(
つめ
)” の例文
東の
仙人峠
(
せんにんとうげ
)
から、
遠野
(
とおの
)
を通り
土沢
(
つちざわ
)
を
過
(
す
)
ぎ、北上山地を
横截
(
よこぎ
)
って来る
冷
(
つめ
)
たい
猿ヶ石
(
さるがいし
)
川の、北上川への
落合
(
おちあい
)
から、少し
下流
(
かりゅう
)
の西岸でした。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼
(
かれ
)
は、この
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
が、かえって、
哀
(
かな
)
しい
自分
(
じぶん
)
の
胸
(
むね
)
にしみるように、いつまでもここにいて、
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれていたい
気持
(
きも
)
ちがしました。
花の咲く前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしはむかししたように、かれの
冷
(
つめ
)
たい鼻にキッスした。するうち、子どもの時代の
困窮
(
こんきゅう
)
が思い出して、ふとある考えがうかんだ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
しかし、彼の受けた愛の報酬もやはり前の夏の休暇と同じように
冷
(
つめ
)
たいものであった。彼は幸子を憎く感じる日がだんだん増して来た。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
伴「
手前
(
てめえ
)
は熱い汗をかいたろうが、
己
(
おら
)
ア
冷
(
つめ
)
てえ汗をかいた、幽霊が裏窓から
這入
(
はい
)
って行ったから、萩原様は
取殺
(
とりころ
)
されて仕舞うだろうか」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
斯う思いながら縁から見て居ると、
頭上
(
ずじょう
)
の日はカン/\照りながら、西の方から涼しいと云うより
寧
(
むしろ
)
冷
(
つめ
)
たい気が
吻々
(
ふつふつ
)
と吹っかけて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
湖水の波も心あるか、
冷
(
つめ
)
たい風を吹きおこして、松の
梢
(
こずえ
)
にかなしむかと思われ、
陽
(
ひ
)
も雲のうちにかくされて、天地は一
瞬
(
しゅん
)
、ひそとした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それでも
薪
(
まき
)
は
持
(
も
)
つて
來
(
く
)
る
譯
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
かねえから
置
(
お
)
いて
來
(
き
)
つちやつた」
勘次
(
かんじ
)
は
自
(
みづか
)
ら
嘲
(
あざけ
)
るやうに
目
(
め
)
から
口
(
くち
)
へ
掛
(
か
)
けて
冷
(
つめ
)
たい
笑
(
わらひ
)
が
動
(
うご
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
足の先が
冷
(
つめ
)
たけれや、相談でおれが温めてやつてもいい。さうやつて黙つてるが、お前が今何を考へてるか、おれにはほゞ見当がついてる。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
軒
(
のき
)
に
干
(
ほ
)
したる
日
(
ひ
)
は、
時雨
(
しぐれ
)
颯
(
さつ
)
と
暗
(
くら
)
くかゝりしが、
曳
(
ひ
)
く
頃
(
ころ
)
は
霙
(
みぞれ
)
、
霰
(
あられ
)
とこそなれ。
冷
(
つめ
)
たさ
然
(
さ
)
こそ、
東京
(
とうきやう
)
にて
恰
(
あたか
)
もお
葉洗
(
はあらひ
)
と
言
(
い
)
ふ
頃
(
ころ
)
なり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
正規の
晝食
(
ひる
)
の支度をする間がないことがよくあつたが、さういふ時には、彼女は
冷
(
つめ
)
たいパイの大切れだの、チイズ
附
(
つき
)
のパンの厚切れを呉れた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それに
何
(
ど
)
の川の水も、奇麗に澄むでゐて、井戸の水のやうに
冷
(
つめ
)
たかツた。川が多くツて、水が奇麗だ! それで、もう螢が多いといふ事が解る。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
屋根
(
やね
)
あり、
天井
(
てんじやう
)
あり、
壁
(
かべ
)
のあると
言
(
い
)
ふばかり、
野宿
(
のじゆく
)
の
露
(
つゆ
)
の
哀
(
あは
)
れさにまさつて、それは
冷
(
つめ
)
たい
情
(
なさけ
)
ない、こぼれる
涙
(
なみだ
)
の
氷
(
こほ
)
らぬが
不思議
(
ふしぎ
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さうして
