あらは)” の例文
新字:
ときかね校庭かうていやしなはれて、嚮導きやうだうつたいぬの、ぢてみづかころしたともひ、しからずとふのが——こゝにあらはれたのでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ところじつ厚利こうりさんとしてあらは名高めいかうものなるに、これくに名高めいかうもつてせば、すなはあらは其身そのみをさめてじつこれうとんぜん。
かしこにあらはれし諸〻の光より一のうるはしきおと十字架の上にあつまり、歌をしえざりし我もこれに心を奪はれき 一二一—一二三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
取出し見れば最早もはやかほ劔難けんなんさうあらはれたれば然ば明日は病氣といつはり供を除き捕手とりての向はぬ内に切腹せつぷくすべしと覺悟かくごを極め大膳のもと使つかひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私はねえ、私を神樣にかへし、神樣を私にあらはしてくれる、大事な時が來るまで、時間を數へてゐればいゝの。
姫。おん身の宣給ふところには、わがうべなひ難き節あれど、われは我心をあかすべき詞を求め得ず。人の心にも世のたゝずまひにも、げに神の御心はあらはれたるべし。
かれ容貌ようばうはぎす/\して、何處どこ百姓染ひやくしやうじみて、※鬚あごひげから、ベツそりしたかみ、ぎごちない不態ぶざま恰好かつかうは、宛然まるで大食たいしよくの、呑※のみぬけの、頑固ぐわんこ街道端かいだうばた料理屋れうりやなんどの主人しゆじんのやうで、素氣無そつけなかほには青筋あをすぢあらは
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
夕涼ゆふすゞみにはあしあかかにで、ひかたこあらはる。撫子なでしこはまだはやし。山百合やまゆりめつ。月見草つきみさうつゆながらおほくは別莊べつさうかこはれたり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つぎ御小姓組おこしやうぐみなる勤仕きんしこうあらは有章公いうしやうこうの御代に御徒頭おかちがしらとなり其後伊勢山田奉行ぶぎやう仰付られ初て芙蓉ふよう御役人のれつに入りけるなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
是故に父よ汝に請ふ、われ大いなる恩惠めぐみを受けて汝のかたちあらはに見るをうべきやいなや、さだかに我に知らしめよ。 五八—六〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
これくに厚利こうりもつてせば、すなはひそか其言そのげんもちひてあらは其身そのみてん。これらざるからざるなり。ことみつもつり、るるをもつやぶる。
案内者に續松ついまつとらせて行きつゝ、柱しげき間に、忽ちあらはれ忽ち隱るゝ光景今も見ゆらん心地す。
紋着もんつきしろえりで盛裝せいさうした、えんなのが、ちやわんとはしを兩手りやうてつて、めるやうにあらはれて、すぐに一切ひときれはさんだのが、そのひとさ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うらめし氣に見遣みやり之は先にも申し上し通り私いかでか人をころしうべき又た先妻梅儀を離縁りえん致せしは昌次郎と不義ふぎあらはれし故離縁状りえんじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかしてあらはにもひそかにも彼と異なる道を行く者、その時神のつかさをさたらむ 一四二—一四四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
これをおもへば烟立つヱズヰオのいたゞき、露けく緑深き葡萄の蔓の木々の梢より梢へと纏ひ懸れる美しき谿間たにま、或は苔を被れる岩壁の上にあらはれ或は濃き橄欖オリワの林に遮られたる白堊はくあ城砦じやうさいなど
(六九)貴人きじんけいて、みづかもつこうさんとほつするを、説者ぜいしやあづかりればすなはあやふし。(七〇)かれあらはだすところことり、すなはみづかもつ也故たこすに、説者ぜいしやあづかりればすなはあやふし。
眞正面まつしやうめんに、凹字形あふじけいおほきたてものが、眞白まつしろ大軍艦だいぐんかんのやうに朦朧もうろうとしてあらはれました。とると、あやは、なんと、ツツツときつゝ。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おもふと、忽然こつねんとして、あらはれて、むくとをどつて、卓子テエブル眞中まんなかたかつた。ゆきはらへば咽喉のどしろくして、ちやまだらなる、畑將軍はたしやうぐん宛然さながら犬獅子けんじし……
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