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
は、
父
(
ちゝ
)
の
亡骸
(
なきがら
)
がもう
冷
(
つめ
)
たくなつてゐたのである。
宗助
(
そうすけ
)
は
今
(
いま
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
其時
(
そのとき
)
の
父
(
ちゝ
)
の
面影
(
おもかげ
)
を
思
(
おも
)
ひ
浮
(
うか
)
べては
濟
(
す
)
まない
樣
(
やう
)
な
氣
(
き
)
がした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
愛情
(
あいじょう
)
の
伴
(
ともな
)
わぬ
冷
(
つめ
)
たい
夫婦
(
ふうふ
)
の
間柄
(
あいだがら
)
……
他人
(
ひと
)
さまのことは
存
(
ぞん
)
じませぬが、
私
(
わたくし
)
にとりて、それは、
世
(
よ
)
にも
浅
(
あさ
)
ましい、つまらないものでございました……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
北
(
きた
)
を
枕
(
まくら
)
に、
静
(
しず
)
かに
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
じている
菊之丞
(
きくのじょう
)
の、
女
(
おんな
)
にもみまほしいまでに
美
(
うつく
)
しく
澄
(
す
)
んだ
顔
(
かお
)
は、
磁器
(
じき
)
の
肌
(
はだ
)
のように
冷
(
つめ
)
たかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その
風雪
(
ふうせつ
)
の一
握
(
にぎ
)
りのつぶては、
時々
(
とき/″\
)
毛
(
け
)
のやうな
欄間
(
らんま
)
の
隙
(
すき
)
や
戸障子
(
としやうじ
)
の
仲
(
なか
)
を
盜
(
ぬす
)
み
入
(
い
)
つて、
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えぬ
冷
(
つめ
)
たいものをハラ/\と
私
(
わたし
)
の
寢顏
(
ねがほ
)
にふりかけてゆく。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
貢さんは
何時
(
いつ
)
も聞く阿母さんの話だけれど、今日は
冷
(
つめ
)
たい沼の水の
底
(
そこ
)
の底で聞かされた様な気がして、小供心に頼り無い沈んだ
悲哀
(
かなしみ
)
が
充満
(
いつぱい
)
に成つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
日の光はここにて淡き黄緑となり、
冷
(
つめ
)
たくして透明なる水は薄らに顫へ、汚なるココア色の泥のなかに蠢めく虫ありて、水草のかげに油すこし浮く。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ほんとうに、
盗人
(
ぬすびと
)
のかしらは
泣
(
な
)
いていたのであります。——かしらは
嬉
(
うれ
)
しかったのです。じぶんは
今
(
いま
)
まで、
人
(
ひと
)
から
冷
(
つめ
)
たい
眼
(
め
)
でばかり
見
(
み
)
られて
来
(
き
)
ました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そのうちだんだん
夜
(
よ
)
が
更
(
ふ
)
けるに
従
(
したが
)
って、たださえあばら
家
(
や
)
のことですから、
外
(
そと
)
の
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
が
遠慮
(
えんりょ
)
なく
方々
(
ほうぼう
)
から
入
(
はい
)
り
込
(
こ
)
んで、しんしんと
夜寒
(
よさむ
)
が
身
(
み
)
にしみます。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
竹の葉の水気が集つて一滴の露となり、腐れた酒の蒸気が
冷
(
つめ
)
たいランビキの玻璃に透明な酒精の雫を形づくる迄のそれ自身の洗練はかりそめのものではない。
月に吠える:02 月に吠える
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
案内するひとの手は、まるで
鉄
(
てつ
)
のように、かたく
冷
(
つめ
)
たく、そして大またに、ずしりずしりと歩いていきます。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
雨
(
あめ
)
こそは、さても
眞面目
(
まじめ
)
に、しつとりと人の
氣分
(
きぶん
)
を落ちつかせ、石の心も浮きあげて
冷
(
つめ
)
たい光を投げかける。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
冷
(
つめ
)
てえ、井戸水で
面
(
つら
)
洗って。もうお
飯
(
まんま
)
はあ出来でっし、おつけも、この茄子せえ入れればいいのだから、早く食ってはあ。——片岡さ行ぐのに遅ぐなんべ。」
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その
熱
(
あつ
)
い
故
(
せゐ
)
だつたのだらう、
握
(
にぎ
)
つてゐる
掌
(
てのひら
)
から
身内
(
みうち
)
に浸み透つてゆくやうなその
冷
(
つめ
)
たさは
快
(
こころよ
)
いものだつた。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
表面
(
うわべ
)
は平和だったが、下には長い
年月
(
としつき
)
のなやみがひそんでいた。クリストフはもう
息
(
いき
)
もつかず、
身体
(
からだ
)
を動かすことも
出来
(
でき
)
ないで、感動のあまり
冷
(
つめ
)
たくなっていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
が、
苦
(
くる
)
しみは
少
(
すこ
)
しもない。
唯
(
ただ
)
胸
(
むね
)
が
冷
(
つめ
)
たくなると、一
層
(
そう
)
あたりがしんとしてしまつた。ああ、
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
靜
(
しづ
)
かさだらう。この
山陰
(
やまかげ
)
の
藪
(
やぶ
)
の
空
(
そら
)
には、
小鳥
(
ことり
)
一
羽
(
は
)
囀
(
さえづ
)
りに
來
(
こ
)
ない。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
沼地
(
ぬまち
)
にはこの
雪
(
ゆき
)
が
溶
(
と
)
け
流
(
なが
)
れこむので、その
沼水
(
ぬまみづ
)
の
温度
(
おんど
)
は
非常
(
ひじよう
)
に
低
(
ひく
)
く、ひどく
冷
(
つめ
)
たいわけになります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
しラランの
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
んだが、その
返事
(
へんじ
)
がないばかりか、
冷
(
つめ
)
たい
霧
(
きり
)
のながれがあたりいちめん
渦巻
(
うづま
)
いてゐるらしく、そのために
自分
(
じぶん
)
のからだはひどく
煽
(
あふ
)
られはじめた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
冷
(
つめ
)
たい
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
射
(
さ
)
されて、
人目
(
ひとめ
)
に
掛
(
かゝ
)
らぬ
石
(
いし
)
の
中
(
なか
)
に
封込
(
ふうじこ
)
められた
蟾蜍
(
ひきがへる
)
の
如
(
ごと
)
く、わが
身
(
み
)
は
醜
(
みにく
)
い
鉱皮
(
くわうひ
)
の
下
(
した
)
に
押
(
お
)
し
籠
(
こ
)
められてゐる
時
(
とき
)
、ほかの
人
(
ひと
)
たちは
清浄
(
しやうじやう
)
な
肉身
(
にくしん
)
で
上天
(
じやうてん
)
するのだらう。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
ハーレー氏の記載に依ると印度の僧侶が「定」に入るときは
先
(
ま
)
づ大麻を飲んで麻酔状態となり、その状態の
儘
(
まゝ
)
で、
冷
(
つめ
)
たき静かな墓の中に置かれ、六週
乃至
(
ないし
)
八週を経過するのである。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
うってかわった
冷
(
つめ
)
たさで言い、おかみさんが二度と口をひらかないように横をむいた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
風はなかつたけれど、じめついた
冷
(
つめ
)
たさが、体に沁み通るやうであつた。橋のうへに立つと、川風がさすがに山国らしい寒さで、顔を撫ぜた。土井は襟巻のなかに深く鼻を埋めてゐた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
立っているところは、つき立った岩の上で、
眼
(
め
)
もくらむほど下の方に、
白雲
(
しろくも
)
と
黒雲
(
くろくも
)
とが
湧
(
わ
)
き立って、なにも見えませんでした。
冷
(
つめ
)
たい風が
吹
(
ふ
)
きつけてきて、今にも
大嵐
(
おおあらし
)
になりそうでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
止めしにや息の
絶
(
た
)
えたるに
驚
(
おどろ
)
きつゝ
種々
(
しゆ/″\
)
介抱
(
かいはう
)
成
(
なし
)
けれ共
蘇生
(
よみがへ
)
る
容子
(
ようす
)
も
無
(
なく
)
暫時
(
ざんじ
)
に
冷
(
つめ
)
たくなり候まゝ當御奉行所へ御訴へ申上候儀に御座候と申立ければ
慈仁
(
じじん
)
無類
(
むるゐ