玉子たまご半熟はんじゆく、とあつらへると、やがてさらにのつて、白服しろふくからトンといて、卓子テエブルうへあらはれたのは、生々なま/\しいにく切味きりみに、半熟はんじゆくつたのである。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このとき神通じんづうあらはして、討死うちじに窮地きうちすくつたのが、先生せんせい紹介状せうかいじやう威徳ゐとくで、したがつて金色夜叉夫人こんじきやしやふじんなさけであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たびに、あツとこゑげて、へば、はやこと、ちよろ/\とはしつてえて、すぐに、のろりとあらはれる。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
旦那だんな、お待遠樣まちどほさまづらえ。」何處どこだとおもふ、伊達だて建場たてばだ。組合くみあひつらにかゝはる、とつた意氣いきあらはれる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此方こつち意氣いきあらはれる時分じぶんには、親仁おやぢくるまのぞくやうに踞込しやがみこんで、ひげだらけのくちびるとんがらして、くだ一所いつしよに、くちでも、しゆツ/\いきくのだから面白おもしろい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒人くろんぼ給仕きふじみちびかれて、燈籠とうろうかげあらはれたつけね——主人しゆじんよう商賣あきなひものをはこせつは、盜賊どろばう用心ようじんきつつ……穗長ほながやりをねえ、こんな場所ばしよへはつけないから
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、ものめづらしげにみまもつたのは、わざひろふために、に、此處こゝあらはれたうつくしいひとともおもつたらう。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
せいたかいのは、きはめて、ひんつややかな圓髷まるまげあらはれる。わかいのは時々より/\かみちがふ、銀杏返いてふがへしのときもあつた、高島田たかしまだときもあつた、三輪みつわふのにつてもた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大方おほかたくあらむと、したることとて、民子たみこあらかじ覺悟かくごしたから、茶店ちやみせ草鞋わらぢ穿いてたので、此處こゝ母衣ほろから姿すがたあらはし、山路やまぢゆき下立おりたつと、爪先つまさきしろうなる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かとおもへば、まへちかいのは、あらうことか、おにくび古綿ふるわた面形めんがたつたかたちに、もやがむら/\と瓦斯燈がすとうえたあとにわだかまつて、あやしく土蜘蛛つちぐもかたちあらはし、おな透間すきまからいき
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いぬどもの、みゝにはて、きばにはみ、ほのほき、黒煙くろけむりいて、くるまともはず、ひとともはず、ほのほからんで、躍上をどりあがり、飛蒐とびかゝり、狂立くるひたつて地獄ぢごく形相ぎやうさうあらはしたであらう
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
眞俯向まうつむけにおもかぜなかを、背後うしろからスツとかるおそつて、すそかしらをどツと可恐おそろしいものが引包ひきつゝむとおもふと、ハツとひきいきとき、さつとけて、まへ眞白まつしろおほきかげあらはれます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あるひしつにのみ、場所ばしよ機會きくわいつてかたちあらはす、ひと怨靈をんりやうならずや。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ずらりと女學生ぢよがくせいたちをしたがへて、ほゝあごをだぶ/″\、白髮しらがうづまきかせて、反身そりみところが、なんですかねわたしには、彼處あすこる、狂人きちがひを、救助船たすけぶね濟度さいどあらはれたやうにえたんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とき可恐おそろしかつたのは、さかうへへ、あれなる狂人きちがひあらはれたことである。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯今たゞいまおびれたをさないのの、じつたものにると、おほかみとも、とらとも、おにとも、ともわからない、すさまじいつらが、ずらりとならんだ。……いづれも差置さしおいた恰好かつかう異類いるゐ異形いぎやうさうあらはしたのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人間にんげんうした場合ばあひには、實際じつさい謙遜けんそん美徳びとくあらはす。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)