)
の大岡殿ゆゑ
忽
(
たちま
)
ち久八の
廉直
(
れんちよく
)
なるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
エヒミチは
窓
(
まど
)
の
所
(
ところ
)
に
立
(
た
)
つて
外
(
そと
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
日
(
ひ
)
はもうとツぷりと
暮
(
く
)
れ
果
(
は
)
てゝ、
那方
(
むかふ
)
の
野廣
(
のびろ
)
い
畑
(
はた
)
は
暗
(
くら
)
かつたが、
左
(
ひだり
)
の
方
(
はう
)
の
地平線上
(
ちへいせんじやう
)
より、
今
(
いま
)
しも
冷
(
つめ
)
たい
金色
(
こんじき
)
の
月
(
つき
)
が
上
(
のぼ
)
る
所
(
ところ
)
、
病院
(
びやうゐん
)
の
塀
(
へい
)
から百
歩計
(
ぽばか
)
りの
處
(
ところ
)
に
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
今日
(
けふ
)
は
脚
(
あし
)
から、ずん/\
冷
(
つめ
)
たくなつてゆくのが
自分
(
じぶん
)
にも
解
(
わか
)
るんです。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
蚊帳
(
かや
)
つりてひとりねむりしあかときの
冷
(
つめ
)
たきみづは歯に沁みにけり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
姉なれば黒き
御戸帳
(
みとちやう
)
まづ上げぬ父まつる日のものの
冷
(
つめ
)
たき
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
愛の
花瓶
(
はながめ
)
よ、
諸
(
もろ/\
)
の男子の
上
(
うへ
)
に、諸の
冷
(
つめ
)
たき學術の
上
(
うへ
)
に
母
(旧字旧仮名)
/
アダ・ネグリ
(著)
そは、
冷
(
つめ
)
たき砂のうへに裂けて
おびえ
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
冷
(
つめ
)
たき
冥府
(
よみ
)
の
水底
(
みなそこ
)
に
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こころ
冷
(
つめ
)
たし
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
すがすがしい
天気
(
てんき
)
で、
青々
(
あおあお
)
と
大空
(
おおぞら
)
は
晴
(
は
)
れていましたが、その
奥底
(
おくそこ
)
に、
光
(
ひか
)
った
冷
(
つめ
)
たい
目
(
め
)
がじっと
地上
(
ちじょう
)
をのぞいているような
日
(
ひ
)
でした。
冬のちょう
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
火がなくッたって
暖
(
あたた
)
かい、人間の
親方
(
おやかた
)
はあんなに
冷
(
つめ
)
たくッてとげとげしているのに、どうして
枯
(
か
)
れた
麦藁
(
むぎわら
)
がこんなに暖かいものだろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
全
(
まった
)
く峯にはまっ黒のガツガツした巌が
冷
(
つめ
)
たい霧を
吹
(
ふ
)
いてそらうそぶき
折角
(
せっかく
)
いっしんに
登
(
のぼ
)
って行ってもまるでよるべもなくさびしいのでした。
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『まだ
聞
(
き
)
きたい。
御身
(
おみ
)
が
作
(
さく
)
の
其
(
そ
)
の
膚
(
はだ
)
は
滑
(
なめら
)
かぢやらう。が、
肉
(
にく
)
はあるか、
手
(
て
)
に
触
(
ふ
)
れて
暖味
(
あたゝかみ
)
があるか、
木像
(
もくざう
)
の
身
(
み
)
は
冷
(
つめ
)
たうないか。』
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尽日
(
じんじつ
)
北の風が吹いて、時々
冷
(
つめ
)
たい
繊
(
ほそ
)
い雨がほと/\落ちて、見ゆる限りの青葉が白い
裏
(
うら
)
をかえして南に
靡
(
なび
)
き、
寂
(
さび
)
しいうら
哀
(
かな
)
しい日であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
くちびるのことばは目のことばに
比
(
くら
)
べては小さなものである。目つきに比べて、ことばのいかに
冷
(
つめ
)
たく、
空虚
(
くうきょ
)
であることよ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
冷
常用漢字
小4
部首:⼎
7画
“冷”を含む語句
冷笑
冷々
冷評
冷遇
冷水
冷淡
冷嘲
冷酒
冷却
冷奴
冷凍
湯冷
冷飯
冷泉
底冷
寒冷
冷気
秋冷
朝冷
冷冷
...